業務効率化を成功させるコツ~元外資系人事マネージャーが語る

社内業務効率化 成功のコツは、検討手順にある

SAAS型のHR Techサービスが多数リリースされてきたことが後押しとなり、人事業務においてもデジタル化が進んできています。 とはいえ、人事業務には法定帳票の作成・提出といった業務が含まれているため、紙による申請などが現在でも残っている会社もあります。また、業務の煩雑化や属人化に頭を悩ませているケースも多いでしょう。 今回は、社内業務をどうやって効率化すればよいのかといったことを考えてみたいと思います。

①ゴール設定と業務プロセスの文書化

最初に行うことは、業務効率化する目的を明確にすることです。 なぜ業務効率化が必要なのか、あるいは、業務を効率化した結果、どのような状態になっていることを期待するのか、を明確にしましょう。これは、後ほど重要となる場面が出てきます。 次に、対象となる業務プロセスを文書化することです。 なぜなら、それぞれの認識や理解が異なっていることがほとんどなので、現状に対する理解を同一にする必要があるからです。業務プロセスを洗い出して関係者間で確認すると、「タスクAはXさんがやっていると思っていました。」「いえ、私はYさんが行っていると前任者から引き継ぎを受けていました。」といった会話が発生することがあります。 文書化の方法に関しては、①該当業務の概要・時期・担当者・使用文書/システム・作成文書などを一覧化する、②業務プロセスフローを作成するなど、やり方は任意の方法でよいでしょう。 この段階では例外的事項も含めてすべてを網羅することよりも、認識を同一にすることに集中することが重要です。

②問題点の抽出

業務プロセスが抽出した後、 「手順を反対にした方がスムーズにいくのでは」 「似たような(あるいは重複した)作業を別々に行っている」 「ミスが頻繁に発生しているのは、複雑な作業の割に期限が短すぎる」 などといった問題点を洗い出し、かつ、それに対する改善策を検討しましょう。 その業務を担当している方ならば問題点の抽出を行うことはできますが、同じ部門の全く別の方が問題点の抽出を行うと「新たな視点」や「気が付かなかった点」が明確になるので適切かもしれません。 また、一人で行うよりも複数の方々が個別に問題点を洗い出した後、それをいったん持ち寄って精査する方が、より効果的です。当然、複数で行う場合は一人で行うよりも合意形成に時間がかかるので、「いつまでに」行う必要があるのかといったことも考慮にいれましょう。

③改善策の検討

改善策の検討については、注意すべき点があります。 それは、案を出す段階で「これは(費用・リソースなどを考慮すると)現実的ではない」と、判断を下さないということです。 案を考えるときはできる限り制約を設けずに「とにかく考えられる案を出す」ことに集中しましょう。特に複数の方々が集まって改善策を検討する場合に、「こんなことを言っても非現実的だからやめておこう」といった心理的なバイアスは取り除く必要があります。そのため、「改善策の案を出す時間においては、どんな意見も俎上にのせる。検討は後で行う」といったルールを決めてそれを最初に参加者間で確認してから着手するのがよいでしょう。 素案が出尽くしたら、今度は改善策の検討にはいりましょう。 ここでは、費用やリソース、ツールなどあらゆる面において具現化できるかどうかを軸に考察することになります。複数の案が出ているものの、どれも一長一短でなかなか決めかねることもあるかもしれません。その時は、最初に決定し「業務効率化の目的」に立ち返ってみましょう。何を実現したかったのか、具体的には工数削減なのか、ペーパーレス化なのか・・・を再認識することで、どの案を選択すべきなのかが見えてきます。改善策を検討する際には、社内外の第三者にもアドバイザーとして入ってもらって意見を参考にしながら決めるのも適切でしょう。

④システム化・ツールの導入

改善策は業務手順やフォーマットを変えることで解決するケースもあれば、何らかのシステム(HR Tech)やオフィスで日常的に行われている業務をソフトウェアロボットにあらかじめ登録しておき自動化するRPA(例:RPA-work’s HR)などを導入することもあります。 この段階で「何のためにシステム化するのか・ツールを導入するのか」が明確になっていれば、時間と費用をかけて導入したのに実はたいして使われていなかった、といったことや、とりあえず導入したけどどのように運用してよいのかわからない、という状況に陥ることはないはずです

 

 

最後に

社内業務の効率化を行う際に、明らかに目立っている「非効率的と見える業務」を何とかすることにフォーカスしがちです。「業務を効率化する目的」を明確にして、迷った時に立ち返るようにしないと目的と手段が反対になってしまうことがあります。その点に留意しつつ、新たなツールや考え方を活用していきましょう。

執筆者

アルドーニ株式会社

代表取締役 永見 昌彦

外資系コンサルティングファームなどで人事コンサルタントとして勤務した後、事業会社(ラグジュアリーブランド持株会社)で人事企画担当マネージャーとして人材開発・人事システム・人事企画を兼務。事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして、2016年にフリーランス人事プランナー・コンサルタントとして独立。2018年に法人化。現在、人事全般のプランニング・コンサルティング・実務にたずさわっている。

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