市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2020.02.13

エスノグラフィ

  • 知識

広義に「行動観察調査」を表しますが、主な特徴として「生活者の行動を観察することで、潜在的な生活者心理の考察を得る」ことに適した仮説抽出型の調査種別といえます。
情報を容易に手に入れられるようになった現代において、もはや生活者自身ですら製品・サービスとどのように出会い、どの部分に価値を持ち取捨選択したかという自覚を認識・可視化することが容易ではありません。
生活者の「行動」に注視し生活実態を包括的に理解することにより、製品・サービスそのもののニーズやベネフィットを発見し、ターゲットやユーザーの生活価値観を抽出することができる近年注目度の高い調査種別の一つです。

生活者の行動に寄り添い詳細な視点で観察・分析することで、その生活者自身の潜在的な思考傾向・性質を深く理解することが最大の目的として挙げられます。
そこから得られた情報はモノ寄りではなく、ヒト中心の製品開発に活かす事ができます。

特徴として、質疑応答のラリーを行うだけではなくいずれも「生活者の行動ありき」の調査手法と相性がいいことが挙げられます。

「訪問観察調査」
訪問調査は一般的に一軒一軒対象者の自宅・職場等を直接訪問してアンケートをして回る“定量調査”と、生活者の行動を「視る」「観察する」ことに重きを置く“定性調査”の二種類があります。前者の場合は単に「訪問調査」と呼び、後者の場合は「訪問観察調査」「行動観察調査」、ダイレクトに「エスノグラフィ調査」等の呼び名があります。訪問観察調査では、生活者の無意識行動の背景にあるインサイトの抽出や生活行動における「なぜ」を探ることに優位性があります。

「日記調査(オンライン調査)」
一定期間、生活者に日常行動を文章や画像・動画で記録してもらうことで、リアルタイムはもちろん、時を選ばず過去の事実状況や実態を確認することできる手法が日記調査となります。訪問観察調査と異なり、実態を目で見られない代わりに生活者の生の言葉や投稿時間、イメージが残るため長期的かつ遡った行動観察をすることが可能です。日記調査はモバイルデバイスの普及に伴い、参加モニターや調査元が選ぶ調査手法として需要が増えています。全国のモニターや会場に来場できないモニターを対象にできる点がその理由として挙げられます。

「購買調査(ショップアロング・WEB)」
生活者の買い物に同行し、その時その時の行動について観察し分析できるフィールド型調査となります。通常のインタビューとは異なり、生活者の買い物動線や時間の使い方、目線や手の動きを観察することにより、購買行動により密着した示唆を得ることが可能です。オンライン上での購買行動も多様化する昨今。オンラインショッピングの行動観察については、生活者の手元の動作にフォーカスし生活者のボタン押下や画面スクロールを観察する形式で、ユーザビリティ寄りの購買行動を把握することも可能です。

いずれのマーケティングフェーズに問題を抱えている場合でも様々な形に応用して用いることは可能ではありますが、大半のエスノグラフィ調査は上市に向けた場合の「市場機会の発見」のフェーズで主に活用されます。以下の図で事例と共に紹介します。

【一般的なマーケティングプロセス】

【事例】
<市場機会の発見>
→競合製品ユーザーの行動を観察し、競合製品の利用シーンを確認。競合製品のロイヤリティを把握し自社の新商品開発における潜在ニーズの発見における仮説抽出へ役立てる。
<市場規模の把握・選定>
→仮説立てたターゲット層を数サンプルずつ呼集。日常生活を行動観察調査で把握し、ペルソナ作成へ活かす。

①「訪問観察調査」

調査内容:加熱式タバコユーザー宅へ訪問し、喫煙実態の視認把握を行う。
対象者条件:男性/20-30代/首都圏/婚姻状況・子供状況不問/
自宅で加熱式タバコの喫煙習慣がある/持ち家に居住
サンプル数:n=10

⇒★もっと知りたい訪問調査:
訪問観察調査の場合、前提として「首都圏在住」の生活者を調査対象に充てるようにします。また対象者宅へお邪魔する、非常にセンシティブな調査となります。
当日の訪問者人数も分かり次第、事前に対象者へ告知します。ちなみに対象者宅のキャパシティを考慮し、許容人数は3~4名位といえます。日本人の生活実態を見たいという観点において、訪問観察調査は海外の方からも需要が高いです。
訪問者の中に外国人が含まれる場合も、事前に対象者へ合わせて告知します。写真や動画の撮影有無も事前に許諾を取ります。加えて、調査当日に行うタスクがあれば、こちらも事前に対象者へ告知しておきます。
上記の実例で例えると「当日実際に自宅で喫煙をしてもらう」といったタスクを実際に行います。実際に喫煙をする準備をしてもらう必要があります。
タバコが切れていないようにしてもらう、喫煙状況を撮影されることに了承いただく、など対象者にも準備や心づもりをしてもらう必要があります。

②「日記調査(オンライン調査)」

調査内容:普段スーパーPとQを並行利用している主婦に日々の食卓日記を写真と共に記録してもらう
対象者条件:女性/30-40代/全国/既婚/小学生の子供と同居/週に5日以上家族の夕飯を作る
サンプル数:n=100

⇒★もっと知りたい日記調査:
利用するプラットフォームによりますが、対象者の撮影した画像や動画を投稿させる場合、事前に対象者の利用可能なデバイスおよびインターネット環境などを確認します。また「食卓の撮影」といっても食卓全体なのか、
おかず一品一品の撮影なのか、人にとっての捉え方は多種多様です。アウトプットのバラつきを小さくするために定義付けとなる注釈や見本を掲載するようにします。
モバイルデバイスの普及が進む現代において、他人と対面する必要のない日記調査の需要は年々増加しています。「日記調査」といえど、対象者の日常記録を得るだけではなく近年では、付随して事前にテスト製品を対象者宅へ送付し、
試用状況や生活状況の変容を記録させる形式など、ハイブリッド調査も増加しています。評価+行動観察いずれも得たいといった場合などに有効であるといえます。