市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2020.02.14

イノベーター理論

  • 知識

イノベーター理論とは、アメリカの社会学者エベレット・ロジャース(Everett M. Rogers)が1962年に提唱したもので(著書『Diffusion of Innovations』)、新しい概念・習慣・革新的な新製品や新サービスの市場浸透に関する理論です。革新的な商品が生まれ、世の中に普及していくまでの過程において、顧客を「イノベーター(革新者)」、「アーリーアダプター(初期採用者・初期少数採用者)」、「アーリーマジョリティ(前期追随者、初期多数採用者)」、「レイトマジョリティ(後期追随者、後期多数採用者)」、「ラガード(遅滞者、伝統主義者)」という5つの集団に分類して考える方法で、マーケティング戦略を練る際によく使われます。プロダクト・ライフサイクルと合わせて、市場分析や需要分析にも多く活用されています。

この5つの集団の割合は、下図のような釣鐘型のグラフで表されます。これを商品普及の累積度数分布曲線であるS字カーブと比較したとき、イノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)を合わせた16%のラインがS字カーブの急激な上昇と重なることから、このラインを商品普及のポイントであると捉え、「普及率16%の論理」として提唱しました。

革新的な新商品やサービス、と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?
時代を遡れば、テレビ・冷蔵庫・洗濯機といった家電製品。自動車。現代においてはインターネット・パソコン・スマートフォン・SNS。ロボット掃除機、自動運転技術、仮想通貨とブロックチェーン・・・色々なものがイメージされるかと思います。

  • 革新的な製品やサービスの普及には段階(5つのグループ)があること
  • 5つのグループはそれぞれ態度や価値感が異なるため、その特性を理解すること

これらを踏まえて、最適なマーケティング戦略を練りましょう、ということになります。

市場全体の2.5%を構成します。新しい技術やアイデアを好み、利益やメリットはあまり考えずに積極的に採用する、冒険心あふれるグループとされます。イノベーターが発信する評価・口コミがアーリーアダプター(オピニオンリーダーと呼ばれるような人々)に伝わり普及段階が一歩進むことが期待されますが、イノベーターは、あくまでも「革新性」「目新しさ」「おもしろさ」といったところに価値を見出すグループであるため、その商品やサービスが爆発的に普及すると予測して採用しているわけではない点は押さえておきましょう。

市場全体の13.5%を構成します。好奇心があり、流行にアンテナを張って、自ら情報収集を行うような人々です。他のグループへの影響力が大きいことからオピニオンリーダーとも呼ばれます。割合としては少なく、市場浸透のかなり早い時期で採用するという点ではイノベーターに似ているように思われますが、アーリーアダプターはその商品やサービスが持つメリットやベネフィットも踏まえて比較検討するようなグループであるため、新しもの好きという特性はあるとしても、革新性や目新しさ”だけ”では採用しません。

市場全体の34.0%を構成します。アーリーマジョリティと似た特徴を持ちますが、新しい技術やイノベーションに対しては抵抗を感じる、より慎重なグループです。新しい商品が世の中に普及しつつある状況においても、本当に必要かどうか、便利かどうか、安全かどうかなど、ある程度の確証が得られるまでは、やや懐疑的な姿勢を持って観察している(様子をうかがっている)人々です。採用者が市場の半数を超えた辺りから徐々に採用し始めるグループのため、フォロワーとも呼ばれます。

市場全体の16.0%を構成します。新しい技術や流行に対する関心が薄く、変化を好まない、最も保守的な層です。新しい技術やイノベーションが世の中にしっかりと定着し、伝統化するまでなかなか採用しようとしません(最後まで採用しない場合もあります)。そのため、伝統主義者とも訳されます。

イノベーター理論は、アメリカで50年以上も昔に提唱されたものであり、現代の日本社会や技術革新のスピード、消費者のライフスタイル・価値観の変化なども考えると、どの商材・ポジショニングにおいても必ずこの5つの分類と割合が一致するとは限らないかも知れません。ですが、イノベーター理論のモデルを理解することで、新しい商品・サービスが市場に受け入れられるプロセスをある程度予測して、段階や顧客の特性に合わせたマーケティングプランを立案する際の手助けとなります。

  • プロダクト・ライフサイクル」