市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2020.03.06

KJ法

  • 知識

KJ法(ケージェイほう)は、1960年代に文化人類学者の川喜田二郎氏(東京工業大学名誉教授)により開発された広く普及しているデータ収集法、整理法です。※KJとは川喜田二郎氏のイニシャルから名付けられています。
当初は様々なフィールドで収集されたデータを構造的に情報整理する目的で構想され、その後アイデアや発想を引き出す用途において、幅広いフィールドで用いられるようになりました。マーケティングリサーチの現場においては、主に情報整理法、発想法としてさまざまな実用アプローチをされていますが、企業研修や学校教育、ワークショップなど多様な場においても用いられています。

収集された複数の情報整理法・収束帰納法として、KJ法はマーケティングリサーチの世界でも早くから活用されています。定性調査・定量調査の活用事例をそれぞれ紹介します。

●定量調査

主に、収集された断片的で整理されていない自由回答の整理や回答の構造理解と全体傾向の把握に利用します。
自由回答をコード化する際に回答の傾向や構造をKJ法で整理し、回答の分類に使い理解を深めます。その整理を基に、アフターコーディング用のコード表に落とし込む「選択肢」を検討することが可能です。
デジタル、IT化によって、自由回答の処理は効率、高速、高度化しています。昨今はテキストマイニングによって自由回答を構造的に分析することが可能になりましたが、アナログなKJ法での情報整理法は、未だ市場調査業界では現役手法として利用されています。自由回答をKJ法で整理して構造化した成果物は視覚的に理解しやすく、調査報告書のアウトプットとして活用できることなどもメリットとして挙げられます。

●定性調査-グループインタビュー事例

グループインタビューで対象者から発話されたある事柄の印象/イメージ、理由等について、ひとつひとつの発話ワード、想起ワードを収集し、その場でモデレーターがファシリテートすることで、対象者と共に構造を整理することが可能です。
グループインタビューの対象者から、あるテーマ(企業イメージ、商品イメージ、不満・困っている事等)に関して、自由に想起された考え(意見、気持ち、アイデア)を1枚ずつ付箋紙などに記入します。それらを一つ一つ確認して意味の近い回答をまとめていき、グループ化します。似た者同士の言葉をまとめて小分類を作り、小分類で近い意味を持ちそうなグループを中分類、更には大きくポジティブ、ネガティブといった大分類と整理していきます。丁寧に回答を分類すると自然と小分類から中分類、大分類が整理され情報を俯瞰することができ、構造化された情報を視覚的に理解できます。整理された情報は、イメージの構造理解、課題解決や改善点のヒント探しの参考として活用することができます。

Step1: 付箋紙に記入(情報収集)
テーマに関する情報を、1枚につき1つ付箋紙などへ記入する。

Step2: グループ化
回答者が付箋紙の内容を説明しながら模造紙やホワイトボードに貼っていきます。その後類似する回答の付箋紙をカテゴライズし、各グループの概要が端的に理解できるようなグループ名称をつけます。
付箋紙の各グループは小グループ同士をまとめ上げていき、最終的に大分した大グループを構成し調査結果の分析に活かします。
※参考:KJ法一例

歴史ある調査手法ではありつつ現役で活躍するKJ法は、グループで自由なアイデア出しを行うブレインストーミングとも、古くから密接な関係にあります。分析システムが発達した現代においても、手軽にできるアイデアの収束帰納法として、今後もマーケティングリサーチ分野では活用が求められます。独自の考えに固執せず、その場の意見を円滑にまとめる手段として上手に活用していきましょう。