公開日:2019.12.05

カスタマージャーニーとは

  • マーケティングリサーチ用語解説集

商品やサービスの認知から購入に至るまでのプロセスのことを言います。
顧客が商品を認知し、商品について学び、比較検討し、購入、評価するといった行動の流れを旅にたとえて「カスタマージャーニー(顧客の旅)」といい、その顧客の購買行動を時系列に並べ、ポイントごとにタッチポイント、顧客の感情・思考、起きうるであろう課題を洗い出すフレームワークです。
それをマップとして「視える化」したものが「カスタマージャーニーマップ」です。

 

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ペルソナでは、年齢・性別といった基本的な属性から、居住地や日々の生活習慣や好きな雑誌など付随する様々な情報で1人の架空の人物をつくりあげ、具体的なターゲット像イメージを共有します。
しかし、ペルソナだけでは、時系列に異なる行動に対するアプローチまで想像は及んでいません。よって、時系列で、ターゲットの行動を明確化し、ターゲットの「行動」を社内の共通認識とすることが必要です。
行動によってマーケティングのアプローチが変わる為、ペルソナを作ったら「カスタマージャーニー」を作る必要があるのです。

■徹底して顧客視点に立つ
カスタマージャーニーは、都合の良いように顧客像を作り上げて施策を決めていきがちな売り手側や開発側の目線を、顧客視点にシフトさせる助けとなります。カスタマージャーニー分析は、顧客を一人の人間として、その生活や思考を洗い出すところからスタートします。

■顧客の体験を理解して、最適な施策に落とし込む
カスタマージャーニーマップは、サービスの開発や集客・販促、ブランディングなどのツールとして利用されます。
マーケティングの世界では、顧客に対して最適なタイミングで最高の体験をしてもらうことで商品やサービスの価値を高める「顧客体験価値(カスタマーエクスペリエンス)」の重要性が注目されています。
「買わせる」のではなく、顧客に選んでもらうこと、商品に満足してもらうことが次の購買行動につながるという考え方です。カスタマージャーニー分析を行うことで、顧客の体験に寄り添った最適な施策を立て、顧客の支持を得ること目指します。

■チームで顧客像や施策を共有する
顧客の体験や感情を整理し、カスタマージャーニーマップとして「見える化」することで、チーム内、あるいは部署を超えて顧客像を共有できます。製品やサービスに関わる担当者間で認識を共有することで、顧客視点に基づいた施策が出やすくなります。
また施策の実施にあたっても「何のためにやっているのか」を担当者全員が共有しやすくなり、理解が深まることで、より顧客体験価値に即したサービスを提供することができます。

■複雑化する購買行動に対応
インターネットやPC・スマートフォンの普及により、顧客の行動範囲と情報選択肢は増大しました。それに伴い購買行動は複雑化し、現在ではカスタマー1人1人にフォーカスしたOne to Oneマーケティングの概念が重要視されています。カスタマージャーニーを把握しマップを作成することで、顧客の行動を予測し理想的な「One to Oneマーケティング」を展開することが可能になります。

■全体的な認識の共有
ペルソナ同様にカスタマージャーニーの認識はチーム内に「ズレ」があります。部署を横断して事業を展開する場合は、特にこの傾向は強くなるでしょう。チーム内の人間全てが適切なアプローチとタイミングを共有していなければ、機会損失などを増やしてしまいます。カスタマージャーニーはチーム全体に認識の共有を生み、個々人の連携を強化することが出来ます。

■カスタマー目線でサービスを提供
「One to Oneマーケティング」を実現するためにはカスタマージャーニーの把握ともう一つ、顧客の目線に立ってサービスを提供する必要があります。
これもカスタマージャーニーマップを作成することで「このステージにいる顧客が望んでいるものとは何か?」という視点から考えることが出来るため、ベストなタイミングでベストなサービスを提供することが可能です。

つまりは、誰(=ペルソナ)にいつ(どのタイミングで)・どこで/何で(=カスタマージャーニー)売ればよいのか、どのような顧客体験を提供するのかをまとめること、がカスタマージャーニーマップとなります

  • 「1人を振り向かせれば、100万人に届く」=「1人の理解がカギ」
  • ペルソナを作成した後に、行動、心理を読み解く
  • ペルソナだけでは行動、心理が読めないため、顧客接点をベースにしたアプローチの施策改善につながらない
  • 行動と心理を把握することで、「どのタイミングでどのように」サービス・モノを展開すればよいのかが分かる
  • 顧客が「欲しい」と思うタイミングでアプローチができる
  • チーム間で共通認識を持って施策を立てられる

<作成手順>

✓対象の商品やサービスを決める
✓ペルソナ設定をする
✓ペルソナを想定したカスタマージャーニーマップを作成する

 

・顧客行動プロセスと顧客接点を洗い出し

<主な洗い出し方法と内容>
・社内ワークショップ
・デプスインタビューもしくはグループインタビュー
・WEB調査 など

 

・顧客行動プロセスをフェーズ分けする(大分類)

例:
認知⇒興味・関心⇒検討⇒購入
購入前⇒購入時⇒所有中⇒再購入

 

・顧客プロセスの大分類を更に細分化する(中分類)

 

・大分類、中分類したプロセス毎の具体的な顧客行動を洗い出す

例:

  • SNSに登録する、検索する、カタログ請求する、車種を比較する、試乗予約する・・・
  • 各プロセスや顧客行動に対応する自社/社外発信のタッチポイント(媒体、施策)を書き出す
  • 顧客行動に伴うエモーショナルな感情変化
  • 各プロセスやタッチポイントの提供体験や価値
  • 各プロセスやタッチポイントで提供可能体験や価値
  • 各プロセスやタッチポイントで発生しそうなリスク
  • 整理したカスタマージャーニーマップをビジュアル化する


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執筆者
執筆者画像
片岡 裕介
株式会社アスマーク リサーチソリューショングループ
1990年に流通系市場調査会社でリサーチキャリアをスタート。外資系調査会社を経由して2018年にアスマークに入社。定性リサーチャーとして年間200PJの企画設計に関わる。仕事の基本スタンスは”リサーチ愛”。座右の銘は”継続は力なり”。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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ペルソナとは

ペルソナとは

一人の顧客が全ての理想的な条件を満たすことは無いため、既存顧客の情報やインタビュー、調査データなどの実在する情報から、架空の理想の顧客「像」を描きます。これがペルソナです。
現実にはいない崇高な理想の人物像でなく、リアリティを持って、社内関連部署、スタッフが受け入れられるペルソナであることはとても大切です。

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デプスインタビューの概要とメリット・デメリット

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デプスインタビューとは、対象者とインタビュアーによる1対1の面談式で実施する調査方法です。パーソナル・インタビューとも言います 商品やサービス等の選択・購買理由などをより深く掘り下げて探ることができます。 特に、ペルソナ、ラダリング、ジャーニーマップ作成を目的とする場合はデプスインタビューが適しています。

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