公開日:2019.12.05

ポジショニングマップとは

  • データ集計・分析・活用

プロダクト・サービスの価値やオリジナリティを極める時、大切なポイントの一つとして「競合他社との差別化」が挙げられます。ポジショニングマップの作成は、このような競合との相関性把握の場面で非常に役立ちます。
ポジショニングマップとは、ある限定した市場を取り上げ、縦と横の軸で四分割し、自社や他社のプロダクト・サービスがどこの象限に近く、どこの市場に価値を見出せるのかを可視化した図となります。各々が考えるアイデアの微差までをアウトプットする作業を経て、競合と比べたマーケットをビジュアライゼーションすることができ、共通のイメージを持つことができる点がメリットといえます。本当に競合は今想定しているブランドで間違いないか、見誤っていないか。市場のホワイトスペースはどこなのか。これらを確認し仮説立てをするためには非常に有効です。

 
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ポジショニングマップは消費者の声でヒントを得ることから始まります。消費者の声を聞くために実施する調査は定量・定性いずれの種別でも問題ありません。
下記はあるグループインタビューにおいて一般の参加者が行ったグループワークの様子です。

グループワークの様子

同じ食品カテゴリの中で、競合製品をグルーピング・カテゴライズし(KJ法)、そこに法則にとらわれずに出てきた様々な気付き・意見を付箋紙で書き添えています(ブレインストーミング)。
グループインタビューの場で行うことにより、グループダイナミクスが生まれ個人では気付かなかった製品の良さや悪さ、イメージや価値を理解することができます。こうしてブラッシュアップを繰り返して出来上がったグループワークの成果物を見て、自社が考える競合の市場位置やバリューを顧客目線で理解し、ポジショニングマップの軸となる仮説を得ます。

 

ポジショニングマップに成功や失敗はありませんが、より精度の高いマップを作るためには軸の取り方(決め方)が一番大事といえます。そして「軸」の選定に役立つのが前述の通りリサーチデータとなります。
定量調査の場合、コレスポンデンス分析などを活用し軸の選定を行います。従ってメリットとして挙げられるのは「数値的な信頼」が得られることです。縦ないしは横軸に対しておおよそ自社がどの位置に属するのか、定量データを用いれば実態により近いスペースへマッピングすることができます。
(例:価格が高い⇔価格が安い、容量が多い⇔容量が少ない、店舗が多い⇔店舗が少ない 等)

ポジショニングマップの作り方-軸の選定

一方、定性調査で得た軸は「数値化できない感覚部分」を表現できる点に強みがあります。グループインタビューやデプスインタビューを経て、競合市場における顧客の感覚基準における判断指標を掴み、より顧客視点に近いマッピング軸を定めることが重要です。
(例:地味⇔派手、かわいい⇔かっこいい、ヘルシー⇔ジャンキー 等)

ポジショニングマップの作り方-軸の選定

とはいえ、ポジショニングマップは数値化・グラフ化できない競合市場と自社の相関を表現するためのものであるため、せっかく作成するのであれば軸が定性的な選定に寄ることも問題はありません。課題に応じて慎重に軸の選定をすることが大切です。

 

軸が決まったら早速作成をします。前提として、ある程度の競合製品・サービスは事前に把握できているはずなので、最初は競合をマッピングすることが多いです。これにより市場を可視化することができます。その後リサーチ結果を視てから競合がいないスペースを探り自社が位置付けるべきスペースを考察します。競合がいないスペースを見つけるだけと考えれば多少簡単に見えますが、この時あくまで「顧客視点で考えること」・「製品のベネフィットを活かすこと」は忘れずに、念頭として考えることが非常に大切です。そのため、予め軸の選定を製品の価値寄りに設けることも多いです。

ポジショニングマップの作り方-競合と自社の配置

ポジショニングマップは定性・定量いずれのリサーチ結果からもヒントを得て作成することが可能です。ポジショニングマップを作成することにより、数値では表せられない感性やセンスにおけるマーケット構造を可視化でき、市場の現状を視覚的に整理できます。ホワイトスペースが必ずしもブルーオーシャンであるとは限りませんが、製品のベネフィットを活かしたマップであれば自社が勝ち残れる市場価値を発見し、ブランドや製品のロイヤリティを高め確立することにも繋がるでしょう。

 

モノやコト、手段や媒体が目まぐるしいスピードで多様化していく現代において、数値で実態を把握しプロダクトやサービスを開発することはマーケティングの世界では当然必要とされます。その上でポジショニングマップを有効活用し、作成者はあくまで顧客視点であることを念頭に置いて、感性を活かした仮説構築から始めてみるのはいかがでしょうか。

 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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