アンケート調査の方法と種類について

ひとことでアンケート調査といっても、様々な種類に分類されます。 まず最初に分かれるのが、オンライン上で実施するアンケートなのか、それとも、Webを使わずオフラインで実施するアンケートなのかです。 オンライン上で実施するアンケート調査はネットリサーチ(Webアンケート調査)と呼ばれ、ネット社会である現在、最も代表的な調査手法となっています。 一方、Webを使わないオフラインアンケートは、紙アンケートで回答してもらい、回答済み用紙を回収する形が一般的です。 紙アンケートを調査対象者へ郵送し回答済み用紙を返送してもらう郵送調査、指定の会場に集まってもらい試飲や試食等の評価を紙アンケートにて行なう会場調査などが代表的なオフラインアンケートだといえます。ただし、QRコードなどから回答をWebに促す場合は、ネットリサーチの側面も含むことになります。

また、一般的にネットリサーチという言葉は調査の手法のことを指し、5W1Hでは「What(何をやるのか)」の部分にあたります。 一方、よく知られる顧客満足度調査(CS調査)や従業員満足度調査(ES調査)などは、「Why(なぜ、何のために)」にあたり、調査の種類という位置づけとなります。

調査会社がサービスとして用意しているものは、手法・種類を混在してメニュー化している場合が多いです。アンケート調査全般にいえることですが、調査票(設問文と選択肢)の出来により、本質をどれだけ捉えたデータになるのか、また、回答者へ与える印象や心理的負担が大きく異なります。

アンケート調査は調査票が全てですので、データの質を担保したい場合は、プロのリサーチャーを擁する調査会社に調査票の作成から相談することをおすすめします。

手法としてのアンケート調査

ネットリサーチ(Webアンケート)

ネットリサーチ(Webアンケート)

Web上にアンケート画面を用意し、回答者をWebに誘導しアンケートに回答させる調査のことを指します。Web上にアンケート画面を作成したり、足りない回答者を集めたりすることができます。
汎用性が高く、Web画面のQRコードがあれば誰でも回答できるため、小売り点・飲食店等のPOP/販促物/チラシ/レシート等にアンケート画面のQRコードを印字し、来店客や買上客からアンケートを集めることも可能です。(来店客調査)
同様に、URLをメールで送ることで、メーリングリストからの回答を集めることができるため、顧客満足度調査(CS調査)や従業員満足度調査(ES調査)の場合にも用いられます。

メリットは、多くの人々に対して素早く調査を行えること、オフラインでのアンケートに比べ格安で調査を行えることがあげられます。
デメリットとしては、高齢者のモニターを集めにくいことや軽い気持ちでの回答やいたずらな回答もあり得るということがあげられます。

ホームユーステスト(HUT)

ホームユーステスト(HUT)

製品を調査対象者の自宅に発送し、普段の生活のなかで一定期間試用してもらい評価を取る調査手法です。 回答はWebで行なうことが多いですが、紙で行なうこともあります。同居する家族員にも評価を取れますので、生活のなかで使用する製品の場合に向いています。

メリットは、実際の生活環境で利用してもらったうえで消費者のリアルな意見や感想を聞くことができる点です。
デメリットとしては、「商品をモニターに送付する」という工程から通常のアンケート調査よりもコストがかかること、機密情報(未公表の製品情報など)が漏れてしまわないよう注意が必要であることがあげられます。

会場調査(CLT)

会場調査(CLT)

指定の会場に調査対象者に来てもらい、現物を見る・触る・食べる・飲む・試す等で評価を取る調査手法です。 その場で回答漏れや気になる回答をチェックし簡易的な質問を回答者に投げかけることができるため、紙で行なうことが多いです。

メリットは、同一環境で一斉に調査を行うため製品のについて純粋な評価をとることができること、機密情報漏洩のリスクが低いことがあげられます。
デメリットとしては、地方在住の方や、子育て・介護中などで外出がしにくい方など対象者によってはりクルーティングが難しいこと、モニターの交通費や拘束時間などがかかるため他の調査に比べて高くついてしまうことがあげられます。

郵送調査

郵送調査

紙アンケートを郵送し、回答済み用紙を返送してもらうアンケート調査です。 アンケートの回答が欲しい企業や施設の住所を一覧化し、郵送にて回答を募ることができます。 多くの調査手法の場合、アンケートの回答者は調査会社が保有するモニターと呼ばれるアンケート会員から集めることが多いのですが、「対個人」ではなく「対企業・施設」からの回答を集めたいときに適しています。

メリットは世代にかかわらずリクルーティングできること、企業施設へのアンケートにも対応できることです。
反対にデメリットは、若者世代の回答率が低いことやアンケートの配送・回収に一定以上の時間かかかってしまうことがあげられます。

ミステリーショッパー(覆面調査)

来店客・買上客に扮した調査員を店舗に派遣し、接客レベルや店舗のクリンリネス、販促が行き届いているかどうか等をアンケート評価する手法です。

メリットは、実際の店舗環境においてリアルな評価を得られることです。
デメリットとしては、リクルーティングの面から比較的コストがかかるアンケート調査ということがあげられます。

訪問留置調査

ターゲットとする居住地域を調査員が一軒一軒訪問し、アンケートの回答を集める調査手法です。郵送調査同様、モニターから回答者を集められないようなピンポイントなエリアをターゲットとする場合に用いられます。エスノグラフィ調査の意味合いを持つホームビジット(訪問観察調査)はインタビューや観察がメインなので、訪問留置調査とは異なります。

メリットとしては、対面での調査のため回答の信ぴょう性が高いこと、アンケートモニターに登録していない層にもアプローチできることがあげられます。
デメリットとしては、労力が必要となる手法のためコストが高くなってしまうことや多くのサンプルを必要とする調査には向いていないことがあげられます。

街頭調査

繁華街等でアンケートに参加してもらう方をストリートキャッチし、回答を集める調査手法です。テレビ番組等でよく用いられますが、「そのエリアにいる」ということ以外対象者に統一性がないため、対象者条件を絞る必要がある調査内容の際には向いていません。類似調査として、スーパー等の出口で買上客にアンケート協力をお願いする出口調査があります。

メリットとしては、対面調査のため信頼できる回答を回収できること、狭い地域やその土地に関する調査を行う場合に有効な対象者にアプローチできることがあげられます。
デメリットとしては、アンケート結果に調査員のスキルによって左右する場合があることがあげられます。

種類としてのアンケート調査

  • 顧客満足度調査(CS調査)
  • 従業員満足度調査(ES調査)
  • 使用実態把握調査
  • ライフスタイル/価値観探索調査
  • ブランド認知/イメージ調査
  • セグメンテーション調査
  • ライフスタイル探索調査
  • コンセプトスクリーニング
  • コンセプト受容性調査
  • ネーミング評価
  • 試食品試用/試食評価
  • パッケージデザイン評価
  • シェルフテスト
  • 価格受容性調査
  • 広告の効果測定

上記は調査の目的に合わせて調査手法を選択するため、同じ種類の調査でもアンケート調査ではなくインタビュー調査を用いたり、両者ともに実施する場合もあります。