公開日:2026.08.13
【産学連携】西南学院大学×アスマーク、1万人規模の調査データを活用した企業データ分析プロジェクトの分析報告会をレポート
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【産学連携】西南学院大学×アスマーク、
1万人規模の調査データを活用した企業データ分析プロジェクトの分析報告会をレポート
株式会社アスマークは、西南学院大学 田原ゼミの学生(3年生)を対象に、実際の企業調査データを無償提供することで、実践的なデータ分析を通じたPBL(Project-Based Learning)教育を支援してまいりました。
7月16日の分析報告会をもって完了した本プロジェクトの社会的価値は、実データに基づく人事・組織課題の探求と、学生の実学的な分析スキルの向上にあります。
学生は提供データを活用し、「職務満足と愛着を高める要因」や「ワーク・エンゲイジメントを高める職場風土」、「キャリア成果を高める要因」といった組織人事の課題を分析しました。
具体的には、職場環境や職務志向性に着目し、それらが職務満足感や個人年収、転職回数等に与える関連性を統計分析から客観的に導き出し、実務的な示唆を提示しました。
当社は今後とも、実証データの提供を通じてこうした教育現場への支援を継続し、データに基づいた客観的な人事管理の普及と、実学に寄与する産学連携の発展に貢献してまいります。
【関連リンク】西南学院大学 人間科学部 心理学科 心理学科カレンダー:https://www.seinan-gu.ac.jp/psycho/news-detail.php?id=164
分析報告会概要
実施概要
日程 :2026年7月16日(木)
場所 :西南学院大学
発表者:西南学院大学 人間科学部 心理学科 田原ゼミ(3年生)
協力 :株式会社アスマーク
プログラム構成
● 田原ゼミの概要
● 分析発表①:冬生まれグループ「職務満足と愛着を高める要因は何か」
● 分析発表②:ハットトリックグループ「ワーク・エンゲイジメントを高める職場風土は何か」
● 分析発表③:なんでやねん☆グループ「キャリア成果を高める要因は何か」
● 質疑応答・フィードバック


学生発表内容の概要
- なんでやねん☆グループ(職務志向性とキャリア成果の関係性分析チーム)
このチームは、個人の職務に対する向き合い方(職務志向性)が、個人年収や転職回数といったキャリアの成果にどのような影響を及ぼすのかを分析しました。 - 仮説の起点
仕事に対して意欲的な姿勢を持つことが年収の増加に繋がる一方で、仕事に消極的な姿勢(非積極性)を持つ人材は、年収が一定レベルで頭打ちになり、結果として転職回数も多くなるのではないかという仮説を起点としています。 - 主に使った分析職務志向性の傾向を「意欲志向」と「非積極性」の2つに分類するための因子分析。
年齢や勤続年数などの属性をコントロールした上で、各因子が年収や転職回数に与える影響を測る階層的重回帰分析。
年収の「頭打ち(曲線的な関係)」を検証するための多項式回帰分析。 - 主な提言
分析の結果、「仕事に意欲的な人ほど年収が高く、消極的な人ほど年収が低く転職回数が多い」という直線的な傾向が実証データから確認されました。このことから、企業の人事・マネジメントにおいては、従業員の「職務への意欲」を引き出す施策だけでなく、「非積極的な態度」を示す層を客観的データから早期に検知し、適切なフォローを行うことが、不要な離職の防止において極めて重要であると言えます。また、学生たちは多重共線性などの統計的課題にも真摯に向き合い、変数の設定や分析手法に関する今後の展望も考察し、データリテラシーを深めました。
- チームハットトリック(ワーク・エンゲイジメントと職場風土の分析チーム)
このチームは、社員の「ワーク・エンゲイジメント(仕事への活力・熱意・没頭)」や「プロアクティブな職務態度(主体的な行動や問題意識)」を高めるために、どのような職場風土や施策が影響を与えているのかを分析しました。 - 仮説の起点
「良好なマネジメントや職場風土(上司への信頼・円滑な人間関係)」が醸成され、「不適切な対人関係(ハラスメント等)」が少ない職場ほど、社員のエンゲイジメントや主体的な職務態度が高まるのではないか、という仮説を起点としています。 - 主に使った分析
職場環境の構成要素を「良好なマネジメント・風土」と「不適切な対人関係」に分類する因子分析。
福利厚生施策、役職、職場風土などの複合要因が「ワーク・エンゲイジメント」や「プロアクティブな職務態度」に与える影響を特定する階層的重回帰分析。
職場風土と対人関係が相互に与える影響を検証する交互作用効果の分析。 - 主な提言
分析の結果、根底にある「上司への信頼やチームワークといった良好な職場風土」が極めて重要であることが統計的に実証されました。また、不適切な対人関係(ハラスメント等)のリスクやストレス環境下における心理状態(レジリエンスや過剰適応)についても深く考察されています。
このことから、企業の人事施策においては、形だけの制度拡充に留まらず、組織内の人間関係や風土を定量データ(ES調査等)で捉え、適切なエンゲージメント向上策を打つことの重要性が示唆されました。
- 冬生まれグループ(職務満足と愛着を高める要因の分析チーム)
このチームは、社員の「職務満足感(働き続けたい意向)」と「自社への愛着(貢献実感や推奨意向)」に対して、職場環境や人事制度、仕事の充実度がどのように影響を与えるのかを分析しました。 - 仮説の起点
快適なオフィス環境や福利厚生などの「職場環境」、給与や研修などの「人事制度」といった会社側の施策が充実しているほど、社員の職務満足感や会社への愛着が高まるのではないか、という仮説を起点としています。 - 主に使った分析
仕事の充実度に関する項目を「職場の成長志向」「職務自己効力感(仕事への手応え)」「自己像所有感(自社での未来像)」に分類する因子分析。
性別や年収の影響をコントロールした上で、各要因が「自社への愛着」や「職務満足感」にどれほど寄与しているかを解明する階層的重回帰分析。 - 主な提言
分析の結果、設備や制度といった「職場・環境要因」よりも、「自分が組織に貢献できている感(自己効力感)」や「この会社で働く将来像が描けること(自己像所有感)」といった個人の内面的な要因のほうが、愛着や職務満足感により強く影響することが統計的に実証されました。このことから、企業の人事施策においては、単に福利厚生や設備を整える(土台作り)だけでなく、個々の適性に合わせた業務アサインや振り返り(レトロスペクティブ)を通じて社員の「自己効力感」を高める取り組みが不可欠であると結論付けられました。
参加した学生の振り返り(一部抜粋)
| Q | 発表に向けて、チーム内で特に重視して話し合った点を教えてください。 |
| A | 仮説を立てるという点です。 そもそも、どんな要因と関係しそうか、それに影響を与える要因はあるか、など事前に関係ありそうな要因を探し、その関係性を仮説として決定する部分について、特にみんなと話し合い決定しました。 |
| Q | 分析や発表の過程で、あなたが意識して工夫した点を教えてください。 |
| A | 視覚的にわかりやすく資料を作ろうと意識しました。 stepごとに段落を変えるとか、説明変数と目的変数は色を変えるとか、です。 |
| Q | 分析や発表の過程で、あなたが悩んだ点や難しかった点があれば教えてください。 |
| A | 分析結果の解釈を考えるのが難しかったです。授業で分析を学んだ直後だったため、有意な関連が見れるということはわかった、それで何?ということや、この数値って結局何を表してるんだっけ、、、となることがしばしばありました。なんとか授業資料や参考書を読み解釈できてよかったです。 |
| Q | 分析や発表を通して、あなたが学んだ点を教えてください。 |
| A | 想像できないほど大きなサンプルサイズ、そして多岐にわたる質問項目を分析したことはなかったので、分析にあたって必要な視点を養えたと感じます。特に、私たちは知りたいことから質問項目を作っていくので、今回のようにすでにあるデータから関連を調べることはなかな珍しいです。非常に貴重で、重要な経験ができたと思います。 |
| Q | 今回の取り組み全体を通して、印象に残った点があれば教えてください。 |
| A | 企業と大学が連携するとこんなにも面白い授業ができるのか、と驚きました。1つの授業や大学でやれることにはどうしても限りがあるので、今回のように企業様と協力して行う課題は企業様にとっても新しい視点を得る可能性がありますし、学生にとっても学内ではできない規模のことができ、かつ専門とする方々からのFBを得れるので非常に有意義だと感じました。また機会があればこのようなゼミを行いたいと感じました。 |
分析報告会を終えて ~田原 直美 先生(人間科学部 教授)へのインタビュー~
分析報告会の後、人間科学部 田原 直美 先生にインタビューさせていただきました。
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田原 直美 先生 西南学院大学 人間科学部 教授 経歴
研究分野 受賞歴 書籍等出版物
|
| Q | 先生が現在取り組まれているテーマや重点分野を、簡単にご紹介ください。 |
| A | 専門は社会心理学、産業・組織心理学です。現在は、職場におけるコミュニケーション、チームのあり方、心理的安全性、葛藤、ワーク・エンゲイジメントなどをテーマに研究しています。また、企業や組織での研修などの機会を通して、組織の中で人がどのように協働し、よりよいチーム活動につながるのかという点にも関心を持って取り組んでいます。 |
| Q | 今回の講義は、学生にとってどのような意義があるとお考えでしょうか。学生が得られる学びや期待される効果についてお伺いします。 |
| A | 今回の取り組みでは、学生が実際の企業データをもとに、自分たちで分析の切り口を考え、仮説を立て、結果を解釈する経験を得ることができました。授業で学んだ調査法や統計分析の知識を、実践的なデータに適用することで、心理学の学びが社会や企業活動とどのようにつながるのかを具体的に考える機会になったと思います。 |
| Q | 特に印象に残ったことや、企画の進め方など、率直なご感想をお聞かせください。 |
| A | 学生たちが、データの内容を丁寧に確認しながら、自分たちなりに問いを立て、分析を深めていったことが印象に残っています。一般的な通説や当初の予想とは異なる結果が得られた場合にも、その結果をどのように解釈できるのか、またデータ収集や変数設定においてどのような工夫や注意が必要なのかを考える機会となりました。最終報告では、学生たちが自分たちの力で分析を深め、完成度の高い報告へと仕上げていたことが印象的でした。 |
| Q | 今後の研究や教育現場において、当社のような調査会社がどのように貢献できるとお考えでしょうか。 |
| A | 大学では調査方法や統計分析の基礎を学びますが、実際の企業データに触れ、実務的な観点から助言をいただく機会は非常に貴重です。調査会社の皆さまには、質の高いデータの提供だけでなく、調査設計、データの見方、結果の報告の仕方、実務上の解釈の留意点などについて、学生が実践的に学ぶ機会を引き続きご提供いただけると大変ありがたく思います。 |
田原先生、ご協力いただきありがとうございます。
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産学連携の取組み
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