公開日:2025.06.10

訪日外国人に対する調査~アプローチ3選~

  • マーケティングリサーチHowto

はじめに

近年、インバウンド需要の回復に伴い、日本を訪れる外国人旅行者の数が再び増加しています。
また、観光やビジネス、親族訪問など訪問目的の多様化により、彼らの行動やニーズを正確に把握することの重要性が一層高まっています。
とくに、訪日中のリアルタイムな体験や評価を把握することは、商品開発やサービス改善、観光施策の見直しに直結する貴重なインサイトとして注目されています。

本記事では、訪日外国人を対象とした調査手法の中でも、特に実務で活用されることの多い3つのアプローチを取り上げ、それぞれの特徴や活用シーンを紹介します。
 

昨今の訪日観光客の近況・傾向

コロナ禍を経て、訪日外国人観光客の数は回復傾向にあり、旅行形態は団体旅行から個人旅行へと移行し、SNSや動画などを活用した情報収集も一般的になりました。
また、消費行動にも変化が見られ、施設やエリアごとの「体験価値」を重視する傾向が強まっています。
さらに、欧米豪に加えてアジア諸国からの観光客も増加しており、訪問目的や行動パターンはより多様化しています。こうした変化を的確に捉えるには、タイムリーかつ現地密着型の調査が不可欠です。
 

調査の必要性

訪日外国人の行動やニーズを把握することは、観光施設や自治体、メーカー、小売企業などにとって極めて重要です。
たとえば、集客戦略の最適化や商品の改良、多言語サービスの導入、地域ごとの観光政策の立案など、さまざまな分野で調査結果が活用されます。
特に、今まさに日本に滞在している訪日外国人からの声は、記憶の鮮度が高く、体験と評価が直結しているため、実務において非常に価値の高いデータとなります。
 

調査アプローチ3選の紹介

外国人を対象とした調査と一口に言っても、その方法は一様ではありません。旅行中の短期滞在者から、日本での生活を送る長期滞在者まで、対象者の状況や調査のタイミングによって、得られる情報やアプローチは大きく異なります。ここでは、代表的な3つの調査アプローチをご紹介します。

調査アプローチ①:インバウンド観光客の外国人に対する調査
日本滞在中の外国人旅行者を対象に、現地でインタビューや出口調査を行う方法です。
旅の途中または直後というリアルタイムな状況で反応を得られるため、体験の記憶が鮮明で具体的な意見を収集しやすいのが特徴です。
一方で、調査時間の制約や多言語対応、施設側の協力確保など、実施には一定の運用力が求められます。

調査アプローチ②:訪日経験のある海外在住の外国人に対する調査
すでに訪日経験がある外国人(現在は海外在住)を対象に、Webアンケートなどを通じて調査を行う手法です。
旅行の意思決定プロセスや満足度、再訪意向といった情報を定量的に把握するのに適しています。
ただし、回答者によって訪問時期に差があり、記憶の鮮度にもバラつきがあるため、調査設計時には訪問時期の把握が重要になります。

調査アプローチ③:在日外国人に対する調査
日本に中長期的に居住している外国人を対象とする調査です。
グループインタビューやオンライン調査を通じて、生活の中での継続的な接点や使用実態を深く探ることができます。
商品やサービスの改善点を生活者の視点から捉えるのに有効です。
ただし、国籍や文化、ライフスタイルが多様なため、対象者の定義や属性設計を丁寧に行うことが成功のカギになります。

関連資料

 
 

インバウンド観光客の外国人に対する調査

近年、インバウンド需要の回復に伴い、訪日外国人旅行者の行動やニーズを正確に把握することの重要性が一層高まっています。なかでも、観光地や商業施設で「現在滞在中」の外国人旅行者の声を直接拾い上げる調査は、リアルでタイムリーなインサイトを得る手段として注目されています。

本章では、「一時的に日本を訪れている外国人旅行者」を対象とした調査の定義と特性を踏まえ観光施設で実施された出口調査の具体事例を紹介します。あわせて、調査実施におけるメリット・デメリットや、成功に向けた実務上のポイントについても解説しますので、訪日外国人の“いま”を的確に捉える調査を設計・実施するうえでの参考として、ぜひご活用ください。
 

調査対象の定義

「インバウンド観光客の外国人」とは、日本国内に一時的に滞在している海外在住者を指します。
観光・ビジネス・親族訪問などを目的に来日し、一定期間内に帰国することが前提です。
なお、日本に居住している外国人や、過去に来日経験のある人はこの定義には含まれません。
 

調査対象の特徴

調査の対象は、現在日本を旅行中の外国人です。そのため、観光や買い物の合間、または直後に接触する必要があります。
事前に連絡先を取得してアポイントを取る手法は現実的ではなく、「出口調査」や「ストリートキャッチ」など、現地で即時に実施できる手法が基本となります。
 

調査事例:観光施設に関する出口調査
  • 調査目的
    本調査では、日本の観光施設を訪れる訪日外国人旅行者の実態を把握することを目的としました。
    利用状況や満足度、施設選定理由、旅行中の行動特性などを明らかにすることで、集客戦略や施設運営、インバウンド対応の質的向上を図ります。
    また、国や地域ごとの嗜好の違いも分析し、ターゲット別のマーケティング施策の最適化に活用します。
  • 調査課題
    訪問者は限られた時間の中で施設を利用しているため、調査時間が短くなる傾向にあります。
    さらに、多国籍・多言語への対応が必要であり、調査員の語学力や対応ツールの整備が不可欠です。
    また、調査協力の意欲には個人差があり、サンプル確保やデータの偏りに注意が必要です。
  • 調査背景
    訪日外国人旅行者の増加に伴い、消費行動や観光体験への関心が高まっています。
    特に観光施設は日本ならではの文化や体験を提供する場として注目されており、観光消費の中でも重要な位置を占めています。
    しかし、こうした施設に関する定量的なデータはまだ不足しており、本調査ではその実態を明らかにし、施設改善や観光政策への応用を目指します。
  • 調査概要
    実施施設  : 4施設
    実施日数  : 各施設2日間
    サンプル数 : 各日100ss×4施設=計400ss
    調査員   : 1日2名体制×2日
    対応内容  : 調査票作成・翻訳(4言語)、画面作成、当日運営、機材手配、集計表作成
    納品物   : ローデータ、集計表、報告書

 

調査のメリット・デメリット

メリット

  • リアルタイムなデータ収集
    旅行中の体験直後に調査を行うため、記憶の鮮度が高く、評価や感想のニュアンスが正確に反映されます。
  • 最新のトレンドを反映可能
    シーズンやSNSバズなど、時流に即した行動傾向を捉えられるため、タイムリーな施策判断に役立ちます。
  • 現地密着型の情報取得
    現場での調査により、施設ごとの利用実態や満足度などを具体的に把握できます。
  • 対面による補足説明が可能
    質問の意図が伝わりにくい場合でも、調査員がその場で説明することで誤解や誤答を減らせます。

 

デメリット

  • サンプル確保が難しい
    協力者の数は来場者数や天候、時間帯に大きく左右され、安定したデータ取得が困難です。
  • 調査時間・設問数に制限
    旅行者の限られた時間内で実施するため、設問数は最小限に抑える必要があり、深掘りが難しくなります。
  • 属性に偏りが出やすい
    英語が話せる若年層や個人旅行者に偏る傾向があり、全体像を反映しにくい課題があります。
  • 言語・文化的対応が必須
    多言語対応や文化的配慮を怠ると、質問の伝達ミスやバイアスが生じる恐れがあります。
  • 施設側との調整が必要
    実施には施設からの許可が必要で、許可が得られない場合は調査自体が不可能になります。

 

調査実施時の注意点
  • アンケートは説明含め10分以内を目安に設計・設問数は10問以内に簡潔化
  • 想定サンプルに届かない可能性を見越して日程の予備を確保
  • 天候・曜日・混雑状況に応じて協力率が変動する点に注意
  • 実施には施設の許可が必要。許諾取得は顧客側が行う
  • 人件費が発生するため、現地スタッフの配置計画を事前に立てておく
  • 英語での対応が可能なスタッフを配置し、事前研修・ロールプレイを実施
  • 団体客や高齢層の協力率が低いため、個人旅行・若年層に偏る可能性を考慮
  • 想定外の偏りには他日程・他場所での補完対応を検討
  • 屋外実施の場合は天候リスクに備え、屋根付きスペースや予備日を確保
  • 他の来場者の妨げとならないよう、調査場所や声かけタイミングを工夫

 
 

訪日経験のある海外在住の外国人に対する調査

訪日外国人観光客の回復が進む中、「一度でも日本を訪れたことのある人」は、再訪促進や海外での口コミ拡散といった観点から、いま重要なターゲットとして注目されています。彼らの視点は、日本旅行に対する実体験に基づいており、「日本を選んだ理由」「実際の満足度」「再訪の意向」など、マーケティングに活用できる多くの示唆を含んでいる点で非常に価値があります。

本章では、日本を訪れた経験のある海外在住者を対象とした調査に焦点を当て、その定義や特徴、具体的な活用事例、さらに調査設計における留意点について解説します。あわせて、公式Webサイト利用者を対象とした定量調査の事例を紹介し、こうした調査の意義や、実務上のメリット・デメリットについてもまとめました。
 

調査対象の定義

「訪日経験のある海外在住の外国人」とは、過去に観光・留学・ビジネス・親族訪問などの目的で日本を訪れたことがあるものの、現在は日本国外に居住している外国籍の個人を指します。
訪問の回数や滞在期間、目的の種類は問わず、すでに日本に居住している外国人や、訪日経験がない人は対象外となります。
 

調査対象の特徴

この対象者は、日本という国に対して一定の認知・関心を有しており、実際の体験に基づいた意見を述べることが可能です。
訪日時の動機、滞在中の行動、帰国後の評価や再訪意向など、旅行前・中・後の一連のジャーニーに関する情報を得られることが大きな利点です。
また、旅行形態(個人/団体)、同行者、手配方法なども多様であり、国籍や目的別の比較分析にも適しています。
一方で、訪問時期によって記憶の鮮度に差があるため、調査設計では訪問年の明記や体験を思い出しやすくする工夫が重要です。
 

調査事例:日本旅行に関する調査
  • 調査目的
    公式Webサイトでの直販を強化する上で、UI改善やプロモーション戦略に役立つ示唆を得ることを目的としています。
    そのため、アメリカ、イギリス、シンガポールの訪日経験者のうち、公式Webサイトを通じてチケットを購入した人を対象に、情報収集行動や意思決定プロセス、サイトの利便性評価を明らかにします。
  • 調査課題
    現在、訪日旅行者によるチケット購入手段は多様化していますが、公式Webサイトを利用した際の具体的な利用実態や顧客評価に関するデータは不足しています。
    そのため、国別に異なるオンライン行動の傾向を把握することで、より最適なWeb戦略の立案に活かします。
  • 調査背景
    コロナ禍を経て、オンラインでの情報取得や購買行動が一般化する中、「公式Webサイトで選ばれる理由」を明らかにし、顧客接点を強化することが喫緊の課題です。
    直近2年以内に訪日し、公式Webサイト経由でチケットを購入した旅行者を対象にした調査を通じて、定量的なエビデンスを収集します。
  • 調査概要
    対象国  : アメリカ(100ss)、イギリス(50ss)、シンガポール(50ss)
    対象条件 : 訪日経験があり、公式Webサイトでチケットを購入した方
    設問数  : 最大30問
    実査手法 : Webアンケート

 

調査のメリット・デメリット

メリット

  • 広範囲・大規模なサンプル回収が可能
    Web調査により、世界中の対象者に一斉アプローチが可能。国籍・年齢・訪問目的別の柔軟な割付も可能です。
  • 多角的かつ詳細な設問設計が可能
    設問数を30〜40問に設定しても対応でき、スケール評価や自由記述も含めた網羅的なデータが取得可能です。
  • 複雑なロジックや分岐にも対応
    Web画面上での表示条件やスキップ設定により、属性ごとに無駄のない調査設計ができます。
  • 再訪意向や旅行後の行動も把握できる
    帰国後の印象やSNS投稿、再訪希望など「旅行後」の視点を収集できるのは、訪日中調査では得にくい重要な視点です。

 

デメリット

  • 回答の正確性にばらつきが出やすい
    旅行から時間が経っていると記憶が曖昧になるため、データの精度に影響する可能性があります。
  • 訪問時期による前提条件の差異
    10年前と直近では社会状況や訪日体験も大きく異なるため、分析時は訪問時期別に傾向を見る必要があります。
  • モニターの確保が難しい地域もある
    調査会社のパネル状況によっては、一部地域で十分なサンプルが確保できず、比較に制約が出ることもあります。

 

調査実施時の注意点
  • スクリーニング設問は簡潔にまとめ、10問以内に収める(属性確認を含む)
  • 「過去5年以内の訪問経験」に条件を絞ると記憶の鮮度を保ちやすい
  • Webアンケートは実査期間に1〜2週間を要するため、即日集計は難しい
  • 属性条件が細かい場合、モニターリクルートには3週間以上を見込む
  • 設問は多言語翻訳・現地ローカライズに対応する必要あり(複数国調査の場合)

 
 

在日外国人に対する調査

外国人観光客の増加に加え、日本国内で中長期的に生活する在日外国人の数も年々増加していますが、彼らは一時的な滞在者とは異なり、日本での暮らしの中で日常的にさまざまな体験や課題に直面することがあります。こうした在日外国人のリアルな生活実態や意識を把握することは、商品開発やサービスの改善、多文化共生社会の実現に向けた重要なヒントです。

本章では、「在日外国人」を対象とした調査の定義と特徴を整理したうえで、食生活や動画配信サービスに関する調査事例を紹介し、調査を実施する際のメリット・デメリットや留意点についても具体的に解説します。
 

調査対象の定義

「在日外国人」とは、現在日本国内に中長期的に居住している外国籍の個人を指します。主に、留学・就労・家族滞在などの在留資格により滞在しており、日常生活の拠点を日本に置いていることが特徴です。
この定義には、観光や短期出張などの一時的な訪問者は含まれず、住民登録や在留カードを保有し、日本社会で一定の生活基盤を持っている人々が対象となります。
 

調査対象の特徴

在日外国人は、日本での生活経験を通じて、日本社会や文化への理解をある程度深めており、観光客とは異なる視点からの意見を得ることが可能です。
たとえば、日常的な消費行動、行政サービスへの印象、言語習得の状況、地域コミュニティとの関わりなど、生活者としての具体的かつ実践的な意見を収集できます。

また、長期滞在者だからこそ、日本への満足度だけでなく、不便に感じる点や制度上の課題にも言及しやすく、多文化共生や外国人支援策の改善に直結するインサイトが得られやすい層でもあります。

ただし、出身国や在留資格、日本語能力、在住地域などの属性が非常に多様であるため、調査設計では対象セグメントを明確に定義し、比較分析が可能な設問設計が求められます。
さらに、オンライン調査・街頭調査・対面インタビューなど、多様な調査手法が実施可能であることも、在日外国人調査の特性のひとつです。
 

調査事例①:食生活に関するオンライングループインタビュー
  • 調査目的
    日本在住のフィリピンおよびベトナム出身者を対象に、日々の食生活における不満や困りごと、母国料理へのニーズ、日本での買い物行動などを深掘りし、生活者視点での課題を明らかにすることを目的としています。得られた知見は、外国人向け商品の開発やラインナップ見直し、販売チャネルの改善などに活用されます。
  • 調査課題
    在日外国人にとって、日本のスーパーでの買い物は一見すると日常的な行為ですが、実際にはいくつものハードルが存在しています。まず、陳列されている食材や調味料について、見た目や名称だけでは用途や味のイメージがつかみにくく、購入をためらうケースが多く見られます。さらに、日本の一般的なキッチン環境は彼らの母国とは設備やスペースが異なることも多く、慣れ親しんだ調理スタイルを再現しにくいという声も少なくありません。加えて、外国人向けの商品や使用方法の案内、母国語での情報提供などが限られているため、自分に合った商品を見つけること自体が難しく、買い物そのものに不安や負担を感じる状況が続いています。こうした複合的な要因が、日々の食生活における選択肢を狭め、生活の満足度にも影響を与えている可能性があります。
  • 調査背景
    在留外国人の中でも、フィリピン・ベトナム出身者は技能実習・就労・留学といった目的での滞在が多く、日本での生活期間も長期化する傾向があります。しかし、日本の食環境は必ずしも多文化に対応しておらず、母国の味を日常的に楽しめないことが生活の質の低下につながっている可能性があります。こうした背景を踏まえ、食品メーカーや流通業者にとって、実態に即した商品・サービスの開発は喫緊の課題となっています。
  • 調査概要
    実施形式  : オンライングループインタビュー(各120分)
    対象    : フィリピン・ベトナム出身の20~49歳の男女、週3回以上自炊を行い、食材等の購買決定者であること
    グループ数 : 4グループ(各4名)

 

調査事例②:動画配信サービスに関するWebアンケート
  • 調査目的
    日本在住の外国人を対象に、動画配信サービスの利用状況、視聴スタイル、視聴時のニーズや課題を把握し、コンテンツのローカライズやUI改善、多言語対応戦略の立案に役立てることを目的としています。
  • 調査課題
    動画配信サービスに関する調査においては、対象者の出身国、母語、滞在期間といった属性の違いによって、視聴傾向や求めるコンテンツ・機能が大きく異なる可能性があります。また、設問文の言語や表現の仕方によっては意図が正確に伝わらず、回答の精度にばらつきが生じるリスクも考慮する必要があります。こうした多様性を前提とした調査設計を行うためには、属性別のクロス集計や、自由回答を通じた定性的な補完が不可欠であり、分析設計にも高度な工夫が求められます。
  • 調査背景
    在日外国人の増加とともに、エンタメ分野でも多言語・多文化対応のニーズが高まっています。特に動画配信サービスは、言語の壁を越えて楽しめる媒体であるため、視聴者ニーズの的確な把握とサービスの最適化が競争力向上の鍵となっています。
  • 調査概要
    実施形式  : Webアンケート(日英併記)
    対象    : 20~69歳、国籍不問、動画配信サービス利用者
    サンプル数 : 200ss(割付なし)
    設問数   : 10問以内

 

調査におけるメリット・デメリット

メリット

  • 国内で調査が完結し、コスト効率が高い
    海外調査に比べ、渡航・通訳・時差対応などのコスト負担が少なく、実行しやすい。
  • 時間帯や進行管理がスムーズ
    在日対象のため、日本時間で統一して調査を設計・運営できる。
  • 対面調査ではクライアントの同席が容易
    リアルな反応を直接観察でき、関係者の理解も深まりやすい。
  • 多国籍対象者を一度に調査できる柔軟性
    調査設計次第で、国籍比較などのクロス分析にも対応可能。
  • 在日歴が長い人は日本語での対応も可能
    翻訳コストの削減や、進行負荷の軽減につながる場合もある。

 

デメリット

  • 観光客視点の調査には不向きな場合がある
    生活者としての視点が中心となるため、観光目的の調査には適さないことがある。
  • 属性のばらつきが大きく、設計の工夫が必要
    国籍・在留資格・在住地域などに応じたセグメント設計が不可欠。

 

調査実施時の注意点
  • 対象者の言語能力にはばらつきがあるため、多言語の対応準備が必要(英語以外にもベトナム語・中国語等)。
  • 在留資格によって生活実態や関心テーマが大きく異なるため、対象条件を事前に明確化する。
  • オンライン調査・インタビューでは、操作手順や案内文のわかりやすさにも注意が必要。

 

在日外国人に向けた市場調査

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関連資料

 
 

グローバルチームの紹介

特徴

  • 営業と実務の間に立つ「翻訳者」のような存在
    調査の背景や目的を理解したうえで、現地の調査会社や対象者にも通じるように「解釈しなおす力」に長けており、文化・言語・調査慣習の違いを調整する架け橋として機能しています。
  • 柔軟な進行とトラブル対応力
    海外調査で起こりがちな時間のズレや文化的齟齬に対し、柔軟なアジャストが可能。突発的なトラブルにも冷静かつ的確に対応します。
  • 多様な調査タイプへの対応経験
    BtoC/BtoB、定量/定性問わず、多国籍・多言語対応が求められる調査にも豊富な実績があります。

 

強み

  • 調査専門人材による英語対応
    調査票翻訳だけでなく、設問意図の調整やスクリーニング設計の工夫など、日本語の「当たり前」が通用しない局面でも適切に再構成できる知見があります。
  • 現地調査会社との直接調整力
    提携パートナーと日常的にコミュニケーションをとっており、調査仕様・対象者・実査方法などを、実情に即して細やかに設計・修正する力を有しています。
  • 調査精度の担保
    海外調査でありがちな「聞いたけれど分からない」や「誤訳による回答誤認」などのリスクを、事前設計と多重チェックで未然に防ぐ体制を整えています。

 

対応範囲

  • 調査設計支援(対象国選定、スクリーニング設計、設問構成のアジャスト)
  • 調査票翻訳/ローカライズ(言語翻訳だけでなく、文化的適合調整も含む)
  • 定量・定性調査の実査管理(Web調査、インタビュー、FGI、会場調査など)
  • 納品物の品質管理(集計表、クロス集計、翻訳済レポートなどの最終確認)
  • 多言語・多国同時実査の統括進行(欧米・アジアなど複数国をまたぐ調査対応)

 

メンバーについて

アスマークでは、日本国内に限らず、海外調査にも対応できる「グローバルリサーチチーム」を社内に設置しています。
このチームは、日本企業が海外で調査を行う「アウトバウンド調査」と、海外企業が日本国内で調査を実施する「インバウンド調査」の両方に対応しており、多国籍で構成されたメンバーが大きな強みです。
現在、チームには日本をはじめ、タイ、ネパール、台湾、マダガスカル、イタリアなど、さまざまな国籍のスタッフが在籍しており、言語や文化、各国の調査慣習の違いにも柔軟に対応できる体制を整えています。

調査手法については、国内で実施しているモニターリクルート、ネットリサーチ、ホームユーステスト、会場調査などと同様の手法を、海外でも展開可能です。
また、対応エリアは北米、アジア圏、欧州、中東、アフリカなど多岐にわたり、各国の信頼できる調査パートナーと連携することで、国内調査と同等の品質を担保しています。

さらに、調査の背景や目的に応じて、プロジェクトごとに柔軟なカスタマイズが可能です。対象国の選定や調査設計、調査手法のご提案まで、一貫してサポートいたします。
クライアントとのやり取りはすべて日本語で行いますので、言語面に不安をお持ちの方でも安心してご相談いただけます。

私たちは、単なる「翻訳係」ではなく、日本と海外の間に立つ「調査の通訳者」として、文化的・言語的なギャップを適切に調整しながら、プロジェクトを成功に導いてまいります。
海外調査に不慣れな方でも安心してご依頼いただける体制と豊富な経験を備えておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

 
 

まとめ

訪日外国人を対象とした調査は、「訪日中」「訪日前後(経験者)」「在日生活者」という3つの軸で整理することができます。
いずれも異なるタイミング・視点でのインサイトが得られるため、調査目的に応じた手法の選択が重要です。
リアルタイムな体験評価を重視するなら訪日中の現地調査、再訪促進や旅行前後の心理を捉えるなら訪日経験者調査、生活実態に密着した商品・サービスの改善には在日外国人調査が適しています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、対象者の属性や調査の目的、リサーチ後の活用方法までを見据えた設計が求められます。
 

比較表とその解説
調査対象 訪日中の外国人旅行者 訪日経験のある海外在住者 在日外国人
タイミング 現地滞在中 帰国後 定住・中長期滞在中
主な手法 出口調査、ストリートキャッ Webアンケート グループインタビュー、Web調査
特徴 リアルタイムな反応を収集。旅行直後の評価が得られる 旅行の意思決定や再訪意向などを定量把握 生活視点での商品・サービス評価に適する
留意点 多言語対応、施設許可、時間制限などに注意 記憶の鮮度に差があるため、訪問時期の確認が重要 属性が多様なため、対象定義の明確化が必要

 
このように、それぞれのアプローチは「調査できること」や「得られる視点」が大きく異なります。調査の切り口を変えることで、同じ商品やサービスに対しても多角的な評価や改善案を導き出すことができます。
 

使い分ける際のポイント
  • 目的と調査テーマを明確にする
    再訪意向の把握か、体験直後の満足度か、あるいは生活課題の把握か。目的によって適切な対象と手法が変わります。
  • 実行可能性とリソースを見極める
    許可が必要な現地調査、モニター確保が難しい海外調査、多言語対応が求められる生活者調査など、それぞれに実務的なハードルがあります。実施体制やスケジュールも踏まえて検討が必要です。
  • 成果物の活用イメージを持つ
    調査結果を社内レポートに使うのか、サービス改善のための資料とするのか、PRや自治体への提案に活かすのかなど、アウトプットの目的によって設問設計や分析視点も変わってきます。

 
 
調査は「誰に」「いつ」「どのように」聞くかで得られるインサイトが大きく異なります。本記事で紹介した3つのアプローチを理解し、目的や現場の状況に応じて最適な手法を選ぶことが、成功の鍵となります。
 
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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在日外国人に向けた市場調査

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アスマークのグローバルチームの強み~調査の質にこだわったチーム体制~

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アスマークでは、海外からの国内事業への参入や日本企業の海外進出に対するニーズに応えるため、双方の調査に対応できるグローバル案件専門のチームを持っています。立ち上げから数年が経過し、国内案件で培ったノウハウを基に対応力を磨き、今や世界各国でのさまざまな調査を実施することを可能にしています。

アウトバウンドとインバウンドの両方において、グローバル調査では、言語や慣習、文化の違いを考慮しながら調査を進める必要があるため、専門的なスキルとノウハウが求められます。

本記事では、メンバーとの対談形式の取材を通じて、私たちのグローバルチームが調査案件をどのように成功させているのかをご紹介します。

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