公開日:2025.05.23

数字のズレが起きる本当の理由とは?信頼できるデータに変える方法

  • マーケティングリサーチHowto

会議の途中で「この数字、どこから出てきたの?」と聞かれた瞬間に、場の空気が変わってしまう。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。現在、マーケティング活動におけるデータの重要性はますます高まっています。しかし、データの信頼性が確保されていなければ、それはむしろ意思決定の障害になってしまうこともあります。
 
本記事では、どのようにして信頼されるデータ環境を構築し、実務で役立つかたちにしていくのかを、事例や具体的な手順とともに紹介します。後半ではその実現を支援するサービス、データクリアパスについてもご案内します。
 
 

信頼できるデータとはどういうものか

マーケティングや経営判断において、提示したデータが信頼に足るものかどうかは、意思決定の質に大きな影響を与えます。
例えば、ある部門ではリピート率を「2回以上購入したユーザーの割合」と定義し、別の部門では「一定期間内に複数回購入したユーザーの比率」としていることがあります。言葉は同じでも、定義が異なるだけで意思疎通が困難になり、判断を誤る可能性も出てきます。
 
信頼できるデータとは、次のような特徴を持っています。

  • 定義が明文化されていて誰でも確認できる
  • 関係者の間で理解が一致している
  • 説得力ある判断材料として使える

 
このような状態にするためには、あらかじめ定義やルールを整えておく必要があります。
 
 

なぜ現場で数字のズレが起こるのか

データの不一致や混乱は、担当者のミスによるものとは限りません。多くの場合、以下のような構造的な問題が原因です。

  • 部門間で指標の定義が異なる
  • 部署ごとに使用しているツールやKPIの算出方法が異なると、同じ指標名でもまったく異なる意味で解釈されることがあります。これがズレの発生源となります。

  • ツールやシステムが連携されていない
  • データが部署や目的ごとに個別管理されていると、統合的に分析することができません。顧客の全体像を把握するには、ログやアンケート結果、購買履歴といった異なるデータの連携が欠かせません。

  • データの出どころや集計方法が不透明
  • Excelに貼り付けられた数値に対して「この数字は誰が、どのタイミングで、どうやって出したのか」が説明できない状態は、意思決定の障害になります。

     
     

    実際のトラブル事例:定義の違いが引き起こす混乱

    ある企業では、新商品の広告効果を評価する会議において、部門ごとに提出されたレポートのコンバージョン率が大きく異なっていました。
     
    マーケティング部では、ランディングページに到達したユーザーのうち、購入に至った割合をCVRとして算出。一方、営業戦略部では広告のインプレッション数を母数としたCVRを提示していました。
     
    それぞれが独自の定義で正しく計算した結果ですが、数値の意味がまったく異なるため、議論が噛み合わず、経営層が意思決定できない事態に発展しました。この混乱により、会議は中断され、データの定義確認や再集計作業に数日を費やすこととなりました。さらに、全社で指標の共通ルールをつくるプロジェクトが立ち上がるなど、大きな工数が発生しました。
     
    この事例が示すように、データ自体の正確さよりも、その意味や背景の統一こそが、実務では重要となります。
     
     

    信頼されるデータ環境をつくるための3つのアプローチ

    1. データ辞書の作成

    社内で使用される主要指標の定義や算出方法を明文化し、共有する仕組みを整えましょう。ExcelやNotion、Googleスプレッドシートなどを活用して、誰でも閲覧・更新できるようにするのが理想です。

    2. 統合前のデータクレンジング

    表記ゆれ(例:男性/男、東京/TOKYO)、不要な空白や記号、重複データなどを整備することで、後の分析精度が格段に上がります。名寄せや欠損値処理など、前処理の品質は分析全体の信頼性を左右します。

    3. BIツールによる目的別の可視化

    ダッシュボードは「誰が」「何の目的で」見るのかを考えて設計することが大切です。経営層向けには要点を絞った俯瞰ビュー、現場担当者向けには施策別の深掘りなど、使う人に応じた出し分けが有効です。
     
     

    データを整えるだけでは足りない理由

    BIツールを導入しても使われない、ダッシュボードを作ったのに誰も見ていない。このような事態は多くの企業で発生しています。
    その原因は、データの整備にとどまり、活用までの視点が設計に含まれていないことです。この指標は何のために見るのか、誰がどう判断するために使うのか、どのタイミングで共有・更新されるのか。
     
    こうした視点を組み込んで初めて、整えたデータが使われるデータへと変わっていきます。
     
     

    データを資産として活用するための実行支援

    これまで紹介してきた課題を一貫して解決するのが、アスマークが提供する「データクリアパス」です。
     
    データクリアパスは、企業内に散在するさまざまな顧客関連データ、たとえば購買履歴や行動ログ、アンケート結果、インタビュー内容などを統合・整備し、実践的なマーケティング戦略の展開につなげる支援サービスです。
     
    このサービスでは、データの名寄せや表記の統一、形式変換、クレンジングといった整備作業をサポートします。また、BIツールによる可視化を前提としたデータ設計、必要に応じた定量・定性調査の実施、そして戦略に基づいたレポートや分析フローの構築まで一貫して支援を行います。
     
    たとえば、部門ごとにバラバラに管理されている顧客データを一元化したい方や、KPIやレポートの定義が曖昧で議論がすれ違ってしまう現場に悩む方にとって、このサービスは大きな助けとなるでしょう。また、データが蓄積されていても活用できていない場合や、調査結果と顧客の行動データを組み合わせた分析を行いたい方、BIツールの導入後に活用方法まで設計したい方にも有効です。
     
    単にデータを整えるだけでなく、それを実際に使える仕組みにまで昇華させることで、初めてデータは“資産”としての価値を持ち始めるのです。

     
    『データクリアパス』の詳細はこちら>
     
     
     
    データクリアパスについてのご相談はこちら>
     

    執筆者
    アスマーク編集局
    株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
    アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
    監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

     
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