
2024.04.26
デモグラフィックデータとは
デモグラフィックデータは、個人や集団の人口統計学的特徴を示す情報で、年齢、性別、職業、居住地域、家族構成、年収などを含みます。この情報は、消費者の行動や好みを把……
公開日:2025.06.19
データ分析や統計学の世界に足を踏み入れると、様々な専門用語に出合います。その中でも、「独立変数」と「従属変数」は、研究やビジネスにおけるデータ分析の根幹をなす、重要な概念です。これらを正しく理解することは、単に用語を知るだけでなく、データが語る物語を正確に読み解き、論理的な結論を導き出すための第一歩となります。
私たちが「なぜAがBに影響するのか?」、あるいは「Cの変化がDにどのような結果をもたらすのか?」といった問いを立てる際、そこには独立変数と従属変数の関係性が隠されているかもしれません。
本記事では、独立変数と従属変数の基本から、因果関係や相関関係の話、具体例などについて解説します。
独立変数(Independent Variable, IV)とは、分析者や研究者が意図的に操作する、変化させる、あるいは観察する変数であり、その変化が別の変数にどのような影響を与えるかを調べたい対象となる「要因」にあたるかもしれない変数です。これは、従属変数に影響を与えると仮定される変数、とも言えます。
主な役割は、従属変数に与える影響や効果を検証することにあります。実験においては研究者がその値をコントロールし、観察研究においては自然に存在する独立変数の違いを観察します。
なお、独立変数は、その役割から説明変数など様々な別名で呼ばれることがあります。
従属変数(Dependent Variable, DV)とは、独立変数の変化によって影響を受けたり、結果として現れたりする変数<>/spanです。これは、独立変数の効果を測定する対象となる「結果」にあたるものです。従属変数は、独立変数の「従属」下にある、つまり影響を受ける側に立つ変数です。
主な役割は、独立変数によって引き起こされる変化や効果を定量的に捉えることにあります。研究の焦点は、独立変数が従属変数にどのような変化をもたらすかを明らかにすることです。
従属変数もまた、その役割に応じて目的変数など異なる名称で呼ばれています。
独立変数と従属変数の関係を理解することは、研究デザインを構築し、データ分析結果を正しく解釈する上で最も重要なポイントです。
独立変数と従属変数の関係を語る際によく登場するのが「因果関係」と「相関関係」です。
因果関係(Causation)
「独立変数の変化が直接的に従属変数の変化を引き起こす」という関係です。
例えば、「広告費が増えれば、売上が向上する」という関係を検証する場合、因果関係を追求しています。因果関係を証明するには、適切な研究デザイン(例えば、ランダム化比較試験)が必要です。
また、調査する業界や現象に関わる様々な知識、いわゆるドメイン知識も必要となり、難易度が高いものとなります。
相関関係(Correlation)
「二つの変数がある程度一緒に変動する」という関係です。
例えば、「アイスクリームの売上が増えると、水難事故も増える」という現象は相関関係があるかもしれませんが、アイスクリームが水難事故の原因ではありません(実際には気温という共通の原因があるかもしれません)。相関関係があっても、必ずしも因果関係があるとは限りません。独立変数と従属変数という言葉は、因果関係を想定して用いられることが多いですが、観察研究などでは相関関係の強さを分析することもあります。
研究やデータ分析においては、安易に因果関係を断定せず、相関関係と因果関係の違いを明確に意識することが極めて重要です。特にマーケティングリサーチでは、相関関係から因果関係を示唆する洞察を得ることが多いため、この区別は必須です。
ここでは、独立変数と従属変数の関係を、マーケティング・ビジネス分野での具体的な例を交えて解説します。
ウェブサイト訪問者数とSNS広告費
独立変数:SNS広告費(例: Facebook広告費、X広告費、Instagram広告費 etc.)
従属変数:ウェブサイト訪問者数(人)
解説 :SNS広告費とウェブサイト訪問者数を分析する際、SNS広告費は操作可能な独立変数、その結果として測定されるウェブサイト訪問者数が従属変数です。これは、マーケティングにおいて非常に重要な視点となります。
これを簡単な図として表したのが下図となります。
回帰分析とは?
回帰分析とは、ある変数(従属変数:目的変数)が他の変数(独立変数:説明変数)によってどのように説明され、予測できるかをモデル化する統計的手法です。
具体的には、独立変数と従属変数間の量的関係を数式で表すことを目指します。
なお、従属変数が2つ以上あるときは重回帰分析と言います。
基本の考え方
従属変数が2つ以上ある場合の方が多いため、基本的な考え方として、重回帰分析で解説します。
重回帰分析では、従属変数(結果)を予測するために、独立変数(要因または予測因子)を使用します。
従属変数 Y = β0 + β1 X2 + β2 X2 + … + ε
変数 | 説明 |
---|---|
Y | 従属変数(例:売上高) |
X1, X2, … | 独立変数(例:広告費、競合価格) |
β0 | 切片(独立変数が0の時のYの値) |
β1, β2, … | 回帰係数(各独立変数が1単位変化した時のYの変化量) |
ε | 誤差(モデルで説明できない部分) |
例えば、「広告費(独立変数)」が「売上高(従属変数)」にどう影響するかを回帰分析で調べると、広告費をいくら増やせば売上がどのくらい伸びるか、といった予測が可能になります。データ分析においては、この関係を理解することが意思決定に直結します。
独立変数や従属変数を理解する上で、混同しやすい関連概念として「定性データ」と「定量データ」があります。これらは変数の「種類」を示すものであり、変数の「役割」を示す独立変数・従属変数とは異なる視点です。
定性データ(Qualitative Data)
質的な情報、属性、分類を表すデータです。数値で表現しにくい特徴やカテゴリを示します。
例:性別(男性、女性)、血液型(A, B, O, AB)、好きな色(赤、青、黄)
独立変数や従属変数になり得ますが、そのままでは統計的な計算が難しい場合があります。
例えば、回帰分析でもロジスティック回帰分析にするなど、他の分析手法を検討しなくてはなりません。
定量データ(Quantitative Data)
量的な情報、測定可能な数値で表されるデータです。
例:身長(cm)、体重(kg)、売上高(円)、試験の点数(点)
多くの場合、独立変数や従属変数は定量データとして測定され、統計分析に用いられます。
重要なのは、独立変数も従属変数も、定性データである場合も定量データである場合もある、ということです。例えば、「性別(定性データ)」が「平均収入(定量データ)」に影響するかを調べる場合、「性別」が独立変数、「平均収入」が従属変数となります。
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「独立変数」と「従属変数」は、データ分析や研究において、何が要因で何が結果なのかを明確にし、論理的な思考を可能にするための基本中の基本な変数となります。
独立変数:要因とされる側、操作または観察によって変化させる変数
従属変数:結果となる側、独立変数の変化によって影響を受ける変数
これらの概念を正しく理解し、現実世界の問題に適用することで、より深く事象を洞察し、データに基づいた意思決定を下すことができます。
本記事で紹介した様々な具体例を通じて、データ分析について、さらに向上させていきましょう。
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