公開日:2020.06.15

商圏調査の方法とそのメリット・デメリット

  • マーケティングリサーチHowto

商圏調査とは、その名の通り、商(あきな)いをするエリアを多角的に調査することで、主に店舗出店やプロモーション施策のために用いられます。
例えば新しく出店を考えるとき、どの立地を選ぶのか、その地域ではどの程度の利益が見込めるのか、などを検討する必要があります。

ベテラン社員の経験や勘で決定する場合もありますが、調査結果から導き出すことで、より正確な判断ができます。また、同じような立地条件の店舗にも関らず売上や顧客満足度に差が出た場合に、商圏調査を行なうことで環境や利用者の違い等の要因を見つけることが可能です。
 

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商圏調査の方法

1.狙いのエリアを定める

市区町村の人口データや駅の乗降人員数などの公開データを元に、まずはざっくりとターゲットエリアの絞り込みを行います。デスクリサーチを行なうことで、性別・年代別の人口とその構成比、また、その周辺に競合となり得る相手がどの程度いるのかを調べることができます。

2.狙いのエリアの居住者を調べる

次に、商機があるのかどうかを判断するために、商圏内の居住者について調べることが必要です。ここでは、「一人暮らしの人が多いのか、ファミリー層が多いのか」「世帯年収はどの程度の人が多いのか」「車の所有率」「移動手段」等々、具体的な生活者実態を把握しなければなりません(ライフスタイル調査)。こういったデータはデスクリサーチでは得にくいため、現地での街頭調査、ポスティングでのアンケート調査などで回答を募ることでデータを集めることができます。

大都市など人口が多いエリアであれば、大規模パネルを持つ調査会社に依頼することで、商圏の居住者だけに絞り込みwebアンケートを行なうことも可能です。一方、人口が多いエリア以外では、商圏の居住者の回答を希望数集めることが難しいため、パネルを持つ調査会社では対応しきれない場合があります。

3.ヒトの流れを調べる

次に行なうのは、交通量調査です。出店候補地の前をどのような人・車が、どれくらい通るか調査します。曜日別(平日/休日)、時間帯別、方向別(どの方向から来てどこへ行くのか)、属性別(性別、年代別)にデータを取ることで、出店の可能性を見極めます。

4.競合を調べる

すでにデスクリサーチで競合情報をピックアップしていると思いますが、ここでは、その競合施設(店舗)の集客数や客層などより具体的な情報を調べます。出入りする客数や客層を曜日別(平日/休日)、時間帯別、属性別(性別、年代別)に調べ、自社と競合のポジショニングを行ない、差別化や強みを打ち出す際に活用します。

商圏調査のメリット/デメリット

メリット

商圏調査を行なうことでエリアやターゲット層の特徴を把握することができます。事前に商圏について多角的に調べ上げることで、退店リスクを減らし、売上向上の戦略が図れるため出店を成功させる可能性を高めることができます。

商圏調査は店舗出店だけでなく、広告出稿時の効果予測や検証、キャンペーンの企画、顧客満足度の向上等、マーケティング活動の様々なフェイズにおいて活用することができます。また、出店した後も継続的に商圏調査を行うことで、周辺環境や利用者の変化をいち早くキャッチすることができ、より良い店舗運営に活かすことができます。

デメリット

商圏調査は交通量や居住者層等の周辺環境の調査や競合調査など“多角的に”調べる必要があるため、全てを包括的に調査できる業者がなかなか存在しません。フェイズに合わせて業者を選定し、情報を足し合わせて分析する必要があります。また、デスクリサーチや現地でのフィールド調査等、手間や時間のかかる調査でもあるため、コストもかかってしまいます。

店舗の周辺環境や利用者層は時代の移り変りとともに変化していきます。一回の実施で満足することなく定期的に行なうことが重要です。

最後に

法改正、競合の参入、新駅の設置、大型マンションの建設などの外的要因により、商圏は生き物のように刻々と変化します。そのため、定期的に継続調査を行ない、経年比較し、実態の変化をいち早く察知することが望ましいです。

また、出店を計画する方は、実際に現地に足を運ぶことも重要です。商圏調査で得られるアウトプットのほとんどは定量データ(数値データ)なので、現地を見て感じる印象/景色/匂いなどから得られる定性的なデータも非常に重要です。積極的に足を運んで街の理解を深めることも忘れないようにしましょう。
 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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