公開日:2025.06.03

コンセプト受容性調査とは?質問と選択肢の例、目的や調査手法など解説

  • マーケティングリサーチHowto

新しい商品やサービスを開発する際、「本当にユーザーに受け入れられるのか?」という不安は誰しもが抱えるものです。どれほど画期的なアイデアであっても、消費者ニーズとマッチしていなければ、成功を収めるのは簡単ではありません。
このようなケースで効果的なのが、「コンセプト受容性調査」です。この調査手法は、開発の初期段階などにおいてターゲットとなる顧客の反応を把握し、アイデアの改善点を洗い出したり、市場での成功可能性を見極めたりするために活用されます。

この記事では、コンセプト受容性調査の目的から、具体的な質問例や実施にかかる期間や費用の目安、活用事例について解説します。

 
 

コンセプト受容性調査とは?

コンセプト受容性調査とは、新しい商品やサービスの開発初期、リブランディングの際に活用される調査です。この調査手法では、商品やサービスのコンセプトが、ターゲットとなる顧客にどの程度受け入れられるかを評価します。
具体的には、言葉による説明やイメージ図、簡単なイラストなどを使って消費者にコンセプトを提示し、それに対する反応を探ります。消費者に対して、「欲しいと思うか」「購入意欲が湧くか」「その商品・サービスに興味や関心を抱くか」といった点について、率直な意見を収集します。
 

コンセプト受容性調査の目的とは?

コンセプト受容性調査の主な目的は多岐にわたります。

最も重要な目的は、市場ニーズとの整合性を確認し、潜在顧客からの共感や期待の度合いを把握することです。これにより、開発中のコンセプトが市場に受け入れられる可能性を事前に見極めることが可能になります。
また、コンセプトの強みや弱点を明らかにし、改善すべきポイントを特定することも、重要な目的の一つです。消費者の具体的な意見を収集することで、どの要素が魅力的で、どの部分が改善を要するのかを明確にできます。さらに、競合他社との差別化ポイントを浮き彫りにし、自社の優位性を築くための手がかりを得ることも可能です。
最終的には、これらの知見をもとに製品開発やマーケティング戦略の方向性を明確にし、投資に伴うリスクを軽減することを目指します。その結果、無駄な開発コストや時間を削減し、ビジネスの成功をより効率的に実現する可能性を高めます。

この調査手法には、こういった目的があるため、仮説に基づいたコンセプトの妥当性を市場の視点から客観的に検証できる貴重な機会となり、その重要度はご理解いただけることでしょう。
 
 

コンセプト受容性調査のメリット

コンセプト受容性調査には、新製品やサービスの成功確率を高められる様々なメリットがあります。主なメリットは下図の通りです。

図 コンセプト受容性調査のメリット
図 コンセプト受容性調査のメリット

 

  1. 開発リスクの低減
    本格的な開発プロセスに入る前に、ターゲット顧客の反応を把握することで、市場投入後の失敗リスクを回避できます。開発後に「期待と違った」といった問題を防げるため、無駄なコストや時間の浪費を抑える可能性を高められます。
  2. 顧客ニーズに基づいた開発の実現
    消費者の声を直接聞くことで、表面的な要望だけでなく、潜在的なニーズや不満点にも気づくことが可能です。これにより、顧客の心に響く競争力のある製品・サービスを開発できます。
  3. マーケティング戦略の最適化
    どのようなメッセージや表現がターゲットに効果的か、どのチャネルでプロモーションすべきかなどの施策ヒントが得られます。結果として、より効果的かつ効率的なマーケティング活動が可能です。
  4. 社内コンセンサス(≒社内合意)の形成
    調査データという客観的な根拠が得られることで、開発チームや関係部署との間で共通認識を得やすくなります。これにより意思決定がスムーズになり、組織全体の連携も強化されます。
  5. 競合優位性の確立
    消費者が重視する価値やニーズを的確に捉えることで、競合他社にはない独自の魅力を明確にできます。これにより、市場における独自ポジションを築き、競争力を高めることが可能です。

 
 

コンセプト受容性調査の流れ

コンセプト受容性調査は、単にアンケートを実施するだけでは、十分な効果を発揮できません。調査の目的を明確にし、適切な手順を踏むことで、実用的で信頼性の高い結果を得られるようになります。
この章では、コンセプト受容性調査を効果的に進めるための手順について、解説します。
 

①調査設計

調査設計は、コンセプト受容性調査を効果的に行うための「土台作り」にあたる重要なプロセスです。誰に、何を、どのように尋ねるのかを明確にし、調査の目的に沿った構成を組み立てることで、信頼性の高いデータを得られるようになります。
調査設計を適切に行わないと、調査結果の精度が下がり、誤った判断や意思決定につながるリスクが高まります。そのため、調査設計は調査全体の成果を左右するカギとなる、とても重要なステップなのです。
 

コンセプトリストの作成

コンセプト受容性調査では、消費者に提示する「コンセプトリスト」の質が、調査結果の信頼性や有用性を大きく左右します。そのため、効果的なコンセプトリストを作成するには、以下に注意する必要があります。

調査の目的を明確にする


まずは、どのような目的で調査を実施するのかを明確にすることが大切です。
例1:「新商品開発のための、複数のコンセプト案の中から最も評価の高いコンセプト案を選定したい」
例2:「コンセプト案のどの要素が、評価を高めているのか/下げているのかを把握し、改善要素を洗い出したい」

 

ターゲット層を明確にする


「誰に向けたコンセプトか」を明らかにすることで、調査するターゲットも明らかにすることができます。
例1:「F1層(20~34歳)の女性」
例2:「シニア層(65歳以上)の男女」

 

ベネフィットやインサイトを提示する


コンセプトリストには単なる機能の説明だけではなく、「ベネフィット※1」や「インサイト※2」も提示します。こうすることで、よりコンセプト案について回答者の理解が深まります。
例1:「毎日の献立作りに悩まず、時間も節約できる(ベネフィット)」
例2:「忙しい毎日でも、健康的な食事を手軽に作りたい(インサイト)」
 
※1 ベネフィットとは、商品から得られるお客様にとっての価値のことです。
※2 インサイトとは、消費者の行動や思考の背後にある、消費者も自覚できていない動機や欲求のことです。

 

コンセプト受容性調査の調査手法

コンセプト受容性調査では、調査の目的や知りたい情報に応じて、様々な手法が用いられます。ここでは代表的な3つの手法について、特徴と適したケースを解説します。
 

Webアンケート調査(ネットリサーチ)


Webアンケート調査(ネットリサーチ)は、インターネットを通じて多数の回答を短期間で集められる、とても効率性の高い調査手法です。この手法では、地理的な制約にしばられず、全国の幅広い属性の層から多様な意見を集めることが可能です。
また、時間や場所の制限が少なく、実施コストも比較的低いというメリットもあります。調査票の作成から配信、回収、集計までを一貫してオンラインで行えるため、従来の紙媒体や対面での調査に比べて手間と費用を抑えられます。
さらに、定量的な分析に適しており、結果を統計的に処理しやすいことも特徴です。
 
適したケース
・多くの意見を短期間で集めたいとき
・数値で全体傾向を把握したいとき

ネットリサーチ(WEBアンケート)

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会場調査(CLT:Central Location Test)


会場調査は、あらかじめ用意した会場で、調査対象者から、製品や広告等についての評価を聴取し、定量的にデータとして収集する手法です。この手法では、実物に近いモックアップや試作品を用いて、よりリアルな評価を得ることが可能です。
また、会場には調査員が常駐しているため、コンセプトの内容について補足説明をしたり、回答者からの疑問にその場で答えたりすることで、理解度のばらつきを抑えられます。これにより、誤解に基づく回答を防ぎ、質の高いデータを確保できます。
 
適したケース
・試用や試食など、体験を伴う評価が必要な場合
・より現実に近い使用シーンでの反応を知りたい場合

会場調査(CLT)

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インタビュー調査


インタビュー調査は、少人数を対象に、対面またはオンラインで広く話を聞いたり、深く話を聞いたりすることができる定性的な調査手法です。この手法では、アンケート調査などではとらえきれない潜在ニーズや感情、価値観などを、回答者の表情や声のトーン、言葉の選び方などから読み解くことが可能です。
また、表面的な回答ではなく、「なぜそう思うのか」「どのような背景があるのか」といった詳細な情報を得ることで、より的確な改善策や新しいアイデアにつなげられます。
さらに、グループインタビュー(FGI)形式で行われる場合は、参加者同士の意見交換や議論から、一人では生まれなかった新たな視点や予期せぬ発見が得られることもあります。
 
適したケース
・新しいアイデアの受け入れられ方を探りたい場合
・ユーザーの本音や深層心理を知りたい場合

グループインタビュー(FGI)

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コンセプト受容性調査の質問と選択肢の例

コンセプト受容性調査における質問と選択肢は、仮説を検証するのに必要なものを用意する必要が大前提です。また、設問と選択肢を用意しながら、分析のことにも気にかける必要があります。「どんな分析軸があったら、分析しやすいか」など、分析軸もこのタイミングで決定していきましょう。
そして、この分析軸が明確になることで、漠然とした質問ではなく、より適切で知りたい情報を引き出すための質問や選択肢を作成できます。
例えば、「新奇性」を分析の軸として設定したい場合、以下のような質問と選択肢を用意することで、消費者がコンセプトにどれくらいの目新しさを感じたかを定量的に把握できます。

新奇性

Q. あなたはどの程度、目新しさを感じましたか。(お答えはひとつ)
1.とても目新しさを感じた
2.やや目新しさを感じた
3.どちらともいえない
4.あまり目新しさを感じなかった
5.全く目新しさを感じなかった

 
 
また、上記の質問に加えて、コンセプトの『魅力度』や『使用意向』をあわせて尋ねることで、コンセプトに対する評価をより的確に把握することができます

魅力度

Q. あなたはどの程度、魅力を感じましたか。(お答えはひとつ)
1.とても魅力を感じた
2.やや魅力を感じた
3.どちらともいえない
4.あまり魅力を感じなかった
5.全く魅力を感じなかった

使用意向

Q. あなたはどの程度、使ってみたいですか。(お答えはひとつ)
1.とても使いたい
2.やや使いたい
3.どちらともいえない
4.あまり使いたくない
5.全く使いたくない

 
さらに、これらの定量的な質問に加えて、自由回答の質問も設けることで、より詳細な反応や、選択肢では拾いきれない具体的な意見を得られます。例えば、「このコンセプトのどのような点が魅力的でしたか?」「改善点があれば教えてください」といった質問をすることで、消費者の生の声を収集し、コンセプトの深掘りや改善に役立てられます。
コンセプト受容性調査と合わせて「この商品であればいくらまでなら購入しても良いか」といった価格に関する質問をすることで、適正な価格帯を探るためのヒントを得ることも可能です。

 
 

②調査実施

調査設計が完了したら、実施フェーズへと移行します。
この段階では、設計内容に基づいて実際に回答者に質問をしてきます。選択した調査手法によって具体的な進行方法は異なりますが、共通して重要なのは「正確かつ効率的に情報を収集すること」です。

例えば、Webアンケート調査では、作成済みのアンケートフォームをオンライン上で公開し、ターゲットとなる層に届くよう、適切なパネル(モニター)を通じて配信します。実施中には、回答の進捗状況をリアルタイムで確認しながら、必要に応じてリマインドを送るなど、回答率を高める工夫が大切です。
一方、会場調査やインタビュー調査では、あらかじめ設定した条件に従って対象者をリクルートし、調査会場の設営、コンセプト提示用資料の準備、調査員の事前トレーニングなどを行います。調査当日は、円滑な進行を図るとともに、回答者がリラックスして率直な意見を話せるような雰囲気づくりが重要です。特にインタビュー調査では、質問の仕方や深掘りのテクニックが成果を左右するため、調査員のスキルがとても重要となります。

 
また、いずれの調査手法においても、実施中にはシステムの不具合や設問内容の理解不足など、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。こうした事態に備え、事前のシミュレーションや代替手段の準備など、柔軟に対応できる体制を整えておくことが重要です。
 
 

③集計・分析

調査が完了した後は、回答データを集計・分析し、コンセプトの受容性を多角的に評価します。アウトプットの形式は調査の目的や活用シーンによって様々ですが、以下のような分析手法が代表的です。

要素別比較による現状の可視化
「印象評価」「利用意向」「購入意向」などの主要指標を用い、自社コンセプトと競合コンセプトを比較することで、自社コンセプトの現状におけるポジションを把握できます。
例えば、下図のように自社コンセプト案が全体的には高評価を得ていたとしても、「目新しい」において競合に劣っているようであれば、その点には改善の余地があると分析できます。このような比較分析を通じて、強みを活かしつつ弱点を補う実践的な戦略立案が可能です。

図 自社/競合コンセプトに対しての要素別(印象・利用意向・購入意向)の比較
図 自社/競合コンセプトに対しての要素別(印象・利用意向・購入意向)の比較

 
 
ポートフォリオ分析による改善ポイントの抽出
「魅力度」と「新奇性」のように2軸に基づいて複数のコンセプトをマッピングすれば、コンセプト案ごとのポジションを視覚的に把握できます。
例えば、下図のゼリードリンクの事例では、「飲みやすさ」を前面に出したコンセプトが高評価だった一方、「成分強調型」の案は評価が伸び悩み、訴求ポイントの再検討が必要であると判明しました。こうした分析により、改善すべき方向性を具体的に把握することが可能です。

図 ポートフォリオ分析
図 ポートフォリオ分析

 
 
自由記述による第一印象や感情の把握
定量データでは拾いきれない消費者の「本音」を探る手段として、効果的なのが自由記述の分析です。下図のように、「肌へのダメージが少なそう/肌に良さそう」「効果が少なそう」など、ポジティブ・ネガティブ両面の率直な意見を得ることで、パッケージデザインや広告表現の改善、さらには商品コンセプトそのものの微調整にも活用できます。

図 自社コンセプトの『第一印象』が分かるアウトプット
図 自社コンセプトの『第一印象』が分かるアウトプット

 
ただし、自由記述は回答者にとって負担が大きく、定量的な扱いが難しいという特徴があるため、設問の目的を明確にし、分析できる環境を揃えた上で設定することが重要です。
 
 

コンセプト受容性調査のスケジュール感と費用感

コンセプト受容性調査を実施するにあたり、事前にスケジュールと費用の見積もりを把握しておくことは、とても重要です。ここではWebアンケート調査を例に取り、一般的な費用感およびスケジュール設計の考え方をご紹介します。
 
費用感の目安
調査費用は、設計内容や対象者条件によって大きく変動します。下表は、5,000サンプルのスクリーニング調査×500サンプルの本調査を実施した場合の一例です。

表 コンセプト調査の『見積り例』
調査概要
対象者条件 全国/男女/20~60代(10歳刻み)/チョコレート菓子を週1回以上自購入
設問詳細 本調査500サンプル・25問以内/スクリーニング5,000サンプル・7問以内
見積り例
企画・調査票作成費用 ¥150,000
スクリーニング費用 ¥65,000 (5,000ss回収/7問)
基本費用 ¥380,000(500ss/~25問)
集計費用 ¥50,000 (GT/クロス集計)
レポート費用 ¥270,000(サマリ+標準レポート)
合計 ¥915,000

 
 
費用を検討する際のポイントは以下3点あります。

  1. 対象者条件の設定
    使用経験者や認知者など、出現率の低いターゲットを設定する場合、スクリーニングにかかるコストが増加することがあります。
  2. アウトプット内容
    評価するコンセプト数やコンセプト以外の評価(パッケージ/価格/試用等)も聴取するのか、どんなアウトプットを出したいのか、によって内容が変わるため、費用が変動します。
  3. 基本費用(画面作成~データ回収)の変動要因
    基本費用は、基本的にサンプルサイズや設問数に応じて変動します。信頼性の高い分析結果を得るには、割付(どのように分けて結果を見たいのか)などに基づいて、適切なサンプルサイズを決定することが大切です。

 
 
スケジュール感の目安
Webアンケート調査を前提とした場合、一般的な調査スケジュールは4週間程度が目安です。ただし、調査内容や条件によって、スケジュールは、大きく変わる場合があります。

図 コンセプト調査の『スケジュール例』
図 コンセプト調査の『スケジュール例』

 
スケジュール設計時のポイントは以下3点です。

  1. 調査企画設計
    調査の目的を明確にしたり、実現可能性をしっかりと検討したりするには、相応の時間を要します。質の高いデータを得るためにも、企画設計段階には、余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。
  2. 画面作成~アンケート回収
    設問数が多いほど、調査画面の作成にも時間がかかります。また、調査対象者の出現率が低い場合は、事前に出現率調査が必要になる場合もあります。
  3. レポート作成
    要約レベルでの報告か、詳細な分析レポートまでを含めるかによって、納品物の納期は異なります。

 

コンセプト調査・コンセプトテストの必要性と評価ポイント

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コンセプト受容性調査の活用事例

コンセプト受容性調査は、様々な業界や商品開発の場面で活用されています。ここでは、具体的な活用事例を2つご紹介します。

機能性表示食品の開発事例


ある健康食品メーカーは、「体脂肪を減らす」という機能性表示食品の開発にあたり、複数のコンセプト案(P、Q、R)を消費者へ提示し、その評価を調査しました。

調査内容と結果
「魅力度」「好意度」「購入喚起度」「新奇性」といった多角的な指標で各コンセプト案の評価を分析したところ、コンセプトQが全体的に高評価を得ていました。しかし、「新奇性」については、コンセプトRが特に優れていることも判明しました。詳細なフレーズごとの評価では、「天然由来成分を使った」という点が最も高く評価され、次いで「手軽においしく始めましょう」「スティックゼリー状」といった手軽さに関する表現も消費者の心に響くことがわかりました。

活用成果
この調査結果に基づき、メーカーは高評価だったコンセプトQをベースに、コンセプトRの「新奇性」要素を取り入れた最終コンセプトを構築しました。
「天然由来成分」を主要な訴求ポイントとして商品パッケージや広告表現に反映させ、ターゲット層を絞り込むことで、効果的なマーケティング戦略を立案し、市場投入に成功しました。

 

家電新商品のアイデア選定事例


ある大手家電メーカーが新しい家電製品の開発を検討する中で、複数のコンセプト案を評価するためのコンセプト受容性調査を実施しました。

調査内容と結果
この調査ではWebアンケート調査を活用し、開発中の家電商品のターゲットとなる性別・年齢層および一定期間内の競合商品使用ユーザー1,000人を対象に、コンセプト文を提示しました。
調査の結果、新しい家電製品について、消費者ニーズに最も合致して高い評価を得たコンセプト案を特定することができました。また、コンセプトの要素(機能、デザイン、使いやすさなど)ごとの評価を分析することで、具体的な改良点も明確に把握することもできました。

活用成果
評価の高かったコンセプト要素を組み合わせることで、より市場受容性の高い製品開発へとつなげられました。想定していたターゲット層と実際の受容層との間にギャップがあることも把握でき、マーケティング戦略の調整に役立てられています。

 
 

まとめ

この記事では、コンセプト受容性調査について、コンセプト受容性調査の概要から手法、活用事例までを解説しました。

新たな製品やサービスの開発は、企業の成長を左右する重要なプロセスであり、その大切なポイントが「顧客ニーズとの適合」です。コンセプト受容性調査は、開発初期の段などで顧客の期待や価値観を正確に把握することで、効率的な開発プロセスを支える強力な調査手法となります。

調査を通じて得られるインサイトは、開発の無駄を省き、市場に受け入れられる製品やサービスを生み出すうえで大きな助けとなります。ぜひ、コンセプト受容性調査を最大限に活用し、顧客から支持される魅力的な新製品やサービスの開発を進めていきましょう。

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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