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デプスインタビューの定義~分析:効果的な方法で本音とインサイトを引き出す - 【公式】| 市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2024.05.10

デプスインタビューの定義~分析:効果的な方法で本音とインサイトを引き出す

  • マーケティングリサーチHowto

「顧客や利用者の本音」や「深層に潜むインサイト」を探るための強力な手法として注目されているのが、デプスインタビューです。この手法は、従来のアンケート調査やグループインタビューとは異なり、対象者の心理や行動の背後にある真の意図、価値観を見極めることを目的としています。

この記事では、デプスインタビューの概要から、効果的に活用するための方法について解説します。

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デプスインタビューの概要について

デプスインタビューは、市場調査において定性的な情報を収集するための重要な手法です。アンケート調査やグループインタビューとは異なり、モデレーター(インタビュアー)と対象者が1対1で対話し、より深いレベルで、消費者の意識や行動を理解することができます。そのため、マーケティングにおける仮説から効果検証まであらゆる目的で活用することが可能です。

ここでは、デプスインタビューの定義と基本原則、並びにデプスインタビューを行う際に留意すべきメリットとデメリットのバランスについて解説します。
 

デプスインタビューとは:定義と基本原則

デプスインタビューは定性調査の一種です。従来のアンケート調査やグループインタビューでは表面的な意見しか収集できませんが、デプスインタビューでは、対象者の深層心理を探求し、本音とインサイトを引き出せます。

デプスインタビューを成功させるためには、以下の基本原則を理解することが重要です。

  • 対象者との信頼関係構築モデレーターは、対象者との信頼関係を築き、安心して話せる雰囲気をつくる。
  • 共感的傾聴対象者の話を最後まで注意深く聞き取り、相手の話に共感を示す。
  • 非言語コミュニケーション言葉だけでなく、表情や声のトーンなどにも注意を払い、全体的な理解を深める。
  • 柔軟な対応事前に準備した質問項目にとらわれず、対象者の話に合わせて質問を調整する。
  • 倫理的な配慮対象者のプライバシー保護やデータの適切な管理に十分配慮する。

これらの基本原則を踏まえて、モデレーターは対象者に寄り添い、深い洞察を得られるインタビューが求められます。
 

メリットとデメリットのバランス理解
メリット

デプスインタビューには、他の調査手法に比べて以下のような優れたメリットがあります。

  • 対象者の本音や深層に隠された情報を引き出すことができ、表面的な回答だけでは得られない価値あるインサイトを得ることが可能
  • インタビューの流れを対象者の反応に合わせて調整することで、想定していなかった洞察を得られる
  • 他者の影響を排除して、対象者の反応を丁寧に観察、インタビューができる
  • 対象者が一人きりのため、他の参加者がいると話しづらいデリケートなテーマを扱える

 

デメリット

その一方で、デプスインタビューには以下のようなデメリットがあることも考慮すべきです。

  • 1回のインタビューに時間と労力がかかるとともに、適切なスキルや経験を持ったモデレーターが必要
  • 分析結果には、分析者の主観が大きく影響する可能性がある
  • 調査結果は個人の回答であるため、結果を一般化しにくい場合がある

デプスインタビューを効果的に活用するためには、そのメリットを最大限に引き出しつつ、デメリットを最小限に抑えることが重要です。例えば、対象者の選定を慎重に行うことでインタビューの回数を少なくしたり、スキルの高いインタビュアーを招くことで、より深い洞察を得られます。

また、アンケート調査やグループインタビューと組み合わせることで、「サンプル数の少なさ」や「分析難易度の高さ」を補うことも可能です。デプスインタビューのメリットとデメリットを理解して適切に活用することで、デプスインタビューは非常に有効な調査手法となります。
 
 

デプスインタビューの準備と実践

デプスインタビューは対象者の回答や反応に応じて、柔軟な対応が求められる調査手法です。だからこそ、デプスインタビューを成功させるには、適切な準備と丁寧な実践が必要です。

ここでは、デプスインタビューの準備と実践に必要なステップについて解説します。
 

調査目的の明確化と対象者の選定
調査目的の明確化

調査目的を明確化することは、デプスインタビューを成功させるためにとても重要なことです。明確な調査目的の設定により、インタビューの方向性や質問の構成が明らかになります。特に、デプスインタビューは当日の流れを想定しづらい側面があります。そのため、調査目的が不明確ですと、インタビューの焦点がぼやけ、有用な情報を見逃すリスクがあります。

調査目的を明確にするためには、以下のようなステップが有効です。

  1. 課題の特定現状、抱えている課題や解決したい問題点を明確にする。
  2. 調査で得たい成果調査結果をどのように活用し、どのような成果を得たいのかを想定する。
  3. 解決策の仮説直面している課題を解決するための仮説を立てる。
  4. 検証内容の想定仮説を検証するために、デプスインタビューでどのような対象者から、どのような情報を収集したいかを具体的に定める。

 

対象者の選定

調査目的を明確化したら、次に対象者の選定を行います。デプスインタビューはその性質上、多くの対象者に実施することが困難な調査手法です。そのため、限られたインタビュー対象者の中で、調査目的に合致していない方がいる場合、得られる情報に偏りが生じて、分析結果の信頼性が低下してしまいます。そのような事態を避けるためにも、デプスインタビューでは適切な対象者の選定が重要です。

対象者の選定は、以下のようなステップで進めます。

  1. 基準の設定調査目的をベースに対象者の選定基準を明確にする。
  2. 多様な候補者の確保調査会社のモニターなど、できるだけ多数の候補者を確保する。
  3. 事前のスクリーニングスクリーニングのための質問や事前の面談を通して、適切な対象者を選定する。

これらのステップを踏むことで、デプスインタビューの調査目的を明確にし、適切な対象者を選定できます。
 

質問項目の設計とインタビューフロー

質問項目の設計は、デプスインタビューの中心となる部分であり、対象者から深い洞察を引き出すために重要な要素です。適切に設計された質問項目は、対象者からの的確な回答を促し、相手の本音や深層心理を引き出すことにつながります。

質問項目設計のポイントは以下の通りです。

  • 質問項目は、調査目的と関連した内容にする。
  • 具体的なエピソードや数字を引き出し、そこから深掘りしやすい質問を設計する。
  • 答えが限定されない、オープンエンド質問(オープンクエッション)を設計する。
  • 誘導や偏りのない、中立的な質問を設計する。
  • 質問は対象者が論理的に考えやすい順序に配置する

インタビューフローは、質問項目の展開や対話の流れを整理し、円滑なインタビューを実現するための道筋となります。インタビューフローを作成することで、モデレーター(インタビュアー)と対象者の双方が話題を明確に把握しやすくなり、意図した情報収集がスムーズに進められます。

インタビューフロー作成のポイントは以下の通りです。

  • 導入部はアイスブレイクなどを設けて、対象者がインタビューの目的と流れを理解し、安心感を持てる雰囲気づくりを行う。
  • 質問は対象者の考えやすい流れを意識して、状況に応じて回答を深掘りする。
  • 最後にインタビューの感想などを聞いたうえで、感謝の意を示してインタビューを終了する。

質問項目とインタビューフローを綿密に設計することで、対象者から質の高い情報を引き出せ、有益な分析へとつながります。
 
 

インタビュー実施のコツとテクニック

インタビューは、対象者の心の奥底にある真実を引き出すための重要なプロセスです。ここでは、デプスインタビューを実施する際のコツとテクニックに焦点を当てて、解説します。
 

インタビューの進め方

インタビューの進め方には、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、冒頭ではモデレーター(インタビュアー)と対象者との間に、ラポールを築くことが重要です。ラポールとは心理学の世界で使われている言葉で、対話する相手との間に生まれる、信頼できる関係やリラックスした関係を意味します。ラポールを築くための重要なポイントは、「共通点を見出すこと」と「相手を否定しないこと」です。 丁寧な挨拶や簡単な自己紹介の後に、仕事や家庭などお互いが共感できる話題で対象者がリラックスできる雰囲気を作ります。続いて、明確な目的やインタビューの流れを伝えることで、対象者にインタビューの進行についての理解を促します。

インタビューの最中は、対象者の発言に耳を傾けながら 適切なタイミングで質問を投げかけて自然な会話の流れを保つことが大切です。また、対象者の反応や表情に注意を払い、適切にフォローアップ質問(話を掘り下げている質問)を行うことで、話題の深層部分に迫れます。
 

効果的な質問と深掘りの技術

デプスインタビューにおいて、対象者に直接「購入した動機は何ですか?」と尋ねると、対象者は深層心理、つまり「本音」の部分での回答ではなく、「建前」を回答するリスクがあります。それは、自覚できていない故に、結果として「建前」を回答するのです。そこで、対象者の真の動機や深層心理を探るためには、具体的な「事実」に基づいた質問を行うことが重要です。

  • 対象者が取った具体的な「行動」は?
  • 利用回数や使用金額などの「数値」は?
  • いつ、どこで、どのような「状況」だったのか?

このような事実をベースとして、「購入前に店員に○○と質問をした理由は?」「この製品を○○の価格で購入した判断基準は?」と質問することで、対象者は当時の状況を思い出し、より深い自己分析ができるようになります。さらに、同様の深層心理が働いたケースを思い出してもらうと、対象者自身がより深層心理をセルフチェックしやすくなります。

このように、調査対象者の深層心理を正しく探る必要があるため、モデレーターは心理学を用いた技術が求められます。
 
 

データ分析からインサイトへ

デプスインタビューで収集できたデータは、顧客の深層心理や潜在ニーズを適切に分析することで、具体的な行動や改善策につながる有益な情報となります。

ここでは、デプスインタビューデータの分析からインサイトを抽出するプロセスについて解説します。
 

結果のデータの整理と分析

デプスインタビューで収集できた情報は消費者の内面を推察でき、しばしば深い示唆を与えてくれます。しかし、その内容は主観的であるとともに、多様な表現や意味を持つことが多く、分析しづらい構造になっているケースが多いです。そのため、インタビュー結果の情報を分析する前段階として、情報の整理が必要です。デプスインタビューで得られた情報を整理する際には、文字起こししたデータから、テーマや類似する回答をグループ化し、カテゴリー分けします。その上で、重要なフレーズやキーワードにコードを割り当て、データを把握しやくさせます。

また、重要なフレーズやキーワードでもグループ化できるようにしておくと、分析作業の際に情報を参照しやすくなるので、分析しやすくなります。さらに、対象者の回答を時系列に沿って整理しておくと、変化の過程を把握しやすくなります。

整理した情報を分析する際は、その情報がどのような背景で、どのような要因から導かれたものかを理解することが大切です。対象者の言動に隠された意図や心理を読み取るために、間接的な表現や一貫性の有無などを注意深く分析します。時には言葉の裏にあるニュアンスや矛盾点に着目し、深層心理や潜在的な欲求を探るのも効果的です。
 

インサイトの抽出とレポート作成

分析結果からインサイトを抽出する際には、まず事前に設定した仮説と分析結果を比較します。おおむね、両者が一致している場合は仮説の裏付け、一致していない場合は仮説との相違点が、インサイト抽出の大きな流れとなります。

分析結果を検討する場合は、異なる観点から「データ」や「情報」を照らし合わせ、パターンや意味を見出すことが重要です。相互作用や因果関係を探求し、意外な発見や関連性を見つけ出すことがインサイトの発見につながります。また、複数のデータソースを総合的に分析することで、より深い理解と洞察につながります。

インサイトを抽出する際のポイントは、客観的なデータと主観的な情報をバランスよく考慮することです。分析結果に基づいた客観的な事実と、デプスインタビューなどの主観的なコメントを総合的に検討し、誤解や偏りを排除してインサイトを導き出します。

インサイトを抽出できたら、次はレポートを作成します。レポートを作成する際は、分析結果やインサイトを分かりやすく、論理的にまとめることが重要です。読み手の立場になって、図表やグラフなどを活用し、分かりやすく説得力のあるレポートを作成しましょう。
 
 

成功への道と落とし穴

デプスインタビューを正しく実施できた場合には、貴重なインサイトや実践につながる分析結果が得られます。しかし、デプスインタビューの実施過程には、適切ではない分析結果につながる落とし穴も多く存在します。

ここでは、デプスインタビューの成功事例を紹介し、その成功要因を分析するとともに、避けるべき落とし穴について解説します。
 

デプスインタビューの成功事例

ある生活雑貨店はショップのブランドイメージを高めるために、店頭でにぎやかな商品展示を行わず、デザイン性に優れた店内環境を整えていました。

しかし、売上が伸び悩んでいたため、ターゲット層である20~30代の女性顧客を対象にデプスインタビューを実施しました。当時、デザイン性の高さを求めるユーザーは、自分が価格などのお得感で商品購入しているというイメージを嫌う傾向がありました。そのため、アンケートなどの表面的な調査では、「店全体のイメージを重視する」という回答が多くなっていました。

しかし、デプスインタビューを行ってみると、一部の人気店以外では店全体の雰囲気よりも、店頭ディスプレイが入店の決め手になっていることが判明しました。この調査結果を受けて、生活雑貨店は、店頭に魅力的な商品を積極的にディスプレイする戦略に転換しました。これにより、店頭の魅力が増し、より多くの顧客が店内に足を運ぶようになりました。結果として、顧客の店舗流入数が大幅に増加し、売上も2倍以上に拡大しました。

このように、デプスインタビューは対象者の表層的な意識ではなく、意思決定に大きく影響する深層心理に迫れます。その結果、表面的なデータではなく顧客の真のニーズを理解することで、ビジネスの課題解決に貢献できます。
 

回避すべき落とし穴

デプスインタビューは非常に有効な調査手法ですが、適切に実施されなければ、本来の成果を十分に得られない可能性があります。ここでは、デプスインタビューで陥りやすい3つの落とし穴を紹介します。

    1. ターゲット選定のミスデプスインタビューは、どうしても調査対象者が少数になる傾向があります。そのため、調査目的に合致しない対象者を選定してしまうと、誤ったインサイトを導き出す原因となります。対象者選定には細心の注意を払い、調査の目的に沿った適切な人物を選ぶことが重要です。
    2. モデレーターのバイアスモデレーターが自分の意見や先入観を強く持つと、質問の仕方やデータの解釈に影響を与えることがあります。特に、調査の仮説立案にモデレーターが関係すると、この傾向が強くなります。これを避けるためには、モデレーターは中立的な立場を保ち、対象者の回答に影響を与えないように意識することが必要です。
    3. データの過剰解釈デプスインタビューで収集できたデータは解釈の余地が大きいため、過度な推測を招いてしまう可能性があります。収集したデータは客観的に分析し、複数の分析方法を用いるなど納得性の高いインサイトを導き出すことが必要です。

 
 

まとめ

ここまで、デプスインタビューの定義と、効果的なインサイトを引き出す方法について解説しました。デプスインタビューは単なる質問と回答のやり取りではなく、モデレーター(インタビュアー)が対象者との信頼関係を築きながら、深層心理に迫る調査手法です。表面的な調査では把握できない潜在ニーズを掘り下げることで、非常に有益なインサイトを得られます。

しかし、デプスインタビューを成功させるには、適切な計画と準備、モデレーターのスキル、分析能力など、相応のノウハウと経験が必要です。もし、自社に十分なノウハウがない場合は、社外の専門家に相談するのも有効な選択肢です。

ぜひ、デプスインタビューを活用して、顧客の深層心理を解き明かし、ビジネスを成功に導いてください。
 
 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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デプスインタビューの概要とメリット・デメリット

デプスインタビューの概要とメリット・デメリット

デプスインタビューとは、対象者とインタビュアーによる1対1の面談式で実施する調査方法です。パーソナル・インタビューとも言います。 商品やサービス等の選択・購買理由などをより深く掘り下げて探ることができます。 特に、ペルソナ、ラダリング、ジャーニーマップ作成を目的とする場合はデプスインタビューが適しています。
類似の調査手法として、オンライン・デプス・インタビューや電話インタビューなどがあります。

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デプスインタビューの費用

デプスインタビューの費用

【料金体系】アスマークのモニタ会員に対し、スクリーニング(絞り込み)アンケートを行ない、対象者条件に合致する方を抽出します。「対象者のリクルートのみ」、「リクルートとモデレータのみ(ルームはお客様で手配)」など、お客様のご要望に合わせご依頼可能です。
デプスインタビューの各種料金についてご紹介します。

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