市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2026.09.24

AI時代に潜む「リサーチの罠」——95.8%がAIを使う今、なぜデータの“質”に迷いが生じるのか?

  • リサーチャーコラム

近年、セルフ型リサーチツールの普及や生成AIの急速な進化により、誰もが手軽に「リサーチ」を行える時代になりました。2026年7月に発表された最新の調査結果によると、リサーチ業務における生成AIの利用率は実に95.8%に達しているといいます。

しかし、その手軽さとスピードの裏で「本当に正しい意思決定ができているのか?」という不安を抱える担当者が増えているのをご存知でしょうか。

今回は、最新の利用実態データから見えてきた課題を紐解きながら、AI時代だからこそ立ち返るべき「リサーチの質」の本質について考えます。
 
 

生成AIとセルフ型ツールがもたらした「速さ」と「新たな不安」

最新の「セルフリサーチサービス利用実態調査(2026年)」によると、セルフ型リサーチを利用する最大のメリットは「はやく調査ができること」(84.7%)と「価格が安いこと」(76.3%)であり、手軽な情報収集の手段として定着している様子がうかがえます。

さらに、リサーチ業務における生成AIの導入も驚異的なスピードで進んでおり、その使途は「設問・選択肢の作成」(64.8%)や「調査仮説の設計」(64.3%)といったリサーチの上流工程に集中しています。

AIが調査設計の叩き台を作り、セルフ型ツールで即座に配信する。一見、非常に効率的でスマートなプロセスに見えます。

しかし、この「手軽さ」が広まる一方で、多くのユーザーが以下のような深刻な課題に直面しています。

  • 「回答してほしい人に回答してもらえているのか、その精度がわからないこと」
  • 「質問設計の専門的知識が心配」
  • 「大量のデータの傾向をAIに分析させることは効率的に感じる。一方で、信頼性の担保が難しい。」

 
実際に、約4人に1人(25.3%)が「アウトプットの精度や信頼性に不安を感じることがある」と回答しています。AIを使えば「それらしい仮説や設問」は瞬時に作れますが、その問いが「本当に自社の課題に対してバイアスなく設計されているか」、そして得られたデータが「本当に信頼できるものか」というリサーチの核心部分において、今、多くの担当者が迷いを感じているのです。
 
 

なぜAIとセルフ型ツールだけでは「正しいデータ」が得られないのか?

リサーチの目的は「データを集めること」そのものではなく、「ビジネスの正しい意思決定の根拠(一次情報)を得ること」です。しかし、アンケートやインタビューの設計には、直感やAIの出力だけではカバーしきれない緻密な科学が求められます。
 

  • わずかな表現の違いが結果を歪めるバイアス
    「すべて/いくつでも」といった言葉のニュアンスの違いや、選択肢の提示順序、アンケート画面のレイアウト(UI)の違いによって、回答データは容易にバイアス(偏り)が生じます。
  • 回答者のモチベーションと「回答負荷」のコントロール
    設問文が長すぎたり、選択肢が多すぎたりすると、回答者は疲弊し、注意力が散漫な状態での回答を引き起こす原因となります。回答者の心理を深く理解した設計でなければ、真実性の高いデータは引き出せません。
  • データの「純度」を見極めるスクリーニング
    画面の向こう側の回答者が適当に答えていないか、矛盾がないかを見極めるには、高度な「トラップ設問」の設置や「ダミー項目」の配置などを用いた有効性の検証が不可欠です。

 
AIは一般的な仮説を立てるのには非常に優秀ですが、個別のビジネス文脈におけるこれら「バイアス」や「不適切データ」を適切にコントロールすることはできません。

「AIで調査の企画が速く楽になった今だからこそ、本当に人に聞いて確かめる検証の重要性は増している」と実態調査でも指摘されている通り、一次情報の“確かさ”を担保するためには、リサーチのプロフェッショナルによる専門知がこれまで以上に求められているのです。
 
 

私たちが、あえてセルフ型ツールを提供せず「質」にこだわる理由

当社はマーケティングリサーチのプロフェッショナルとして、昨今のトレンドであるセルフ型ツールをあえて提供しておりません。なぜなら、確かな意思決定の土台となる「ノイズのない、純度の高いデータ」を確実にお届けすることこそが、私たちの果たすべき役割だと考えているからです。

調査票の設計から回答者への心理的アプローチ、データクリーニングに至るまで、リサーチの「質」を科学的に追究する独自の実験調査(ラボ)の取り組みや、学術誌掲載・JIS規格適用数業界No.1といった確かな実績に関する詳細は、ぜひ下記の専用ページよりご覧ください。

 
 

おわりに:スピードの時代だからこそ、「確かさ」をビジネスの武器に

「速さ」と「安さ」はビジネスにおいて大きな魅力です。しかし、その結果得られたデータに「不安」や「ノイズ」が混じっていれば、どれだけ早く施策を進めても、誤った意思決定による大きな手戻りや損失を招きかねません。

AIが当たり前にリサーチを支援してくれる時代になったからこそ、最後の砦となる「一次情報の確かさ」には徹底的にこだわりたいもの。

「手軽さ」のその先にある、ビジネスを揺るぎないものにするための「本質的なリサーチ」をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。

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執筆:アスマーク編集局

執筆:アスマーク編集局

アスマーク編集局は、数多くのメーカー、官公庁、大学との広範な調査実績に基づき、実務に直結するマーケティングリサーチの知見を発信する専門組織です。単なる手法の解説に留まらず、「現場で求められる判断基準」や「実務上の留意点」を網羅した専門コンテンツを企画・制作しています。

普及活動の実績
調査・分析に関する自社セミナーは累計参加者26,000人を突破。関連資料の利用者は11,000人を超えています(※2026年現在)。

学術・教育支援
日本社会学会や日本行動計量学会等への参画、大学での講義(累計受講者1,000人以上)を通じ、リサーチノウハウの普及に努めています。また、大学等の教育機関へ1万人規模の実証データを提供し、PBL(課題解決型学習)教育の支援も行っています。

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監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。学術調査チームの立ち上げや、業界内でも難易度の高い「難病・希少疾患」「障がい者」のリクルートサービスの立案・リリースを主導。共同著者として参画した研究論文が学術誌『グローバルビジネスジャーナル』に掲載された実績を持つ。

専門領域
消費者インサイト分析、セグメンテーション。学術的根拠に基づき消費者モニターをタイプ分類する「インサイト・セグ」を開発。

発信実績
「日本のマーケティングリサーチ20年の変遷」の執筆や、最新技術を網羅した「ChatGPTを調査設計・レポートに活用する検証セミナー」への登壇など、伝統的手法から最新トレンドまで幅広い知見を保有。

本記事の監修にあたって
自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。

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アンケートの“質”研究ラボ

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