公開日:2020.05.18

VR/ARに期待することとMRでの活用

  • リサーチャーコラム

日進月歩する技術により、いままで夢見ていた未来の出来事が実現しつつあります。特に日常生活では起こりえない体験ができるVR(仮想現実)/AR(拡張現実)といった技術が、私たちに大きなインパクトを与えたことは言うまでもありません。また昨今直面しているコロナ禍で、様々な活動がオンライン上で行われるようになり、リモート化が加速していく中、これらの活躍の場はさらに広がりをみせていくでしょう。

いま一度、VR/ARとは一体どのようなもので、その活用方法にはどのようなものがあるのかを理解する必要があります。
 

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Virtual Reality(仮想現実)の略称で、CGで作られた仮想世界をあたかも現実世界で起きているかのように体感させる技術のことです。一般的にはVR専用のゴーグルを装着し、その液晶モニターに映し出される映像を体験することができます。

活用方法としては、ゲームや映像体験といったエンターテイメント分野はもちろんのこと、その臨場感を活かした職業訓練や災害などの緊急事態に備えたシミュレーション、トレーニングは医療、スポーツ、教育など多くの場で活用されています。また、経験を共有すれば、他者の視点に立ったものの見方を、身をもって理解することができます。

例えば、認知症患者の世界をVRに投影し実際に体験することで、生活のどこに危険が孕んでいるのかリスクヘッジになるだけでなく、何に困っているのか、何を望んでいるのか、言語化が難しい患者に代わって、自分で理解することができます。自分の体を介して、他者の気持ちを理解することができたなら、価値観が多様化する現代社会において、より互いの共感や受入れを促すでしょう。
 

Augmented Reality(拡張現実)の略称で、現実世界とデジタル情報を重ね合わせ、CGなどで作った仮想のものを現実世界に映し出していく技術のことです。一般的にはスマートフォンやタブレット端末などを利用して、CGを現実世界に反映することができます。近年、社会現象を巻き起こした「ポケモンGO」やカメラアプリの「SNOW」もこのARに当たります。

活用方法としては、手元のスマートフォンやタブレット端末をかざすだけで実際に試着をしなくても、その洋服が似合っているか確認ができるアプリや、紙媒体の広告やパンフレットに動画をつけ、購買意欲を高めるなどがあります。ARには情報をより分かりやすく伝達でき、また現実世界をベースに置いているため、より自分の身に起きたこととして意識させる働きがあります。

仮想世界に身を投じ、そのリアルさを体験できるVRと現実世界にありながら、わたしたちが感知できる情報以上の情報を付加できるAR。VR/ARの違いは仮想世界と現実世界のどちらに主体を置いているかだと言えるでしょう。
 

VR/ARに今後期待されることは、長期化する新型コロナウイルスとの闘いに向けて、ウイルスと共生するための一つの方法としてではないでしょうか。
例えば、VRを利用したバーチャル空間でのイベント開催や旅の疑似体験提供、ARを活用したネットショッピングなどです。新型コロナウイルスの感染拡大によってやむを得ずできてしまった物理的な距離や精神的な疲弊をVR/ARが癒してくれるでしょう。
 

体験を強みに持つVR/ARはリサーチ分野においても、大いに活用できると考えております。
「ある商品をいつ・どこで購入したか」「この広告をいつ見たか、どのような気持ちなったか」といった質問の多くは、対象者の記憶に基づいた回答がなされてきました。

インターネットリサーチ、会場調査やグループインタビューなどの手法であっても、記憶に依存するため、曖昧なことが多分に存在します。曖昧な記憶は「聞き方」や「環境」「気分」に影響される可能性があります。しかし、VR/ARを活用すれば、追体験することが可能になり、よりリアルな結果を得ることが期待されます。

また、人間の記憶は単に見る・聞くことよりもはるかに体験することの方が残るといいます。この刺激の大きさは対象者を飽きさせないという面でも、回答疲れによる適当な回答の防止に有効だといえるでしょう。現在ではVR/ARを使ったリサーチは大掛かりになってしまうケースが多いのですが、今後はよりコンパクトに手軽に活用されるようになってくるでしょう。
 

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執筆者
北島 みちる
株式会社アスマーク リサーチソリューショングループ
生命保険会社の法人営業として、主に官公庁を担当。その後2018年、中途入社。現在では、化粧品会社や食品会社などの広告・メディアをメインとして、定量調査の調査票~レポート・コメント・サマリ作成までを担当。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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