市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2021.07.21

料理で例える脳計測のメリット/デメリット NeuroAI(D-Planner)コラム第一弾

  • リサーチャーコラム

はじめに

アンケートやインタビュー等従来からのリサーチ手法では捉えきれない人の無意識から生じる行動原理を、脳の活動から明らかにし、商品開発や広告宣伝などのマーケティング活動に役立てようというアプローチのことをニューロマーケティングといいます。

また、「脳科学×AI」の融合研究を世界に先駆けてマーケティングへと応用し、コンテンツを見ている人が何を感じているかを脳活動から予測する技術として、NTTデータはNeuroAIという脳情報仮想化技術を開発しました(https://nttdata-neuroai.com/)このNeuroAIを用いた、コンテンツに対する消費者の脳反応を予測/解読できる「D-Planner」というサービスを弊社とNTTデータが共同で提供しています。

いずれも、“脳計測”を行うことが前提となっており、計測した脳からの情報を分析し活用するアプローチとなっています。

NeuroAIでは脳計測が不要ではあるのですが、一般的に脳計測の方法にはどのような種類があり、どのように計測されているのでしょうか?普段は何気なく説明してしまう脳計測の詳細について紹介します。

 

脳を計測する(料理を計測する!?)

硬い「頭蓋骨」の中にある「脳」という構図を、「調理鍋」の中にある「料理」と置き換え、「調理鍋」の中を知る方法について、実際の脳計測方法と関連付けて説明したいと思います。

図1

試食してみる

調理鍋の蓋をあけて試食をすれば料理がわかります。普段私達が何気なく試している方法ではないでしょうか。

これは、脳を対象にした際には、先述のような解剖、もしくは脳に電極を刺して電位測定を行うSingle(Multi)Cell Recordingが該当します。実際のマーケティングの現場で用いることはまず難しいでしょう。

・メリット
当たり前ではありますが、確実に味がわかり料理を特定出来るというメリットがあります。
さらに、この場で塩を足すなどして味を整えることが可能でしょう。これは医療現場における外科的な処置と対応づけることができるでしょう。

・デメリット
料理の場合、デメリットは無いように思われます(多少量が減る……でしょうか)
脳の場合はどうでしょうか。料理では鍋の中で味の偏りはあまりありませんが、実際の脳では活動する部位に偏りがあり、脳全体を調査するには不向きです。また、それ以上に安易に頭蓋骨(調理鍋)を開けることが出来ないという一番の問題が存在します。

 

 

図2

匂いを嗅いでみる

私達は何も直接調理鍋の中身を食べなくても料理の内容を予測することが可能なことを経験に知っています。調理鍋の蓋が閉じていても、鍋の外に漏れ出してくる匂いで料理が何か?を予測することが出来ます。これは脳においても同じで、脳計測においては脳の発する電位を頭皮上で計測するEEGや頭皮から皮質部分の血流量を計測するNIRSが該当すると考えられます。

・メリット
簡単に料理がなんであるか?を即時に知ることが出来ることがメリットでしょう。脳計測においても前述、後述と比較しても最も簡易に計測を行うことが可能です。

・デメリット
先述、後述の方法と比較すると料理の詳細については知ることが難しいと考えられます。同じカレーでもビーフカレーとポークカレーの差を香りのみで調査するのは難しいのではないでしょうか。また、刺激が弱い場合や香りの少ない料理の場合、匂いだけでは判別出来ない可能性があります。

脳計測の場合でも、取得したデータがどのような脳活動の結果得られたのか関連付け(解釈)が難しかったり、シンプルであったり静かな刺激の場合十分に脳から反応が得られない可能性も考えられます。

 

 

図3

素材を調べてみる

最後は今までと少しアプローチを変え、鍋の中にある素材達から料理を知ることが出来ないでしょうか?例えば、ニンジン、タマネギ、牛肉、クミン、ターメリック……調理鍋の中にある量、構成がわかれば料理が何であるか?どんな味であるか?詳細な状態まで調査することが出来るのではないでしょうか。

脳においては脳活動量を計測する方法としてfMRIやPETがこの方法に該当します。fMRIでは脳に流れる血流量の変化、PETにおいてはブドウ糖の消費を外部からそれぞれ特殊な方法で計測することで脳の深部まで部位毎に詳細な活動量を把握することが可能です。

・メリット
前述のどの方法に比較しても料理の詳細な全体像を知ることが出来るというメリットが考えられます。脳においても同様でしょう。

・デメリット
料理においてはさほど難しいことはなく、デメリットはないように思えます。しかし脳計測の場合fMRIやPETの計測装置自体が大掛かりなものになります。専用の部屋や建物も必要となります。また、PETの場合は放射性薬剤を用いる関係から短期間に複数回実施することは難しいという問題もあります。

NTTデータのNeuroAIではfMRIのデータを用いてマーケティングに活用可能なデータの分析等を行っています。

 

脳を計測する(料理鍋の中身を予測する!?)

fMRIのような脳計測手法を用いることで詳細に硬い調理鍋の中にあるカオスを計測することが出来ること、一方で計測機材導入の難しさがわかりました。

この課題を解決したのがNeuroAIです。即ちこの”fMRI計測自体を機械学習によって置き換えたもの”がNeuroAIといえます。マーケティングの文脈では知覚対象(TVCMやパッケージデザイン、ポスター等)を見た際の脳の状態を再現すること可能となっています。

図4

若干アナロジーでの説明がかえってわかりにくくなってきている気もしますが……「完成した料理を見ただけで、調理鍋の中の状態が推定出来る仕組み」と考えることが出来るでしょう。

 

おわりに

今回のコラムでは脳計測のメリット/デメリットを料理に擬え紹介を行いました。

次回以降のコラムではニューロマーケティングを行う際にNeuroAIを使うと何が出来るのか?どう変わるのか?についてテーマを設けて掘り下げます。

 

関連コンテンツ