
2025.04.07
リブランディングとは?成功させるためのポイントや調査手法など紹介
現代の市場環境は急速に変化しており、企業が持続的に成長するためには、時代の流れに適応し、ブランドの価値を再定義することが求められます。特に、顧客のニーズが多様化……
公開日:2026.07.01
ブランドイメージは、企業や商品・サービスに対して生活者が抱く「印象」「感情」「評価」の総体であり、売上や採用、競争優位に直結する重要な資産です。
本記事の要点(サマリー)
本記事では、ブランドイメージの定義や向上のメリット、混同しやすい概念との違いを解説します。さらに、調査の進め方や質問テンプレート、得られるインサイト、そして確立・向上に向けた具体策までを一連の流れで網羅しました。
ブランドイメージとは、企業やブランドに対して顧客や生活者が抱く認識や印象のことです。生活者がそのブランドに接したときに頭に浮かぶ印象、感情、評価のまとまりとも言えます。
これはロゴや広告だけで作られるものではありません。商品の品質や価格の納得感、接客、SNSでの振る舞い、社会的活動など、あらゆる顧客接点における体験の積み重ねによって形づくられます。
ブランドイメージを単なる「認知の有無」ではなく、「どう解釈されているか」と捉えることが重要です。
たとえば、同じ「安い」という言葉であっても、生活者が「コスパが良い」と捉えるか、「品質が不安」と捉えるかで結果は真逆になります。イメージとは言葉のラベルではなく、体験を通じて生じる主観的な解釈なのです。
一度確立されたブランドイメージは、顧客にとって購買判断の近道として機能します。情報が溢れる現代の市場において、生活者はすべての選択肢を詳細に比較しきれません。そのため、「あの会社なら安心」「これは自分向けではない」といった直感的な印象で商品を選別します。だからこそ、狙うべきイメージは広告などの発信だけで作るのではなく、体験と一貫性によって育てる資産であると捉えることが、実務で失敗しないための鍵となります。
ブランドイメージの向上は、短期的な販促効果にとどまらず、価格競争からの脱却や採用力の強化、レピュテーション(評判)の向上まで、幅広い経営効果をもたらします。
強固なブランドイメージは、競合との激しい比較に巻き込まれる前に「選定候補」に残る確率を高め、販促や営業の負担を軽減します。また、その好影響は顧客のみならず従業員や社会へも波及し、組織のエンゲージメント向上や長期的な経営の安定に直結します。
ブランドイメージ向上がもたらす具体的なメリットを、3つの側面から詳しく見ていきましょう。
ブランドイメージが向上すると、顧客からの「指名買い」や優先的な選択が生まれ、CVRやリピート率、LTVが向上しやすくなります。生活者は「失敗したくない」場面ほど、安さよりも信頼性を重視するため、同じ集客数でも高い成果を期待できます。
利益面における最大の利点は、価格プレミアム※が成立しやすくなる点です。値引きに頼る販促が続くと、顧客に「定価は高すぎる」という印象を植え付けかねません。しかし、品質や世界観への納得感があれば、価格は「高い・安い」ではなく「価値に見合った妥当なもの」として受け入れられます。
さらに、広告や販促の効率も改善します。良好なイメージは広告の説得力を底上げし、顧客の心理的ハードルを下げるため、結果的にCPA(顧客獲得単価)の抑制につながります。商品やサービスがコモディティ化しやすい市場だからこそ、機能差ではなく「そのブランドを選ぶ理由」を確立することが、差別化の核となります。
※ 価格プレミアムとは、顧客が「このブランドなら、他の商品より少し高くても買いたい」と思える上乗せ分の金額のことです。
ブランドイメージは、採用市場における企業への「事前評価」として機能します。求職者は入社前に業務の実態を完全には把握できないため、「成長できそう」「誠実そうな企業だ」といった印象が応募の強力な動機となり、母集団の質と量の両面に好影響を与えます。
これにより、採用単価の抑制も期待できます。知名度が同程度であっても、イメージが良い企業にはリファラル(社員紹介)や指名応募が集まりやすく、有料の求人広告への依存度を緩和することができます。
また社内においては、自社が社会や顧客から高く評価されていると実感できることで、従業員のエンゲージメントが向上します。ここで重要なのは、外部向けのイメージを取り繕うだけでなく、現場の実態を伴わせることです。外向けの理想像と社内の実態にギャップがあると、離職の増加やネガティブな口コミの拡散といった反動が生じるため、ブランド構築は組織運営と一体で推進する必要があります。
良好なブランドイメージは、社会的な信用の蓄積であり、トラブル発生時の防衛策になります。万が一、小さな不具合や誤解が生じた際も、日頃から信頼を築いている企業であれば「何か事情があるはずだ」と好意的に解釈されやすく、炎上リスクや批判の拡散を最小限に抑えられます。
また、取引先や金融機関からの信用が高まり、ビジネス上の交渉がスムーズになる点も見逃せません。特にBtoBビジネスにおいては、「安定して取引を継続できる」「コンプライアンスが徹底されている」という印象が契約の絶対条件となります。価格や仕様の議論に入る前の選定の土台を強固にできるのが強みです。
さらに、サステナビリティや法規制といった社会的な要請への適応力も向上します。ブランドイメージを単なる「広報の仕事」として捉えるのではなく、経営の意思決定の積み重ねとして一貫した姿勢を示すことで、長期的なブランド価値をより強固なものにできます。
ブランド用語の定義が曖昧だと施策がブレるため、正確な整理が不可欠です。思い込みを排除し客観的事実から判断することで、目的と指標が揃い、改善スピードが向上します。
そこで、ここでは、混合しやすいブランドアイデンティティとブランド認知度との違いについて解説します。
ブランドアイデンティティとは、企業が顧客に対して「このように認識されたい」と意図して設計する、独自のブランド像のことです。これには企業のミッション、提供価値、顧客への約束、トーン&マナーなどが含まれ、社内外へ発信する際の一貫した軸となります。
一方のブランドイメージは、生活者がその企業や商品に対して「実際に抱いている印象」です。企業側がどんなに洗練されたメッセージを発信しても、生活者の過去の体験や口コミ、競合との比較によって受け取り方は変化するため、必ずしも企業の意図通りに伝わるとは限りません。
この「アイデンティティ(理想)」と「イメージ(現実)」のギャップを明確にし、課題の出発点として捉えることが極めて重要です。ギャップが大きい場合は、情報発信が足りないのか、実際の顧客体験が追いついていないのか、あるいはターゲット設定自体がズレているのかを切り分け、両者のズレを解消していくことがブランド強化の最短ルートとなります。
ブランド認知度とは、消費者がそのブランドを「知っているかどうか」という知識の有無や度合いを指します。一般的には、特定のカテゴリから手がかりなしでブランド名を思い出せる「純粋想起」や、ロゴや選択肢などの手がかりを見て思い出す「助成想起」といった指標で測定されます。
これに対してブランドイメージは、消費者がそのブランドに対して抱く「印象、感情、評価のまとまり」を指します。どれだけブランドの認知度が高くても、そこから連想されるイメージが顧客のニーズや好意に結びついていなければ、実際の購買行動にはつながりません。
つまり、認知度は「知られているか」という規模を表す指標であり、ブランドイメージは「どのように受け止められているか」という質を表す概念です。認知を拡大する施策を打つ段階から、それによって「どのようなイメージが同時に形づくられるか」までを計算に入れておくことが重要です。
ブランドイメージ調査とは、生活者がブランドに抱く印象を定量・定性の両面から可視化し、自社の立ち位置や改善すべき論点を特定するための調査手法です。
生活者の頭の中にある「連想の地図」をデータとして取り出す作業と言えます。好意度といった単純な数値評価にとどまらず、どのような言葉で語られ、どんな文脈で思い出されるかを捉えることで、改善の優先順位が明確になります。
この「数値」と「言葉」という2つの側面を正しく捉えるために、調査では定量・定性のアプローチを使い分けます。
定量調査(アンケート調査など)は、比較と継続的な追跡に優れ、競合との差やターゲット層ごとの違いをクリアに可視化できます。
一方、定性調査(グループインタビューなど)は理由の深掘りが得意であり、なぜそう感じるのか、どの体験が根っこにあるのかを言語化できます。
そのため、調査目的に応じて双方を適切に組み合わせるアプローチが効果的です。
ブランドイメージ調査の本質的な価値は、単に結果の良し悪しを判定することではなく、次の意思決定に使える具体的な論点を導き出すことにあります。
たとえば「信頼性は高いが革新性に欠ける」という結果が出た場合、商品開発の方向性やコミュニケーションの表現、体験設計のどこを見直すべきかといった議論を具体化できるようになります。
ブランド認知度調査は、主にブランドの「浸透度」を測るためのものです。ターゲット層にどれだけ知られているかを把握し、広告の到達度や想起の強さを評価します。
これに対してブランドイメージ調査は、ブランドへの「感じ方・連想・評価」を測定します。「信頼できる」「親しみやすい」といった形容詞の評定や連想語、さらに好意度や購入・推奨意向などを組み合わせ、印象の具体的な中身を捉える設計を行います。
得られるアウトプットや活用方法も大きく異なります。認知度が広告などの到達指標であるのに対し、イメージ調査は市場でのポジショニングや改善ポイントの特定に向いています。
たとえば「認知されているが最初に思い出されない」「最初に思い出されるが好意度が低い」など、課題によって次に打つべき施策(打ち手)が変わるため、目的に合致した調査を選択することが重要です。
ブランドイメージ調査の設計において重要なのは、「何を意思決定したいか」から逆算することです。
この章では、実務で抜け漏れが起きやすい観点を交えながら、代表的なプロセスを解説します。

まずは調査目的の具体化をします。
競合比較で勝ち筋を探すのか、リブランディング前後での変化を測るのか、あるいはターゲット別のギャップを把握したいのかによって、設計は大きく変わります。目的が明確になれば、見るべきKPI(好意度、第一想起、推奨意向、特定のイメージ項目など)も自ずと定まります。
次に、仮説を構築します。
仮説を用意しておくことで、結果の解釈が「答え合わせ」となり、追加調査の必要性も判断しやすくなります。仮説は必ずしも当てにいくものではなく、検証を通じて学習を高速化するための道具として活用します。
そして、対象者を定義します。
既存顧客、見込み客、離反者、未認知層など、どの層を対象にするかによってブランドへの認識は大きく異なるからです。同時に、比較対象となる競合ブランドや代替手段の選定も欠かせません。これらが曖昧なままだと、得られた数値の高低を正しく評価することができなくなってしまいます。
基本の構成は、スクリーニングから始まり、認知、利用経験、イメージ、態度へと進めます。この順番を守ることで、前の質問が後の回答に影響を与えるバイアスを防ぐという実務的なメリットがあります。
評価の尺度には一般的に5段階や7段階のスケールや、対義語となる形容詞を配置するSD法が使われます。このとき注意したいことは、生活者が直感的に理解できるわかりやすい表現を選ぶことです。言葉の意味が曖昧だと回答者ごとに解釈が割れ、データのブレにつながります。
また、バイアス対策も不可欠です。誘導的な前置き、選択肢の提示順による効果、ネガティブ項目の配置などによって結果は容易に変動します。なお、自由回答は理由の補足として有効ですが、分析の負荷が高まるため、配置する場所と量をあらかじめ意図して設計する必要があります。
調査手法にはそれぞれの特性があります。
オンライン調査は、短期間かつ低コストで実施できる点がメリットですが、回答者の属性確認や不正・重複回答への対策など、回答データの品質管理が欠かせません。
一方、会場調査や対面インタビューは、その場で質問の意図を補足できるため回答の背景を深く探れるものの、運営コストや準備期間が必要です。目的に応じた最適な調査手法の選択が求められます。
品質管理では、回収条件の統一や、矛盾回答・極端に早い回答の除外を行い、データのノイズを徹底的に減らします。ブランドイメージは繊細な差異を扱うため、データの精度が粗いと、結論が真逆になってしまうリスクすらあります。
インセンティブ設計にも注意が必要です。報酬が高すぎると報酬目的の不適切な回答を誘発し、低すぎると必要なサンプル数が集まりません。回答者の負担を減らし、答えやすい質問構成にすることが、結果としてデータ品質を高める近道となります。
まずは単純集計で全体の傾向を把握したのち、クロス集計を用いてターゲット別や利用有無別の違いを掘り下げます。ブランドイメージを平均点だけで捉えると「誰の意見か」が見えなくなるため、適切なセグメントに細分化して分析することが極めて重要です。
また、競合比較の際、差が出た項目を安易に「原因」と決めつけないよう注意します。数値の差はあくまで結果であり、その背景には体験や期待、価格帯、利用シーンの違いが存在します。数値データに自由回答などの定性情報を組み合わせることで、改善に直結する解釈を導き出せます。
さらに発展的な分析として、因子分析でイメージの構造を整理し、クラスター分析でタイプ別に分類し、ポジショニングマップで自社の立ち位置を可視化します。その上で、好意度や推奨意向に影響を与えている要因をドライバー分析で特定することにより、施策の優先順位が明確になります。
成果物となるレポートは、単なる数値の羅列ではなく、示唆を具体的な打ち手へと翻訳した資料に仕上げます。
たとえば「親しみやすさが低い」という結果であれば、どの顧客接点でそう感じさせているのか、改善すべき体験はどこにあるのかまで踏み込んで落とし込みます。
あわせて、施策の優先順位も提示します。重要度が高いにもかかわらず自社の現状が弱い項目を最優先とし、短期で変更可能な施策(表現や導線の修正)と、中長期で取り組むべき施策(商品品質やサービス設計の刷新)に切り分けることで、社内の合意形成がスムーズになります。
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この章では、ブランドイメージ調査における主な質問テンプレートを紹介します。
まずは、回答者の前提条件を揃えるための認知と利用状況に関する基本設問です。これらの設問を配置することで、回答者のステータスを分類します。
| よく知っている | ある程度知っている | どちらともいえない | あまり知らない | まったく知らない | |
|---|---|---|---|---|---|
| ブランドA | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドB | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドD | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドE | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 利用したことがある | 利用したことがない | |
|---|---|---|
| ブランドA | ○ | ○ |
| ブランドB | ○ | ○ |
| ブランドC | ○ | ○ |
| ブランドD | ○ | ○ |
| ブランドE | ○ | ○ |
ブランドイメージの核心部分は、形容詞評定と連想の組み合わせで捉えるのが定番のアプローチです。
形容詞評定では、「信頼できる」「品質が高い」「価格が妥当」「親しみやすい」「先進的」「デザインが良い」「サポートが手厚い」「社会的責任を果たしている」などの項目について、5段階や7段階の尺度で回答を得ます。さらに「このブランドから思い浮かぶ言葉を3つまで」という連想を尋ねたり、選んだ理由を自由回答で残してもらったりすることで、数値の背景にある生活者の本音をすくい上げます。
| 必須 1. | |
| 必須 2. | |
| 任意 3. |
| とても当てはまる | やや当てはまる | どちらともいえない | あまり当てはまらない | まったく当てはまらない | |
|---|---|---|---|---|---|
| 品質が高い | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 親しみやすい | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 先進的 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| デザインが良い | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| サポートが手厚い | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 価格が妥当 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 信頼できる | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 種類が豊富 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
イメージが実際の行動にどう結びついているかを分析するため、態度・行動意向の設問も欠かせません。
一方で、この領域は「ブランド認知度調査」や「顧客満足度調査」に含まれる部分もあります。
たとえば、「第一想起(最初に思い浮かぶブランド)」についての質問は、「ブランド認知度調査」でも聞きます。
また、「推奨意向(NPS®形式など)」についての質問は、「顧客満足度調査」でも聞きます。
そのため、聞けることは聞きたい部分あると思いますが、質問の量が増えれば増えるほど、回答者への回答負担が高まり、回答精度が危うくなってくる部分がございますので、あくまでも、調査目的の達成を基準に必要最小限の質問量に抑えることがおすすめとなります。
| 種類 |
| とても好き | やや好き | どちらともいえない | あまり好きではない | まったく好きではない | |
|---|---|---|---|---|---|
| ブランドA | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドB | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドC | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドD | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ブランドE | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ブランドイメージ調査を行う最大の価値は、単なるデータの集計ではなく、ビジネスを動かすための具体的な「インサイト(顧客への深い洞察や発見)」が得られる点にあります。
具体的には、主に以下の4つの視点から強力なインサイトを導き出すことができます。
ブランドイメージは、測定方法によって結果が変動しやすい繊細な指標です。ここでは、設計から実施、解釈にいたる各段階で陥りやすい落とし穴と、その対策について解説します。
まず注意すべきは、回答者の前提条件が揃わない状態でイメージを聴取してしまう点です。
ブランドを認知していない層や利用経験のない層は、広告や周囲の噂といった限られた情報だけで回答します。これが実際の利用者の評価と混ざってしまうと、データの解釈が非常に困難になります。そのため、あらかじめ認知や利用経験の有無で対象者をセグメント分けして分析する設計が不可欠です。
次に、言葉の定義の曖昧さが挙げられます。
たとえば「高級感」「安心感」「先進的」といった表現は、受け手によってその基準が大きく異なります。回答のブレを最小限に抑えるためには、必要に応じて質問に補足の説明文を加えたり、より具体的な項目に分解して尋ねたりする工夫が必要です。
さらに、相関関係と因果関係を混同しないことも重要です。
たとえば「先進的」というイメージと「好意度」の数値が連動して上昇していても、それが直接的な原因であるとは限りません。アンケート内での自由回答や、インタビュー調査などを組み合わせて定性的な理由を検証し、顧客体験や導線、表現、製品品質といった実際に自社でコントロールできる要因へ落とし込んで結論を導き出すアプローチがおすすめです。
ブランドイメージ調査によって現状と課題が明確になった後は、目指すべき理想のイメージを定め、体験と発信を一貫させて積み上げていくことが重要です。
ここでは、実務に落とし込みやすい具体的なアプローチを段階的に解説します。

まず着手すべきは、「誰に選ばれたいか」を明確にすることです。
すべての生活者に好かれるイメージを構築することは不可能なため、優先すべきターゲットセグメントを定め、その人々にとっての価値を中心にブランドを設計します。
続いて、自社がどう認識されたいかを具体的なキーワードで定義します。
たとえば「信頼できる専門性」「気軽さと安心」「上質でありながら親しみやすい」など、顧客の次の行動を促すような言葉選びが望ましいです。単に「良い会社」といった抽象的な表現では、具体的な施策に落とし込むことができません。
その上で、現状のイメージと理想とのギャップを可視化し、目標となるKGIとKPIを設定します。
KGIには好意度や推奨意向を据え、KPIには特定のイメージ項目や第一想起、さらに満足度や問い合わせ解決率といった体験指標を組み合わせることで、現場が自発的に動かせる実効的な管理指標が完成します。
ブランドコンセプトは、自社が提供する価値を短い言葉で言い切る中核のメッセージです。
製品の機能価値だけでなく、利用時にどのような気持ちになれるかという「情緒価値」や、どのような姿勢を貫くかという「社会的価値」まで盛り込むことで、競合他社が模倣しにくい独自のポジションを築けます。
そして、ストーリーは、その価値が生まれた背景を顧客に伝えるための仕組みです。
創業にいたる理由、顧客の成功実例、開発におけるこだわりなどを開示し、生活者がブランドに対して深い意味を見出せる材料を提供します。顧客側でポジティブな意味づけがなされると、多少の価格差や小さな欠点よりも「そのブランドを選ぶ理由」が上回りやすくなります。
また、タグラインやキービジュアルは、いわばストーリーを凝縮したものです。ここで大切なのは、言葉を過度に飾ることではなく、実際の顧客体験と決して矛盾させないことです。日々の体験とピタリと噛み合うメッセージこそが、長期的に機能する強力なブランド資産となります。
まずは、顧客とのあらゆる接点(タッチポイント)の棚卸しを行います。
広告、PR、SNS、Webサイト、店頭、営業資料、カスタマーサポート、さらには採用ページにいたるまで、ブランドの印象が形成される接点をすべて洗い出し、影響度の大きいものから順に優先順位を付けます。
次に、全体のトーン&マナーを統一します。
デザインの配色や写真のテイストだけでなく、文章の言葉遣い、説明の細かさ、問い合わせへの返信姿勢まで揃えることで、生活者の中でブランドの印象が「同一の人格」として統合されていきます。ここに統一感がないと、いくら部分的に良い点があっても、ブランドとしての信頼が積み上がりません。
あわせて、明確な運用ルールの策定も不可欠です。
誰が、どのような基準で情報発信を行い、顧客からの問い合わせにどう対応するかを決めておくことで、業務の属人化を防ぎ、イメージのブレを最小限に抑えられます。
ブランドの成否は、クリエイティブの質の高さだけでなく、日々の地道な運用品質によって差がつきます。
ブランドイメージを最も強力に動かす原動力は、実際の顧客体験(CX/UX)にあります。
購入前のフェーズでは、情報の探しやすさ、他社との比較のしやすさ、説明のわかりやすさが第一印象を形作ります。
Webサイトの導線やFAQの充実度は、時に華やかな広告以上に企業の信頼感へ直結するものです。
購入時のフェーズでは、決済の利便性、店舗や営業担当者の接客、約束した納期の厳守など、顧客の期待にしっかりと応える設計が重要です。
たとえば、生活者が一時的な「特別な感動」以上に、まず「利用における不安やストレスが解消されていること」に対して確かな安心を覚え、信頼を寄せているケースがあります。ブランドイメージ調査の結果を鑑みながら、自社が優先して取り組むべき顧客体験の改善に活かしていきましょう。
購入後のフェーズでは、カスタマーサポートの対応スピードと問題の解決度がブランドの最終的な評価を左右します。
NPS®や満足度の数値を追うだけでなく、問い合わせの背景や解約理由を緻密に分析することで、イメージ悪化の引き金となっている根本的な原因を特定できます。これらの体験を実直に改善し、その取り組みを発信によって補強していくことで、ブランドイメージは持続的に向上していきます。
ブランドイメージは、売上、採用、社会的信用にまで大きな影響を及ぼす重要な経営資産です。
定期的な調査によって現状を正しく把握し、目指すべき理想の姿を定めた上で、顧客体験と情報発信の一貫性を保ちながら育てていくことが、ビジネスの成果へ至る最短ルートとなります。
このイメージは、企業が一方的に宣言して決まるものではなく、生活者が日々の接点における実体験を通じて形成する認識です。だからこそ、広告や発信だけで印象を操作しようとするのではなく、体験の品質と一貫性を重視して育てる視点が欠かせません。
イメージが強固なものへと向上すれば、指名買いの増加や価格競争からの脱却、広告効率の改善といったマーケティング面のメリットにとどまらず、採用力の強化や社員のエンゲージメント向上、さらには社会的信用の獲得にまで幅広く好影響をもたらします。
目指すブランドアイデンティティと現状とのギャップを調査によって可視化し、自社の勝ち筋となる特定のイメージ項目へ経営資源を集中させることが重要です。
継続的な測定を行い、体験と発信の両面を揃えて改善サイクルを回し続けることで、ブランドイメージは企業を支える強力な武器へと変わります。
本記事が、ブランドイメージやその調査の重要性について考えるきっかけとなれば幸いです。市場や消費者の変化を的確に捉え、長く愛され続けるブランドづくりのヒントとして、ぜひお役立てください。
【アーカイブ】「ブランドイメージ調査」経年推移の重要性
日々変動する市場環境や競争状況、技術革新などに影響を受ける中で、消費者のライフスタイル、価値観は日々刻々と刺激を受け経年変化をしています。
消費者が持つメーカーへの印象、いわゆる「ブランドイメージ」も同様です。
今回は、ルーチン調査から脱却し「定量・定性調査」それぞれの特性を生かし、経年的に変わりゆくブランドイメージの、新たな調査のご提案をテーマに、セミナー形式にてご紹介いたします。
この機会に、消費者とブランドの関係を深め、競争力を維持し、企業の持続的な成長を支える、ブランド価値を高めていただければ幸いです。
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