
2025.10.10
Z世代女性にお金に関するインタビュー実施|収入の不満からお金に関する秘密などについて調査
お金にまつわる価値観や行動は、人それぞれ異なります。収入や貯蓄への意識、支払い方法、さらには将来に対する不安まで――その背景には個人の生活環境や経験が大きく影響……
公開日:2026.10.22
製品(サービス)開発や改善を行うにあたり、「家計のやりくりを担うママたちの、リアルなお金事情について聞いてみたい」と思ったことはないでしょうか。
得られたヒント
そこで今回は、対面ではなかなか聞きづらいお金事情に関して、30代のママに、収入への不安や貯蓄する理由についてなどインタビュー調査を実施しました。
インタビューをした方の簡単なプロフィールは下表となります。
| 性別 | 女性 |
|---|---|
| 居住エリア | 大阪府 |
| ご家族 | 夫と小学5年生の息子(10歳)の3人家族 |
| ご職業 | 社労士事務所(事務) |
| 趣味 | 凝った料理を作ること |
この記事では、センシティブなテーマに対してインタビュー調査をお考えの方や、母親目線の価値観を確認し、製品(サービス)開発・改善などに役立てたい方などに役立つヒントを丁寧に読み解き紹介します。
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彼女は普段、なにかの支払いのほとんどをクレジットカードで済ませており、支払い方法は一括にしているそうです。

一括にしている理由は、「分割とかリボは手数料が発生するのと、忘れたころにまた支払いが来るのが怖いな」とのことでした。
また、これまでに分割払いを利用したことは、「一度もない」そうです。
続いて、収入と貯蓄というデリケートな話題についてインタビューを行っていきました。
収入に関するご不満やお困りごとについて尋ねたところ、現状は毎月貯金ができており、健康でもあるとしつつも、将来に対して次のような不安を挙げました。
また、普段の生活費や老後に必要なお金を考えると、現在の収入は「ぜんぜん十分ではない」と感じているそうです。
「旅行に毎月行けるような優雅な旅行をしたいので、全然足りない」ともおっしゃっていました。
ちなみに、現在の収入を100%とした場合、理想としては「もう50%ぐらい」増えてほしいとのことです。
収入を増やすための日頃の取り組みについて尋ねると、次のような回答がありました。
「けっこういらないものとかはすぐにリサイクルショップに売ったり、メルカリとか…そういうフリマサイトにこまめに売ったりするようにしてます」
売るものとして多いものは子供服だそうです。サイズアウト※した服はすぐに売るようにし、学校用品なども綺麗なうちに売っているそうです。
※ サイズアウトとは、子どもの成長によって体型が変わり、着ていた洋服や靴のサイズが合わなくなることです。
あわせて資産運用についても尋ねたところ、投資信託でドル建てをしたり、個人年金保険やNISAをしたりしているそうです。加えて、株などにも少し興味があるとのことでした。
貯蓄をしたい理由について尋ねると、以下3点を挙げられていました。
現在の貯蓄額については、決して十分ではないと感じているそうです。
これから子どもの教育費用が本格的にかかってくることを考えると「まだまだ足りない」とのことで、今後は現在の1.3倍ほどのペースで貯蓄を進めたいと話していました。
貯蓄を増やすために計画していることや、今後やろうかなと考えていることは、“今のところ未だない”そうです。去年あたりから個人年金や積み立てを始めたので、それが良さそうであれば、さらに幅広く金額を増やしていこうと思っているとのことでした。
彼女のインタビューの内容から、彼女が貯蓄を増やしたい理由として、以下4つのキーワードが挙がるでしょう。
具体的には、老後の必要資金や年金、いつまで働けるかといった「見えない将来」に不安を感じ、老後に優雅な生活を送るための準備を進める一方で、旅行など現在の暮らしも楽しみたいと考えていました。また、自分自身だけでなく「子どもの教育費」といった家族に関わる支出ついても彼女は考えています。
こうした行動を読み解く上では、「メンタル・アカウンティング」という考え方が参考になるでしょう。
これは、持っているお金を一つの資産として一律に捉えるのではなく、「生活費」や「旅行」「教育費」「老後資金」など、目的や用途ごとに心理的に勘定(アカウント)を作り、それぞれ異なるものとして管理・判断する傾向を指します。
今回の彼女の行動にも、こうした「お金の意味付け」が現れていると考えます。
たとえば、子どもの必要なことであればお金を使い、将来のためにNISAや個人年金保険で運用する。また、不要になった子ども服や学校用品はフリマサイトなどで売却して現金化する。
つまり、「今使うお金」「将来のために育てるお金」「不要になったものから生み出すお金」など、それぞれに異なる役割を持たせながら家計を管理しているとも捉えられます。
ここで重要なのは、「将来への備え」と「現在の生活を楽しむこと」は二者択一ではないという点です。むしろ、どちらも実現したいからこそ、「今、どこまで使っても大丈夫なのか?」「将来のためにどれくらい残しておけばいいのか?」を知りたいというニーズにつながっている可能性があります。
これは、金融サービスの開発や改善をしていく際のヒントになり得ます。金融サービスの価値を「資産を増やす」「貯蓄を促す」にとどめず、生活者が自分の価値観に沿って、お金の使い方を意思決定できるようにすることまで広げられるからです。
たとえば、収入や貯蓄額だけを見ることができるサービスではなく、「子どものために何をしてあげたいか」「どんな生活を送りたいか」「いつ旅行したいか」「老後はどのように過ごしたいか」といった生活者の価値観まで把握したうえで、「今使えるお金」と「将来に残すべきお金」を可視化するサービスなどが考えられます。
支出を減らすための取り組みを伺うため、インタビュアーから他の方の取り組みで、“コンビニや外食を減らしてお弁当を持参する回数が増えた”という話があったことを伝えたところ、彼女は「食費を抑えるために、ちょっと家で凝ったおしゃれな料理を作ることで、外食の回数を控えるような形」と話してくれました。
また、ポイ活についても尋ねると、“Yahoo!ショッピングの5のつく日、楽天の5のつく日”を必ず狙うほか、ポイントサイトを経由して買い物するようにしているそうです。ブラウザとアプリを使い分け、よりポイントが貯まる方法で買い物をしているとのこと。さらに、ブランド品を売るときも、特定のサイトを通すことで、ポイントが多くもらえる場合があるため、事前に探して利用していることもあるといいます。
前述した老後のお金に関する不安以外にも、何か不安に思うことがあるか尋ねると、“何気ない節約ができていない部分が結構ある”ことが挙げられました。
買ったけど使っていないコスメや、あまり使っていない家電などがあるため、そういったことも見越して、買い物の際に、もっと吟味して選べるようになりたいとのことでした。
彼女自身、買い物するときは結構吟味して買う方だと思っていたそうですが、振り返ってみると、100円ショップや3COINSといった少額の商品に対しては、「いらないのに買ってたりして、結局使ってなかった」という経験があり、小さい金額での無駄がとても多いと、話していました。
そして、何気ない節約のところで、今後の対策について尋ねると、“似たような洋服は持っていないか”、“質は良いのか”、などを購入前にしっかり見ようと思っているとのことでした。
また、子どもの教育費については、習い事の費用がかなり高いと思っているそうです。
しかし、そこは節約するのではなく、子どものやりたいことを優先し、視野が広くなるように、今後も使っていきたいと話していました。
この章での彼女の発言から、「節約したい」という気持ちが、必ずしも「できるだけお金を使いたくない」といいう意味ではないということが伝わってきました。
100円ショップのような少額商品での衝動買いを反省し、今後は「似たようなものを持っていないか」「質は良いのか」をしっかり見極めたいという彼女の姿勢は、安さだけに飛びつかず、納得して買うことで無駄をなくす「節約」の一環と言えます。その一方で、高額だと感じている子どもの教育費については、今後も優先して使っていきたいと話していました。
この違いを考える上で興味深いのが、「手段および目的の連鎖モデル(Means-End Chain)」という考え方です。これは、消費者が商品・サービスそのものの特徴だけではなく、「その特徴によって何が得られるのか」「最終的にどのような価値を実現したいのか」という、より上位の目的まで結び付けて価値を判断するという考え方です。
今回のケースでは、子どもの習い事に対して感じている価値は、単に「習い事をする」ということではなく、
といったように、その先にある「子どもの成長や可能性」に価値を感じているからこそ、「高くても使いたい」という判断につながっていると考えています。
ここから、企業が生活者の「節約ニーズ」を考える際にも、一つのヒントが得られます。
それは、単に「安くする」「お得にする」「支出を減らす」ということだけが、節約志向への対応とは限らない、という示唆が得られます。
たとえば、小売業やECであれば単に商品の価格や機能を訴求するのではなく、「どのような生活課題を解決する商品なのか」「購入後にどのような価値が得られるのか」を具体的に伝えることが重要です。
そうすることで、生活者は「安いからなんとなく」という衝動的な購入を避け、「自分にとって本当に必要な価値があるか」を吟味できるようになり、結果として納得感のある購買を後押しできる可能性があります。
彼女は、周りの方とお金の考え方で、意見が食い違った経験があるといいます。
彼女自身は、旅行先であっても、金額があまりに高いものに対しては「ちょっと私はやらない」と言ってしまう方だったそうです。一方で、ご主人は「そういう思い入れ」を大事にするタイプで、「思い出には節約するな」という考え方のため、たびたび意見が食い違ったそうです。
しかし、「確かに思い出って大事かなと思って、で、そういうときは使う、旅行のときは使う、普段は節約する」という考え方に変わったといいます。
実際、「そこをケチってしまうことで、嫌な空気になったりするので、そっちの方がずっともったいないな」と考えるようになったそうです。
家族内で明確なルールは設けておらず、彼女が家計を管理して、家計簿をつけ、ご主人にお小遣いを渡すというスタイルをとっているとのことです。
もしご主人が高額な買い物を強く希望した場合、彼女が「そんなのはいらない」と言ったとしても、旦那様は「欲しい」となるそうです。そのため、そのような場合は、彼女が折れたり、たとえばiPhoneのような高い物だと、次の誕生日プレゼントは“なし”にしたりするなど、個別でルールを決め、折り合いをつけているとのことでした。
昔、彼女はブランド物が大好きで、よく購入をしていたため、周りの方から非難されることがあったといいます。具体的には、「会社帰りにふらっとデパートに寄って、パッと買ってしまう」感じで、給料のほとんどを自分の好きなように使っていたとのことでした。
一方で、結婚をして主婦になってからは、だいぶ落ち着いたそうです。
価値観が変わるきっかけとなったのが、“マイホームの購入資金を貯めていたとき”の経験です。“マイホームが欲しい”という思いで貯金を始めたものの、思うように資金が貯まりませんでした。
このときに、彼女は「結構無駄な買い物とかいっぱいしてたな」と思ったそうです。たとえば、洋服を色違いで購入する場面もあり、「一応削れるところはいっぱいあったな」ということに改めて気づかされました。そして、「削ったところで別にそんなに支障がないことが多かった」と思ったそうです。
彼女は、お金に関する秘密として、“ご自身の貯蓄額”を挙げました。
事情があってご主人にお伝えしていないとのことで、それはご実家で急な出来事があった場合に、すぐに対応できるように、個人的に少しずつ貯蓄を続けているためだといいます。
一方で、ご主人の貯蓄額について尋ねると、「個人ではないと思います」とのこと。
前述の通り、彼女自身が家計を管理しており、その中にご主人の貯蓄額も含まれて管理されているそうです。
最後に、彼女自身のお金の悩みは、周りと比べて重い方だと思うかを尋ねると、以下のように回答がありました。
「私はすごく不安なんですけども、もっと周りの人は、今が楽しかったら良いので、先のことをそんな心配するよりも、今を楽しんだ方が良いっていう考えの人が多いので、重いと思われてる方かなと思います」
実際に周りの方と老後の話をする機会もあるそうで、「私ほど心配している人はいない」と感じているとのことでした。
今回の彼女へのインタビューから、お金を「出し惜しみしない部分」と「節約する部分」の間に、どのような違いがあるのかが見えてきました。
その境界線を分けるカギとなるのが、「お金の意味付け」と「商品・サービスに対する上位の目的」です。
お金の意味付け
彼女の発言から、子どもの必要なことであればお金を使い、将来のためにNISAや個人年金保険で運用する。また、不要になった子ども服や学校用品はフリマサイトなどで売却して現金化する―――。つまり、「今使うお金」「将来のために育てるお金」「不要になったものから生み出すお金」など、それぞれに異なる役割を持たせながら(お金の意味付けをしながら)家計を管理していると推測できます。
こうした考え方は、「メンタル・アカウンティング」と呼ばれ、このケースは金融サービスの開発や改善におけるヒントになり得ます。なぜなら、金融サービスの提供価値を「資産や貯蓄を増やすこと」にとどめず、「生活者が自身の価値観に沿って、納得のいくお金の使い道を選択(意思決定)できるようサポートすること」にまで広げられるからです。
商品・サービスに対する上位の目的
また、彼女は商品やサービスそのものの特徴だけでなく、「その特徴によって何が得られるのか」「最終的にどのような価値を実現したいのか」という、より上位の目的まで結び付けて価値を判断しているようにもお見受けしました。
たとえば、子どもの習い事に対して感じている価値は、単に「習い事をする」ということではなく、
といった具合です。
この視点は、企業が生活者の「節約ニーズ」を考える際にも役立ちます。単純に「安くする」「お得感を出す」ことだけが、節約志向に対する正解とは限らないという重要な示唆を与えてくれます。
また、GeminiのNano Bananaで、下図のようなグラフィックレコーディング風の画像も生成してみました。

※ 本記事の理解を助けるために、生成AIで画像を作成しています。生成AIによる画像は必ずしも正確ではなく、誤った表現が含まれる場合があります。画像内容の真偽や正確性は保証できませんので、あらかじめご了承ください。
こちら“注意は必要”ですが、ご参考になれば幸いです。
製品(サービス)開発や改善において、生活者の真のニーズに応えるためには、こうしたリアルな生活者起点での価値観の理解(インサイトの把握)が欠かせません。
このコラムを参考に、自社の商品・サービス開発や改善に活用していきましょう。
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