公開日:2025.09.22

感性価値とは?感性価値をひも解くアプローチ手法をマーケター目線で事例と共に解説

  • マーケティングリサーチHowto

「このお店、なんだかいい感じだね」「新しく出たあのクルマ、かっこいい!」

日常会話で何気なく使っているこれらの言葉。実は、顧客の心を掴み、購買行動を後押しする重要な「感性価値」を表しています。しかし、この「感性価値」は非常に曖昧で、人によって捉え方が異なるため、マーケティングや商品開発の担当者を悩ませる複雑なテーマでもあります。

なぜ、私たちは「いい感じ」や「かっこいい」をよく使うのでしょうか?そして、その言葉の裏にはどのような想いが隠されているのでしょうか?

本コラムでは、以下セミナーの内容をもとに「感性価値」の基本的なことから説明し、具体的な事例を交えながら、その複雑な構造を紐解いていき、顧客の心を動かす本質に迫るための適切な調査アプローチまで、ご紹介します。

 
 

感性価値とは?

感性価値とは、視覚を始めとする五感で直感的に「良い」と感じたり、共感したりすることで顕在化する価値を言います。
例えば、「いい感じ」や「楽しそう」、「かっこいい」、「かわいい」などといった感覚です。

この感性価値は、デザインに関係する話だと思っている方がいらっしゃると思いますが、必ずしもそうではありません。
商品デザインだけではなくSNS戦略などを含むコミュニケーション戦略も大きく寄与するものとなり、「心が動く → 購入する」といった行動に影響しやすいです。
 
 
さて、ここで○○価値と言う部分で、2種類知っておくと、感性価値についての理解がより深まりますので、その2種類を紹介します。
 
 

機能的価値とは

まず1種類目が機能的価値です。
この価値は、商品やサービスそのものの機能や性能面での価値を指します。
例えば、「この洗濯機は汚れを落とす性能が高い」や「この車は、○○エンジンを搭載しているので、最大○○トルクで力強い加速性能がある」といったものは、機能的価値です。

情緒的価値とは

そして2種類目が情緒的価値です。
この価値は、商品やサービスを使用した際に、体感できる価値を指します。
例えば、「この商品を使うと、○○な気分になる」や「この商品を食べると、こんな風な時間を過ごせます」といったものは、情緒的価値です。
 
 
これら(感性価値・機能的価値・情緒的価値)でカンタンな違いは、「購入前に感じられる価値なのか、購入後に感じられる価値なのか」という点でしょう。
感性価値と機能的価値は、購入前に感じられる価値となります。一方で、繰り返しになりますが、情緒的価値は、購入後に感じられる価値です。
 

実生活から感性価値をイメージしてみましょう!
実生活①:友達や同僚とご飯を食べに行くときの会話

皆さま、お友達や同僚とご飯を食べに行くときに、お店選びで「ここいい感じだよ!」といった会話をしませんか?
しかも、その「いい感じ」というのは、具体的に説明されなかったりすると思います。
そのため、Googleマップやお店のHP、食べログなどで写真や口コミなどを見て、自分も「いい感じ」と思ったら、「じゃあ、ここにしようか!」といった感じになるかと思います。

この「いい感じだよ」→「いい感じだね」みたいな、「いい感じ」というのが、そのお店の感性価値を表現した言葉になります。
 
 

実生活②:

トヨタが新型RAV4という車を2025年5月21日に世界初公開したのですが、登壇者がご自身の車の車検が控えているということで、このまま乗り続けるのか、新車を買うのか悩んでいるさなか、このRAV4が「かっこいい!」と思ったそうです。

図 RAV4の公式イメージ
図 RAV4の公式イメージ

引用元:新型「RAV4」を世界初公開

 
そして、登壇者の中で結論がほぼほぼ出ている状態でディーラーに相談しに行き、担当の方に「RAV4と迷っていて…」と話しをすると、「RAV4ですか?」といった感じで、担当の方はよくご存知なかったようで、最初は話が全然噛み合わなかったそうです。そして、担当の方が席を外し、戻ってきたら、たぶんWeb検索などで情報を得たんだと思いますが、「いや~かっこいいですね!僕も欲しくなりました」といった話があり、そこに何人か集まってきて、皆さん「かっこいいなー」と言っていたそうです。もちろん、皆さん、言葉はちょっと違っていて、「かっこいいなー」であったり、「すごいなー」であったり、したとのことでした。

この「かっこいい」もスペックではなく、感性価値を表現した言葉になります。
 
 
ここで、皆さまお気づきいただいた方もいらっしゃると思いますが、これらの「いい感じ」や「かっこいい」は、具体的に何か1つを指して評価して言っている言葉ではありません
「いい感じ」と口に出た言葉の背景には、「店内がおしゃれだね」であったり、「料理が美味しそうだね」であったり、そういった話や色んな要素が混在しています。
それらを一言でまとめて言うと、「いい感じ」ということになるわけです。
 
 
また、RAV4への「かっこいい」も、実はRAV4は3つのタイプがあり、登壇者とそこに集まったディーラーさんのたちの中でどのタイプが「かっこいい」という話はしていません。
ある方はADVENTUREというタイプの顔がかっこいいと思ったのかもしれませんし、ある方はCOREというタイプの話かもしれません。
また、その「かっこいい」は、室内のインテリアのことについて言っているのかもしれませんし、スペックの話で、レクサス越えと言われている先進機能を搭載しているので、そういったことなのかもしれません。
「かっこいい」の背景は人それぞれ異なっているにも関わらず、皆さん一言で「かっこいい」と表現しています。
 
 
成熟したマーケットの中で感性価値というのは、生活者の心を動かすものづくり、サービス開発において、重要です。
なぜなら、繰り返しになりますが、心を動かすというのは、「欲しい・買いたい・利用したい」といった行動に繋がるからなのです。
 

 
 

「いい感じ」「かっこいい」を理解するにはハードルが…

前の章の「実生活から感性価値をイメージしてみましょう!」でイメージいただけた方いらっしゃると思うのですが、「いい感じ」や「かっこいい」と発せられた言葉の裏側には、

  • パッケージデザイン
  • 誰かに薦められた
  • 口コミを見た
  • メニューの写真を見た
  • SNSで出てきた
  • 広告を見た(看板広告/テレビCMなど)
  • 店頭のディスプレイを見た
    など

 
といったような要素・情報が存在します。
そして、これら要素・情報を頭の中で処理し、それを「感性」と呼び、その感性で得た価値を一言で表すと「いい感じ」や「かっこいい」というふうになります

図 頭の中のイメージと発せられる「いい感じ」と「かっこいい」
図 頭の中のイメージと発せられる「いい感じ」と「かっこいい」

 
上の図で申し上げますと、こういったいろんな要素が頭の中でぐるぐるぐるぐる色々処理されていて、それを一言でポッて出すと「いい感じ」や「かっこいい」という話になるわけです。
そして、この「いい感じ」や「かっこいい」という言葉はとても便利なため、皆さんよく使われます。実際、私たちマーケターやインタビュアーの方も実際使います。
一方で、これらはとても表層的な言葉であり、人それぞれ異なる背景から発せられた言葉となるため、意味が異なり、私たちマーケターやリサーチャーがすごく悩んだりするところになります。
 
 
このことをまとめると、心が動いたとき、共感したときに出てくる言葉(表現)は、複雑な要素=情報が絡み合っており、だからこそ、人によって意味が違う、人によって構成要素が違うのです。
 
 

感性価値をひも解くアプローチ手法とは

それでは、感性価値をひも解くために適切なアプローチ手法とはなんでしょうか?
こちらについて、解説していくべく、まず、以下状況について考えていきます。

「競合商品が 『おしゃれ』という点で支持・共感され、それで売上を伸ばしていることを知り、それを解明し、自分の商品戦略に活かしたい」と思ったとき、どのような方法を取るのが良いのか?

 
こういったときは、デプスインタビューがおすすめになります。
なぜデプスインタビューがおすすめなのかについて、定量調査の1種であるアンケート調査と定性調査の1種であるグループインタビューについておすすめしない理由を先に説明します。

【定量調査】アンケート調査
上記のような状況の場合、定量調査を実施しようとすると、以下のような選択肢を用意されることがあります。

図 よくある定量調査の選択肢

 
こういった選択肢を用意し、いざ回答者に回答してもらうと、回答者が自分に合うワードを探すのが面倒であったり、「親しみがわく」にチェックをしようと思うけど自分の中の「親しみ」って何だろうって思ったりして、選択肢を用意した側がイメージした通りに受け取ってくれない可能性があります。

また、仮にこの結果として、「おしゃれ」が他と比較して高く、さらに「斬新な」「親しみがわく」「楽しい」「センスのいい」が際立って高い場合、「『おしゃれ』というのは、「斬新な」「親しみがわく」「楽しい」「センスのいい」の集合体かな」といったふうに考えてしまう場合もあるかと思います。
ですが、ここまでの話からそういった解釈ではいけないことがわかります。
「おしゃれ」の構成要素は、他のイメージ項目、つまり他の感性価値の表現で語られるものではなく、感性価値を表現した言葉の背景情報にあります。そのため、「おしゃれ」と感じたのは、どんな情報からなのかを先ず聞く必要があります。もしそれが、SNSで「おしゃれ」と言っていたコメントを見て、それを見た自分は同じように「『おしゃれ』と思ったのか? それとも『おしゃれ』とは異なる表現を思ったのか?」などを細かく聞いていく必要があるため、定量調査で解明したいと思っても現実的ではなく定性調査のほうが適していると考えています。
 
 
【定性調査】グループインタビュー
では、定性調査の1種であるグループインタビューはなぜおすすめしないのか? についてですが、この「おしゃれ」を同じような意味合いで使っている人たちをリクルートしてこないと、グループダイナミクスが期待できずに“色んなおしゃれがあるよね”や、“色んないい感じがあるよね”といったようにバラバラで終わってしまうことが往々にしてありますので、とても危険性が高いです。
※ グループダイナミクスとは、集団における個人の相互作用や影響力関係のことを指します。これが生まれることで、参加者の活発な議論が生まれ、思わぬ意見や新しいアイデアをインタビューから得られるようになります。
 
 
【定性調査】デプスインタビュー
さて、おすすめのデプスインタビューなのですが、デプスインタビューでも注意しなくてはいけないことがあります。
それは、「おしゃれ」を解明しようと、他の表現をたくさん聞こうとしないことです。
もし、他の表現をたくさん聞こうとするデプスインタビューを行ってしまうと、結局は、定量調査と選択肢の話と一緒になってしまい、言ってしまえば、言葉遊びをしているに過ぎない結論になってしまいます。

そこで、他の感性表現の言葉を探すのではなく、言葉の背景、「おしゃれ」の背景にある情報について、詳しく深掘りしていくインタビューが望ましいです。

また、工夫できることとしてリクルート段階で、“どんな背景だったか?”と聞くことをおすすめします。対象者が、例えば「店頭で見た販促物で…」という話があれば、販促物の写真などを用意して、それぞれどの部分が「おしゃれ」と感じたのかをインタビューし、具体的にしていくことができます。
 
 
【番外編】MROC(エムロック:Market/Marketing Research Online Community)
番外編として、MROCもオススメです。
MROCは、オンライン上で「商品・企業・ブランドなどに詳しい人や興味のある人」を集めて、クローズドなマーケティング専用のコミュニティを構築し、その中で定性調査と定量調査を組み合わせ、繰り返し進めることで、消費者のインサイトを抽出するリサーチ手法になります。

今回の「おしゃれ」の話であれば、競合商品の購入者5名ほど集め、MROCするのが良いかな?と思います。1周目で「その商品を支持するポイントを自由に語ってもらう」、2周目で「どうしてそう感じたのかについて深掘りする」、3周目で「その作用した情報、影響された情報について詳しく聞いていく」といったふうにしていくと、どんどん明らかにしていくことができると考えています。
 
 

まとめ|感性価値をひも解く適切な調査アプローチ手法とは

この章の内容をまとめると、以下のような流れで真理に迫ることができると言えます。

  1. どんな要素=情報に「感性価値」を感じたのか?
  2. その情報のどんなところに「感性価値」を感じたのか?
  3. 他に「感性価値」感じた要素はないのか?
  4. 違う見え方だったら、価値は感じなかったのか?
  5. その中で一番作用した要素=情報は何だったのか?

 
そして、重要なことなので、繰り返し言いますが、「おしゃれ」や「かっこいい」といった感性価値の言葉の言い換えを探さないこと=言葉遊びをしないことについては、常々気を付けましょう。
 
 

身近な例で事例紹介

上記で紹介した、「『トヨタの新型RAV4を“かっこいい”と思って買いたい』と思った」の話でMROCをした想定で紹介していこうと思うのですが、その前に工夫の話をします。

その工夫は、ハードルが高い工夫ではありますが、リサーチをよく理解しているデザイナーが一緒に参加していただけると、感性価値をひも解く可能性が高まります
実際にMROCで、商業デザインを行っている方に参加していただき、その場での発言をもとに新しいアイデアを絵にしてもらい、言葉の意味を解明していくことをやっております。
なお、デプスインタビューなど、単独のインタビューでは長時間はあまり想定できず、MROCでデザイナーに参加していただき、上記作業をしながら進めていく形になります。

さて、この工夫をしながらのインタビューはどうなるか? というところで、以下について解説していきます。

『トヨタの新型RAV4を“かっこいい”と思って買いたい』と思ったのはなぜか?
最終的には、車において「欲しい!」と思う“かっこいい”は何なのか?

 
登壇者個人の話になりますが、彼女は車の顔とデザインが“おしゃれ”、つまり“かっこいい”という言葉の背景であると話をしています。
そして、ここでRAV4の顔と内装の画像を見せます。具体的にどの部分なのか? 顔のこの辺が…といった話や、内装のこの部分が…といった話を聞いていきます。
また他にも“かっこいい”と思った要素があると思いますので、他にはどんな情報をみましたか? といったところで、聞いていきます。なお、現在RAV4については情報が限られているそうなので、例えばとトヨタの特設サイトを見せて「これ?」みたいな話をして、「これのどこでしたか?」といったふうに、例えば書体がRAV4のイメージと合っていたからよかった みたいな話であったり、この張ってるところが山の中っぽいんだけど、どこか都会的な感じがするからよかった といった話を引き出していきます。

図 RAV4の特設サイトのイメージ

引用元:新型RAV4特設ティザーサイト| トヨタ自動車WEBサイト

 
また、YouTubeもトヨタがRAV4の動画を上げており、それを彼女は見ているとのことで、そのYouTubeでの説明の「この人がこういうことを言っていたから良かった」や「このアングルの見せ方がすごく良かった」なども聞いていきます。
そして、こういった形でSNSの情報など全て「この他には?」といったふうに聞いていくのです。

ここで注意したいのは、繰り返しになりますが、“かっこいい”の言い換え形容詞をとりあえず無視することです。
こういったインタビューをしているときに、必ず“かっこいい”のほかに、「こういうとこがおしゃれで~」であったり、「こういう部分が良くて~」といった表現が出てくるのですが、とりあえずそれら形容詞は無視しましょう。
これを踏まえてデザイナーにキャッチコピーなどを含めた絵(例の場合であれば、車)を書いてもらい、「あなたが“かっこいい”と思う車はこういう車でしょうか?」と問いかけます。
そうすると、対象者自身も「自分が“かっこいい”と思うのは何なんだろう?」と考え始めます。この『対象者自身も探っていく』というのはポイントであり、そう流れを作るのが重要です。しかも、深く聞いていくと、最初と最後で対象者が思うことが違ってきますし、それは当たり前です。そして、その話を聞いていき、絵も変えて、改めて「あなたの話を聞いて“かっこいい”と思う車を変えてみました」と話します。
ただ、対象者は変えられた車を見ても、ほとんどの場合『物足りない』ところなどが出てきます。例えば、「顔はもっとこうで」であったり、「キャッチコピーはこれじゃ響かないかな」であったりなどです。それを聞いて、どんどん絵を出して提示して落ち着くところまで行きます。おおよそ5~10枚くらい出していくのですが、この過程がとても重要となります。最終的に出来上がった絵が全てではないのです。ここまで至った過程で、その“かっこいい”を形成している要素が『こういった要素なんだ。こういう仮定で“かっこいい”が対象者の中で形成されているんだ』と、プロジェクトメンバーの共通認識になることで、様々な議論が円滑になっていきます。しいては、戦略などを決める際に、活かすことができるでしょう。
 
 
では、改めて「車において「欲しい!」と思う“かっこいい”は何なのか?」ですが、感性価値表現として「○○という“かっこいい”車」みたいな“かっこいい”の言い換えはしてはいけません
プロジェクトメンバーが納得して腑に落ちる新しい言葉を見つけるのが大切です。具体的には、「○○という車」という新しい言葉を作る形となるため、マーケターもクリエーションする必要があります
 
ここで話を戻しますが、彼女の場合、以下のような車を“かっこいい”と思うそうです。

  • 車に乗るたびに新しいストーリーが体験できる予感がする車
  • 犬がたくさんの笑顔を見せてくれそうな車

 
そして、こういった要素をRAV4に感じたのかもしれませんと言っておりました。
 
 

感性価値をひも解く調査手法とは

すでにアプローチ手法として調査手法についても一部触れておりますが、改めて解説をこの章でしていきます。

MROC調査~コミュニティ調査~

まずは、すでに何回か登場したMROC調査についてです。
この調査手法は、専用のオンラインコミュニティ上で、数日から数週間にわたって参加者に投稿してもらう定性調査の手法です。
日記のように日々の気づきを投稿してもらったり、テーマに沿ってディスカッションをしてもらったりしてもらうことで、生活者の価値観や気持ちの変化の過程を追うことができます

感性価値の部分では、“その場その時の感想”だけではなく、時間の中で少しずつ気持ちが動いていく様子を捉えられる点が特徴です。
例えば、スキンケア商品の使用感について、最初は「さっぱりしている」とだけコメントしていた方が、3日目には「夜の肌の乾燥が気にならなくなった」、1週間後には「リピートしたくなってきた」と、自分でも気づいていなかったような“満足感の高まり”を言葉にしてくれることもあります。
そして、MROCだからこそ、時間がある程度確保することができ、事例で紹介した、デザイナーの起用したインタビューができます

このように、生活者自身が投稿を通じて自分の考えや行動を振り返り、気持ちを整理し、深く掘り下げて理解していくプロセスそのものが、潜在的なニーズの発見にもつながっていきます。

なお、長期の調査になることが多いため、対象者の管理も実施する上で重要なポイントの一つです。
 

MROC(エムロック)

MROC(エムロック)のサービスの詳細はこちら

アスマークでは、MROC(エムロック)を提供しております。専用のオンラインコミュニティ上で、定性調査(ディスカッションなど)や定量調査(アンケートなど)を組み合わせ、繰り返し進めることで、消費者のインサイトを抽出するリサーチ手法です。

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エスノグラフィ調査~訪問観察調査~

続いてご紹介するのは、エスノグラフィ調査です。
この調査手法は、対象となる方のご自宅など、実際の生活空間に訪問して、行動や環境を観察する調査手法です。
調査対象者をリクルートし、訪問調査や買い物動向を行うやり方があり、調査スタッフが家に来て、長時間同席するなど心理的負担を感じる対象者もおりますので、精神的なケアが必要となってきます。

また、この調査手法の特徴として、本人すら意識していないような行動の背景や、“なぜそのようにしているのか”といった理由を、観察を通じて探ることができます。
たとえば、「なんとなく使いにくい」と感じている家電製品でも、実際の使い方や置き場所を見てみると、「コードが邪魔になっていた」「取り出す位置が不便だった」といった、言語化されていない不満や違和感が見えてくることがあります。
このように、本人の“当たり前”の中にある潜在的なニーズや習慣のクセ、生活の工夫などを捉えることができます。
 

 

エスノグラフィ調査(訪問観察調査)

エスノグラフィ調査(訪問観察調査)のサービスの詳細はこちら

アスマークでは、エスノグラフィ調査(訪問観察調査)のサービスを提供しております。この調査は、生活者の行動を「見る」「観察する」ことに重きを置く『定性調査』です。

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チャットインタビュー調査

最後にご紹介するのは、チャットインタビュー調査です。
この調査手法は、スマホやパソコンを使って、チャット形式でインタビューを進める手法になります。

テキストで気軽にやりとりできるチャットインタビューは、対面では話しづらい感情や、思考の整理がしやすいという特長があります。さらに、動画の提出も組み合わせることで、実際の使用シーンや表情の変化といった“リアルな感覚”も見えてきます。
「話す」と「見せる」の両方を使うことで、体験と気持ちの両方を取得できるのが特長です。
たとえば、「ちょっとベタつくけど、朝の肌は整っている気がする」といった発言と、そのときの表情や動作を併せて見ることで、より深い解釈やインサイトの発見が可能になります。
特に、感性価値のように言葉にしづらいテーマ、たとえば「香りの好み」「肌ざわりの心地よさ」「なんとなく不安だった」など、インタビューなど対面で瞬間的に説明しにくい微妙な感覚を、文章で丁寧に伝えてくれるケースもよくあります。
この調査手法は、化粧品や日用品の使い方を観察したり、言葉での表現が難しい未就学児の反応を可視化したりするケースなどにも活用されています。
 

 

オンラインインタビューシステム「i-PORT voice」

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アスマーク(調査会社)が開発したオンラインインタビューシステム「i-PORT voice」。見学者の使いやすさを一番に、定性調査の運営実務に長けた専属のディレクターが、インタビュー導入から終わりまでをフォローします。

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まとめ

ここまで、顧客の心を動かす「感性価値」について、その正体とそれをひも解くためのアプローチ手法・調査手法などを解説しました。

「かっこいい」「おしゃれ」「いい感じ」といった言葉は、単なる形容詞ではありません。その一言の裏には、SNS、口コミ、デザイン、広告など、無数の情報や体験が複雑に絡み合い、個人の感性によって紡ぎ出された価値の結晶が隠されています。

最も重要なのは、これらの言葉の言い換えを探す「言葉遊び」に終始するのではなく、なぜその言葉が生まれたのか、その背景にある一人ひとりの物語を深く探求することです。デプスインタビューやMROCといった適切な手法を用いて顧客と真摯に向き合うことで、初めてその本質が見えてきます。

様々なモノ・コトがあふれる現代は、スペックや機能だけでは、もはや顧客の心は動きません。
そこで、本コラムをもとに皆さまのビジネスにおいて、目には見えない「感性価値」を捉え、より顧客から選ばれる商品やサービスへしていきましょう。

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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