公開日:2025.08.08

BtoB調査はBtoC調査と違う?BtoB調査における注意すべきポイントを解説

  • マーケティングリサーチHowto

新商品やサービスを開発したり、新しいマーケティング戦略を考えたりするとき、まず顧客や市場のことを知ろうとするかと思います。

BtoC(個人向け)の調査なら、自分自身の経験からなんとなく想像がつく部分もありますが、BtoB(法人向け)となると話は別です。購買に関わる人が複数いたり、独自の社内力学が存在したりと、想像以上に複雑で、どうやって調査をしたら良いか分からないと感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、多くの人が混同しがちな「市場調査」と「マーケティングリサーチ」の違いを解説しながら、BtoBの定量調査や定性調査で注意すべきポイントを解説していきます。

 
 

市場調査とマーケティングリサーチの違い

はじめに、「市場調査とマーケティングリサーチの違い」というところを押さえるべく、解説していきます。

「市場調査とマーケティングリサーチって一緒じゃないの?」というふうに思っている方いらっしゃるのですが、リサーチ業界ではなんとなく、市場調査とマーケティングリサーチは分かれており、端的にまとめると下図となります。

図 市場調査とマーケティングリサーチの違い
図 市場調査とマーケティングリサーチの違い

 
 
市場調査とは
市場調査というのは、“市場”そのものに焦点をあてて、全体の市場動向や規模感、競合の参入状況などを見ていきます。

たとえば、最近の暑さから、清涼飲料水やフェイシャルシート、制汗剤などの売上が伸びると想像できるかと思います。市場がどのタイミングで伸び、また需要が減少するのかといった動向、年間何千億円あるいは何兆円といった規模、さらにどのような企業が参入しているのか。そうした点を分析するのが、リサーチ業界で一般的に市場調査と呼称されるものです。

 
 
マーケティングリサーチとは
マーケティングリサーチは、特定のマーケティング活動や顧客に焦点をあて、顧客の反応や顧客理解を深め、戦略の効果を見ていきます。

たとえば、特定のマーケティング活動「テレビCMを打った」といった場合、そのテレビCMを打ったことで、この商材のブランドの認知がどれくらい上がったのか、好意度がどれくらい上がったのかを見ていきます。
また、一般的な暮らしをしていらっしゃる方がどんなふうに行動をして、どんな気持ちで商品やサービスを利用しているのか、そういったところにも焦点をあてます。こういった点を分析するのが、マーケティングリサーチと、ご理解いただくのが良いと思っています。

 
 
BtoBとBtoCで市場調査やマーケティングリサーチの考え方は同じとなります。
ただ、BtoBのご相談になると、この辺の話がごちゃごちゃになっている人がやや多いと感じています。
たとえば、「Webアンケートをして、市場規模を出していきたい」って言っても、BtoBの場合、その購入する主体が当然企業になります。そうなると、一般の人に話を聞いても、分かり切れないところもあったりします。そして、この辺がごちゃごちゃってなっている人がいらっしゃるかと思います。

 
 

実施する調査は、市場調査なのか?マーケティングリサーチなのか?ハッキリさせる

実施するBtoB企業向けの調査というのは、「何が知りたいのか」、つまり、「市場調査として市場規模を知りたいのか、どういう企業がいるのか、利益構造がどうなのか、こういったことを知りたい」や「そのサービスを使っている人たちの意思決定プロセスを知りたい」といったことを、ここでしっかりと分けておく必要があります。
市場そのもの知りたいのか、そのサービスを使っている人たちの気持ちや行動を知りたいのか、これらを整理しておくことで、リサーチする際のパートナー選定がスムーズになります。
たとえば、市場規模や参入企業について調査する場合、デスクリサーチといった手法が主になってきますが、慣れている会社さんと慣れていない会社さんがあります。
※ デスクリサーチとは、公開データを収集・整理して行う市場調査のこと
 
そのため、事前に「知りたいこと」を整理し、市場調査なのかマーケティングリサーチなのハッキリさせ、その上で相談することで、良し悪しをより気づけるようになります。
 
 

【マーケティングリサーチ】BtoBの「定量調査」における注意点

今回は、マーケティングリサーチに焦点を絞り解説をしていきます。

マーケティングリサーチとなると、定量調査と定性調査があります。
簡単に定量調査と定性調査を紹介すると下表になります。

定量調査

仮説の裏付けを取るために行うもので、データを数値化して統計的に検証する手法です。アンケート等で数値データを収集し、サンプルサイズを増やすことで代表性を持たせ、特定の仮説が一般的に成り立つかを確かめます。
定性調査

消費者の行動や思考、感情の裏にある理由や背景を明らかにするために行います。インタビューや観察などを通じて、「なぜその行動が取られるのか」「消費者が何を感じているのか」といった深層心理を把握することが目的です。

 
そして本題の注意点は以下となります。

 

toBにおいて対象者条件の設定は、より重要度が増す
BtoBの調査において、まず考えるべきことは「誰に聞くかです。
これが本当に意識して欲しいことです。

たとえば、BtoCの飲料やお菓子といったものの買う現場というのは、皆さま想像できるかと思います。しかも、「自分も買ったことがある」みたいなところもあり、“なんとなく”分かるんです。
ですが、BtoBになってくると、人がそのサービスを買うっていうよりも、その企業が商品やサービスを購入します。そうなると一人の意見で購入の意思決定がされるとは限らないわけです。もちろん、零細企業といった人数が少ない企業では、社長のワンマンで「これ買います。あれ買います」といったことがあるかと思いますが、大きくなってくればなるほど、ご存知の通り『稟議』というものが出てきます。そのため、「この商品買います」ってなったときには、稟議書を書きます。また、会社さんによっては、いくつかのサービスとあいみつ(相見積もり)をとり、「やっぱりここにします」ということも発生します。

そのため、このBtoB調査において、「対象者条件」が重要になります。
意思決定者に話を聞きたいのか、あるいは稟議を進めていくために情報収集をしたいのか、といった具合に調査対象者を考えていく必要があります。

たとえば、法人用のパソコンを買う人の意思決定プロセスで、どういうことを重視して買うのかなどを明らかにしたいとき、一般的に役職を持っている方の方が対象となると思います。加えて、正社員であることも多いです。おそらく契約社員や派遣社員の方となってきますと、そういった権限が与えらえていないっていうところが一般的なのかな、と思います。そうした場合、Webアンケートをしますと、「あなたの勤務先ではパソコンの買い方はどうしていますか?」といった形で聞いたとしても、契約社員や派遣社員の方、あるいは正社員の中でも新卒1年目といった方たちに聞いたところで「わからない」となってしまうんです。

 
このように、対象者条件を「的外れな内容」にしてしまうと、まったく意味のない調査になってしまうので、絶対に抑えなくてはいけません
 

意思決定”関与”者をどこまで設定するかを想像すること
続いて、「意思決定”関与”者をどこまで設定するか」という話です。

たとえば、法人パソコンを例にとると、

  • 稟議を挙げる人
  • 稟議を書く人
  • 意思決定をする人

など、法人パソコンを購入するまでに関与する人が複数人おります。
そして、稟議を挙げる人や意思決定をする人の感覚というのは変わってきます。
それこそ、「印鑑だけ押している」人もいるかもしれません。そういった人の感覚の意見が必要なのか、不要なのかを判断する必要があります。

 
この辺について、しっかり「どういう条件にしょうかな?」「どういう設問で、その人たちを選定したらいいのかな?」といったところを考えることが重要です。
 

量的にどれくらい回収できそうか、調査会社に相談すること
この部分もややこしい話になってきますが、定量調査は「量」が重要です。
5人にアンケートして、「A商品とB商品のどっちのほうが好き?」みたいな質問があって、A商品と答えた人が4人いたとして、「じゃあ日本人の8割の人がA商品が好きなんだ」とは、皆さま感覚的にならないと思います。
そこで、重要になるのが「量」となり、「どれくらい回答を回収できそうなのか?」「サンプルサイズ(Tipsで紹介)として、何サンプルサイズぐらい、対象者条件にあてはまる人がいそうなのか?」ということを考える必要があります。「世の中にたくさんあるだろう」と思うかもしれないのですが、調査会社のパネルにどれくらいいるのか、というのは別問題です。
※ 身近なパネルとして、消費者パネルというのがあります。この消費者パネルとは、消費者を集めた組織(集団)となります。例えば、アスマークでは、Dstyle Webという会員組織を持っており、アンケートに答えていただけるアンケートパネルを運営しています。こういった消費者調査のためのアンケート会員の集団を消費者パネルと呼びます。

また、「法人パソコンの購入に関して、決済をする人」といった対象者条件であれば、そこまで少なくはないように思いますが、特殊なサービスになってくると、「対象者条件に当てはまる人がちょっとしかいない」といったことが発生します。

そのため、toB領域では、どんな人を集めるか、それらの人は統計的に有意と言える人数分回収できるのか、といったことをより考える必要があります。
※ 有意とは、統計学において有意水準(ある事象が偶然に起こる確率が低いと判断する基準となる確率)を満たすことを指し、偶然ではなく意味のある結果と判断することができます。
 

Tips:サンプルサイズ
サンプルサイズとは、調査や研究において、母集団(調査対象全体)から抽出する標本の大きさ、つまり実際に調査を行う対象の数のことです。例えば、全国の高校生の意識調査を行う場合、母集団は全国の高校生全体となります。しかし、実際に全ての高校生を対象として調査することは、現実的ではありません。そこで、このような場合は、一部の高校生を選び出して調査します。この選ばれた高校生たちが標本であり、その人数がサンプルサイズです。
詳しい解説は以下ページで解説しております。
サンプルサイズとは?計算方法やサイズの決め方など基本から解説>

 
 

BtoB調査で“何”を明らかにしたいのか?

BtoB調査において、何を明らかにしたいのかを明確にする必要があります。
この説明について簡単にまとめたものが下図となります。

図 BtoB調査における目的と対象者条件について
図 BtoB調査における目的と対象者条件について

 
BtoBですと、BtoCと比べ、回収できるサンプルサイズが一般的に少なくなります。

たとえば、先ほどの法人パソコンの購入(導入実態)の話の場合、情報収集のみするスタッフでOKなのか、稟議を挙げるスタッフでOKなのか、決済をする上席者でOKなのか。どこまでの人に広げるかによって、回収できるサンプルサイズも変わってきますし、聞ける内容も変わってくると考えております。

続いて、分析ソフトの利用実態に関する調査の場合も考えてみましょう。
まず、分析ソフトという部分で、統計パッケージソフトとしてSPSSなどがあったり、統計分析フリーソフトとしてRなどがあったりします。そのため、SPSSを使っている人に聞きたいのか、SPSSやRなどを含めたものについて聞きたいのか、によって聞ける内容が変わってきます。
また、利用実態に関する調査というところで、特定の商品と、限定してしまうとサンプルサイズ小さくなってしまいます。一方で、潜在顧客となると、まずは潜在顧客の定義をしなくてはいけません。そして、潜在顧客の定義を決めた後、潜在顧客かつ利用実態という部分で、たとえば、「ご自身の会社での業務内容の中で、分析ソフトを使うシーンはどのくらいのか」や「今は何を使っているのか」といったことを聞いていくことになっていくことかと思います。
そして、導入する部門でも話を聞きたいのか
たとえば、法人パソコンなどでも同じで、法人パソコンの不満というのは、法人パソコンを使っている人であれば、使っているときの不満や満足が出てきますが、導入する部門となると、「営業担当がなかなか連絡をくれない」や「納期が遅い」、「価格が高い」などといった不満になってきます。
つまり、導入する部門でも話を聞く場合、聞く内容も変わってくるかと思いますので、対象者条件を考えるというのはBtoBの調査においては、徹底的に考え抜くべきポイントです。

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BtoB調査で“誰”に聞くか?

BtoB調査において、繰り返しにはなりますが、「誰に聞くか」というのがポイントとなり、「誰に」というところを明らかにするような以下項目を用意するのがオススメです。

表 BtoB調査で“誰”に聞くか?
項目 解説
業種や業界はどこか? どんな業種や業界の人たちをターゲットにしているのか、明らかにしましょう。
たとえば、前述した分析ツールの話の場合、「いろんな企業に分析ツールを販売していきたい」と思っても、まったく分析ツールと関わりのない業界もあったりします。そういった関係のない業界にもアンケートをしないためにも、事前にターゲットとする業種や業界を明らかにしておく必要があります。
職業の設定は?
(正社員や派遣・契約、個人事業主など)
職業といっても、正社員や派遣社員、契約社員、個人事業主などいろいろな働き方があります。
こういった職業の設定も明らかにしておきましょう。
大企業/中堅企業/中小企業/零細企業などの区分は? 「○○について企業に聞きたいです」と単純に言っても、大企業の話なのか、中小企業の話なのかで、聞ける内容が変わってきます。
また、大企業、中堅企業、小企業などの区分を「どう定義するのか」という話もあるかと思います。
多くの場合、従業員規模で区切ることが多いですが、売上規模で区切るケースもあります。
部署や部門はどうするか?兼務している場合は? 中小企業であれば、人事や総務、経理といった業務を一緒くたにして、バックオフィスみたいな部門で設置していたりします。
また、営業部で聞ける話、総務部で聞ける話、企画部で聞ける話、それぞれ違うと思います。
こういった状況があるので、事前にどういった部署に聞きたいのか、そして、もしいくつかの部署を兼務している人がいる場合、その人には聞くのか、など決めておきましょう。
役職の制限を設けるか?また役職名はどうするか? 役職というのは、企業によって異なります。
「バイスプレジデントって何だろう?」であったり、「マネージャーというのは分かったけど、それって部長のことなの? それとも課長のことなの?」であったり、なかなかグルーピングするのが難しかったりします。
そのため、調査目的に応じて、役職の制限が必要な場合は、役職名の扱いであったり、質問の仕方であったり、事前に想定し、工夫を施す必要があります。

 
「誰に聞くか」という部分で、これらを事前に明らかにしておくことで、調査目的達成に近づけますので、事前準備をしっかりするようにしましょう。
 

注意:経営数字を調査で明らかにしたい場合
「大企業/中堅企業/中小企業/零細企業などの区分は?」で補足として、クライアント様によっては、「その会社の売上の金額を聞きたい」という方がおられます。こういった売上や利益などの経営数字を調査で明らかにしたいといっても、意外と社員に対して公表していない会社があります
また、守秘義務もあったりしますので、こういった部分は配慮が必要となります。

 
 

【マーケティングリサーチ】BtoBの「定性調査」における注意点

BtoBの定性調査において、「リアル感」をどこまで取れるか?が重要となります。
たとえば、「分析ツールをどんなふうに使っているのか」や「稟議を上げるときに、どんなプロセスが発生しているのか」、こういった部分を、どこまでリアルに取れるかがポイントになってきます。

そのためにまずは、対象者の置かれている状況を理解しましょう。
たとえば、対象者の部署は営業部なのか、マーケティング部なのか、その他の部署なのか明らかにします。そして、以下のようなことを理解する必要があります。

  • その部署にはどれくらいの人がいるのか
  • その具体的な業務は何なのか
  • その人は、その部署の中でどういうポジションなのか
  • 部下が何人いるのか
  • 上司は誰なのか

 
 
つまり、以下4つの観点の理解がBtoBの定性調査では特に必要となります。

  • 対象者の置かれている状況の理解(部署、人数、業務など)
  • 業務内容の理解
  • 他部署との関わりの理解
  • 意思決定プロセスはどういう基準に基づいて行われるか、対象者はどのように関わっているのかの理解

 
 
生活者調査と比べて社内力学がBtoB調査では生まれていることに理解し聴取すること
また、BtoBの定性調査において、社内力学が発生していることも理解しなくてはいけません
「うちの会社は営業の声が強くて、数字を取るためにバックオフィスといった支える部門の人がとっても大変な思いをしてるんです」といった話です。
また、「マーケの方が力が強くて、、、」といった話になると、それを踏まえた会社では、「こういう力学が発生し、社内政治も発生しているから、こういうふうにしておこう」といったことも出てきたりします。

この辺のリアル感は、BtoBではとても重要で、単純に・ロジカルに「この商品がすごく良いんです! なぜなら、こういう機能もついていて、こうで、それで、、、」と紹介しても、「それを購入できる決裁権を持っているのは社長なので、、、」といった話になってくると、取り付く島もないのです。

そのため、こういったリアルの部分も想像したり、話を聞いたりしながら、実情を押さえることで、聞きたいところをしっかり聞けるようになります。
 
 
なお、BtoCの調査であれば、たとえばお茶を買うのは自分自身です。基本的には美味しい/美味しくないで「これ買う/買わない」と判断すると思いますし、それも、その人自身です。
ですが、BtoBの場合、購入する人と使う人は別々だったり、購入の窓口になる人と実際にお金を払う人は違ったりしまうので、こういった部分、距離があるので、リアル部分を押さえるのがおすすめです。
 
 

調査設計、リクルート、モデレーターの関係性を踏まえる

定性調査は、下図の調査設計、リクルート、モデレーターをという3つの関係性を踏まえて、よりリアル感を取っていく必要があります。

図 定性調査における3つの関係性
図 定性調査における3つの関係性

 

  • 調査設計では、誰に聞くのか? どんなことを聞くのか?
  • リクルートの対象者は、適切な人を呼ぶことができるのか?
  • モデレーターは、その社内力学をしっかりと理解した上で、いかにリアル感を引っ張ってこれるのか?

 
これらが重要となり、ここを意識して設計できるのが理想です。

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BtoB調査は現場の理解が大切

BtoBの調査の場合、生活者の調査と比べ、現場の理解がより大切になります。
生活者調査の場合、自分も生活者の一人なので、比較的想像がしやすいです。そのため、色んなことにどんどんチャレンジもしやすいですし、今までの経験も活かしやすいです。

しかし、BtoBになってくると途端に、理解度などが低くなることがあります。
そのために、まず対象者条件は言語化できるようにしましょう。

そして、対象者条件の言語化ができたら、必要なサンプルサイズを確保できるか? と考えましょう。BtoCと異なり、対象者がグッと限られてしまうことがBtoB調査では多いです。

続いて、何を聞きたいのかしっかりと整理しましょう。アンケートで、「売上規模はどうですか?」と聞いても、答えられない人もいます。他には「会社でのDXの推進状況はどうですか?」を聞いても、一般社員には答えられない可能性があります。そのDX担当の人でないと分からないことがありますよね。そのため、自分の会社のことでも、分かることと分からないことが意外とあります。誰に聞けば良いのか、何を聞きたいのか、この辺をしっかりと整理するようにしましょう。

最後に、現場の理解をしましょう。
意思決定プロセスや実態を把握することが重要です。こういったことが分かっていないと、たとえば、定量調査での選択肢が作れません。「どんなことを重視していますか」という質問を用意しても、その実態などを把握していないため、その選択肢が思いつかなかったりします。もし、思いついても、現場に根付いた選択肢になっておらず、調査結果を鵜呑みにした場合、誤った方針を打ち出してしまう可能性があります。
また、定性調査であれば、深掘りができません。なんとなく問いを立てることができるかもしれませんが、中身が伴わない可能性が高いのです。
そのため、現場を理解するため、まずは自社の営業さんに確認をすることが、第一歩となります。

 
 

まとめ

この記事では、「市場調査」と「マーケティングリサーチ」の違いを解説した上で、BtoB調査の注意点を解説しました。

BtoB調査では、まず「何が知りたいのか」を明確にし、それが市場調査なのかマーケティングリサーチなのかを整理することが不可欠です。この整理を行うことで、適切な調査手法の選択や、調査パートナーとの連携がスムーズになります。

特に、BtoB調査では以下の点が重要です。

対象者の設定: BtoC調査と異なり、BtoBでは購買に関わる人が複数いる場合もあるため、意思決定者、情報収集者など、誰に話を聞くべきかを綿密に設定する必要があります。
現場の理解:企業の社内力学や意思決定プロセスといった「現場のリアル」を深く理解することが、精度の高い質問項目や調査設計につながります。
サンプルサイズの検討:BtoBでは対象者数が限られることが多いため、定量調査では十分なサンプルサイズを確保できるかを事前に検討する必要があります。

これらのポイントを踏まえ、BtoB調査を企画する際は、まず調査の目的を言語化し、調査対象者や聞きたい内容を徹底的に整理することから始めていきましょう。

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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