公開日:2023.03.09

顧客満足度調査(オフィス機器のメンテナンス事業者向け)のテンプレートと解説

  • 顧客満足度

オフィス機器には、パソコン、コピー機、複合機、ビジネスフォン、ファクシミリ、レジスターなど、多岐にわたる種類があります。顧客満足度調査(以下CS調査)はそれらのどの機器を対象にするのかによって、あるいはその目的によっても質問内容が異なります。ここでは「オフィス機器のメンテナンスサービス」を提供する企業に所属する経営企画、営業、マーケティング部などの方々が実施するCS調査のテンプレートについて解説します。

この調査を行うときのターゲットは以下の方々を想定しています。

・中小企業や大企業、公共機関、医療機関、学校などオフィス機器を使用する企業や団体の担当者

 
また、調査の目的や調査設計の際の注意点、実施の流れ、調査結果の活用方法についても説明しています。解説したテンプレートは無料でダウンロードできます
 

 
 

CS調査とは何か? 企業収益向上のための手段としての重要性

CS調査とは、自社が提供している製品やサービスが、どのように顧客に評価されているのかを知るための調査です。また企業としての信頼性、顧客との関係性の強さも知ることができます。CS調査の最終的な目的は、企業収益の向上、既存顧客の維持確保と新顧客の獲得のための手段を見出すことです。

オフィス機器のリスク管理

オフィス機器には様々な種類がありますが、ここではオフィスオートメーション(OA)機器を対象とします。OA機器のトラブルは、即時に処理すべき業務ができない、社内外とのコミュニケーションが中断するなど、日常業務に重大な支障を来たすことがあります。状況によっては、取引の中断や延期、様々な事故の原因となりかねません。具体的な損失に加え、取引先からリスク管理体制の適切さを問われる懸念も予想されます。
IT化の進展に伴い、オフィス機器のトラブル対策への関心が高まっています。一方で、機器の技術革新が進み、点検や修理は専門業者のスキルが不可欠な状況となっています。そのため、機器トラブルの解決のためにメンテナンスを委託する顧客層が増加しています。このメンテナンス需要の増加に伴い、参入業者が増加し、業者間の競争が激化しています。業者としての競争力を高めるためには、顧客満足度の向上が重要な課題となります。ここでは、顧客満足度を高めるために必要な要件や現行サービスの改善、新たなサービスを見出すための方法を探ることを目的としています。

メンテナンスと保守

オフィス機器のトラブル対策として、メンテナンスと保守があげられます。この言葉を使う人の立場などにより、意味合いの重複と違いが見られます。ここでは機器トラブルの発生前後の対処全体を包括して、メンテナンスとします。
 
 

アンケート項目を設計するときの注意点

目的を明確にする

オフィス機器メンテナンスの目的は、円滑で正常なビジネス環境の維持です。オフィス機器には様々な種類があり、また使用場面やトラブルの程度によってメンテナンスの緊急性や重要性が異なります。そのため、メンテナンスサービスを利用する場面や顧客の機器トラブルのリスクの捉え方など、オフィス機器運用の実情を踏まえたアンケート項目を考える必要があります。調査の目的は、どのようなケースにおける満足度を明らかにするか、明確に設定する必要があります。例えば、顧客のメンテナンス意識から見た満足度を調査するのか、オフィス機器ごとのメンテナンス品質から見た満足度を調査するのか、などです。目的を明確にすることで、調査の重点がぼやけることを防ぎ、より効果的なアンケートの設計が可能になります。

調査対象を明確にする

オフィスで使用される機器には、パソコン、コピー機、複合機、ビジネスフォン、ファクシミリ、レジスターなど、多種多様な種類があります。例えば、コピー機にはシンプルなものから多機能なものまであり、パソコンにもデスクトップやノート型、タブレット端末など、幅広い種類が存在しています。
これら機器に対するメンテナンスの契約形態は一般的に、パソコンは購入時にベンダーの保証(メンテナンスを含む)があることが多い一方で、コピー機は保証がなくメンテナンス契約が必要な場合があります。さらに、メンテナンスの契約には、機器の定期点検を含む保守契約や、トラブルが発生した際に対応するスポット契約など、多様な形態があります。
しかし、業界標準としての契約モデルが存在しないため、アンケートにおいては、具体的な機器に対して、どのような契約形態であるかなども含め、アンケート対象を明確にする必要があります。

顧客の業務運営状況(企業規模・事業種・業務)を踏まえた項目設計

オフィス機器のメンテナンスは、その機器が担っている業務、顧客のリスク管理意識の違いなどによって、同質のメンテナンスサービスを提供しても、顧客満足度に違いが生じることが予想されます。また業種(製造業、販売業、サービス業など)や企業規模によって、メンテナンスのあり方に差が生まれることも考えられます。どのような状況における満足度の評価を求めるのか、目的にそった項目設計が重要です。

アンケート項目は、回答者が回答しやすい順番となるようにする

CS調査では、起承転結の一連の流れがあります。「起」は顧客が対象となるサービスを知るという「認知」、「承」は顧客がなぜ対象サービスを導入したのか、どのような事業者を選んだのか、オフィス機器の使用状況と業務運営環境はどうかなど、「転」は委託決定という意思決定行動、続いて「結」の実際に導入した結果となる満足度評価へとつながって行きます。調査の指針と一連の流れが調和するようなアンケート項目の設計、調査票の作成が重要です。

適切な回答方式(単一回答、複数回答、自由回答)を選択する

単純集計、属性クロス集計、質問間クロス集計などの分析方法を考慮した、適切な回答方式を選択します。

適切な集計方法を選択する

設問の目的に応じた分析方法を選択します。

第三者によるアンケート項目と調査票を確認する

関係メンバー以外の社内の方に、客観的な検証してもらう必要があります。回答者が回答しやすい表現になっているのか、その確認が大切です。
 
 

実施の流れ

CS調査の実施は、次のような流れで進めるのが基本です。

① 目的と検証課題の想定
② 目的に対応する回答者の属性、回収目標数を決定
③ 回答者のサンプリング、リスト整理
④ アンケート項目の設計
⑤ アンケート項目にそった集計方法、分析方法を決定
⑥ 調査実施、集計作業
⑦ 調査結果の分析および報告書作成

 
 

調査結果の活用方法

対象サービスの顧客の満足度を聞くことで、顧客が期待するメンテナンスの品質、オフィス機器使用環境と提供サービスの適合性、また自社に欠けているサービス要素なども知ることができます。また自社の強みと弱み、顧客との関係性の強さを知る手だとなります。アンケート調査の一連の流れにそって、活用方法を例示します。

認知

顧客がどのような認知経路で対象サービスを知ったか、その結果から自社の情報発信効果の仮説を検証することができます。仮説に大きな差異が見られる場合、自社の広告宣伝やHPなど公式サイト、パブリシティ活動などを含め、情報発信方策の見直しをする契機となります。

オフィス機器の使用環境

調査対象とするオフィス機器の種類や機器の所有形態、対象業務、機器トラブルのリスクに対する認識を知ることで、様々な場面における顧客満足度の違いが確認できる機会となります。顧客が重視する満足ポイントを見出す手段として期待できます。

導入決定(意思決定行動)

顧客の契約理由から、メンテナンスに求められるサービス内容を確認できます。反対に、必要とされていないサービスの検証も可能になります。主要な導入理由に対応する情報発信やサービスメニューの拡充など、事業全般に渡る活用が期待できます。さらに継続契約の意向を確認することで、顧客との関係性を知るひとつの尺度となります。

顧客満足度評価

現状の満足度と、今後優先的に改善すべきポイントを知ることができます。また満足度が低い項目は、対象サービスの弱みと同時に顧客の潜在ニーズも表している可能性があります。
 
 

テンプレートの解説

ここでは、オフィス機器メンテナンスの「総合的な顧客満足度を知るためのテンプレート」を紹介します。設問は、起承転結の流れにそって構成しています。

【認知】
Q1. この●をどこでお知りになりましたか。(お答えはひとつ)

1.ニュースや専門誌などマスメディア
2.機器メーカー(公式サイトを含む)
3.オフィス機器販売店(公式サイトを含む)
4.インターネット広告
5.インターネット検索
6.業界での評判
7.取引先の推奨
8.営業スタッフ
9.その他(          )

 
この設問では、「オフィス機器のメンテナンス」に関連する情報に触れる主な場面はどこか、認知経路について聞きます。
 
 

【オフィス機器使用環境】(1)対象機器
Q2. この●は、どのようなオフィス機器を対象として契約をしましたか。もっとも使用頻度の高い機器をひとつだけお選びください。運用とのセット契約も含みます。(お答えはひとつ)

1.パソコン
2.コピー・複合機
3.ビジネスフォン
4.レジスター
5.その他(     )

 
この設問では、メンテナンスを委託した機器を聞きます。
 
 

【オフィス機器使用環境】(2)所有形態
Q3. この機器の導入方法を教えてください。(お答えはひとつ)

1.購入
2.リース
3.レンタル
4.貸与(貸与元はどこですか   )
5.その他(     )

 
この設問では、メンテナンスを委託した機器の導入方法聞きます。
 
 

【オフィス機器使用環境】(3)メンテナンス契約の形
Q4.この●の契約内容を教えてください。(お答えはひとつ)

1.機器の購入契約とセット
2.機器のリース契約とセット
3.システム構築とセット
4.メンテナンスと運用のセット
5.メンテナンスのみの契約
6.その他(     )

 
この設問では、委託したメンテナンスの契約方法を聞きます。機器の種類によって、契約内容に偏りがあるのか、顧客が受け入れやすい契約内容は何かを知るための設問です。
 
 

【オフィス機器使用環境】(4)対象業務
Q5.この機器はどのような業務で使用していますか。(お答えはいくつでも)

1.総務
2.人事
3.財務・会計
4.営業
5.製造・調達
6.企画・研究
7.その他(     )

 
この設問では、メンテナンスを委託した機器の使用場面を聞きます。よりメンテナンスが重視される業務は何か、顧客のメンテナンスニーズを知るための設問です。
 
 

【オフィス機器使用環境】(5)想定されるトラブルリスク
Q6.この機器のトラブルで、どのようなリスクが想定されますか。(お答えはいくつでも)

1.従業員のモチベーション低下
2.取引先の信頼性低下
3.業務効率・生産性の低下
4.機器の停止時間による業務コストの損失
5.取引先との商談中断など営業損失6.企画・研究
6.生産現場などでのトラブル誘発懸念
7.その他(     )

 
この設問では、機器のトラブルによって引き起こされるリスクを聞きます。顧客が懸念するリスクは、メンテナンスのニーズに直結する可能性が高いです。
 
 

【意思決定】(1)導入のきっかけ
Q7.この●を導入したきっかけを教えてください(お答えはいくつでも)

1.機器の新規購入
2.機器購入の契約条件として
3.機器メーカーの保証期間が終了
4.自社メンテナンスで障害が発生
5.トラブル発生時の保険として(即時対応などの期待)
6.メンテナンス人材が不足
7.その他(     )

 
この設問では、メンテナンスサービスを契約したきっかけを聞きます。導入のきっかけは、顧客へのアプローチ機会を広げる手立てとなる可能性があります。
 
 

【意思決定】(2)契約先の選定理由
Q8.この●の事業者を選んだ理由を教えてください(お答えはひとつ)

1.営業対応(要求内容への柔軟な対応姿勢)
2.提案内容(業務仕様)
3.緊急時の対応内容(代替機の貸与など)
4.料金設定の透明性
5.自社における過去の実績
6.取引関係など業務上の関係
7.同業他社での実績
8.信頼性の高さが評判
9.その他(     )

 
この設問では、委託先の選定理由を聞きます。メンテナンスサービスの委託先に求めるニーズの一面を知るためです。
 
 

【重視点】
Q9.この●を選ぶ際に重視した点を教えてください。(お答えはいくつでも)

1.メンテナンス品質
2.リーズナブルな料金設定
3.メンテナンス対象範囲
4.契約条件の妥当性(相互の責任範囲の明確化など)
5.平時のメンテナンス業務内容
6.障害・トラブル時のメンテナンス内容
7.メンテナンス情報共有体制
8.機器の更新や代替のサポート
9.サービス提供事業者の事業内容
10.その他(     )
 
【最重視点】
Q10.この●を選ぶ際にもっとも重視した点を教えてください。(お答えはひとつ)

該当する回答例の番号を記入してください。
(     )

 
これらの設問では満足度を評価する項目の優先順位、その中でも決定要因となる項目は何かを聞きます。
 
 

【総合的満足度】
Q11.●の総合的な満足度を評価してください。(お答えはひとつ)

1.非常に満足
2.やや満足
3.どちらともいえない
4.やや不満
5.非常に不満

 
この設問では、オフィス機器のメンテナンス全体の総合的な満足度を聞きます。項目別の満足度との相関を見ることで、顧客が求めるサービスの姿、サービスコンセプトの見直しなどへの活用が可能となります。
 
 

【項目別満足度】
Q12.●について、次の項目それぞれについて、満足度を評価してください。(お答えはひとつ)

  非常に満足 やや満足 どちらともいえない やや不満 非常に不満
メンテナンス品質
リーズナブルな料金設定
メンテナンス対象範囲
契約条件の妥当性(相互の責任範囲の明確化など)
平時のメンテナンス業務内容
障害・トラブル時のメンテナンス内容
メンテナンス情報共有体制
機器の更新や代替のサポート
サービス提供事業者の事業内容

 
この設問では、今後の強化ポイントと同時に改善ポイントも判断することができます。さらに満足度の低い項目は、顧客の潜在的なニーズを示す可能性もあります。サービス内容によって評価要素は異なりますので、対象のサービスに合わせて評価項目を決定します。
 
 

【継続契約意向】
Q13.今後、この●の契約を更新したいと思いますか。(お答えはひとつ)

1.非常に更新したい
2.やや更新したい
3.どちらともいえない
4.あまり更新したくない
5.全く更新したくない

 
この設問では、サービスの満足度を背景として、これからの顧客と事業者の関係について聞きます。
 
 

【ご意見・ご要望】
Q14.●に対するご意見などがありましたら、ご自由にお書きください。(自由回答)

サービスやベンダー(事業者)のあり方など、顧客の自由な意見を聞きます。アンケート項目では思いつかない顧客の現場感覚や、サービスに求める事柄、自由な発想での意見が期待できます。
(     )

 
 

【企業概要】
企業概要についてお伺いします。
F1.どの業種に該当しますか。

1.製造業
2.建設業
3.情報通信業
4.運輸業,郵便業
5.卸売業,小売業(ECサイト含む)
6.金融業,保険業
7.不動産業,物品賃貸業
8.宿泊業,飲食サービス業
9.生活関連サービス業,娯楽業
10.教育,学習支援業
11.医療,福祉
12.その他(     )
 
F2.資本金を教えてください。
1.100万円未満
2.100万円~1,000万円未満
3.1,000万円~5,000万円未満
4.5,000万円~1億円未満
5.1億円以上
 
F3.従業員数を教えてください。
1.20人未満
2.20人~50人未満
3.50人~100人未満
4.100人~300人未満
5.300人以上
 
F4.会社設立後の年数を教えてください。
1.3年未満
2.3年~10年未満
3.10年~20年未満
4.20年~50年未満
5.50年以上
 
【プロフィール】
■プロフィールについて教えてください。
F5.部署を教えてください。

1.総務
2.人事
3.財務・会計
4.営業
5.製造・調達
6.研究・開発
7.企画・広報・マーケティング
8.情報システム部門
9.その他(     )
 
F6.役職を教えてください。
1.役員クラス
2.部長クラス
3.課長クラス
4.係長・主任クラス
5.一般社員
6.契約社員・派遣社員
7.その他(     )
 
F7.担当業務を教えてください。
(     )

 
これらプロフィールについての設問は、顧客が属する業界や事業環境ごとに異なる満足度を把握するためのものです。満足度の評価項目とのクロス分析に使います。
 

まとめ

CS調査は、顧客のオフィス機器メンテナンスの満足度を聞くことで、今後の製品やサービスの改善に導く手段となります。さらに、課題の先取りを読み取る手段として、より付加価値高い方策を検討する手立てとしての活用が期待できます。テンプレートを使用することで調査の効率性が向上し、より精度の高いデータを収集することができます。テンプレートは無料でダウンロードしていただけます。ぜひご利用ください。
 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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顧客満足度調査(CS調査)

顧客満足度調査(CS調査)

”顧客満足度調査(略してCS調査)とは、自社の商品ユーザーやサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスをいただくための調査です。
顧客が満足する商品・サービスを提供し続け、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつけるためにも非常に重要な役割を果たします。また、顧客の「継続購買」や「推奨行動」といった「エンゲージメント」につなげることにあります。

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ポートフォリオ分析(CSポートフォリオ)とは

ポートフォリオ分析(CSポートフォリオ)とは・・・製品やサービスの『満足度』と『重要(期待)度』からマッピングし『優先的改善項目』を把握する分析手法です。ブランドの「重要度」を横軸に、「満足度」を縦軸に取り、改善項目への優先度をポジショニングから視覚的に把握することができ、『重点改善項目』『重点維持項目』『維持項目』『改善項目』の4象限に大別されます。

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