
2025.02.07
ペルソナ作成×BIツール:BIツールで実現する精度の高いマーケティング戦略
はじめに:ペルソナとは? ペルソナとは、ターゲットとなる顧客層を具体的にイメージしやすくするために作成される架空の人物像です。マーケティングや製品開発において……
公開日:2025.04.10
現代の市場調査においては、顧客のニーズやインサイト※を深く理解することが、製品開発やマーケティング戦略の成功において欠かせない要素となっています。その手段として注目されているのが、「グループインタビュー」と「ワークショップ」です。
※ インサイトとは、消費者の行動や思考の背後にある、消費者も自覚できていない動機や欲求
グループインタビューとワークショップは、一見すると似たような手法に見える方もいると思います。しかし、それぞれの目的や進行方法には明確な違いがあり、これらをうまく組み合わせることで、より多面的かつ深い洞察を得られます。
この記事では、グループインタビューとワークショップの特徴や違い、そして両者を組み合わせた調査手法について解説します。
グループインタビューは、特定の目的に合わせて選定された6名程度のグループを対象に、モデレーターと呼ばれる司会者が進行役を務め、座談会形式でインタビューを行う定性調査※のイチ手法です。
※ 定性調査とは、対象者の行動や発言を観察し理解していくことで、因果を読み解く調査方法です。この定性調査には、前述したグループインタビューの他に、デプスインタビューやエスノグラフィ調査、日記調査などの調査手法があります。
この手法の大きな特徴は、参加者同士の相互作用を通じて、個々の意見だけではなく、それらの意見が生まれる背景や感情、思考プロセスまでを明らかにできる点です。そのため、定量的なアンケート調査などではとらえきれない、消費者の深層心理や潜在的ニーズを探るのに適しています。
グループインタビューを成功させるには、参加者が自由に発言できるリラックスした雰囲気づくりが必要です。モデレーターはインタビューの流れをうまくコントロールしながら発言を引き出し(本音を引き出し)、議論を活性化させる重要な役割を担います。そのため、モデレーターには心理学やコミュニケーションといったスキルや、その技量が必要になります。さらに、発言内容を詳細に記録・分析することで、調査テーマに対する多面的かつ深い洞察を得られます。
グループインタビューは、多様なシーンでその有効性を発揮する調査手法です。以下に代表的な活用例をご紹介します。
グループインタビュー(FGI)のサービスの詳細はこちら
アスマークは、業界トップクラスのグループインタビューリクルート実施件数があります。蓄積されたノウハウで、貴社のグループインタビューを設計からレポートまで、フルサポート!
> 詳しく見る
ワークショップとは、参加者が主体的に関わりながら、共同作業や体験を通じて学びや成果を得ることを目的とした活動です。特定のテーマや課題に対して、参加者同士が知識や意見を交換し、協力しながら解決策を模索したり、新たなアイデアを創出したりすることを目指します。
一般的な講義形式のセミナーとは異なり、ワークショップでは参加者の積極的な参加と相互作用が重視されます。グループワークやディスカッション、ロールプレイ、ブレインストーミングなど多様な活動を通じて、参加者は自ら考え、発言し、行動によって、学びを深めることが可能です。
ワークショップは、ビジネスや教育現場、地域づくり、行政、福祉など、さまざまな分野で幅広く活用されています。参加者一人ひとりの主体性と創造力を引き出し、対話と共創を通じて実りあるアウトプットを生み出す手法として、注目されています。
ワークショップの主な特徴は下表となります。
特徴 | 内容 |
---|---|
参加者の主体性 | 参加者は受け身の姿勢ではなく、自らの意見やアイデアを積極的に発信しながら活動に参加します。 |
双方向のコミュニケーション | 参加者同士またはファシリテーターとの間で活発な意見交換や情報共有が行われることで、対話を通じた理解が深まります。 |
体験的な学習 | 講義を聴くだけでなく、実際に体験することで、より深く記憶に残る学びが得られます。 |
共同作業による成果創出 | グループでの協働を通じて、チームとして課題解決に取り組み、成果を共有します。 |
ワークショップは、参加者それぞれの知識や経験を共有することで、新たな価値を生み出せる手法であり、様々な分野や場面で高い効果を発揮します。主な活用例は、以下の通りです。
なお、ワークショップとの違いは『目的』です。ワークショップの目的はインプットの要素が強く、グループワークの目的はアウトプットの要素が強いです。
グループインタビューとワークショップは、いずれも複数の参加者から意見を引き出す場ではありますが、その目的や進行スタイルには明確な違いがあります。
グループインタビューは、モデレーターが主導して参加者の意見を引き出す「傾聴型」の手法であり、主に現状の認識や課題、ニーズの把握といった探索的な調査に用いられます。参加者同士の会話を通じて、表面的な意見だけでなく、その背景にある感情や思考にもアプローチできる点が特徴です。
一方、ワークショップは、参加者自身が主体的に関与し、意見を出し合いながらアイデアを創出・整理していく「共創型」の手法です。前述しましたが、参加者が主体的に関わりながら、共同作業や体験を通じて学びや成果を得ることを目的となります。
たとえるなら、グループインタビューが「聞く場」であり、ワークショップが「つくる場」となります。調査や企画の目的、プロジェクトのフェーズに応じて、どちらの手法を採用するか、あるいは両者を組み合わせるかを柔軟に検討することが重要です。
項目 | グループインタビュー | ワークショップ |
---|---|---|
目的 | 対象者の行動や発言を観察し理解していくことで、因果を読み解くこと | 共同作業や体験を通じて学びや成果を得ること |
主体 | モデレーター | 参加者 |
進行スタイル | 傾聴型(質問に基づく) | 共創型(対話・作業中心) |
発言の自由度 | 中程度(モデレーターによる管理) | 高い(自由に発言・表現できる) |
成果物 | 会話・発言の記録、 | アイデアスケッチ、模造紙、プロトタイプなど |
活用シーン | ニーズ調査、商品・サービス評価 | 商品開発、組織課題の解決、ビジョン共有など |
所要時間(目安) | 約1〜2時間 | 約2〜4時間以上 |
グループインタビューとワークショップは、それぞれ異なる目的と手法を持つ調査アプローチですが、両者を組み合わせて活用することで、より深く、実践的なインサイトを得ることが可能です。
例えば、グループインタビューによって参加者の意見や価値観を引き出し、その後にワークショップ(+グループワーク)を実施することが可能です。この手法では、まずグループインタビューによって参加者の声を聞き取り、共通する意識やニーズ、価値観を明らかにします。そのうえで、ワークショップを通じて、グループワークを実施し、参加者同士が意見を整理・共有、発想を広げ、具体的で創造的なアイデアを形にしていきます。こうしたプロセスにより、発言の背後にある思考や感情も共有され、他者の視点をきっかけに新たな気づきや発想が生まれることを期待できます。
グループインタビュー単体では、意見の収集や認識の把握が中心となりますが、そこにワークショップを組み合わせることで、調査結果に“活用可能性”という価値が加わります。つまり、得られたインサイトがそのまま商品・サービスの改善や新たな企画へと直結する、実践的なアウトプットへとつながるのです。
このような組み合わせのアプローチは、ユーザー理解を深めると同時に、調査の成果を次のアクションへとつなげやすくするという点でも効果的と言えます。
グループインタビューとワークショップ(+グループワーク)を組み合わせた調査は、下図のステップで進められます。
インタビューの冒頭では、まず日記調査の内容を振り返りながら、「いつ」「どのように」「どのような目的で」ヨーグルトを消費しているのかについて具体的に尋ねました。例えば、朝食としてヨーグルトを食べる「喫食者」に対しては、他の朝食メニューとの比較や、ヨーグルトに求める機能性(腸内環境の改善や手軽さなど)について掘り下げています。
一方で、料理の材料としてヨーグルトを取り入れている「活用者」には、どのような料理にどのような目的で使っているのか、またヨーグルトを使うことで感じる変化やメリットについて詳しくインタビューしました。さらに、美容を目的にヨーグルトを利用している参加者には、具体的な使用方法や頻度、期待している効果などについても深く掘り下げることで、多角的なインサイトを収集しました。
また、アイデア創出のフェーズでは、ブレインストーミング形式を取り入れ、「こんなヨーグルトがあったらいいな」「こんな使い方ができたら面白い」といった自由な発想をうながしました。その結果、料理用途に特化したヨーグルトや、美容専用としてのヨーグルトなど、具体的かつ実用的な新コンセプトが複数提案されました。
この記事では、グループインタビューとワークショップについて解説しました。
グループインタビューは、消費者の深層心理や潜在的なニーズを掘り下げていくことで対象者を理解していき、因果を読み解いていくことを目的としています。一方、ワークショップは、参加者が主体的に関わりながら、共同作業や体験を通じて学びや成果を得ることを目的としています。
これらを組み合わせることで、定量調査ではとらえきれない以下が可能となります。
変化の激しい市場環境においてこそ、こうした手法によって消費者のニーズやアイデアを柔軟に取り入れることで、顧客満足度の高い製品やサービスの提供につなげていきましょう。
グループインタビューについてのご相談はこちら>
失敗しない、定性調査の「インタビューフロー設計」
本資料では、インタビューフロー設計の基本原則~整理すべきポイントや、具体的な聴取項目の作成方法、更にはグループインタビューとデプスインタビュー間におけるフロー設計の違いなどを解説いたします。
ご活用頂き、インタビュー調査の更なる精度の向上へお役立ていただけましたら幸いです。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● インタビューフローの作成で悩んだことがある
● インタビュー調査を失敗したことがある
● これからインタビュー調査を設計する予定がある
> 詳しく見る
グループインタビューのコツとは?成功させる戦略について解説
近年、市場調査において、消費者の深層心理を理解するために定性調査の重要性が高まっています。中でも、グループインタビューは、消費者の本音を引き出し、多様な意見や深い洞察を引き出すための手法として注目されています。
しかし、グループインタビューから有益な調査結果を得るには、グループインタビューの特性や重要なポイントを理解して、事前準備や調査実施、分析作業を行うことが大切です。
この記事では、グループインタビューを成功させるためのコツについて解説します。
> 詳しく見る
商品開発におけるグループインタビューの事例
前ページでは、ヨーグルトの製造・販売メーカーを例として、商品開発における調査企画・設計~【フェーズ1】webアンケートまでの実施事例を紹介しました。
ここからはwebアンケートからでは探れない対象者の行動や発言・情報についてを探る定性調査を行なっていきます。最後に、調査全体から何が見えたのか、ヨーグルトの新価値を見出し、新商品の方向性について触れています。
> 詳しく見る
失敗しない、定性調査の「インタビューフロー設計」
本資料では、インタビューフロー設計の基本原則~整理すべきポイントや、具体的な聴取項目の作成方法、更にはグループインタビューとデプスインタビュー間におけるフロー設計の違いなどを解説いたします。
ご活用頂き、インタビュー調査の更なる精度の向上へお役立ていただけましたら幸いです。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● インタビューフローの作成で悩んだことがある
● インタビュー調査を失敗したことがある
● これからインタビュー調査を設計する予定がある
> 詳しく見る
グループインタビューの進め方|基本から実施、データ収集まで
市場調査において、消費者の深層心理や動機などの数値化しづらい情報を得るには、定性調査を実施する必要があります。その中でも、グループインタビューは複数の参加者が集まり、自由な議論や表情、反応を通じて、深い洞察や情報を引き出す点で優れたマーケティングリサーチにおける調査手法の1つです。
この記事では、グループインタビューの基本とともに、消費者から有益な情報を得るための進め方について解説します。
> 詳しく見る
【アーカイブ】目的に合わせた、グルイン・デプスインタビューの使い分けとは?「定性調査基礎講座」設計編
定性調査を行う中で「そもそもグルインではなくデプスで行うべきだった」「サンプル数が少なすぎて、アウトプットがまとまらない」など、基礎的な設計段階でのミスを散見する場もしばしばあります。更には「Aと回答した人が多いのでAにしよう」など、定性調査を定量目線で判断してしまう初歩的な誤りも、まだまだ実情として顕在します。
そこで今回は、日用品~自動車など多数業界において豊富なリサーチャー経験を持つ、株式会社エスアールエー 代表取締役社長 角泰範氏を招き、「自社課題に合わせた定性調査の選定・設計」をテーマで紹介いたします。
下記に当てはまる方にお薦めの動画です。
● 自社の調査は何名へインタビューがすべきか知りたい
● 自社課題に合わせた最適な調査手法を選びたい
● グルインorデプス?使い分け方の最適解を得たい
> 詳しく見る
2025.02.07
はじめに:ペルソナとは? ペルソナとは、ターゲットとなる顧客層を具体的にイメージしやすくするために作成される架空の人物像です。マーケティングや製品開発において……
2024.09.06
マーケティングリサーチにおいて、顧客のニーズや市場動向を正確に把握することは非常に重要です。そして、そのための手段として欠かせないのが「調査票」を用いたアンケー……
2020.03.04
Web調査とは Web調査とはマーケティングリサーチの手法の一つで、文字通りWeb上で実施する調査のことを指します。アンケート画面をWeb上に作成し、調査……
2024.12.17
現代ビジネスにおいて、顧客満足度を高めることは企業の成長にとって、とても重要な要素です。顧客満足度が高いほど、リピーターの増加、口コミによる新規顧客の獲得、ブラ……