公開日:2025.04.23

NPS®のデータ統合で売上UP!活用方法と分析のコツ

  • マーケティングリサーチHowto

「NPS®やアンケートデータを集めているのに、施策に活かせていない。」そんな課題を抱える企業は少なくありません。

本コラムでは、NPS®・アンケートデータと購買履歴・Web行動データの統合によって得られる顧客インサイトの活用法や、マーケティング施策への具体的な落とし込み方について、売上向上・顧客満足度アップにつながる分析のコツを解説します。
「データを活かしきれていない」と感じている方に、ぜひご一読いただきたい内容です。
 
 

NPS®・アンケートデータを活用できない理由とは?

企業がNPS®やアンケートによって得た顧客データをマーケティング施策に活かそうとする際、いくつかの壁に直面することが少なくありません。

まず1つ目の課題は、「実際の顧客行動との乖離」です。NPS®のスコアは顧客の心理的態度を捉えるものである一方で、それが必ずしも購買行動と一致するとは限りません。たとえば、「推奨者」とされるNPS®スコア9以上の顧客が、実際には購入頻度が低かったり、逆に「批判者」とされた顧客が長期的にロイヤルな購買を続けているケースもあります。こうしたズレが生じていると、スコアに基づいて立てた施策が的外れとなり、ROI(投資対効果)の低下を招きます。

次に挙げられるのが、「施策への落とし込みの不明確さ」です。アンケートやNPS®によって得た顧客の声を受けて、実際にどのようなアクションを取るべきかがわからず、手をこまねいてしまうことがよくあります。「満足している」と答えた顧客に対して何をすればよりロイヤル化が進むのか、逆に不満を抱えた顧客の声をどう受け止め、信頼を回復すればよいのか。さらには、こうした情報を活用してリピート購入やアップセルにどうつなげるのかといった具体的な施策設計が不十分なまま、データだけが蓄積されていく状態に陥りがちです。

さらに3つ目の課題として、「施策の効果測定が難しい」という問題があります。施策を打った後、それがNPS®改善や売上向上にどの程度影響を与えたのかを可視化できなければ、次のアクションへつなげることができません。顧客がどの接点でポジティブな印象を抱いたのかが見えず、結果として施策の評価が曖昧になってしまうことも少なくありません。特に、NPS®のような定性的な評価と、購買データのような定量的なデータとを横断的に分析できない場合、そのギャップはさらに大きくなります。

これらの課題を乗り越えるためには、NPS®やアンケート結果といった「顧客の声」と、実際の購買履歴やWeb上での行動データなどのファクト(事実)を統合して分析する仕組みが不可欠です。感情的な評価と行動の実態を組み合わせることで、どのような顧客がどのような心理で、どのタイミングで行動に移るのかという“リアルな顧客像”が初めて浮かび上がってきます。

その結果として、満足度が高い顧客への最適なアプローチや、批判的な声の背後にある潜在ニーズの発見、そして、施策の精度向上とPDCAの高速化が実現可能になります。つまり、「顧客の声」と「顧客の行動」をつなぎ合わせた統合的なインサイトこそが、マーケティングの次の一手を正確に導く鍵となるのです。
 
 

データ統合によるマーケティング効果の向上

NPS®やアンケート結果を単体で扱うのではなく、購買履歴やWeb上の行動データといった定量的な情報と組み合わせることで、顧客一人ひとりの態度と行動を立体的に把握できるようになります。これにより、顧客を理解するためのデータから、動かすためのインサイトへと転換することが可能になります。
ここでは、データ統合によって具体的にどのようなマーケティング効果が得られるのかを見ていきましょう。

・LTV(顧客生涯価値)の向上
単なる一律のキャンペーンではなく、個々の顧客の過去の行動やアンケート回答に基づいた個別最適なメッセージングが可能になります。たとえば、ある商品の購入後に「非常に満足」と回答した顧客には、その商品と親和性の高い関連商品の提案を。逆に不満を示した顧客には、改善点をカバーした新製品やサポート案内を送るなど、対応を変えることができます。

・パーソナライズマーケティングの実現
顧客の行動履歴を分析し、それに基づいて個別最適化されたプロモーションを展開できます。たとえば、購買履歴とNPS®を統合することで、特定の商品に満足している顧客には関連商品のクロスセルを、満足度の低い顧客には改善策を提案するフォローアップを実施できます。

・施策の精度向上
NPS®、購買履歴、Web行動などの多様なデータを組み合わせることで、顧客のセグメントをより正確に特定し、施策のターゲティングを一層シャープにできます。その結果として、無駄な広告配信やキャンペーンによるコストを抑えつつ、高い反応率を得ることが可能になります。

・施策のスピード向上
たとえば、新商品のローンチ後に即時でアンケートを収集し、その結果に応じてターゲットの切り替えやメッセージの最適化を図ることも可能になります。これは、顧客の声を次回施策への参考にとどめるのではなく、今すぐに行動へ移すためのデータとして活かすことを意味します。

・経営レベルでの意思決定強化
特定の顧客層における満足度の推移や解約リスク、購入トレンドの変化といった情報は、商品開発やサービス改善に直結するインサイトとなります。現場の改善にとどまらず、企業全体のブランド力や収益性を高めるための戦略的判断を支える要素にもなり得るのです。
 
 

データ統合の成功イメージ2選

イメージ1:大手小売業が購買データとアンケートを活用し売上向上

ある大手小売業では、顧客満足度を向上させるためにNPS®(ネット・プロモーター・スコア)調査を実施していました。しかし、収集した顧客のフィードバックが購買履歴や顧客属性データと結びついていなかったため、以下のような問題が発生していました。
・どの施策がリピーター増加や売上向上につながったのかが分からない
・高評価・低評価の顧客がどのカテゴリの商品を購入しているのか不明
・ロイヤルカスタマー(高NPS®層)の特徴や購買傾向を把握できない
結果として、NPS®調査を活用したマーケティング施策の最適化が進まず、改善の方向性が曖昧になっていました。

解決策
POSデータとNPS®を統合し、スコアの高い顧客と低い顧客の購買行動を詳細に比較しました。スコアの高い顧客が特定ブランドを購入する傾向が強いことを発見し、ブランド別のプロモーション施策を実施。さらに、店舗ごとのNPS®データも活用し、接客改善に向けた研修を強化しました。

成果イメージ
POSデータとNPS®スコアを統合した分析によって、「高評価の顧客が好むブランド」や「リピート傾向の強いカテゴリ」が明らかになりました。この発見を起点に行ったブランド別プロモーションでは、関連商品の購入率が平均で15%向上。また、NPS®の高かった店舗では接客をベストプラクティスとして他店舗に共有し、研修強化により全体のNPS®スコアが平均1.8ポイント改善しました。

さらに、「高スコア×高購入頻度」の顧客群を優良顧客として特定し、会員限定の先行販売キャンペーンを展開した結果、参加率は従来の1.5倍、平均購入単価は約20%増という成果に。NPS®が単なるアンケートから、売上とロイヤル化を支える軸へと進化しました。
 

イメージ2:EC企業がNPS®データと購買履歴を統合しリピート率を改善

課題
ECサイトでは、NPS®データを収集していたものの、それが購買データと紐付いておらず、どのタイミングで追加アプローチをすべきか判断できていませんでした。また、顧客がどのような要因で離脱しているのかが不明確で、リピート購入を促進する施策が打ちにくい状況でした。

解決策
NPS®と購買履歴を統合し、特定のタイミングでの離脱率や再購入までの期間を分析。リピート購入特典やターゲティングメールを導入し、さらに購入後のフォローアップメッセージを最適化。パーソナライズされたリコメンド商品を提示し、リピート率向上を狙いました。

成果イメージ
NPS®データと購買履歴を統合したことで、「どのNPS®スコア層が、どのタイミングで離脱しやすいのか」「初回購入から再購入までの平均期間」といった可視化が可能になりました。これに基づいて設計されたフォローアップシナリオでは、購入後3日以内に配信される「商品使用のヒントメール」によって、2回目購入への転換率が10%改善。

加えて、NPS®スコアの低かった顧客には、カスタマーサポートからのパーソナルメッセージや使い方動画の案内を行うことで、離脱率が12%低下。スコアの高い顧客には「あなたへのおすすめ」メールをカスタマイズして送付した結果、メール経由のCV率が約1.8倍に跳ね上がりました。
 
 

データ戦略を活かしたマーケティングの最適化

企業がNPS®やアンケートデータを活用することで、顧客理解を深め、売上や満足度の向上につなげることが可能になります。しかし、これらのデータを真に活かすには、情報を統合し、一貫性のある戦略へと落とし込む必要があります。そこで注目されるのが、統合分析ソリューション「データクリアパス」です。

データクリアパスは、NPS®・アンケート・購買履歴・Web行動といった複数のデータを統合し、可視化にとどまらず、施策立案と改善サイクルを支援します。

まず、顧客セグメントごとの最適なアプローチが可能になります。たとえば、高NPS®層には特典キャンペーンを、低スコアの顧客には改善提案を、ロイヤルユーザーにはパーソナライズ施策を展開するなど、インサイトに基づいた対応が可能です。

また、リアルタイム分析により広告やメール施策の精度が向上し、エンゲージメントやROIの最大化を実現。営業との連携も強化され、アップセルの機会創出やネガティブ顧客への適切なフォローアップも可能になります。

さらに、キャンペーンのNPS®効果測定やA/Bテストを通じて、PDCAを高速に回すことができ、長期的な顧客関係の強化にもつながります。

データクリアパスは、単なるデータ管理を超え、マーケティングの精度とスピードを飛躍的に高める戦略的基盤となります。

 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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