公開日:2025.07.01

定性調査の報告書の作り方とは?作る上でのポイントから流れ、NGまで解説

  • マーケティングリサーチHowto

マーケティングリサーチにおいて、消費者の行動や意識を深く理解することは、効果的な施策を立案する上で不可欠です。これらを理解する方法として、調査方法が大きく分けると定量調査と定性調査の二つがあります。

そして、定性調査で得られた貴重な示唆を、どのように効果的な報告書としてまとめるかは、多くの担当者にとって頭を抱える課題となっているのではないでしょうか。

本記事では、定性調査の意味合いを始めに確認しつつ、「定性調査の報告書の作り方」として、流れやNGなことなど、解説していきます。

 
 

定性調査とは

定性調査は、因果関係をひも解くような調査になります。

マーケティングリサーチに携わっている方は、「調査は大きく2つある」ということについて、ご存知かと思いますが、1つが定性調査となり、もう1つが定量調査と呼ばれる調査になります。

定量調査

定量調査イメージ

・収集したデータを統計的に分析
・生活者の行動や意識を数値化
・相関(傾向)を分析

定性調査

定性調査イメージ

・意識や行動、態度を質的に分析
・数値で表現できない行動や意識
・因果関係を分析

 
上記は、定量調査と定性調査について簡潔にまとめたものとなります。
 
 
定量調査

 
定量調査は、アンケートなどを実施して、データを収集し、生活者の行動や意識を数値化したり、統計的に分析したりして、傾向や相関関係を見ていく調査手法になります。
 
 
定性調査

 
例えば、20代の人は「こういう理由で、こういう商品を選ぶ」といった相関ではなく、「なぜ、こういうふうにしているのか?」といったところを深掘りしていきます。
数値では表現できないこと、世の中にはたくさんあるかと思います。そういった表現できないことについて、定性調査を行うことによって、「その人の気持ち」や「なぜそういうふうに感じているのか」、「何かのコンセプトを見て、評価するときに、どういう基準なのか」といったことについて、探っていき、因果関係をひも解いていくのです。

そのため、アナログな部分も多く、人の気持ちなどを扱うので、「分析するのは難しい」という話になるのは、当然のことです。
しかし、因果関係をひも解くことができれば、マーケティング施策など様々な場面で活かすことができ、企業の成長にもつながっていく部分にもなりますので、一歩踏み出して、理解を深めていきましょう。
 
 

定性調査の報告書を作成していくうえで、忘れてはいけないこと5選

さて、そんな定性調査の報告書ですが、作成していくうえで、忘れてはいけないことが以下5つあります。

図 定性調査の報告書を作成していくうえで、忘れてはいけないこと5選
図 定性調査の報告書を作成していくうえで、忘れてはいけないこと5選

 

  • 定性調査の後のアクションを考えて作る
  • 何と何を比較していくのかを考えて作る
  • どんな人が発言した言葉なのかを考えて作る
  • 「どんな人」の定義をしっかりと考えて作る
  • 発言の文脈を理解して作る

 
定量調査においても、定性調査においても、調査を行うときには、「調査結果からヒントを得て、アクションにつなげていきたい」という思いが皆さま持っています。報告書を作成するときも、そのことを忘れて書き進んでしまと、ゴールが定まらず、あっちへふらふら、こっちへふらふらと、さまよってしまい、一貫性がない報告書になってしまうリスクがあります。

また、調査後から報告書を書き上げている中で、「比較」を何度もしていきます。この「比較」については、詳しく後述します。

続いて、「比較」とも関係がある部分にはなりますが、「どんな人」というのも重要です。
例えば、「ドコモユーザー」といっても、最近ソフトバンクからドコモに移ってきた人と10年20年ずっとドコモの人とでは、考え方や行動が違う可能性があります。
だからこそ、発言をしている人について、「どんな人」の定義はしっかり考えなくてはいけませんし、定義をした上で、どんなことを発言していたか、考える必要があります。

最後の「発言の文脈を理解して作る」についてです。
「発言の文脈を理解して作る」だとイメージがしづらいと思いますので、まずたとえ話をさせていただくと、「第一印象として良いとは言ったけれども、その人の生活行動の中に根付いていない発言があった」といった場合、この一連の流れを理解した上で、報告書を作る必要があるということです。もし、最初の「第一印象として良い」だけを切り取って報告書を作ってしまうと、その対象者について、報告相手にしっかりと伝えることができませんし、最悪報告相手に謝った結論をイメージさせてしまうかもしれません。
また、定性調査を行う場合、「この商品どうですか」や「このコンセプトを見て、あなたはどう感じますか」と尋ねつつ、「忖度なしで答えてね」とお伝えしても、やはり気を遣って、「まぁ、いいんじゃないですか」とお答えいただくケースがどうしても発生します。そういったときに、ほとんどの場合、モデレーターが「どんなところが良いと思いましたか」や「どういう風に良いと思いましたか」など突っ込んでいきます。そうすると、先ほど記載した内容と同様、始めの発言とその後の発言が真逆になる場合があります。もちろん、単純に深掘りすることができ、その対象者の表面的な回答から、その根っこまたは、その付近までたどることができるケースもあります。
そういった、一連の流れ、つまり発言の文脈を理解して作ることが、報告書作成に求められます。

これら、5つについて絶対に忘れてはいけません。もし忘れた状態で報告書を作ろうとした場合、どう文脈などを理解して分析したら良いのかわからず、「いろんな人がいました」などといった報告になってしまうので、注意しましょう。
 
 

アウトライン(骨子)の作成方法

定性調査のインタビューを実施し、その報告書を作成しよう、となったときに、細かいところから作り、積み上げていくと、膨大な報告量になってしまい、何の報告をされているのかが、わからなくなってしまいますので、アウトライン(骨子)から作るのがおすすめです。

このアウトラインの作成において、まず、マーケティング課題における問い『論点』が必要です。
例えば、実施したインタビュー調査において、「新規獲得」といったところが論点であれば、

  • どんな層が新規顧客になるか
  • その新規顧客にとってどういうポイントが受け入れられるポイントとなるのか
  • それからその新規顧客増、いわゆる新規ターゲットに対してこの商品を買うにあたっての最低ラインに乗っているのか
  • その上で買いたいと思っているものになっているのか

 
などが具体的な論点として考えられます。

次に必要なのが論点に対する仮の答え『仮説』です。
例えば、「この商品を上市する(市場に出す)ことによって想定している新規ターゲットがちゃんと引き込めるかどうか」という論点の場合、この論点に対して「この商品は○○というところに強みを持っているので、想定している新規ターゲットを引き込める可能性は高いけれども、懸念点としては○○である」といったところを仮説として最初に持っていることが求められます。そして、それが違ったのか、どうだったのか、といったところを考えていくようにします。

これら、論点と仮説があって、その論点が何のか、といったところをしっかりと理解していれば、報告書のアウトラインをイメージすることができ、その論点に沿ってそれを整理していくことがおすすめです。
 
 

定性調査の報告書の作り方

論点を整理した上で、このあとのプロセスについてですが、梅沢伸嘉氏の『実践グループインタビュー入門』を参考に段落番号を付けた定性調査の分析プロセスを以下紹介します。

  1. 調査課題に照らして読み取った記録を分ける
  2. 情報を構造化する
  3. 各調査課題に答えを与える
  4. それらを統合して調査目的を達成する

参考元書籍:梅沢伸嘉, 実践グループインタビュー入門, ダイヤモンド社, 1993.

 
まず、調査課題は、先ほど解説した論点に置き換えて考えてみると多少読みやすくなり、一つ目は「論点に照らして読み取った記録(発言録など)を分ける」となります。そして、さらにかみ砕くと、発言録発言録の活用方法を後述しています)といった得られた情報を論点と照らし合わせながら分けていくプロセスが、最初の1つ目となります。

そして、分けることができたら、その分けた情報を構造化していきます。
例えば、商品の買い方について、「どういうふうなプロセスを踏んで、この商品を買っているのか」や「どういう重視点でこの商品を選ぶのか」などを構造化していきます。

3つ目のプロセスでは、「論点に答えを与える」というプロセスとなります。
論点に対して~仮説を最初に持っている~」といったことを前述しましたが、「論点に対しての仮説に対して、結果こうでした。だから○○。」といったところを明らかにしていきます。

最後、用意した論点それぞれの答えから、「結局どうすれば良いのか」といったところをまとめていく流れとなります。
 
 

分析とは

「結構難しいな」って思われた方、いらっしゃるかと思います。
そこで、報告書を作るにあたって、基本的に発生する「分析」について、簡単な部分からお話をしていきます。

「分析」という単語は、「分」も「析」も「分ける」という意味があります。
そして、「析」は下図のように「木を斧で割る」といった光景を字として起こしたものになります。

分析のイメージ

そのため、「何かで分ける」というのが「分析」なのです。

例えば、定性調査で「この商品はどれだけ売上が上がるのか」などといった大きな話になってくると、「そんなこと言われても」となるかと思いますが、そういったときにこそ「何かで分ける」のです。
「売れるか、売れないか」ではなく、「どんな人にだったら売れるのか、どんな人には売れないのか」、「売れるとしたら、そんな訴求だったら売れるのか」といった具合に細かく分けていくのです。
そうすると「こういう訴求だったら、いけるんじゃないかな」と意見が出てきて、「じゃあ、こんな人に売れるのかな」と『分からない』で止まっていたことが、新たな仮説として立てていくことができます。

 
重要なのは、「分析」というのは、「分けるところがスタート」ということです。
 
 

インタビューにおける分析とは

インタビューにおける分析として、実際のインタビューシーンをイメージともに解説をすると、グループインタビューであれば、色んな人に聞いていきます。そして、そういった中で、「どんな行動をしていなのか」、「その行動の目的は何なのか」、「結局、その行動をして何が自分にとって良かったのか」といったところをモデレーターは、聞いていきます。
しかも、聞いているだけではなく、こういうふうに行動と目的とその人にとってのベネフィットみたいなところで、発言を分けていきます。

例えば、「ハイブランドを買いにお店に行く」となったときに、「何のためにハイブランドを買うの」、「ハイブランドを買って何がいいの」といったことを聞いていきます。「自分が『頑張った』というご褒美のため。その人にとって、今まで働いてきて何かしらの自分のご褒美としてお店に行く。色んな接客をされるので、ちょっとプリミアムな体験ができて、ハッピーな気持ちになります」といった具体的な回答を得ることができます。それを「どんな行動?」→「なんのため?」→「何がいいの?」と、どんどん分けていくのです。

インタビューにおける分析イメージ

 
また、デプスインタビューでは「複数人にインタビュー」、グループインタビューでは「複数のグループでインタビュー」を実施しますが、この対象者同士を比較していくこともします。「AさんとBさんとCさんの行動は同じだったけど、目的はそれぞれ違ったよね」や「目的は同じだけれども、行動が違ったよね」、こういったところを比較し、みていきます。

グループインタビュー(FGI)

グループインタビュー(FGI)のサービスの詳細はこちら

アスマークは、業界トップクラスのグループインタビューリクルート実施件数があります。蓄積されたノウハウで、貴社のグループインタビューを設計からレポートまで、フルサポート!

> 詳しく見る

 

デプスインタビュー(IDI)

デプスインタビュー(IDI)のサービスの詳細はこちら

アスマークでは、デプスインタビュー(IDI)サービスを提供しております。対象者とインタビュアーによる1対1の面談式で実施する調査方法で、商品やサービス等の選択・購買理由などをより深く掘り下げて探ることができます。

> 詳しく見る

 
 

対象者を比較するとは

対象者を比較するときは、基本的に下表の4つの違いについて押さえ『それらの違いによって検証したい仮説や評価に影響しているのか』みていくことがおすすめです。

違い 内容
属性の違い 性別や年代、ライフスタイルによって生じる違いなのか
条件の違い 使用商品など条件によって生じる違いなのか
価値観の違い 考え方や信条によって生じる違いなのか
体験の違い 購買・使用の体験によって生じた違いなのか

 

属性の違い
男性と女性でも考え方や捉え方が違うことがありますよね。また、10代20代30代40代、違う部分あると思います。
その人の考え方や価値観は、いわゆる年齢やその時代に関する影響、あるいは年を重ねていくことによって、自分が経験として得てきた話なのか、結婚をしている/してない、子供がいる/いないといったところも、影響するようなものになってきます。
そのため、「属性の違いなのかどうか?」というところは、押さえておく必要があります。

条件の違い
使用している商品やサービス、置かれている状況など、特定の条件によって生じる違いです。
例えば、利用状況であれば「Aという商品を使っている/使っていない」といったところ、環境による違いであれば「リモートワークをしている/オフィスに出社している」といったところが、条件の違いとして挙げられます。

価値観の違い
「私は仕事をするときは、必ず定時で帰りたい」という人と、「バリバリ若いころから働いて、残業も苦じゃない」という人とでは、考え方が違います。
こういったところで、考え方が違う、価値観が違うという話になり、何かのサービスにとっても、捉え方や評価の仕方が違うと思います。
また、「もっと美しくなりたい」という人と、「とりあえず最低限のことだけという人とでは、化粧品や美容、食生活に対しての考え方が変わってくると思います。

体験の違い
例えば、軽自動車を運転したことがある人とない人とでは、高速道を乗ったときの風の感じを体感している/していないがあったりし、「ちょっと怖いな」といった感覚を持っていたりするでしょう。そうすると、「次の車は、軽はやめておこうかな」と、そういった話があったりします。
何かの体験をしているかどうか、何かの知識的関与があるかどうか、といったところ、これがあるかどうかによって検証をする必要があります。
 
 
4つの違いについて見ていくことを解説させていただきましたが、最終的にもう1回俯瞰して見るときに、性別による違い、いわゆる属性による違いなのか、これは条件による違いなのか、価値観の違いなのか、体験の違いなのか、「何だろう?」といったところをヒントとして考えることで、「これはこういう体験をしている人の発言だな」や「これはやっぱりそこまで体験をしていないから、このことが伝わっていないんだな」といったところの分析につながっていきます。
 
 

テーマごとに分類した情報を視覚化し、構造化

こうして、分けて、比較して、違いをみて、といったいろんな分析をしていって、報告書にどう落とし込んでいくのか、といったところを解説していきます。

テーマごとに分類した情報を視覚化したり、構造化したりすることが重要です。
発言録といったものはありますが、それをひたすらパワーポイントに張り付けるといったことは、絶対にいけません。
結局、この発言からどういうことがわかったのか、というところ『見える化』していくことが求められます。

例:生協の価値


例えば、「生協」の価値について、インタビューをすると、「子供との時間を大切にしたいよ」、「そのことによって生協があると効率的に買い物ができて便利」、「そもそも自宅に届くし、スマホで選べるし、日時も指定できる」といったものが出てきます。
「こういった機能的な価値があって、そうすることによって効率的に買い物ができて、その結果として、いちいち外に買い物に行く頻度が少なくなり、小さいお子さんがいるお母さんにとっては、子供との時間を大切にできて、すごく便利だよね」といったその人の文脈を理解することができますし、下図のようにまとめることで、可視化することができます。

サンプル:生協の価値について

また、この文脈を理解しつつ「このサービスを利用するまで」について、下図のようにジャーニーっぽくまとめてみることで、「どこにポイントがあるのか」をカンタンに見ることができるようになります。

サンプル:生協の利用ジャーニー

 
 

定性調査の報告書を作成する上でNGなこと

定性調査の報告書でNGなことは、主に以下5つです。

 

定量的にまとめてしまう
例えば、「デプスインタビューで10人に聞き、この商品コンセプトを見せて『良い』と答えた人は、6人でした」などといった報告はNGです。こういった10人中6人といった報告は意味がないことです。なぜなら、誰かの発言の影響を受けたりして「あの人が『良い』って言うから、自分も良い」などのバイアスがあったりするからです。

表層的な発言を羅列してしまう
例えば、食品を試食してもらい、その評価として「美味しかった」「味が良かった」「食べやすい」といったものをひたすら並べて、報告書として提出しても「で、なに?」という話になってしまいます。
そのため、「その食品を出して食べたときに、『ノドゴシがすごく良くて、それによってツルっとした食感を味わえて、美味しいと感じた』というふうに評価されている」や「AとBとCを食べてみてもらったときに、『AはBやCと比べて、そこまで塩分が強いわけではないけれども、しっかりとした塩味があって美味しいと感じられている』といった話を報告書として書く必要があります。

結論だけを書いてしまう
「コンセプトは、大変評価されていた」といった、結論だけ各パターンもNGです。
そうだとしても、評価されていたとしても、「どこがどう評価されていたのか」っていうのを書かなければいけません。

大雑把に雰囲気でまとめてしまう
「この商品は、『綺麗』や『大人っぽい』、『ビューティー』といった誰々が使っていそう」といった、いわゆる雰囲気のイメージ画像を用意して、パワーポイントにペタって貼るだけで終わってしまうのもNGです。

必要以上に細かくまとめてしまう
一方で必要以上に、細かく、細かく書いてしますこともNGです。
「誰々は、こういうふうな人で、その人はこの商品を見た時に、○○こういうふうな印象を持って、結局こういうふうな評価をしている」みたいな内容を参加者全員分用意して、それを報告書とするようなことです。
Appendix(アペンディックス)といった補足情報であれば、良いかもしれませんが、もし報告書で記載しているのであれば、細かく報告したい気持ちを押さえ、調査の目的や読み手の気持ちに立って、作るようにしていきましょう。

 

発言録の活用方法

インタビューを実施すると、発言録とよばれるものが出てきます。
この発言録は、インタビューの記録となり、ワードといった形態で納品されることが多く、プロセス①の「調査課題に照らして読み取った記録を分ける」で活用できるものとなります。

そして、グループインタビューでは、下図のような表の上の項目(表頭)に、対象者1,対象者2,といった形でならびます。左の項目(表側)には、テーマや質問が並び、他のセルには、当てはまる回答内容が記入されます。

図 インタビューの発言録例
図 インタビューの発言録例

 
この表は、なんとなく眺めていても、答えなんて出てきません。

では、どうみていくのか?

まず、縦にそれぞれの対象者を見ていく。縦で、流れを読んでいく。
こうすることで、その対象者は1人の人として、個としてその人の背景や因果といったものを理解していきます

次に、横に読んでいきます。
例えば、テーマ1の質問Aが「車の使い方」に関する質問だった場合、対象者1,2、3、4のそれぞれの考え方や行動がどうなのか、といったところを確認していきます。「このときに、どんな使い方があるのか」というところで、共通点や相違点を見ていきます。言い換えると、テーマに対して、意見の傾向・多様性を理解していきます

この発言録を縦と横に読み取っていくときに、リサーチャーの中でも理解の工夫の仕方が異なります。例えば、発言録を全て紙で印刷して、重要なところにマーカーを引いたり、「これは○○について発言をしていることだ」っていうふうなところで色を分けたりするリサーチャーがいます。また、Excelの方に、転記して、さらに「何についてしゃべっているのか」といったところを、まとめたり、分けたりしていく作業をしていくリサーチャーもいます。
こういった工夫は、なんとなくの印象で報告書を作らないために自分の中で、「何がちゃんと言われているのか」というのを発言として分類していくことにあります。

レポート(報告書)作成・分析

レポート(報告書)作成・分析のサービスの詳細はこちら

アスマークでは、レポート作成や分析を含めた調査のご相談はもちろん、レポート作成のみ、分析のみのご相談もお受けしております。ご要望に応じてご依頼範囲の調整が可能なので、柔軟、かつ、リーズナブルなご提案が可能です。

> 詳しく見る

 
 

まとめ

ここまで、消費者の深い理解に不可欠な定性調査について、その意味合いから効果的な報告書の作り方までを解説しました。

数値では捉えきれない「なぜ」を深掘りする定性調査の報告書では、以下のポイントが重要です。

  • 定性調査の後のアクションを考えて作る
  • 何と何を比較していくのかを考えて作る
  • どんな人が発言した言葉なのかを考えて作る
  • 「どんな人」の定義をしっかりと考えて作る
  • 発言の文脈を理解して作る

 
また、分析においては、複雑な情報を「分ける」ことで本質を理解しやすくし、発言録は縦横に読み解くことで多角的な視点を得られます。そして、得られた示唆を視覚的に構造化し、読み手が理解しやすい形で伝えることが不可欠です。

この記事で解説したポイントを活かし、質の高い定性調査報告書を作成し、マーケティング施策を成功に導いていきましょう。

レポート(報告書)作成・分析について>
 

執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

アスマークの編集ポリシー
 

「定性調査の報告書」の作り方~リサーチ視点で課題の提言を導く~

「定性調査の報告書」の作り方~リサーチ視点で課題の提言を導く~

消費者自身も気付かない潜在ニーズやインサイトが抽出でき、プロダクト仮説のヒントが得られる定性調査。 定量的に図れないからこそ見えなかった示唆を得ることができる点が魅力ですが、同時にその調査結果も定量的に表せないため、多くの調査者・マーケターが頭を悩ませている分野であることも事実です。

そこで今回は、定定性調査の報告書作成における一定の標準化が望める「アウトプットのまとめ方」について、リサーチのプロが解説いたします。

下記に当てはまる方にお薦めの動画です。
● 定性調査のまとめ方が属人的になってしまう
● 調査結果が1人の発言に引っ張られやすい
● 対象者の発言録における、まとめ方を知りたい

※無料会員登録でご視聴可能です。

> 詳しく見る

 

商品開発におけるグループインタビューの事例

商品開発におけるグループインタビューの事例

前ページでは、ヨーグルトの製造・販売メーカーを例として、商品開発における調査企画・設計~【フェーズ1】webアンケートまでの実施事例を紹介しました。

ここからはwebアンケートからでは探れない対象者の行動や発言・情報についてを探る定性調査を行なっていきます。最後に、調査全体から何が見えたのか、ヨーグルトの新価値を見出し、新商品の方向性について触れています。

> 詳しく見る

 

定性調査の品質向上のための実験調査 「満足度95%、オンラインインタビューは調査成果を変えるか?」

定性調査の品質向上のための実験調査 「満足度95%、オンラインインタビューは調査成果を変えるか?」

新しい定性調査手法として定着しつつある「オンラインインタビュー」。調査者のメリットの多い分野である一方で、肝心の調査モニターはどのような反応を示しているのでしょうか。

本レポートでは、オンラインインタビューに参加した自社モニター400名へ、調査手法/調査テーマ/参加形態に応じ、「話せる内容」や「心理的ハードル」に影響がどの程度あるかを調査しています。
加えて新たに注目を集める「チャットインタビュー」に関する示唆も得ています。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● 定性調査の品質を向上させたい
● マーケティング課題別に、最適な調査手法が知りたい
● オンライン/対面調査で失敗した経験がある

> 詳しく見る

 

調査設計・聞き方の失敗例から学ぶ「インタビュー調査のコツ」

調査設計・聞き方の失敗例から学ぶ「インタビュー調査のコツ」

定性調査として実施されているインタビュー調査。生活者・消費者のインサイトから、何らかの意思決定やアクションへ繋げることを目的として行います。しかしながら、実際にインタビューを企画・実施・活用する場面では、様々な悩みを持つ企業が少なくありません。一度は「失敗」をしてしまった方も、いらっしゃるのではないでしょうか。そこで本資料では、調査目的に沿った有意義なインタビューを行い次のアクションに繋げるためのポイントを、様々な「失敗談」をベースに考察・提起しております。

> 詳しく見る