
2025.04.07
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公開日:2025.04.30
ユーザビリティテストは、製品やサービスの使いやすさを実際のユーザーに評価してもらう重要な手法です。特に昨今のデジタル化が進む社会において、ウェブサイトやアプリケーションなどのUI(ユーザーインターフェース)改善は、企業の成功に直結する重要課題となっています。
本記事では、ユーザビリティテストの基本的なことから、モニターへの依頼方法、実施の流れ、注意点、そして具体的な成功事例まで、マーケティングリサーチの専門的見地から詳しく解説していきます。
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アスマークでは、アプリ・WEBサイトのユーザビリティテストのサービスを提供しております。このテストは、主にWebサイト、アプリ、システムについて、実際にターゲットユーザーに開発中のプロトタイプを使ってもらい、「どの程度使いやすいか/使いにくいか」といった課題を発見するテストです。
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ユーザビリティテストは、対象となるユーザーに製品やサービスを実際に使用してもらい、その使い勝手についての評価やフィードバックを得る調査手法です。このテストの目的は、ユーザー視点から見た、使いやすさの問題点を明らかにし、改善につなげることにあります。
専門的な定義では、「特定のユーザーが特定の使用状況の下でシステムを使用する際の有効性・効率性・満足度を評価するテスト」とされています。これにより、ユーザーが直感的に操作できるかどうか、目的の機能や情報にスムーズにたどり着けるかといった点を検証し、UIやUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上を図ることが可能となります。
ユーザビリティテストの大きな特徴は、アクセス解析などの定量データでは把握できない「なぜユーザーがその行動をとったのか」という背景や理由、心理を、直接的に理解できる点にあります。数値だけでは見えてこないユーザーの迷いや不満、要望を詳細に把握できるため、製品やサービスの本質的な改善につながる貴重な情報源となります。
ユーザビリティテストは、製品開発やサービス改善のさまざまな場面で活用されています。代表的な活用シーンを具体的に見ていきましょう。
このように、ユーザビリティテストは製品ライフサイクルのさまざまな段階で活用でき、ユーザー中心のサービス開発を実現する上で欠かせない手法となっています。
ユーザビリティテストの実施には、多くのメリットがあります。ここでは、マーケティングリサーチの観点から主要なメリットを下表でまとめました。
メリット | 解説 |
---|---|
ユーザー行動の「理由」を直接知ることができる | アクセス解析ツールでは「どのページで離脱したか」というデータは得られますが、「なぜ離脱したのか」という本質的な理由までは分かりません。ユーザビリティテストでは、実際の操作過程を観察し、思考発話法※などを用いて、ユーザーの迷い(心理状況)や不満の根本原因を特定できます。 ※ 思考発話法とは、調査対象者に特定のタスク(課題)を実施しながら、その過程で考えていることを声に出して説明する手法です。 |
自社サービスをユーザーの文脈で評価できる | ユーザーは複数のサービスを比較検討していることが多く、競合サイトとの使い勝手の違いも評価の対象です。ユーザビリティテストでは、検索行動から競合サイトの操作までを含めた一連の流れを観察できるため、自社サービスの相対的な位置づけを把握できます。 |
改善施策の優先順位づけができる | ユーザビリティテストで発見された課題は、実際のユーザーが直面している問題であるため、改善の優先度が明確になります。これにより、限られたリソースを効果的に活用し、ユーザー満足度の向上につながる施策を優先的に実施できます。 |
早期の問題発見によるコスト削減 | 開発プロセスの早い段階でユーザビリティの問題を発見し修正することで、リリース後の大規模な改修を避けることができます。これは開発コストの削減だけでなく、ブランドイメージの維持や顧客満足度の向上にも貢献します。 |
継続的な製品品質の向上 | ユーザビリティテストを定期的に実施することで、ユーザーニーズの変化を的確に捉え、常に最適なユーザー体験を提供できるようになります。これは、競争が激しい市場において、製品やサービスの差別化を維持する重要な要素となります。 |
ユーザビリティテストを成功させるには、適切なモニターの協力が不可欠です。ここでいう「モニター」とは、ユーザビリティテストに参加し、製品やサービスを実際に使用して感想や意見を提供してくれる調査協力者のことを指します。
モニターは、基本的には調査対象となる製品やサービスのターゲットユーザーに近い属性を持つ人々から選ばれます。彼らの率直なフィードバックは、製品開発やサービス改善において極めて重要な役割を果たします。
では、ユーザビリティテストのモニターをどのように募集すれば良いのでしょうか。主な方法を以下に詳しく説明します。
自社の顧客リストや会員データを活用する方法
既存の顧客リストや会員データベースは、モニター募集の強力なリソースとなります。自社のサービスをすでに利用している人々は、製品理解があり、具体的なフィードバックを提供できる可能性が高いです。
過去の購買履歴や利用頻度などのデータを基に、調査目的に適したモニターを選定できます。また、既存ユーザーは自社ブランドへの愛着もあるため、協力を得やすいという利点もあります。
提携のWebパネルを利用する方法
調査会社が保有する大規模なWebパネルを活用する方法も効果的です。これらのパネルには、多様な属性の登録者が含まれており、年齢、性別、居住地域、職業、趣味嗜好など、細かい条件でモニターを絞り込むことができます。
短期間で必要な数のモニターを確保できる可能性が高いため、スピーディーな調査実施が求められる場合に特に有効です。ただし、パネル利用には一定のコストがかかるため、予算との兼ね合いを考慮する必要があります。
外部のリクルーティングを得意とする専門会社に依頼する方法
モニター募集を得意とする調査会社やリクルーティング会社に依頼する方法もあります。専門会社は、長年の経験とノウハウを活かして、調査目的に最適なモニターを効率的に集めてくれます。
特に、特定の専門知識を持つ人や、特殊な条件を満たす人が必要な場合、専門会社のネットワークを活用することで、通常では見つけにくいモニターも確保できます。
SNSや専門コミュニティを活用する方法
製品やサービスに関連する分野のSNSグループやオンラインコミュニティで募集をかける方法も効果的です。例えば、育児関連アプリの場合は育児コミュニティ、ゲームアプリの場合はゲーマーコミュニティなど、ターゲットユーザーが集まる場所での募集により、適切なモニターを見つけることができます。
コミュニティの特性を理解し、適切なアプローチを取ることで、熱心で質の高いフィードバックを提供してくれるモニターを獲得できる可能性があります。
これらの方法は単独で用いることも、組み合わせて用いることも可能です。調査の目的や規模、予算、スケジュールなどを考慮し、最適な募集方法を選択するようにしましょう。
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ユーザビリティテストをモニターに依頼する際は、体系的なプロセスに従って進めることが重要です。ここでは、効果的なテスト実施のための7つのステップを詳しく解説します。
要項は、参加を検討する人々が理解しやすい言葉で書くことが重要です。「あなたの意見が新サービスの改善に役立ちます」など、参加の意義を感じられる表現を心がけましょう。
社内プレゼンテーションでは、実際の映像を一部共有することで、課題の深刻さや改善の必要性を効果的に伝えることができます。「ナビゲーションが分かりにくく、3人のモニター全員が迷った」「ボタンのラベルを変更すれば解決できる」といった具体的な提案を行います。
報告会では、関係者間で議論を行い、ユーザー視点での認識を共有します。この過程を通じて、具体的な改善アクションプランを策定し、実行に移していきます。
ユーザビリティテストを成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、モニター募集から実施、分析に至るまでの各段階で留意すべき点を詳しく解説します。
これらの注意点を守ることで、倫理的なリスクを軽減させ、信頼性の高いユーザビリティテストを実施することができます。モニターの立場に立った配慮が、質の高いフィードバックにつながることを常に意識しましょう。
ユーザビリティテストの効果を理解するには、実際の成功事例を見ることが有効です。ここでは、様々な業界での具体的な事例を通じて、ユーザビリティテストがもたらす成果を紹介します。
事例1:クレジットカード会社のオンライン明細サービス改善
あるクレジットカード会社では、オンライン明細サービスの利用率が低く、電話や郵送での明細請求が多いという課題を抱えていました。コールセンターへの問い合わせ内容を分析しても原因が特定できなかったため、カード会員の20〜60代の男女10名を対象にユーザビリティテストを実施しました。
テストの結果、明細画面での利用履歴の並び順や表示項目が分かりにくいこと、利用店舗や金額による検索・絞り込み機能が見つけにくいこと、さらにPDF形式の明細書をダウンロードする方法が分かりにくく見落としがちであることが明らかになりました。
これらの発見に基づき、明細の表示形式を見やすく改善し、検索機能を画面上部の目立つ位置に配置、PDFダウンロードボタンを大きくして目立つデザインに変更するなどの改善を行いました。その結果、オンライン明細サービスの利用率が前年比7pt増加し、明細に関する問い合わせが前年比11pt減少しました。
事例2:スマートフォンアプリのリニューアル
あるスマートフォンアプリの開発企業では、アプリのリニューアルに際してユーザビリティテストを実施しました。テストにより、会員登録/ログイン画面に問題があることが判明しました。
旧バージョンでは、会員登録ボタンが中央に大きく配置され、ログインボタンが画面の隅に小さく表示されていました。この結果、ユーザーは自分が登録をしようとしているのか、ログインしようとしているのか混乱していました。
新バージョンでは、両方のボタンを同じサイズで中央に並べ、入力フォームは次の画面に分離するデザインに変更しました。この改善により、アプリストアでのユーザーレビュー評価において、4つ星以上を獲得することが、旧バージョンと比べ増えました。
事例3:ECサイトのコンバージョン率向上
ECサイト運営企業では、オンライン売上の向上を目指し、自社サイトと競合サイトの比較ユーザビリティテストを実施しました。
テストの結果、競合サイトと比較して自社サイトではサービス内容の理解に時間がかかることが分かりました。トップページが情報過多で、何を提供しているサービスなのかが直感的に伝わりにくい状態でした。
そこで、トップページのデザインをシンプルに変更し、サービス紹介文も簡潔にまとめ直しました。その結果、初回購入率が3pt向上し、トライアル申し込みも5pt増加しました。
これらの事例から分かるように、ユーザビリティテストで得られた洞察を基に適切な改善を行うことで、問い合わせ数の増加、ユーザー評価の向上、売上増加など、具体的な成果を得ることができます。重要なのは、小規模なテストでも得られた気づきを着実に改善につなげていくことです。
ユーザビリティテストは、製品やサービスの使いやすさをユーザー視点で評価する重要な手法です。モニターの適切な募集と選定は、テストの成功を左右する大きな要素となります。自社データベース、Webパネル、SNSなど、目的に応じた募集方法を活用することが効果的です。
実施にあたっては、倫理的配慮やプライバシー保護に留意しながら、調査企画立案から結果報告まで7つのステップを進めていくことが重要です。そして、繰り返しになりますが、小規模なテストでも得られた気づきを適切に活用することで、問い合わせ数の増加や評価向上など具体的な成果につながります。
デジタル化が進む現代において、定期的なユーザビリティテストの実施は、競争力維持に不可欠です。本記事を参考に、ユーザーの声に耳を傾け、継続的な改善に取り組んでいきましょう。
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アスマークでは、アプリ・WEBサイトのユーザビリティテストのサービスを提供しております。
このテストは、主にWebサイト、アプリ、システムについて、実際にターゲットユーザーに開発中のプロトタイプを使ってもらい、どの程度使いやすいか/使いにくいかといった課題を発見するテストです。調査手法は、ユーザーを深掘りできるデプスインタビューや視線の軌跡を可視化できるアイトラッキング調査を用いることが多いです。
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