
2025.03.31
家庭内の購買意思決定を探る【住宅購入編】
生活者の“本音”に学ぶ、住まい選びの決定要因とは?
はじめに 住宅購入は、人生の中でも特に大きな意思決定のひとつです。なかでも、夫婦のどちらが主導するのか、またどのような条件を優先するのかによって、選ばれる物件……
公開日:2025.04.28
SNSの普及により、若者の間では人とのつながり方やコミュニケーションの取り方が大きく変化しています。なかでも、“どの連絡手段でつながるか”“どのSNSをどのように使い分けるか”は、Z世代にとって自然でありながらも、他世代とは大きく異なる価値観や行動原理が存在します。
今回は、ガラケーからスマートフォンへの移行期を経験した20歳の女子大学生にインタビューを実施。SNSの利用実態や、連絡先交換時の心理的ハードル、関係性の深まりに応じた使い分けの実態までを掘り下げました。
本コラムでは、Z世代のコミュニケーションに見られる行動パターンやSNSごとの位置づけ、企業として押さえるべき接点設計のヒントについて詳しく解説していきます。
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今回インタビューした女子大学生にとって、Instagramは日常的に最も使用頻度が高いSNSだそうです。特に「おすすめ」タブ(虫眼鏡マーク)を活用して、気になるレストラン、ファッション、レジャー施設などの情報を日々チェックしており、その使用時間は1日あたり約2時間に上るとのことでした。しかし、投稿はあまりせず、ストーリーズを週1回ほど更新。つまり“発信する場”というより、“情報収集ツール”として活用しているのが実態です。投稿するよりも、アルゴリズムによって表示されるトレンドや流行情報を“眺める”ことに価値を見出している様子がうかがえます。
この“見るSNS”であるInstagramが、同世代との“つながりの起点”としても機能している点は重要です。LINEよりも「気軽に交換しやすい」という認識が浸透しており、初対面の相手とはとりあえずインスタのアカウントを交換し、そこからDMでやり取りを始めることが一般的になりつつあります。相手が実際にどんな人なのかは、アカウントの投稿やプロフィールからある程度判断できるため、LINEよりも安心感があるとのことでした。
LINEは依然として主要なコミュニケーションツールであり、Z世代の間でも使用頻度は高いものの、その“登場タイミング”が大きく変化しています。インタビューでは「LINEはプライベート感が強く、親密な関係にならないと教えたくない」と話しており、初対面の人とはインスタを優先する傾向があると述べました。
また、LINEは通知をオンにしており、重要な連絡やリアルタイムでのやり取りに適しているツールと位置づけている一方、Instagramの通知はオフにしているとのこと。この通知設定からも、彼女にとってLINEは「すぐに反応したい相手」との連絡手段であり、より優先度の高い人間関係を象徴していると読み取れます。
DMでのやり取りが続き、信頼感や親密度が高まった相手とは「そろそろLINEにしようか」という自然な流れで移行することが多いそうです。ここには「段階的な関係構築」というZ世代らしい距離感の取り方が表れており、企業にとってはこのステップを意識した接点設計が重要になります。
情報収集スタイルで特に印象的だったのは、「自分で検索する」よりも「流れてくる情報を見る」ことを好むという点です。Instagramではハッシュタグ検索を使うことはあまりなく、店舗名や地名を直接入力して情報を調べる程度で、多くの時間は「おすすめ欄」を眺めることに費やしていると話していました。
一方で、Google検索も併用しており、飲食店や遊び場など具体的な目的がある場合は能動的に検索するケースもあります。ただし、情報との最初の接触点としてはSNSが主流になってきており、従来の“検索から興味へ”ではなく、“発見から興味へ”の流れが一般化しつつある印象を受けました。
情報接触のスタイル | 主な媒体・手段 | 特徴 | よく使う場面 |
---|---|---|---|
能動的検索 | Google検索、地名・店名でのスポット検索 | 自分の意思で調べに行くスタイル。目的意識がある時に多い。 | 行きたいカフェや遊び場の検索など |
受動的発見 | Instagramの「おすすめ」欄スクロール | 自然に流れてきた情報を閲覧。新しい興味の入口になりやすい。 | 暇つぶし・トレンド探し・気分転換 |
また、「視覚的に見やすいからインスタを開く」と話しており、Z世代はビジュアルベースの訴求に反応しやすい傾向が見られました。検索結果として文字情報を読むよりも、Instagramの画像・動画を通じて直感的に理解・判断するスタイルが好まれるのでしょう。
このような特性は、商品プロモーションやブランドのSNS展開においても意識すべき重要な視点です。特にInstagramにおける広告やUGC(ユーザー生成コンテンツ)の露出設計は、「発見されやすいタイミング」と「魅せるビジュアル」にこだわることが成果につながるでしょう。
Z世代のSNS利用におけるもう一つの特徴は、「媒体ごとの心理的距離と情報公開レベルの調整」です。インスタやTwitterのアカウントは鍵をかけており、フォロー承認時には相手のプロフィールや大学名をチェックし、知人であることを確認してから承認するなど、細やかなフィルタリングを行っています。
さらに、プロフィール内容や過去の投稿も定期的に「アーカイブ」に入れたり戻したりと、“見せたい情報の範囲”を柔軟に調整しています。これは、「どこまで自己開示するか」を常に意識している証拠であり、自分のデジタル上のパーソナリティを緻密に管理しているとも言えます。
インタビューでは、「顔写真は投稿しても、個人情報が特定されるような要素は避けている」とのコメントもあり、可視化される情報と隠すべき情報をしっかり区別している印象でした。SNSでのコミュニケーションが主流の中、Z世代にとって「安心してつながれる」ことが前提条件となっているのです。
今回のインタビューでは、「年代によって連絡手段を変える」という発言も見られました。例えば、30代後半〜50代の年上世代にはLINEやSMS、メールで連絡を取り、同年代とは基本的にInstagramを起点とするのが一般的な行動様式になっています。
アルバイト先のように幅広い年齢層が関わる環境では、連絡手段が複数にまたがることも多く、「どの相手に、どの手段で連絡するか」を直感的に選び取っています。家庭教師の保護者とはSMSやメール、事務のバイト先の50代社員とはLINE、それ以外とは連絡先未交換というように、関係性の深さや相手の“デジタルリテラシー”に応じて選択が変わるのです。
こうした行動からは、Z世代がコミュニケーションにおいて非常に“文脈依存型”であることがうかがえます。単に便利だからという理由ではなく、「相手に合わせる」ことを優先し、その場ごとの最適解に合わせた柔軟な対応ができる点もZ世代らしい適応力といえます。
Z世代のコミュニケーションは「いきなり深く」ではなく、「まずはゆるく、安心できるところから」という段階的な関係構築を重視しています。
今回のインタビューから得られた示唆は以下の通りです。
•接点は「インスタDM」が最適起点
•LINEは親密度が高まった段階での連絡手段
•検索ではなく“流れてくる情報”に自然と反応
•アカウントの鍵や通知設定にも心理が反映される
•年代・関係性によりツールの使い分けがある
Z世代へのアプローチは、“一方的に届ける”広告から、“見つかる”“安心できる”コンテンツ体験へと進化しています。
Z世代と自然につながるためには、「一方的に届ける」から「相手の心地よい距離感で寄り添う」コミュニケーションへのシフトが求められます。“まずはインスタで接点を持ち、段階的に関係を深めていく” こうした接触設計は、商品訴求やブランド体験の構築にも応用できる視点です。
今後は、SNSごとの役割や心理的ハードルを踏まえ、「誰と・どの段階で・どの手段でつながるか」を戦略的に考えることが、若年層へのアプローチ精度を高めるカギとなるでしょう。
Z世代の“距離感の感覚”を理解し、それに合わせた関係性の築き方を模索していくことが、マーケティング成果につながっていくのではないでしょうか。
~連絡先交換はSNS上が主流?~Z世代に聞いた、”他人との距離感”に関する実態調査「女性編」
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