公開日:2025.09.17

公務員の男性に初めての育休取得についてインタビュー|育休を取得して良かったことなども紹介

  • インタビューコラム

近年、男性の育休取得を推進する動きが社会全体で広がっていると感じています。
制度が整備されつつある一方で、実際の取得率にはまだ差があり、現場での理解や雰囲気づくりが重要な課題となっている企業も多いのではないでしょうか?

そこで、今回東京在住で育休を取得した男性に、育休を取得したタイミングや会社側から育休の促進があったのか、育休を取得して良かったこと、男性が育休を取りやすくなるには、といった点でインタビューをしました。
インタビューをした方の簡単なプロフィールは下表となります。

性別 男性
お住まい 東京
ご家族 妻(育休中)と娘(8か月)の3人家族
お仕事 公務員(事務)
ご趣味 野球を見たり、やったり(元々野球をしていた)
お悩み 「ご飯を作るが、食べ終わった後の洗い物が大変だな」と思っている

 
この記事では、彼の育休に関する発言を整理し、社員の満足度向上や離職率について悩む人事部の方々へ、役立つヒントを慎重に読み解き紹介します。
 

 

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育休を取得したタイミングについて

まずは、育休を取得したタイミングについてインタビューをしました。

実際のインタビュー風景
実際のインタビュー風景

 
彼は、出産して1か月後くらいに取得したと言います。そして、そのタイミングでの取得理由についても尋ねてみると、「里帰り出産だったので、産後すぐは里帰りなので、実家で暮らすということで、東京に戻ってくるタイミングで取得しました」とのことでした。

続いて、キッカケについて尋ねると、「職場的に育休を推進する立場なので、どの職員も積極的に取得しなければいけないっていう前提があったので、取るのが当たり前、前提として話をしました」とのこと。加えて、会社の方も取得された方が多いとのことでした。

今度はご家族に相談したタイミングについて尋ねました。そのタイミングは、“生まれる前”ということで、生まれた後のことを考え始めるタイミングだったそうです。その話を聞き、インタビュアーは「お子さんが生まれるタイミング、『だいたい何月くらいに生まれる』というのが分かり、『じゃあ、これくらいで取得しようか?』や、里帰り出産ということもあったと思うので、そのタイミングも含めて奥様とご相談されて感じですか?」と、彼の発言の内容から想像しつつ質問をすると、「はい、そうですね」と彼は言いました。

そして、育休を取得した期間は1か月間とのこと。この1か月という期間にした理由は、ボーナスに影響しない上限が1か月だからだそうです。もし、ボーナスの影響がない場合は、半年くらいとっても良かったかな、とも話しておりました。
 
 

得られるヒントについて|育休を取得したタイミングについて

この章では、育休を取得したタイミングについて深掘りをしていきました。
時系列で簡単に整理すると、『生まれた後のことを考え始めるタイミングで育休取得について家族に相談し、出産して1か月後に1か月間の有給を取得』となります。
 
 
この流れは、「理想的な流れなのかな?」と思いました。というのも、産後パパ育休という育休とは別に取得できる制度があるのですが、この対象期間/取得可能日数は「子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能」であり、申出期限は「原則休業の2週間前まで」ということで、彼の流れと似ていたからです。

また、彼の育休を取得し、復帰するまでの流れを知ったとき、その手続きや業務の引継ぎなどのスムーズさは、全く別の話にはなりますが、「重要そうだな」とイメージしました。書類を申請しても、なかなか返信がなかったりなどすると、不安に感じたりするものかなと。
 
 

会社側から育休を促進?

この章では、会社側の対応についてインタビューした内容を紹介します。

「『育休を取りたいです』って形でお話をされるのか、それとも、『子供が生まれる予定で』っていう話になったら、会社側の方から『じゃあ、育休の準備してね』みたいな形でお話されるとかだと、どちらに近しいですか?」と尋ねると、「『育休の準備してね』って方かなと、思いますね」と言います。
また、インタビュアーが「職場によっては、そういう育休の申請をするのに、ちょっと気まずいとかっていうお話も聞くこともあったので、そこってどうなのかなって思ったんですけど」と話しをすると、彼は「私の職場がまさに厚生労働省で、まさにその育休の制度を作っているところなので、当然、推奨しなければいけませんので、もうそこでさすがにその躊躇うためらうとか、そういうことがあってはいけないということが当然のことなので、そこはまったく問題なかったです」と話します。

そして、育休から会社に復帰するとき『業務に関する配慮』といったところでは、子供が生まれた後に、週に1回のリモートワークだったのが、2回になったとのことでした。
 
 

得られるヒントについて|会社側から育休を促進?

彼の職場では、「育休の取得が当然かつリモートワークが増える」環境でしたね。少なくとも育休の取得が当然という雰囲気は、育休の取得を考えている人にとってポジティブだろうな、と思います。一方で、リモートワークについてはリモートワーク中の行動によっていろいろ意見があるかもしれませんが、何かあったときにすぐに駆け付けられるのは、旦那様、奥様、赤ちゃん、すべてにとって良いことかと考えます
なお、会社側から育休を促進するヒントとしては、下部で直接的にインタビューをした「男性の育休が取りやすくなるには?」がありますので、こちらをご覧いただけると良いでしょう。

 
 

育休を取得して良かったこと

育休を取得して良かったことを尋ねると、「やっぱり子供の成長を間近で常に見られる、っていうのは、もう有給取らなければ、なかなか難しいところではあるので、そういった意味で貴重な経験というか、そういう意味でも取って良かったなと思っています」と言います。

また、旦那様が育休を取得することに対して奥様の感想について尋ねると、「やっぱり大変な時ではあるので、そういったところで、育児に限らず、家事の部分でも一緒にできたっていうのは、やっぱり『助かったよ』っていうことは、言ってましたね」と話します。

加えて、お子様お二人目となったときに育休は取りたいか、について尋ねたところ、「はい、思います」と即答されました。
 
 

得られるヒントについて|育休を取得して良かったこと

この章では、育休を取得して良かったことと、次回の育休取得について、触れてきました。
全体的に育休を取得して、彼はポジティブな要素がいくつかあったように、客観的にインタビューの内容から思いました。特にお子様二人目の育休取得について取りたい意向を示しているのが、最たるものかと思います。その理由としてはいくつかあると思いますが、良かったこととして、「子供の成長を間近で見られる」「育児や家事を一緒にできる」ということを挙げられていましたね。

こういった話は、もしかしたら奥様との話し合いの中で共有されていたり、同僚、ネットの情報などで、得ることができたりするかもしれません。そして、そういった話から「育休を取得したい」となるのかな?とイメージしますが、「イクメンプロジェクト趣旨|厚生労働省」によると、「育児休業の取得希望がありながら取得できなかった男性社員の割合は29.9%となっており、希望が十分かなっていない状況にあります」とございます。
※ 株式会社日本能率協会総合研究所「令和2年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業 報告書」

そして、「男性の育児休業取得促進等について」という資料では、やや古い情報になりますが、「男性・正社員」について、育児を目的とした休暇・休業制度を利用しなかった理由として、「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」が約23%、「収入を減らしたくなかったから」が約23%、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」が約22%となっていました。

そういった面からみると、育休取得が当然という雰囲気は、「育休を取得」したい方にとって、背中を押してくれる一因になりそうですね。
 
 

男性が育休を取りやすくなるには?

この章では、男性の育休が取りやすくなるためには、どういったことが考えられるか、インタビューした内容を紹介します。

育休を実際に取った人の声っていうのを広めていくって、のは大事かな、とは思いますね」と話し、「やっぱりイメージしてたこととかも実際に経験したことの違いだとか、(育休を)取ることのメリットだとか、そういった生の声っていうのが、結構参考になるんじゃないかと思います」と続けます。

「『会社でこんな支援とかあったら、もうちょっとみんな取りやすいんじゃないかな」とかってあったりします?』と尋ねると、しばらく考え「勤務時間の配慮とかですかね」と言います。
そして、「例えば、そこにリモートワークがもうちょっと入ってくるとかっていうのも1つ手段にはなるんですかね?」とも尋ねると、「それもあると思います」と同意がありました。
 
 

得られるヒントについて|男性が育休を取りやすくなるには?

この章からは、男性が育休を取りやすくするための方法として、彼からは「育休を実際に取った人の声を広める」という回答が得られました。また、会社の支援としては「勤務時間の配慮」や「リモートワーク」が会話の中でありました。

たしかに、「育休を実際に取った人の声を広める」というのは、いわゆる口コミと類似すると考え、重要だと思いました。
一方で、その1つの声を獲得するのが難しい企業もあるでしょう。それには、体制が整ってなかったり、育休を取得する人がいなかったり、など。そういった時には、まずは、未来を想定して足元を固めていく、体制であったり、育休を取りやすくしたり、それを周知したりなどを一つ取り組んでいくことが良いと思います。特に、意外となるかもわかりませんが、「周知」は非常に重要だと考えます。これも「人の声を広める」に似ていますが、せっかく体制や流れ、仕組みを組んでも、それが従業員に伝わっていなければ、それを使用する機会に発展しない可能性があるためです。
そのため、仕組みなどを用意したら、必ず「周知」し、さらにその内容を「定期的に周知」する仕組みを用意し、「育休を取得しやすい雰囲気」を作っていくことで、初の育休取得が得られるのではないかと考えます。
もちろん、「育休を実際に取った人の声を広める」ということを実際に、社内で実施するためには、思うだけではいけません。それを仕組化する必要がありますので、「育休取得→インタビュー→社内HPに掲載→従業員に掲載した旨通知」といった流れを作っていくことで、ようやく獲得し、広めることができるようになります。
なお、この流れはあくまで一案となりますので、企業ごとに応じた施策を検討するのが、最良でしょう。

 
 

おわりに

ここまで、実際に育休を取得した男性へのインタビューを通して、その実体験をご紹介しました。
彼が体験した育休関連の内容をカンタンにまとめると、『生まれた後のことを考え始めるタイミングで育休取得について家族に相談し、出産して1か月後に1か月間の有給を取得。そして、職場復帰後はリモートワークが週に1日増えた』です。

また、得られたヒントを整理すると以下となります。

図 得られたヒント
図 得られたヒント

 
子どもが生まれた従業員に適切な情報や方法を提供していくこと。そういったことが、従業員の満足度の向上につながっていくのではないかな、と思います。
本記事を参考に、一度現状の施策状況を振り返り、情報提供や仕組化具合についてメンテナンスをし、従業員満足度の向上につなげていきましょう。

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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