公開日:2022.06.13

質問紙法(質問紙調査)とは?

  • マーケティングリサーチ用語解説集

質問紙法とは

質問紙法とは、紙に書かれた質問項目に対する回答を得ることにより、回答被験者の行動・意識・価値観などを測定する研究方法のことです。質問紙調査とも呼ばれ、主に学術研究や社会調査において用いられる用語となります。
質問紙法では、「とてもそう思う」から「全くそう思わない」のように段階的に同意の程度を問うような評定尺度法が多く用いられ、その評価段階(スケール)のことを「リッカート尺度」といいます。5段階評価が多く採用されるため、その場合は5件法とも呼ばれます。
 
 
リッカート尺度の例

Q.あなたはご自身の収入についてどのくらい満足していますか。(1つ選択)
 
1.非常に満足している
2.やや満足している
3.どちらともいえない
4.あまり満足していない
5.全く満足していない

 
一般的にはアンケート調査と同義であり、現在ではwebを用いて回答を募るケースが主流になっています。被験者に自分で記入してもらうために用いる文書を質問紙、調査員が被験者の回答を口頭で受けて記入する文書を調査票と呼んでいましたが、近年では同じ意味として用いられています。
質問紙は言わばアンケート用紙のことであり、回答する被験者によって解釈が変わるような曖昧な表現を避けることが求められます。
 

質問紙の作り方・注意点

卒業論文や修士論文の際に質問紙調査を行なうことも多いかと思います。初めて実施する場合、どのように質問紙を作っていけば良いのかわからない方も多いでしょう。
マーケティングリサーチにおいては、「アンケート調査は調査票が全てだ」と言われています。これは、調査票の精度により結果データが大きく左右されるということです。質問紙法においても同様であり、精度の低い質問紙では意図する結果と異なる結果になってしまう恐れがあります。
では、どのような点に注意して質問紙を作れば良いのでしょうか。
 

設問数について

質問紙法を実施する際に、「ついでにこれも聞いておこう、念のためにあれも聞いておこう」と考えてしまいがちですが、むやみに設問数を増やしてしまうのは問題です。
設問数が多くなるにつれて回答者のモチベーションが低下してしまい、回答に対する信憑性の担保が難しくなってきます。誤回答が増えたり、設問文や選択肢をよく読まずにいい加減に回答されてしまう恐れがあります。そのため、データの品質を保つためには、リッカート尺度での設問の場合は70問程度に抑えるのが理想的です。100~200問のボリュームの場合は、回答に対するモチベーションを維持してもらうために、回答者への追加謝礼を用意することを推奨します。

回答者の途中離脱やデータの信憑性を担保するために、10分以内に回答しきれるボリュームで設計しましょう。
(参考:インターネット調査品質ガイドライン(2017年11月))
 

設問文について

回答の偏りをなくし、回答者全員が誤認せず共通認識を持てるような配慮が必要です。

・誘導的な質問にしない
・主語を必ず入れる
・設問文に「?」は使用しない
・結びを統一する
・専門用語を使用しない
・略語を使用しない
・人によって違う解釈にならないような設問文を作る ※選択肢も同様
・差別用語を使用しない
・過度な敬語・謙譲語を使用しない
・1つの設問に2つの内容を入れない
 

選択肢について

設問文同様、回答の偏りをなくし、回答者全員が誤認せず共通認識を持てるような配慮が必要です。

・人によって違う解釈にならないような選択肢を作る ※設問文も同様
・選択肢を提示する順序による偏りが生じる恐れがある場合は、選択肢にローテーションを掛けて提示する
・SA(シングルアンサー)の場合、選択肢の内容がお互いに排反で、重複しない
・なるべく多くの被験者にぴったりした回答が選べるように選択肢を作る
・個人情報にふれる質問の選択肢は範囲で示す等、最小限に抑える
・選択肢は長文にしない
・対象の製品だけでなく、ダミーの選択肢を入れる
・数値化できるものはできるだけ、数値化する
・選択肢は自分の主観で作成せず、いろんな人を想定して幅広く選択肢をつくる
・頻度の選択肢の場合は高いもの ⇒ 低いものの順
・金額の選択肢は小さいもの ⇒ 大きいものの順
 

設問の順番について

下記、押さえておくべきポイントです。

・論理的な順序で
・時間の流れを踏まえて
・簡単に答えやすい質問を先に
・総合評価と個別評価はケースバイケース
・重要な質問はできるだけ前に
・被験者の特性は後に
・純粋想起FAが先
・実態質問は、最近のことから聞くのが原則
・大きなカテゴリ ⇒ 細かいカテゴリの順番

上記を押さえて、まずはワード(Word)やエクセル(Excel)で質問紙を作成してみましょう。
下記にて、これら質問紙を作成する際のポイントをまとめております。無料でダウンロードできますのでご参照ください。
 

 

質問紙法のメリット・デメリット

質問紙法は、収集されたデータを数値化することを想定した上で設計が必要となる定量調査に分類されます。
一方、対象者から発せられる生の言葉や行動、あるいは観察者が見たままの状態や印象など、ことばや文章あるいは写真といった数値化できないデータの収集を目的とした調査のことを定性調査と呼びます。
ここでは、定量調査のメリット・デメリットを説明します。
 

メリット
  • 比較的負担の少ない回答方法であるため回答協力を得やすい
    設問に対してあらかじめ用意された答えを回答していく場合が多いので、被験者への負担が軽いです。また、webアンケートや郵送調査など会場に来なくても調査を実施できる点で調査へのハードルが低くなっています。
  • 数値で把握するため全体像を把握できる
    定量調査は、その名の通り「量」を調べデータを数値化できます。そのため、全体像を把握するのに優れているといえるでしょう。
  • 統計的な裏付けのあるデータのため、施策の判断材料になり得る
    インタビュー調査等の定性調査には明確な指標が存在しないのに対し、定量調査は一般的な指標ある数値でデータ化することができます。そのため裏付けられたデータとして活用しやすいと言えるでしょう。

 

デメリット
  • データから施策戦略の判断をするには、データを読む知識やスキルが必要になる
    定量調査で得たデータは数的なものなのでそれを具体的な施策や戦略に落とし込むためには、データを分析する力・活用する力が必要です。
  • 事前に調査票に盛り込んだ質問以外はできないので、回答の深堀り等ができない場合がある
    あらかじめ決まった回答に答えてもらうため、具体的な回答やその回答に至った背景を調査することはできません。

 

質問紙法の種類

Webアンケート

Web上にアンケート画面を用意し、回答者をWebに誘導しアンケートに回答させる調査のことを指します。Web上にアンケート画面を作成したり、足りない回答者を集めたりすることができます。
 

郵送調査

紙アンケートを郵送し、回答済み用紙を返送してもらうアンケート調査です。 アンケートの回答が欲しい企業や施設の住所を一覧化し、郵送にて回答を募ることができます。
 

訪問留置調査

ターゲットとする居住地域を調査員が一軒一軒訪問し、アンケートの回答を集める調査手法です。ピンポイントなエリアをターゲットとする場合に用いられます。
 

街頭調査

繁華街等でアンケートに参加してもらう方をストリートキャッチし、回答を集める調査手法です。テレビ番組等でよく用いられますが、「そのエリアにいる」ということ以外対象者に統一性がないため、対象者条件を絞る必要がある調査内容の際には向いていません。類似調査として、スーパー等の出口で買上客にアンケート協力をお願いする出口調査があります。
 

電話調査査

訪問留置調査と似ていますが、訪問ではなく調査員が被験者に電話をかけて回答を口頭で受け質問紙に記入していく調査手法です。訪問留置調査とは違い、エリアを問わず実施することができます。
 
 

質問紙のテンプレートと依頼文

学術研究における調査の場合、倫理審査の観点から、研究参加者に対し、研究参加の説明と依頼文が必須となることが多いことでしょう。下記は、被験者に対し、アンケート回答前に設けている当社の提示画面です。
 

アンケート調査ご協力のお願い

●調査の目的と協力について
・本調査は、皆さまの・・・・・・に関するお気持ちを調査することを目的としています。 調査の結果は、・・・・・・のための研究に役立てられます。
・本調査は、選択式の質問項目(20問)で構成されています。
・下記の項目をよくお読みいただき、ご理解、ご承諾の上、調査にご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。

●調査協力に関して
・本研究は皆さまの自由意思を尊重しています。研究にご理解いただいた上で、ご協力ください。
・本調査の回答の所要時間は、10分程度です。
・調査に参加しなくても、また調査を途中でやめても、不利益を被ることはありません。
・ポイントは、調査が完了した時点で付与されます。
・調査にご協力いただける方は、はじめの質問で「同意します」を選択してください。
・お答えになりたくない質問には、無理に回答いただく必要はありません。回答を中断することも可能です。

●個人情報保護に関して
データは回答IDで管理し、公表の際にはとりまとめて統計的に処理しますので、 個人情報が外部にもれることは一切ありません。 結果は責任者が厳重に管理し研究以外の目的に使うことはありません。

調査に関するお問合せ
●●大学 ●●
aaaa@aaaaa.ac.jp
090-●●●●-●●●●

 
その他、マーケティングリサーチの観点で作成したものではありますが、下記にて調査目的に合わせた調査票のテンプレートを無料でダウンロードいただけます。よろしければご参考ください。
 
 
テンプレート一覧を見る
 

執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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学術研究で行なうアンケート調査の注意点

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