
2025.09.25
事例で学ぶ、たばこ業界向けの調査内容とは? ~実践的な調査事例10選~
現在のたばこ業界は、消費者の嗜好変化と規制強化という2つの大きな課題に直面しています。 健康志向や環境への配慮の高まりから、従来の紙巻きたばこに加え、加熱式た……
公開日:2026.03.17
SNSや口コミサイトには、消費者の「飾らない本音」が日々、数多く投稿されています。
ネトノグラフィーは、こうしたオンライン上のコミュニティやSNSの会話・行動を観察し、消費者の価値観や文化、行動の背景を読み解く質的調査手法です。
また、ネトノグラフィーという言葉は、「インターネット(Internet)」と、「エスノグラフィー(Ethnography)※」と呼ばれる調査手法を組み合わせた造語になります。
※ エスノグラフィーは、もともと文化人類学などの学術調査において異文化・コミュニティの中に実際に入り込み行動観察やインタビューを行うことを指す。マーケティングの場でのエスノグラフィーも同様の手法を用いて、外部からは見えない消費者の深層心理や行動の要因の調査行います。
ネトノグラフィーを活用することで、変化をいち早くとらえ、マーケティングや商品開発に活かしていくことができます。
本記事では、ネトノグラフィーの基本的な考え方をはじめ、マーケティングで活用するメリット、ソーシャルリスニングとの違い、具体的な調査の進め方、さらに得られた仮説をビジネスに活かす検証方法までを体系的に解説します。
ネトノグラフィーとは、オンライン上のコミュニティやSNSにおけるユーザーの行動や対話、象徴的な表現などを観察・分析することで、消費者の文化や価値観、さらにはコミュニティ内部で働く社会的ダイナミクスを読み解く質的調査※手法です。
※ 質的調査とは、数値ではとらえきれない人々の意識や行動、その背景にある深層的な心理を理解することに重点を置いた調査方法です。質的調査は、対象者の内面世界を深く理解し、新たな発見や仮説を生み出すのに役立ちます。
ネトノグラフィー(Netnography)は、「インターネット(Internet)」と、文化人類学の調査手法である「エスノグラフィー(Ethnography:民族誌学)」を組み合わせた造語です。具体的には、オンライン上の人々の営みをフィールドワークによって解き明かす民俗学的手法をデジタル空間内に応用したアプローチを指します。
この手法は、1990年代後半にマーケティング学者のロバート・コジネッツ(Robert Kozinets)教授によって提唱・体系化されました。コジネッツ教授は、デジタル空間を単なるデータの集合ではなく、独自のルールや慣習、コミュニケーション様式を持つ「文化圏」、あるいは一つの社会として理解する重要性を指摘しています。
ネトノグラフィーの大きな特徴は、調査者が対象者の生活空間であるデジタルコミュニティに入り込み、「自然な状態での相互作用」を観察する点にあります。
インタビューのように「質問に答える」形式ではないため、消費者が自覚していない無意識のこだわりや、特定のコミュニティの中で共有されている独自の文脈(コンテキスト)を読み取ることが可能となります。
また、ネトノグラフィーはデジタル空間を一つの「フィールド(調査地)」としてとらえ、そこに存在する文化や行動パターンを理解するアプローチというのも特徴の一つです。そのため、現代のマーケティングにおいて、生活者の深層理解を進めるうえで重要な調査手法の一つとされています。
ネトノグラフィーとよく比較される手法に「ソーシャルリスニング」があります。
ソーシャルリスニングとは、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどのソーシャルメディア(SNS)に投稿された生活者の声を収集・分析し、ブランド評価や市場動向、キャンペーンへの反応などを把握するマーケティング手法です。
この手法では特定のキーワードやハッシュタグを追跡することで、商品の評判やトレンド、炎上の兆候などをリアルタイムに把握できます。
一方、ネトノグラフィーは単に投稿数や感情の傾向を集計するのではなく、オンラインコミュニティにおける会話の文脈や文化、ユーザー同士の関係性まで含めて読み解きます。
つまり、ネトノグラフィーとソーシャルリスニングとの大きな違いは、ネトノグラフィーが会話の背景や意味を深く読み解いていく手法であるのに対し、ソーシャルリスニングはSNSの声を広く収集することで傾向を把握する手法な点です。
そのため、両者は対立する手法ではなく、目的の異なる補完関係にあります。
マーケティングの現場では、両者を組み合わせて活用するケースも少なくありません。
ネトノグラフィーは、アンケートの数値やSNSの拡散数だけでは見えてこない「消費者の深層心理や行動の文脈」を読み解くことができます。
そのため、マーケティングの現場では、「なぜ(Why)」や「どのように(How)」といった5W1Hの問いに答えるために活用されます。
主に次の3つの観点からインサイト※を得るために活用されています。
※ インサイトとは、消費者の行動や思考の背後にある、消費者も自覚できていない動機や欲求です。
購買データだけでは分からない、生活の中でのリアルな使われ方を把握できます。
たとえば、「なぜユーザーは公式が推奨していない使い方をしているのか」「どのような独自の工夫や裏技が生まれているのか」などを調べることが可能です。
こうした実際の使われ方を知ることで、企業が想定していなかった新しい利用シーンや価値が見えてきます。
ネトノグラフィーでは、「好き・嫌い」といった表面的な評価だけでなく、その背景にある感情や理由まで読み取ることができます。
たとえば、「なぜこの商品は若者に敬遠されているのか」という問いに対して、コミュニティ内の会話を観察することで、スペックではなくイメージや感覚的な抵抗感が影響しているかを分析できます。
特定のコミュニティの中で共有されている独自のルールや共通言語を読み解くことで、ユーザー同士の価値観や文化的な背景が見えてきます。
たとえば、「なぜそのブランドがコミュニティ内で“象徴的な存在”として語られているのか」「どのような価値観や体験が、そのブランドへの共感を生み出しているのか」などを調べることが可能です。
商品が彼らのライフスタイルの中でどのような文化的意味を持っているのかを理解することで、より共感を生むコミュニケーションやブランド戦略につなげられます。
ネトノグラフィーの大きなメリットは、デジタル空間に存在する「生きた文脈」を、比較的低コストでとらえられることです。
主なメリットとして、次の3つが挙げられます。
メリットの多いネトノグラフィーですが、実施する際には特有の課題や注意点もあります。
特に次の2点は、調査の質に大きく影響する要素です。
ネトノグラフィーは、単にネット上の投稿を眺めるだけのものではなく、明確なステップに沿って進める調査手法です。
一般的には、次のようなステップで進められます。

ネトノグラフィーは、消費者の本音やコミュニティ特有の文化といった、質の高い仮説を見つけるのに適しています。ただし、それだけで市場全体の傾向を判断してはいけません。
その大きな理由は、デメリットでも紹介しましたが、オンライン上の特定コミュニティにはユーザー層の偏り(バイアス)が含まれている可能性があるからです。
そこで重要になるのが、他の調査手法と組み合わせることです。
たとえば、他の調査手法の組み合わせとして、ネトノグラフィー×インタビューやネトノグラフィー×アンケートが考えられます。
ネトノグラフィーで見えてきた「なぜ(Why)」や「どのように(How)」という背景を、インタビューなどの対面調査でさらに深掘りし、アンケートなどの定量調査で「どれくらい(How many)」広がっているのかを確認することができます。
このように複数の調査手法を組み合わせることで、ネトノグラフィーで得られた仮説の信頼性を高め、より実践的なインサイトへとつなげられます。
ネトノグラフィーで見つけた「兆し」を、より確かなインサイトへと深めるうえで効果的なのがインタビューとの組み合わせです。
この組み合わせのメリットは、対象者のコミュニティや行動の文脈を事前に理解した状態でインタビューを行える点です。あらかじめコミュニティでの振る舞いや独自の言語感覚を把握しておけるため、「SNSで話題になっているあの使い方について、実際にはどのように感じていますか?」といった、より具体的で踏み込んだ内容を、素早く質問することが可能です。
たとえば、「なぜ公式とは異なる使い方を始めたのか」「その背景にはどのような不満やニーズがあったのか」といった点を掘り下げれば、個人の体験とコミュニティの動きを結びつけて理解できます。
こうしたプロセスを通じて行動の背景や動機を明らかにできます。
グループインタビュー(FGI)のサービスの詳細はこちら
アスマークは、業界トップクラスのグループインタビューリクルート実施件数があります。蓄積されたノウハウで、貴社のグループインタビューを設計からレポートまで、フルサポート!
> 詳しく見る
デプスインタビュー(IDI)のサービスの詳細はこちら
アスマークでは、デプスインタビュー(IDI)サービスを提供しております。対象者とインタビュアーによる1対1の面談式で実施する調査方法で、商品やサービス等の選択・購買理由などをより深く掘り下げて探ることができます。
> 詳しく見る
ネトノグラフィーで得られた傾向について、市場全体を代表しているか検証する調査手法として、Webアンケートがあります。
具体的には、コミュニティの中で見えてきた独自の価値観や、言語化されていない不満をアンケートの設問として整理し、より多くの消費者に調査をするためWebアンケートを行います。これにより、ネトノグラフィーで見つけた傾向が、どの程度の人に当てはまるのかを確認できます。
ネットリサーチ(WEBアンケート)のサービスの詳細はこちら
アスマークでは、ネットリサーチ(WEBアンケート)サービスを提供しております。質の高い市場調査専用モニター、スタッフの細やかなサポートと対応力で“早い、“安い”だけでない高品質なネットリサーチをご提供します。
> 詳しく見る
ここまで、ネトノグラフィーの基本的な考え方をはじめ、活用するメリット、具体的な調査の進め方などについて解説しました。
デジタル空間には、消費者の飾らない本音や日常の行動が数多く蓄積されています。ネトノグラフィーは、こうしたオンラインコミュニティの会話や振る舞いを観察することで、従来の調査では見えにくかった消費者の価値観や行動の背景を把握できます。
ただし、観察から得られた気づきをそのまま結論にするのではなく、インタビューやWebアンケートなどを組み合わせて検証していくことが重要です。複数の調査手法を組み合わせることで、仮説の信頼性を高め、より実践的なインサイトへとつなげられます。
オンラインコミュニティの中には、消費者のリアルな声や新しい価値観の兆しが数多く存在しています。
ネトノグラフィーを活用することで、そうした変化をいち早くとらえ、マーケティングや商品開発に活かしていきましょう。
目的から考える、最適な調査手法の選び方
一言で「調査をしたい!」といっても、マーケティングリサーチにおける調査手法はアンケート調査やインタビュー調査をはじめ、非常に多岐に渡ります。目的に合わせた調査手法を選定しなければ、明らかにしたい調査データを取得することができません。本資料では、実施目的から最適な調査手法を選ぶまでの方法についてを紹介しています。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
●調査を実施したいけど、どういう調査をすべきなのかわからない
●とりあえず“アンケート調査”をイメージしてるけど、最適な調査が他にあるのでは?
●調査結果の活用用途は決まってるけど、そもそもどういう調査をしたら良いの?
> 詳しく見る
エスノグラフィとは
エスノグラフィとは、もともと文化人類学などの学術調査において異文化・コミュニティーの中に実際に入り込み行動観察やインタビューを行うことを指します。マーケティングの場でのエスノグラフィも同様の手法を用いて、外部からは見えない消費者の深層心理や行動の要因の調査行います。
> 詳しく見る
エスノグラフィー調査の概要と実践手法
現代は顧客の価値観やライフスタイルが多様化し、従来のアンケート調査やインタビュー調査では、顧客の潜在ニーズを把握することが難しい場合があります。そこで近年、注目を集めているのが「エスノグラフィー調査」です。
企業は、エスノグラフィー調査を通じて顧客の隠れたニーズや本音を把握して、より効果的なマーケティング戦略を立案できるようになります。
この記事では、エスノグラフィー調査の概要と実践手法について、解説します。
> 詳しく見る
【無料視聴】20代主婦に聞いた「調理実態」に関するエスノグラフィ調査
生活者の「行動」に注視し行動観察による実態把握を行うことで、潜在ニーズの探索や仮説抽出に活かすことができる「エスノグラフィ調査」。
今回は実際の調査モニターの日常の”調理実態”にフォーカスを当て、冷蔵庫内の食品管理や調理器具の配置~実際の調理までの様子を、全体40分で徹底観察!
「食」にかかわる幅広い企業の皆様へ、様々な商品開発のヒントとして頂ければ幸いです。
下記に当てはまる方にお薦めの動画です。
・キッチン環境を観察し、自社商品の潜在ニーズを探りたい
・冷蔵庫や調理家電のユーザビリティを把握したい
・食品・食材の保管状況や調理実態を知りたい
> 詳しく見る
エスノグラフィ(行動観察)調査の活用方法を解説
エスノグラフィ調査(行動観察)は、顧客の行動やライフスタイルに密着し、その背後にある意識や価値観を深く理解するための有力な手法です。
アンケートやインタビューでは捉えきれない微細な行動パターンを観察できるので、顧客の本質的なニーズやインサイトを明らかできる点が強みにもなります。行動の「なぜ」に焦点を当てるため、実施することで、従来の定量的調査とは異なった見落とされがちだったアンメットニーズなどの新たな発見を得ることができます。
本セミナーでは、エスノグラフィ調査の基本的な概念から、効果的な調査設計の方法、具体的な分析ステップに至るまで、実践的な視点で解説します。
下記に当てはまる方にお薦めの動画です。
● 定量調査では把握できない、顧客の潜在ニーズや本質を理解したい
● ユーザーの行動背景を深く理解し、UX改善に新たな視点を加えたい
● 実際の製品使用状況を把握し、次期モデルや新製品開発に活かしたい
※無料会員登録でご視聴可能です。
> 詳しく見る
インタビュー調査とは?種類や手順、メリット、事例について基礎からご紹介
マーケティングや研究において、価値ある情報を見出すには、的確な情報収集を行うことが大切です。その中でも「インタビュー調査」は、人々の深層心理や行動の背景を探る重要な調査手法です。
この記事では、インタビュー調査の基礎知識から、メリットや成功事例について解説します。
> 詳しく見る
調査設計・聞き方の失敗例から学ぶ「インタビュー調査のコツ」
定性調査として実施されているインタビュー調査。生活者・消費者のインサイトから、何らかの意思決定やアクションへ繋げることを目的として行います。しかしながら、実際にインタビューを企画・実施・活用する場面では、様々な悩みを持つ企業が少なくありません。一度は「失敗」をしてしまった方も、いらっしゃるのではないでしょうか。そこで本資料では、調査目的に沿った有意義なインタビューを行い次のアクションに繋げるためのポイントを、様々な「失敗談」をベースに考察・提起しております。
> 詳しく見る
「アンケート初心者向け」セレクト4選
アンケート初心者の方は必読したい、当社の「マーケティングリサーチ初心者向け資料」を4部セレクトしました。全て一括でダウンロードいただけます。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● アンケート調査を初めて実施する
● リサーチの担当になったが、何から学べばいいかわからない
● マーケティングリサーチの基礎理解を深めたい
> 詳しく見る
Web調査(インターネット調査)とは?実施方法や注意点、費用について紹介
近年、市場調査や社会調査の分野で注目を集めている「Web調査」(インターネット調査)。インターネットを活用して効率的にデータを収集できるこの手法は、低コストで迅速かつ柔軟に対応できるなど多くのメリットから、幅広く導入されています。しかし、効果的な調査を行うためには、実施の流れや注意点を理解し、適切な費用感をつかんでおくことが重要です。
この記事では、Web調査の基本からメリット・デメリット、実施方法や具体的な事例などについて解説します。
> 詳しく見る

2025.09.25
現在のたばこ業界は、消費者の嗜好変化と規制強化という2つの大きな課題に直面しています。 健康志向や環境への配慮の高まりから、従来の紙巻きたばこに加え、加熱式た……

2025.10.02
現在の金融業界では、デジタル技術の進化に伴い、オンラインバンキングやキャッシュレス決済の利用が急速に広がっています。従来の対面型サービスに加え、モバイルアプリや……

2023.04.19
自院が受診者やその家族からどのように評価されているのかを知る方法として顧客満足度調査(以下CS調査)は非常に有効です。CS調査は、その目的によって、あるいは受診……

2020.05.29
訪日外国人市場の動向 コロナウイルスの感染が拡大する前までは、年々右肩上がりに増加していた訪日外国人客数。2014年は約1,300万人だった訪日外国人客数は2……