公開日:2025.07.03

ストリートインターセプトとは?課題と代替調査手法

  • マーケティングリサーチ用語解説集

この記事では、街頭での通行人調査「ストリートインターセプト」とは何か? そのデメリットや課題を明らかにし、より効率的かつ正確な調査手法として注目される「プレリクルート方式」との比較を通じて、調査精度を高めるためのヒントをご紹介します。
 
 

ストリートインターセプトとは?街頭調査の基本手法

ストリートインターセプトとは、駅前や繁華街などの街頭で通行人に声をかけ、アンケートやインタビューへの協力を依頼するマーケティング調査手法です。
「ストリートキャッチ」や「インターセプト法」、「街頭調査」とも呼ばれています。

その場のリアルな意見を収集できる点が特徴とされており、主に新商品の評価や広告効果の確認などに利用されてきました。
しかし、実際の運用にはさまざまな課題や制約があるのも事実です。
 

 
 

ストリートインターセプトの主なメリットとデメリット

メリット

  • リアルタイムの反応が得られる
    実施場所で対象者に声をかけてその場で調査を行うため、商品や広告への第一印象や直感的な反応など、時間差のない率直な意見を収集できます。
  • 短期間での調査が可能
    調査設計から実査までのリードタイムが短く、即時的な調査対応が可能です。特に緊急性のあるフィードバック収集や短期テストに適しています。
  • 対象者との対面による柔軟な対応
    調査員が対面で対応できるため、質問の意図をその場で説明したり、理解度に応じた補足対応が可能です。これにより、表層的な誤回答を防ぐケースもあります。

 

デメリット

  • ターゲット精度が低い
    ストリートインターセプトでは、調査場所や時間帯によって通行人の属性が偏るため、特定のターゲット層に絞ったリサーチには不向きです。例えば、平日昼間であれば高齢者や主婦層が中心になるなど、条件設定がしづらい点が大きな弱点です。
  • 回答の質にばらつきがある
    通行人は調査への心構えができておらず、急いでいたり、警戒心を持っていたりすることもあります。結果として、回答の精度や深さにバラつきが生じやすく、得られたデータの信頼性が低下するリスクがあります。
  • 実施効率が低く、外部要因に左右される
    街頭での調査は天候や混雑状況に大きく左右され、計画通りに対象人数を確保できないことも珍しくありません。また、調査スタッフの質に依存するため、オペレーションにも一定のリスクが伴います。

 
 

プレリクルート方式とは?ストリートインターセプトの代替手法

こうしたストリートインターセプトの課題を受け、近年注目されているのが「プレリクルート方式」です。
この手法では、事前に条件を満たす調査対象者をあらかじめ選定・アサインし、調査協力の意思確認を済ませたうえで本調査に参加してもらうという、計画性の高い調査設計が可能になります。

多くの場合、プレリクルートは調査会社が保有する調査パネルを活用して実施されます。
調査パネルとは、年齢・性別・居住地・ライフスタイルなどの属性情報が登録された、調査協力に同意済みのモニター会員の集合体です。
これにより、あらゆる条件に応じたターゲット層をスピーディかつ高精度で抽出できるため、調査の再現性と信頼性が格段に向上します。
 
 
プレリクルートの主なメリットは下記です。

  • ターゲット精度が高く、意図した層を確実に抽出可能
    ⇒ 属性条件や行動履歴などに基づいた絞り込み。
  • 協力意欲の高い参加者による質の高い回答が得られる
    ⇒ 調査参加に前向きなモニターに限定できるため、無回答や中途離脱が少ない。
  • 調査日程やロケーションの調整がしやすく、実施効率が良い
    ⇒ スケジュール管理やリマインド対応も事前に組み込める。

 
このように、ストリートインターセプトの不確実性や非効率性を解消できる手法として、プレリクルート方式は多くの調査現場で採用が進んでいます。
 
 

ストリートインターセプトに置き換わる調査手法

プレリクルート方式は、「誰に調査するか」を事前に設計できる点で大きな利点がありますが、それによって実施できる調査の幅や深さも大きく広がります。
以下では、プレリクルート方式を活用して実施される代表的な調査手法をいくつかご紹介します。

  • 会場調査(CLT:Central Location Test)
    参加者を事前に選定し、所定の会場に集めて行う調査です。試飲・試食、パッケージ評価、新商品コンセプトテストなど、五感を使った評価や実物体験が必要な調査に最適です。事前リクルートにより、ターゲット層の正確なアサインが可能なため、短期間で信頼性の高い結果が得られます。
  • ホームユーステスト(HUT:Home Use Test)
    自宅で製品を一定期間使用してもらい、使用感や満足度を評価してもらう調査です。調査パネルから生活スタイルに合った対象者をリクルートすることで、リアルな使用シーンに即した評価データが得られます。
  • インタビュー調査(デプスインタビュー・グループインタビュー)
    特定のテーマについて深掘りするインタビュー型調査でも、プレリクルートは不可欠です。事前に関心層や行動経験者を選定することで、表層的でない、本質的なインサイトを引き出すことが可能になります。
  • ネットリサーチ(Webアンケート)
    プレリクルートされた調査パネルを使ったオンライン調査も広く行われています。すでに調査参加の同意が取れているため、スピーディかつ高回収率での実施が可能であり、特に定量調査で威力を発揮します。

 
このように、プレリクルート方式は調査対象の精度を高めるだけでなく、調査手法の選択肢を拡げ、調査設計の柔軟性を向上させる点でも非常に有効です。
調査の目的や条件に合わせて、最適なリクルートと調査形式を選ぶことで、より確実な意思決定につながるデータが得られるでしょう。
 
 

最後に

ストリートインターセプトは、街頭でリアルな声を拾えるという点では魅力的な手法ですが、ターゲットの不明確さや実施効率の低さ、環境依存のリスクといった課題があるのも事実です。
一方、プレリクルート方式であれば、誰に、どのような条件で調査するかを事前にコントロールでき、調査の再現性・効率・信頼性を大きく向上させることができます。

さらに、会場調査、ホームユーステスト、インタビュー、Webアンケートなど、調査目的に応じた多様な設計が可能であり、ストリートインターセプトの代替手法として、より柔軟で実践的な選択肢です。

これからの調査においては、「現場での偶然」に頼るのではなく、「事前準備による必然」をどう実現するかが、成功の鍵を握ります。
調査の手法や対象者のリクルートに課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
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会場調査(CLT)

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会場調査(CLT)とは、あらかじめ用意した会場で、調査対象者から、製品、または広告等についての評価を聴取し、定量的にデータとして収集する手法です。
対象者が実際に製品や対象物に触れることで、よりリアルな評価を得られることができ、比較的短期間に、定量的に把握することができます。具体的には、試飲・試食を伴う調査や発売前のパッケージ調査など、実際に対象者に「食べてもらいたい・飲んでもらいたい」「見てもらいたい」「触ってもらいたい」場合に向いています。簡単なアンケートやインタビューを同時に行うことが多いです。

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ホームユーステスト

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アスマークでは、ホームユーステストのサービスを提供しております。

新商品や改良品のサンプルを調査対象者の自宅に送付し、普段の生活の中で、一定期間、試飲・試食または試用してもらい、アンケートでその評価を得る調査手法です。製品を実際に試してもらう調査としては、会場調査(CLT)と並ぶ代表的な調査手法です。上市前製品のHUT実績豊富だから安心してお任せいただけます。

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デプスインタビューの概要とメリット・デメリット

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