公開日:2023.10.17

市場調査を成功させるために:基本理論と実践的アプローチ

  • 調査企画・設計

市場調査は、企業が市場において競争力を持つためにとても重要な活動です。市場調査によって、競合他社との差別化や顧客満足度の向上など、事業成長につながる戦略を立てられます。しかし、的確な市場調査を行うためには、調査目的の設定や調査手法について、しっかりと理解することが大切です。
この記事では、市場調査を成功させるために、必要な基本理論と実践的アプローチについて解説します。
 

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市場調査とは?

市場調査とはマーケティング活動の一環として、市場や顧客の動向やニーズを調査することです。企業は市場調査によって、自社の商品やサービスの強みや弱み、競合他社との差別化や価格設定など、事業成長につながる情報を得られます。
市場調査はマーケティングリサーチとも呼ばれます。両者は同様の意味で用いられることもありますが、厳密には違いがあります。市場調査はデータで市場を現状把握するために行われる活動です。一方、マーケティングリサーチはデータを元にして、商品やサービスの市場動向を予測する活動となります。つまり、市場調査は、マーケティングリサーチの一環として行われる現状調査という位置づけになります。
 

市場調査の重要性

物事を分析するときには、その元となる情報の信頼性が重要です。情報が正しくなければ、分析結果を正しく導くことはできません。
例えば、自社の商品やサービスの需要や競争力を過大評価したり、逆に過小評価したりすると、市場に適した戦略を立てることは困難です。また、仮に正しい情報であっても、その情報が古いものだと経営の判断材料として用いるのに適していません。
市場は常に動いており、消費者のニーズや嗜好も変わっていきます。そのため、マーケティング戦略を立案する際には、できるだけ最新の市場環境や消費者ニーズを把握することが大切です。その情報を得るために行うのが市場調査です。市場調査は自社の強みや弱みを明らかにし、競合他社との差別化や価格設定など、事業成長につながる戦略を立てるために欠かせない活動と言えます。
 

市場調査の目的と種類

市場調査を行う際には、調査対象や理由などの調査目的を明確にすることが大切です。調査目的が明確でないと、市場や消費者の何を分析するのか、どのような調査方法を用いるのかを決めることができません。また、一回の調査で数多くの目的を設定しすぎると、調査の計画や実施内容が複雑になり、回答者にも大きな負担をかけてしまいます。このような状況は、調査の信頼性や有効性を低下させる可能性があります。そのため、市場調査を行う際には本当に重要な調査目的を選定し、それに応じた適切な調査手法を選ぶことが大切です。
  
定量調査と定性調査
 
市場調査を行う際は、目的や課題に応じて適切な手法を選ぶことが重要です。市場調査の手法には様々な種類がありますが、その中でも最も基本となる分け方が、定量調査と定性調査です。
定量調査とは、アンケートなどで収集したデータを数値化し、統計的に分析する調査です。定量調査は客観的に判断したい情報の把握に適しています。例えば、商品やサービスの認知率や満足度、購入単価や購入頻度などを数値で把握できます。
一方、定性調査とはインタビューや観察などで、感覚的なデータを分析する調査です。定性調査では、消費者の購買動機や潜在ニーズなど、質的な要因を理解できます。例えば、商品購入に至るプロセスや心理、生活におけるニーズや期待などを調査します。
定量調査と定性調査の使い分けは、調査目的によって異なりますが、一般的には以下のような場合に用いられます。

・定量調査:市場や消費者の実態把握、効果測定など
・定性調査:購買動機の探索、ニーズの発見など

 
また、定量調査と定性調査にはそれぞれのメリットがあるため、双方を上手く組み合わせることで、より的確な調査を行えます。
 
 

市場調査の実践的な手法

市場調査によって有効な情報を得るためには、調査手法の特徴を正しく理解して実施することが大切です。そこで、ここでは市場調査の実践的な手法と、データ分析の仕方について解説します。
 

オンラインとオフラインの調査

市場調査における手法には、オンライン調査とオフライン調査があります。オンライン調査とはインターネットを利用してデータを収集する方法で、ウェブサイトやメール、ソーシャルメディアなどを活用し、広範な対象者から意見や情報を得られます。一方、オフライン調査とは、対面で行われる調査方法です。オフライン調査には直接対話や観察を通して情報を収集するという特徴があり、信頼性の高い情報を得られます。これらの手法は、調査目的や対象者の特性に応じて、適切な手法を選択する必要があります。
  
オンライン調査の方法
 
オンライン調査は、インターネットを活用してデータを収集する手法です。オンライン調査には様々な方法がありますが、代表的なものとしては定量調査のインターネットリサーチやソーシャルメディア分析、定性調査のオンラインインタビューなどがあります。
インターネットリサーチとは、ウェブサイトやメールなどでアンケートを配信し、回答を収集する方法です。また、ソーシャルメディア分析とは、SNSやブログなどで発信される消費者の声や感情を収集し、分析する方法です。また、オンラインインタビューとは、オンラインで個人やグループに対して行うインタビュー形式の調査です。グループインタビューでは参加者によるディスカッションなども行い、調査対象者から過去の経験や意見、アイデアなどを収集します。特にディスカッションでは参加者同士の感情共有を通じて、より分析に役立つ意見やアイデアを得られます。
オンライン調査のメリットは、短期間で多くの回答を得ることができる点や、地理的制約を受けずに参加者を集められることです。また、参加者の匿名性を保ちやすく、率直な意見を引き出しやすくなります。しかし、オンライン調査では、回答者の信頼性について考慮する必要があります。オンライン上では本人確認が難しいため、回答者が情報を偽って回答する可能性があります。また、インターネットに詳しくない人が、回答に参加しづらいという点も考慮すべきです。
  
オフライン調査の方法
 
オフライン調査は、インターネットを使わずに直接対面でデータを収集する手法です。代表的なオフライン調査としては、定量調査のアンケートや電話調査、定性調査のグループインタビューやデプスインタビュー、エスノグラフィ調査などがあります。定量調査では、特定の会場に人を集めて行う会場調査、アンケート用紙を郵送して回答してもらう郵送調査、製品を試してアンケートに回答してもらうホームユーステストなどがあります。また、定性調査では、対面で意見を交わしてもらうグループインタビュー、インタビュアーが調査対象者の考えを深掘りするデプスインタビュー、調査対象者と一定期間生活を共にするエスノグラフィ調査などで、参加者の意識やニーズを調べます。オフライン調査のメリットは、調査対象者への直接的なアプローチが可能なことや、質問内容の詳細な説明や追加の質問のフィードバックを即座に行えることです。また、インタビュアーの力量次第で、より深い理解や洞察を得ることが可能です。
一方、オフライン調査は、オンライン調査よりも時間とコストがかかるという問題点があります。また、参加者が地理的な制約を受けやすく、データの入力や集計作業に手間がかかる点も注意すべきです。
 

データの分析と解釈

市場調査で収集したデータをビジネスに役立てるには、データを分析し、その結果を解釈することが必要です。データは統計的な手法などを用いて分析することで、データの示す背景や原因、意味や価値を理解できるようになります。
  
データの収集と整理
 
市場調査でデータを収集するには、主に二つの方法があります。一つ目は一次データと呼ばれる自らが主体となって、アンケートやインタビューなど集めるデータです。一次データは調査目的に合致した情報を得やすく、詳細な分析を行うのに適しています。
もう一つは、二次データと呼ばれる他の機関や組織が公開しているデータで、統計やレポートなどで取得できます。二次データは素早く低コストで入手でき、市場環境などマクロ的な要因の分析に適したデータです。
収集したデータを分析する前段階として、データをデジタル化して分析しやすい状態に整理する必要があります。例えば、項目別にデータをグループ化したり、データの品質を高めるために欠損値や異常値のチェックを行います。
収集したデータを適切に整理することは、信頼性の高い結果や洞察を得るとともに、作業効率を高めるための重要な作業です。
  
データ解析ツールの利用
 
データ解析ツールとは、大量のデータを集計し、そこから何かしらのパターンや傾向を分析するためのツールです。このデータ解析ツールにはエクセルから統計ソフトウェアやビジュアル化ツールなど、様々な種類があります。
データ解析ツールのメリットは大量のデータを素早く処理し、統計的手法で分析できることです。収集したデータを統計的に分析することで、有益な情報や知見を導き出し、意思決定や戦略立案に役立てられます。また、ビジュアル化ツールを用いれば、データをグラフやチャートなどで視覚化できるため、関係者への効果的な説明に役立ちます。
データ解析ツールを利用する際は、自社の調査ニーズにマッチしたツールを用いることが大切です。ツールは機能や性能、価格などが異なるため、導入する前にしっかりと検討しましょう。また、データ解析ツールを使用するには、データ解析の基礎知識や分析手法の理解が必要です。分析手法に対する理解が不足していると、データを正しく分析できなかったり、データの解釈を誤る可能性があります。データ解析ツールはデータ分析において重要な役割を果たしますが、正しく活用するための事前準備にも配慮しましょう。
 
 

市場調査の実例と活用方法

市場調査で得られた分析結果は、ビジネス戦略の策定や新商品開発、マーケティング活動の計画立案などで活用されています。また、顧客のニーズに基づいてマーケティング戦略を立案することで、より効果的な広告やプロモーションの展開が可能です。ここでは、市場調査のケーススタディと、その結果がビジネスで活用された方法について解説します。
 

実践的な市場調査のケーススタディ

  
競合調査
ある家電メーカーなどでは、新製品を開発するために市場における競合調査を行います。この調査では、競合他社製品の特徴や価格、販売戦略などを分析し、自社製品をどうやって差別化すればよいかを見つけ出します。また、競合他社の市場シェアや顧客満足度などの競合状況を把握することで、販売戦略策定の参考資料とします。
  
顧客満足度調査
ホテル業界などでは、顧客満足度向上を目的とした市場調査が行われています。調査を通して顧客満足度と各種サービスとの関係を調べ、最も高い効果が見込めるサービスの選定に活用しています。また、顧客の不満(満足度の低いサービス)を深掘りすることで、これまで気づかなかった問題点の発見にも利用しています。
  
ブランドポジショニング
コスメブランドなどは、ターゲット顧客層の変化にともないブランドポジショニングを再評価するために調査を行います。この調査では、ターゲット顧客のファッション傾向や美容意識、他の競合コスメブランドとのブランドイメージ比較などを調査します。これにより、ブランドの特徴や訴求イメージの改善を図り、ターゲット顧客に対して効果的なマーケティング活動を展開します。
 

調査結果のビジネス活用方法

 
市場調査で得た分析結果は、企業が競争力を保持し成長していくための貴重な情報源です。この情報を上手にビジネスへ活用すれば、市場での優位性や顧客からの強い支持を得られます。ここでは、調査結果をビジネスに活用する方法について解説します。
  
マーケティング戦略への組み込み
 
市場調査で得た情報は、市場環境を表す重要なデータです。より的確な情報を持っているほど、自社の商品やサービスに対する顧客のニーズや競合他社の動向を把握でき、的確なマーケティング戦略立案へとつながります。しかし、市場調査で得た情報をマーケティング戦略に組み込む際には、注意すべき点があります。それは、客観的情報を重視して市場認識することです。人は自らが関わるビジネスには、経験に基づく先入観や思い込みを持ちやすい傾向があります。このような思い込みが強い状態で調査結果を解釈すると、思い込みに合致する情報だけ取り上げる危険性があります。その結果、調査結果が示している重要な情報を見逃してしまうかもしれません。
調査結果から市場を認識する際は、できるだけ先入観を持たず、あくまでデータから読み取ろうとする姿勢が大切です。
  
新製品開発へのフィードバック
 
市場調査の結果は、新製品開発においても価値ある情報です。しかし、市場調査結果を新製品開発にフィードバックする際には、注意すべきポイントがあります。市場調査で得られる結果は、あくまで過去から現在までの情報です。新製品開発にはある程度の開発期間がかかり、その間に市場は社会環境や競合関係が変化する可能性があります。そのため、フィードバックされた情報を活用する際は、「市場の大きな流れ」と「潜在ニーズ」を読み取ることが大切です。市場の大きな流れとは、市場全体の動向や傾向を指します。例えば、技術革新や社会問題、消費者のライフスタイルや価値観などは市場の大きな流れとなって、市場ニーズの方向性を決定します。この市場の大きな流れを読みとれば、ある程度、未来を予測した新製品開発へとつなげられます。潜在ニーズとは、顧客自身も気づいていないニーズのことです。潜在ニーズを見つけることは難しく、潜在ニーズを満たす新製品は簡単には発売されません。だからこそ、市場調査から把握した潜在ニーズは、新製品開発にとって貴重な情報となります。
 
 

まとめ

ここまで、市場調査の基本理論と実践的アプローチについて紹介しました。
市場調査とは、市場の過去から今に関する情報を客観的に把握する調査です。市場調査で得られた情報は、顧客ニーズや競合他社の動向などを分析することで、マーケティング戦略や新製品開発などに活用できます。市場調査に関する理解を深め、ビジネスに活用できるマーケット情報を分析できるようになっていきましょう。
 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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