2024.06.11
アンケートの設問例と効果的な作成方法|目的別の調査票テンプレートや項目を公開
アンケートは顧客満足度の向上や商品・サービスの改善など、企業や個人の意思決定を支援するツールとして、様々な場面で活用されています。しかし、効果的なアンケートを作……
公開日:2024.11.06
現代のビジネスにおいて、顧客の声に耳を傾け、そのニーズを的確にとらえることは、企業が成長するために、とても重要な要素です。そのため、顧客満足度調査は、顧客の声を収集し、分析することで、自社の商品やサービスの改善、ひいては顧客ロイヤリティの向上へとつなげる重要な取り組みと言えます。
この記事では、顧客満足度調査の基礎知識から、具体的なアンケート項目と例文などについて、分かりやすく解説します。
顧客満足度調査(CS調査:Customer Satisfaction Survey)とは、企業が提供する商品やサービスに対して、顧客がどの程度満足しているかを把握するための調査です。顧客の声を直接収集することで、彼らのニーズや期待、不満を理解し、商品やサービスの改善、そして顧客ロイヤリティの向上につなげます。
顧客満足度調査では、アンケートやインタビューなど様々な手法を用いて、顧客から意見や評価を収集します。収集したデータを分析することで、具体的な改善点や新たなビジネスチャンスを見出すための貴重な洞察を得ることが可能です。
近年では、顧客満足度が企業の競争力を左右する重要な要素となっており、多くの企業が顧客満足度を向上させる取り組みを積極的に行っています。顧客満足度調査は、その取り組みを効果的に進めるための基礎となる重要なプロセスと言えます。
<関連サービス> 顧客満足度調査(CS調査)はこちら>
顧客満足度調査を実施する目的は、大きく分けて以下の3つに集約されます。
顧客満足度を数値化し、客観的に評価するためには、適切な指標を用いることが重要です。指標は測定方法や分析の視点が異なるため、自社の目的に合った指標を選択することが大切です。
ここでは、代表的な顧客満足度指標ついて、それぞれの特徴を解説します。
NPS®とは、顧客ロイヤルティを測るための指標です。顧客に「友人や同僚にこの商品やサービスを薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問を行い、0点から10点の11段階で評価してもらいます。そこで得られた回答に基づき、顧客を以下の3つのグループに分類します。
NPS®は、上記の「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値で算出されます。この数値が高いほど、顧客ロイヤルティが高いことを示します。NPS®は、そのシンプルさと顧客ロイヤリティとの相関性の高さから、多くの企業で採用されている指標です。
CSIは、日本語で「顧客満足度指数」と呼ばれ、顧客満足度を数値化するための指標です。CSIはアメリカで開発され、現在では世界約30か国で利用されています。
CSIでは、顧客満足度を構成する要素として、「顧客期待値」「顧客不満度」「顧客忠実度」「知覚品質」「知覚値」の5つの項目を設定し、それぞれについて質問を行います。
といった質問を、0~100点で評価してもらい、その平均値を算出することでCSIを算出します。CSIは、複数の項目から総合的に、顧客満足度を評価できる指標です。
JCSIは、日本語で「日本版顧客満足度指数」と呼ばれ、日本のサービス産業向けに開発された顧客満足度指標です。アメリカのCSIをベースに、日本の産業形態に合わせて改良されています。
JCSIでは、CSIの5つの質問項目(顧客期待値、顧客不満度、顧客忠実度、知覚品質、知覚値)に加え、「推奨意向」という項目が追加されています。
この項目が追加されたことで、顧客の口コミによる影響力も測定できるようになり、より包括的な顧客満足度評価が可能になっています。
JCSIの算出方法は、各質問項目に対する顧客の回答を100点満点で採点し、その平均値を算出します。
顧客満足度調査を実施する上で、アンケート項目は的確な分析結果や洞察を得るための重要な要素です。効果的なアンケートを作成するためには、目的とする情報を得られるような質問項目を設定し、回答しやすい構成を意識する必要があります。
ここでは、顧客満足度調査でよく用いられるアンケート項目を一覧で紹介し、さらに具体的な質問例文と合わせて解説します。
顧客満足度調査でよく用いられるアンケート項目を、目的別に分けて紹介します。
目的 | 内容 |
---|---|
認知 | 顧客がどのようにして商品やサービスを知ったのかを把握します。(例:広告、口コミ、SNS、紹介など) |
利用・購入状況 | どの商品やサービスが購入されているのか、人気商品を把握します。(例:商品A、商品B、サービスCなど) |
顧客がどこで商品やサービスを購入しているのかを把握します。(例:実店舗、オンラインストア、アプリなど) | |
顧客が商品やサービスをいつ購入するのか、購入の傾向を把握します。(例:季節、曜日、時間帯、イベント時など) | |
顧客が商品やサービスをどのくらいの頻度で利用しているのかを把握します。(例:毎日、毎週、毎月、年に数回など) | |
顧客が商品やサービスにどのくらいの金額を費やしているのかを把握します。(例:1回あたり、月あたりなど) | |
意思決定 | 顧客が商品やサービスを選ぶ際に、何を重要視しているのかを把握します。(例:価格、品質、機能、デザイン、ブランドなど) |
使用(利用)状況 | 顧客が商品やサービスをいつ、どのような状況で利用しているのかを把握します。(例:平日、休日、自宅、職場など) |
満足度 | 商品やサービス全体、あるいは特定の項目に対する満足度を把握します。(例:全体的な満足度、価格に対する満足度、品質に対する満足度など) |
継続利用意向 | 顧客が今後も商品やサービスを利用し続ける意思があるかを把握します。(例:今後も利用したい、利用を検討したい、利用したくないなど) |
他者への推奨意向 | 顧客が商品やサービスを他者に推奨する意思があるかを把握します。(例:推奨したい、どちらとも言えない、推奨したくないなど) |
自由回答 | 顧客が自由に意見や要望を記述できる項目を設けます。 |
プロフィール | 回答者の属性を把握することで、分析の精度を高めます。(例:年齢、性別、職業、居住地など) |
これらの項目を参考に、自社の顧客満足度調査に必要な項目を選択・追加して、アンケートを作成します。
目的 | 例文(サンプル)一覧 |
---|---|
認知 | 商品・サービスを知ったきっかけ ↓ |
利用・購入状況 | 購入した商品やサービスの種類 ↓ |
主な購入場所 ↓ | |
購入するタイミング ↓ | |
利用頻度 ↓ | |
利用金額 ↓ | |
意思決定 | 選定する際に重視するポイント ↓ |
使用(利用)状況 | 使用(利用)するタイミング ↓ |
満足度 | 総合満足度や項目別満足度 ↓ |
継続利用意向 | 将来的なリピート有無 ↓ |
他者への推薦意向 | 友人や知人への推奨有無 ↓ |
自由回答 | 商品やサービスへの意見や要望 ↓ |
プロフィール | 回答者の属性 ↓ |
※上記のリンクをクリックいただくことで、以下にある対象の例文(サンプル)へ移動します。
設問のポイント
・回答の選択肢は、可能な限り具体的に提示する。
・具体的なメディア名を表記すると、回答者がイメージしやすくなる。
・「その他」の選択肢を設けることで、想定外の認知経路を把握できる。
・回答方法を「ひとつ」に限定することで、主要な認知経路を把握できる。
設問のポイント
・想定外の回答を収集するために「その他」の選択肢を設ける。
・複数回答を可能にすることで、顧客の利用状況をより詳細に把握できる。
設問のポイント
・商品やサービスの購入場所として想定される選択肢を、可能な限り用意する。
・オンラインとオフラインの購入場所を区別して、選択肢を設定する。
・業界特有の購入場所があれば、選択肢に追加する。
・「その他」の選択肢を設けることで、想定外の購入場所を把握できる。
設問のポイント
・日常生活に密着している存在なのか、距離を置いた存在なのかなどを確認できる選択肢を用意します。
・商品やサービスの特徴に合わせて、選択肢の内容を調整する。
設問のポイント
・回答の選択肢は、商品やサービスの特性に合わせて設定する。
例:日用品なら「毎日」「週に○回」、耐久消費財なら「年に○回」「年に1回程度」などの選択肢を増やす。
・「今回が初めて」の選択肢を設けることで、新規顧客と既存顧客を区別する。
1回あたり | 1ヶ月あたり | |
---|---|---|
1,000円未満 | ||
1,000円~3,000円未満 | ||
3,000円~5,000円未満 | ||
5,000円~10,000円未満 | ||
10,000円~30,000円未満 | ||
30,000円~50,000円未満 | ||
50,000円以上 |
設問のポイント
・回答の選択肢は、商品やサービスの価格帯に合わせて設定する。
例:低価格帯の商品なら「1,000円未満」の調整、高価格帯の商品なら「50,000円以上」の調整など
・1回あたりの利用金額と1ヶ月あたりの利用金額の両方を伺うことで、顧客の消費行動をより詳細に把握できる。
・回答しやすいように、金額の幅を適切に設定する。
設問のポイント
・回答の選択肢は、商品やサービスの特性に合わせて設定する。
・具体的な項目(価格、品質、機能など)を列挙することで、回答者が選択しやすくする。
・複数回答を許可することで、顧客が重視するポイントを複数、把握する。
・「その他」の選択肢を設けることで、想定外の重視ポイントを把握する。
設問のポイント
・回答の選択肢には、時間帯(朝、昼、夜など)と状況(仕事中、休憩時間など)の両方を設定する。
・商品やサービスの特徴に合わせて、「暇なとき」「移動中」などの選択肢を追加する。
・複数回答を許可することで、顧客の利用タイミングをより詳細に把握する。
非常に満足 | やや満足 | どちらとも言えない | やや不満 | 非常に不満 | |
---|---|---|---|---|---|
価格 | |||||
品質 | |||||
機能 | |||||
デザイン | |||||
使いやすさ | |||||
耐久性 | |||||
サービスの充実度 | |||||
スタッフの対応 |
設問のポイント
・総合満足度と項目別満足度の両方を質問することで、満足度に影響を与えている要素を分析できる。
・項目別満足度で設定する項目は、商品やサービスの特性や、【意思決定】「選定する際に重視するポイント」を考慮して設定する。
・回答しやすいように、5段階評価や7段階評価などを用いる。
設問のポイント
・回答の選択肢は、5段階評価や7段階評価などを用いる。
設問のポイント
・回答の選択肢は、5段階評価や7段階評価などを用いる。
設問のポイント
・回答欄は十分なスペースを確保する。
・質問文は具体的で分かりやすい表現にする。
・回答しやすい雰囲気を作るために、例文を提示したり、質問の意図を補足したりする。
例:「今後の商品開発に活かしたいと考えておりますので、ご要望がございましたら、ぜひお聞かせください。」
設問のポイント
・分析に詳細な情報が必要な場合は、より詳細な属性を質問する。
・回答しやすいように、選択肢を分かりやすく設定する。
顧客満足度調査を実施する方法はいくつかありますが、代表的なものを3つご紹介します。
収集する手段 | 内容 |
---|---|
営業担当者によるヒアリング |
営業担当者が顧客訪問時や商談時に、顧客の意見や要望をヒアリングします。 メリット:顧客との信頼関係を築きながら、生の声を収集できる。 デメリット:担当者によってヒアリング内容にバラつきが生じやすい。 |
お客様相談窓口 |
顧客からの問い合わせやクレームに対応する中で、顧客の不満や要望を把握します。 メリット:顧客の不満を直接把握でき、迅速な対応が可能。 デメリット:ネガティブな意見が集まりやすい。 |
アンケート調査は、多くの顧客から効率的に情報を収集する方法です。
収集手法 | 内容 |
---|---|
インターネット調査 |
Webサイトやメールなどを利用してアンケートを実施します。 メリット:短期間で実施できる、集計が自動化できる、コストが低い。 デメリット:インターネットを利用しない顧客にアプローチできない。 |
電話調査 |
電話でアンケートを実施します。 メリット:回答率が高く、複雑な質問もできる。 デメリット:コストが高く、時間帯によっては回答を得にくい。 |
郵送調査 |
郵便でアンケート用紙を送付し、回答を郵送で回収します。 メリット:インターネットを利用しない顧客にもアプローチできる。 デメリット:回答率が低く、集計に手間がかかる。 |
少数の顧客を対象に、インタビュー形式で意見や感想を収集する方法です。
収集手法 | 内容 |
---|---|
グループインタビュー |
複数の顧客を同時にインタビューします。 メリット:多様な意見を収集できる、議論を通して新たな発見がある。 デメリット:意見が偏る可能性がある、内容を深掘りしにくい。 |
デプスインタビュー |
顧客一人ひとりにインタビューします。 メリット:深い情報を収集できる、本音を引き出しやすい。 デメリット:時間とコストがかかる。 |
関連サービス
顧客満足度調査のアンケートを実施する手順(流れ)は以下の通りです。
アンケートを実施する手順 | 内容 |
---|---|
1.調査の目的を明確にする |
まず、何のために顧客満足度調査を行うのか、仮設としてどんなことが考えられるか、そして、その目的を明確にします。調査目的が定まれば、適切な調査対象者や質問項目を決めやすくなり、インサイトの質を高めることができます。 例:「新商品の開発に活かすため」「サービスの改善点を把握するため」「顧客ロイヤリティを高めるため」など |
2.調査対象者を決定する | アンケートを誰に対して実施するのかを決めます。商品やサービスの利用者全体を対象とするか、特定の顧客層に絞るか、回答者の回収目標数などを検討します。 |
3.アンケート方法・実施時期を決定する | アンケートの実施方法と時期を決めます。Webアンケート、郵送アンケート、電話アンケートなど、それぞれの方法のメリット・デメリットを考慮して選択します。 |
4.質問項目を作成する | 調査の目的に沿って、必要な情報を収集できる質問項目を作成します。質問内容が明確で、回答しやすいように工夫することが大切です。 |
5.アンケートを実施する | 作成したアンケートを、対象者に配布・送付します。Webアンケートの場合は、URLをメールなどで送付します。郵送アンケートの場合は、アンケート用紙を郵送します。 |
6.回答を回収する | 回答期限を設け、回答を回収します。Webアンケートの場合は、システム上で自動的に回収されます。郵送アンケートの場合は、返信用封筒などを用意しておきます。 |
7.データを集計・分析する | 回収した回答を集計し、調査目的に応じて分析します。 |
8.結果を報告書にまとめる | 集計・分析した結果を、分かりやすく報告書にまとめます。 |
9.改善策を検討・実行する | 調査結果に基づいて、商品やサービスの改善策を検討し、実行します。 |
アンケートの集計は、回収した回答をまとめ、分析しやすい形に整理するプロセスです。アンケートの回答を集計することで、顧客満足度の実態を把握し、そこから改善点や課題を発見できます。
集計方法は、大きく分けて単純集計とクロス集計の二つがあります。単純集計では、各質問項目への回答を個別に集計し、それぞれの回答の出現数や割合を計算します。例えば、「性別」という質問項目であれば、男性・女性の回答数をそれぞれ集計し、全体の割合を算出します。
一方、クロス集計では、複数の質問項目を組み合わせて集計します。例えば、「性別」と「年代」を組み合わせることで、年代別の男女比を分析できます。
集計結果は、表やグラフなどを用いると、より分析しやすくなります。例えば、棒グラフや円グラフを用いて、各質問項目への回答の分布を視覚化したり、クロス集計の結果をヒートマップで表現したりすれば、項目間の関係性を分かりやすく示せます。
アンケートの分析は、集計したデータを元に、顧客満足度の現状を把握し、課題や改善点を見つけるためのプロセスです。効果的な分析手法を活用すれば、単純集計データよりも深い洞察を得られ、顧客満足度向上のための具体的な施策立案につなげられます。基本的な分析手法としては、平均値や標準偏差を用いて総合満足度や項目別満足度の傾向を把握します。
例えば、総合満足度の平均値が低い場合は、顧客満足度が低い傾向にあると判断することが可能です。また、クロス集計によって、項目間の関係性を分析したりすることも可能です。例えば、年齢層別に満足度をクロス集計すれば、特定の年齢層で満足度が低いといった傾向を発見できる可能性があります。さらに、相関分析や回帰分析を用いることで、顧客満足度に影響を与えている要因を分析できます。例えば、サービスの利用頻度と満足度の間に相関関係があるのか、価格や品質といった要素が満足度にどの程度影響を与えているのかを分析することが可能です。そして、自由回答のような定性的なデータは、テキストマイニングなどの手法を用いて分析します。テキストマイニングでは、自由回答に含まれる単語の出現頻度や関連性を分析し、顧客の意見や要望を客観的に把握できます。
アンケートの分析は、顧客の声を理解し、顧客満足度向上のための施策を検討する上で、とても重要なプロセスです。様々な分析手法を組み合わせることで、多角的な視点からデータを分析し、より深い洞察を得ることが可能になります。
顧客満足度調査のアンケートを実施する際には、正確で信頼性の高いデータを得るために、いくつかの注意点があります。
まず、アンケートの目的を明確にすることが重要です。何を明らかにしたいのか、どのような情報を得たいのかを明確にできれば、質問項目や対象者を適切に設定できます。
次に、質問項目は分かりやすく、簡潔に作成することが大切です。専門用語やあいまいな表現は避け、回答者が迷わずに答えられる質問を作成します。また、質問数は多すぎないようにし、回答者の負担を軽減することが大切です。
さらに、選択肢は網羅的で、かつ相互に排他的であるように設定します。「その他」の選択肢を設けることで、想定外の回答も収集できるようにしておくことも重要です。
加えて、個人情報の取り扱いにも十分注意する必要があります。個人情報保護法を遵守し、アンケートの冒頭で個人情報の利用目的を明記しましょう。回答者のプライバシーに配慮し、個人情報は適切に管理することが大切です。
最後に、回答への謝礼も重要です。謝礼を用意することで、回答率の向上につながります。
ここまで、顧客満足度調査のアンケートの基礎知識から、具体的な項目設定、集計・分析方法、そして実施する上での注意点までを解説しました。
顧客満足度調査は、顧客の声を収集し、そのニーズを的確にとらえることで、商品やサービスの改善、ひいては顧客ロイヤリティの向上につながる重要な取り組みです。特に、アンケート調査は、顧客の声を数値として把握できる効果的な手法であり、そこから得られた分析結果は、顧客満足度向上のための具体的な施策立案に役立ちます。
ぜひ、今回の内容を参考に、顧客満足度調査のアンケートを実施し、顧客との強いつながりを築いていきましょう。
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