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公開日:2025.07.08
自動車メーカーが市場に受け入れられるヒット商品を生み出すためには、開発者の情熱や優れたアイデアだけでは不十分です。そのデザインが本当にユーザーの心に響くのかを、発売前に確かめる必要があります。
この、開発者の想いと市場のリアルな声を繋ぐための極めて重要なプロセスが、「デザインクリニック」と呼ばれる調査です。
この記事では、自動車開発で行われる「デザインクリニック」という調査手法について、その具体的な内容、目的、メリット、そして実施の流れなどについて解説していきます。
デザインクリニックとは、自動車開発において、一般消費者に車のデザインに関する意見を聞くために行われる会場調査の1つです。
開発者側の主観だけでなく、市場の声を反映させ、デザインを客観的に評価するために非常に重要なプロセスです。
具体的な調査方法としては、守秘義務が徹底された会場で、参加者にデザイン画やクレイモデルなどを見てもらい、その評価をアンケートやインタビュー形式で収集します。
自動車メーカーは、この調査を通じて、開発中のデザインが市場に受け入れられるか、競合と比べてどの点が優れているか(あるいは劣っているか)といった、貴重な生の声を得ることができるのです。
デザインクリニックは、主に下表のような目的で実施されます。
| 目的 | 解説 |
|---|---|
| デザインの受容性評価 | 開発中のデザインが、ターゲットとする顧客層に好意的に受け入れられるかを確認します。肯定的な意見だけでなく、否定的な意見も集めることで、デザインのどこに問題があるのかを探ります。 |
| 競合車との比較分析 | 開発中の自社モデルと、ベンチマークとなる競合他社の車を並べて比較評価してもらうことで、自社デザインの強みと弱みを客観的に把握します。 |
| 改善点の洗い出し | 「このヘッドライトは鋭すぎる」「もっと高級感が欲しい」といった具体的なフィードバックを収集し、発売に向けたデザインの最終調整に役立てます。 |
デザインクリニックは、自動車開発の様々なシーンで活用されます。
| 活用シーン | 解説 |
|---|---|
| フルモデルチェンジ時 | デザインを全面的に刷新する際に、新しいデザインの方向性が市場に受け入れられるかを確認するために実施されます。 |
| マイナーチェンジ時 | フェイスリフトなど部分的なデザイン変更が、顧客にどのような印象を与えるか、商品性向上に繋がるかを評価します。 |
| 新規車種開発時 | これまでメーカーが手掛けてこなかった新しいジャンルの車種を開発する際に、ターゲット層のニーズやデザインの好みを把握するために行われます。 |
調査では、デザインに関する多角的な評価を収集します。
| 評価 | 解説 |
|---|---|
| 第一印象(First Impression) | 車を初めて見た瞬間に感じる「好き・嫌い」「新しい・古い」「高級感がある・ない」といった直感的な評価 |
| 各部位の評価 | ヘッドライト、フロントグリル、ボディサイドのライン、ホイール、内装の質感や色使いなど、具体的なパーツごとの詳細な評価 |
| コンセプトの伝達度 | デザイナーが込めた「先進性」「スポーティーさ」「安心感」といったデザインコンセプトが、ユーザーに正しく伝わっているか |
| 購入意向 | そのデザインの車を「いくらなら買いたいか」「実際に購入したいと思うか」といった、市場性に関わる評価 |
開発プロセスにユーザーの声を直接取り入れることで、メーカーは多くのメリットを得ることができます。
主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

デザインクリニックは、機密情報を扱うため、繰り返しになりますが、一般的に会場調査と呼ばれる形式で実施され、厳格な管理のもとで計画的に進められます。
調査の流れ
ここまで、自動車開発に欠かせないデザインクリニックについて、その目的から活用シーン、実施の流れまでを解説しました。
クローズドな環境で実物大のモデルを競合車と比較評価するデザインクリニックは、通常のアンケート調査では得られない、ユーザーのリアルな本音やインサイトを引き出します。開発の初期段階でこの貴重な「生の声」を正確に捉え、製品に反映させることが、市場に受け入れられるヒット商品を生み出すための最も確実な道筋と言えるでしょう。
自動車開発における意思決定の精度を高めるためにも、デザインクリニックを行っていきましょう。
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