市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2026.09.11

フィリピンでの市場調査の留意点とは? 自然災害や言語事情を踏まえた成功ポイントを解説

  • 海外調査

アジア市場の中でも成長が著しいフィリピンは、日系企業の進出が相次ぐ注目のエリアです。現地モールや街中には日系ブランドの飲食店やコンビニ、自動車ディーラーが並び、日本製品への親しみは高く、日系企業の現地進出に伴うマーケティングリサーチの需要も年々高まっています。

一方で、いざ現地でマーケティングリサーチを実施するとなると、インフラや言語、自然環境など、日本とは異なる特有の注意点が数多く存在します。事前リスクを考慮せずに計画を立てると、回収数の未達やデータクオリティの低下を招きかねません。

本コラムでは、これまでの現地で培った知見や実績をもとに、フィリピンで調査を実施する上での具体的な留意点を整理しました。結論から言うと次のような示唆が得られています。

これまでのフィリピンにおけるリサーチ支援や現地パートナーとの連携を通じて、調査を成功させるための実践的なポイントは、予期せぬイレギュラーに対応するために、自然災害リスクを見越した余裕のあるスケジュール設定や、都市部と地方における通信・会場環境のギャップへの対策が欠かせません。また、現地では日本ブランドが広く浸透しておりリアル調査の需要が高い一方で、英語とタガログ語が混ざり合う言語特性や通訳者の希少性、激しい交通渋滞といった課題が存在します。これらを前提として予備対象者の確保や事前の環境準備を適切に行うことで、質の高いインサイトが得られます。

 
以降では、現地における日本ブランドの立ち位置から、調査手法の実態、そして失敗しないための実地調査のポイントまでを順に解説します。

 
 

街中に溢れる日本ブランドとリアル調査の需要

首都マニラなどのフィリピンの都市部を訪れると、日系ブランドの存在感に驚かされます。日本の有名自動車ブランドのディーラーや、和食レストラン、コンビニエンスストアなどが至るところに並んでいます。

大型ショッピングモールやローカルのスーパーマーケットでも、日系のコスメや日用品、食品が普通に棚を占めており、生活者の暮らしの中に日本ブランドがごく自然に溶け込んでいます。
こうした背景もあり、現地での市場調査に対するニーズは非常に高く推移しており、国内企業からの依頼はもちろん、海外企業からのリサーチ案件が数多く実施されています。
特に、現地での「リアル調査(対面調査)」のニーズが根強く存在します。現場の状況をリアルタイムで把握しながら進行を管理できるほか、万が一のトラブルに対しても、その場で即座に判断・対処できる点が最大の強みだからです。

現地の都市部では、グループインタビューやデプスインタビューといった定性調査をはじめ、会場調査や訪問調査、ホームユーステストまで幅広い手法に対応できる環境が整っていますが、スムーズな運用のためには現地特有のリスクを組み込んだ事前準備が欠かせません。

 
 

フィリピン調査を成功に導く4つの留意点

 

自然災害リスクを見越した柔軟なスケジュール設計

フィリピンは大雨や台風、地震などの自然災害が発生しやすい地域です。特に雨季や大型台風が接近する時期には、猛烈なスコールによって道路が冠水し、都市部の交通網が完全に麻痺することもあります。天候の急変によって対象者が会場に到着できなくなったり、予定通りの時間に調査を開始できなかったりするリスクは常に付きまといます。
プロジェクトの発注段階から実査日程や最終納品日までに十分な余裕を持たせ、天候の悪化や災害の発生に応じてフレキシブルに日程を調整できるよう、事前の計画段階から予備日を組み込んでおくことがポイントです。

 
 

都市部と地方における通信・設備インフラのギャップ

オンラインインタビューを実施する場合、首都マニラなどの大都市圏であれば高速インターネット環境が整っているため問題なく実施できますが、地方都市や郊外に足を延ばすと通信回線が不安定になるケースが目立ちます。
通信トラブルによる中断を防ぐためにも、事前に予備回線の確保や接続テストなどの対策を現地パートナーと協議しておくことが必要です。
対面調査においても、地方ではバックルームやミラーを備えた専用のインタビュー施設がないことが多く、一般的なホテルの会議室やホールを手配して対応する場面が出てきます。事前の設備確認と、機材セッティングの工夫が調査クオリティを左右する重要なポイントとなります。
 
 

現地の言語特性への理解と通訳者の早期手配

フィリピンでは公用語として英語が広く通じますが、実際の日常会話ではタガログ語と英語が自然に混ざり合った言葉遣いが広く使われています。

対象者の本音や細かいニュアンスを引き出すには、現地の言語習慣に精通したモデレーターの選定と、きめ細かな事前打合せが必要です。
現地語から日本語へ高度な逐次通訳や同時通訳ができる人材は現地でも数が限られています。調査の実施が確定した段階で、すぐに優秀な通訳者を手配し、スケジュールを押さえる必要があります。

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猛烈な交通渋滞や急なキャンセルに備える予備枠(フローター)の確保

フィリピンの都市部における交通渋滞は非常に深刻で、通常であれば30分で移動できる距離に数時間かかることも日常茶飯事です。移動の遅れによる当日の到着遅延や、直前のキャンセルが発生しやすい傾向にあります。

定性調査や会場調査を実施する際は、計画通りのサンプル数を確実に集めるため、あらかじめ予備の対象者や当日会場で待機してもらう対象者(フローター)を余裕を持って手配しておく運用が欠かせません。

渋滞による遅延を見越したタイムスケジュールと予備枠の確保が、リスクを最小限に抑える確実な運用に繋がります。

 
 

まとめ

フィリピンにおける市場調査は、拡大する東南アジア市場でのマーケティングをする上で極めて有効な手段です。

しかし、気候やインフラ、言語、交通事情など、現地ならではの文脈を加味せずに調査計画を立ててしまうと、予期せぬトラブルで調査自体が滞る恐れがあります。
想定外の事態を見越した余裕のあるスケジュール設計と、現地特有の事情に精通した運用の工夫。これらを事前に織り込んでおくことこそが、リスクを最小限に抑え、確実な意思決定につながるインサイトを得る鍵となります。
弊社では、今回ご紹介したようなフィリピンをはじめとするグローバルリサーチにおいて、現地の事情に精通した専門チームが柔軟にサポートいたします。海外市場でのリサーチや現地調査のご相談に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
 
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執筆:アスマーク編集局

執筆:アスマーク編集局

アスマーク編集局は、数多くのメーカー、官公庁、大学との広範な調査実績に基づき、実務に直結するマーケティングリサーチの知見を発信する専門組織です。単なる手法の解説に留まらず、「現場で求められる判断基準」や「実務上の留意点」を網羅した専門コンテンツを企画・制作しています。

普及活動の実績
調査・分析に関する自社セミナーは累計参加者26,000人を突破。関連資料の利用者は11,000人を超えています(※2026年現在)。

学術・教育支援
日本社会学会や日本行動計量学会等への参画、大学での講義(累計受講者1,000人以上)を通じ、リサーチノウハウの普及に努めています。また、大学等の教育機関へ1万人規模の実証データを提供し、PBL(課題解決型学習)教育の支援も行っています。

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監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。学術調査チームの立ち上げや、業界内でも難易度の高い「難病・希少疾患」「障がい者」のリクルートサービスの立案・リリースを主導。共同著者として参画した研究論文が学術誌『グローバルビジネスジャーナル』に掲載された実績を持つ。

専門領域
消費者インサイト分析、セグメンテーション。学術的根拠に基づき消費者モニターをタイプ分類する「インサイト・セグ」を開発。

発信実績
日本のマーケティングリサーチ20年の変遷」の執筆や、最新技術を網羅した「ChatGPTを調査設計・レポートに活用する検証セミナー」への登壇など、伝統的手法から最新トレンドまで幅広い知見を保有。

本記事の監修にあたって
自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。

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海外市場調査とは?目的や調査方法、費用感、成功のポイントを解説

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【手法別】 アジア調査の 費用・スケジュール集

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海外における「定性調査事例集20選」

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アスマークのアジアリサーチ 『Q&A集』 ~WEBアンケート編~

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アスマークのアジアリサーチ 『Q&A集』 ~インタビュー+その他 編~

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