市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2026.10.30

相関係数とは?求め方や意味、見方、注意点などについて解説

  • マーケティングリサーチHowto

ビジネスや研究におけるデータ分析で、2つのデータの関連性を客観的に把握する指標として広く活用されているのが「相関係数」です。

本記事の要点(サマリー)


  • 相関係数とは?
    一般に相関係数とは、2つのデータの間に見られる「直線的な関係の強さ」を「-1.0 ~ +1.0」の間で数値化したものです。
    詳しくは「相関係数とは?2つのデータの「直線的な関係の強さ」を表す数値」で解説しております。
  • 相関係数を求める4つのステップ
    平均値→標準偏差→共分散→相関係数という4つのステップを順に進めることで、意外と簡単に算出することが可能です。
    詳しくは「相関係数を求めるまでの流れ」で解説しております。
  • 分析時に陥りやすい注意点と対策
    非線形関係や外れ値による歪み、因果関係と混同しやすい「疑似相関」の罠に注意が必要で、散布図を活用した検証アプローチが求められます。
    詳しくは「相関係数を扱う際の注意点」で解説しております。

 
本記事では、相関係数の意味や具体的な計算手順、データ分析で誤った意思決定を防ぐための実践的な注意点までをわかりやすく解説いたします。

 
 

相関係数とは?2つのデータの「直線的な関係の強さ」を表す数値

一般に相関係数とは、主に「ピアソンの積率相関係数」のことを指し、2つのデータの間に見られる「直線的な関係※の強さ」を数値化したものです。
※ 直線的な関係とは、「一方が増えると、もう一方も一定の割合で増える、または減る」という関係性を指します。

相関係数を見ることで、実際のデータがどれくらい直線状に並んでいるか(直線からのばらつきがどれくらい小さいか)が分かります。
具体的には、下の図の左側のように、データが目安となる直線の近くに集中して並ぶほど「相関が強い」と判断でき、右側のように直線的な規則性が見られず散らばっているほど「相関が弱い」と判断できます。
 

図 相関の強弱
図 相関の強弱

 

 

相関関係の3つのパターン

相関関係には「正の相関」「負の相関」「相関がない」の3つのパターンがあります。
 
正の相関:一方が増えると、もう一方も増える(例:気温とアイスクリームの売上)
負の相関:一方が増えると、もう一方は減る(例:価格と購入量)
相関がない:一方が増えても、もう一方に決まった傾向が見られない(例:テストの点数と靴のサイズ)
 
ここで注意したいのは、「相関がない」と判定されたとしても、必ずしも「無関係(まったく関係がない)」とは限らないということです。
相関係数は、あくまで「直線的な関係」を数値化したものです。そのため、2つのデータの間に「カーブを描くような関係※」が存在していても、直線ではないという理由で「相関がない」と判定されてしまうことがあります。
※ カーブを描くような関係とは、たとえばU字型の2次関数(y = ax2 + bx + c)のように「最初は一方が増えるとそれに伴って減少し、ある点を境に増加に転じる(またはその逆)」といった、変化の割合が一定ではなく、途中で変化の向きやペースが変わる関係性を指します。

「相関がない」=「関係がない」と結論づけるのではなく、「直線的な関係は見られない」と捉えることが重要です。
詳細については、「直線的な関係しか判定できない」で解説します。

 
 

相関係数の見方

ここからは、算出された相関係数をどのように読み解けばよいのか、具体的な見方のポイントを解説します。
 
相関係数を見るときは、「符号(+・-)」と「数値の大きさ」の2つに着目するのが基本です。
 

符号(+・-)で「関係性の向き」を見る

相関係数は「-1.0 ~ +1.0」の間で値を取ります。このとき、値が+か-かによって、2つのデータの関係性の向きを以下のように把握できます。

  • +(プラス):一方が増えると他方も増える(右上がりのグラフ)=正の相関
  • ー(マイナス):一方が増えると他方は減る(右下がりのグラフ)=負の相関
図 相関係数の符号(+・-)
図 相関係数の符号(+・-)

 

数値の大きさで「関係性の強さ」を見る

相関の強さは、相関係数の「絶対値※」で判断します。
一般的な目安は以下の通りです。

  • 0.0以上~0.2未満:ほぼ相関がない(0の場合は「無相関」という。)
  • 0.2以上~0.4未満:弱い相関がある
  • 0.4以上~0.7未満:中程度の相関がある
  • 0.7以上~1.0以下:強い相関がある

 
※ 絶対値とは、数直線上で0からの距離を表す値のことです。たとえば、「-0.8」は0から左に0.8離れているため、絶対値は「0.8」になります。
上記の目安をイメージとして図解したものが下図となります。

図 関係性の強さ
図 関係性の強さ

 
相関係数が1.0のときは「完全な正の相関」といい、-1.0のときは「完全な負の相関」といいます。
 
 

相関係数を求めるまでの流れ

ここからは、実際の数値を使って相関係数を計算する手順を解説します。
聞き慣れない用語も出てくると思いますが、以下の4ステップに沿って進めることで案外シンプルに計算できます。一つずつ順番に確認していきましょう。

  1. 平均値を求める
  2. 標準偏差を求める
  3. 共分散を求める
  4. 相関係数を求める

 
※ 手順の前に、先に相関係数の公式を今すぐ確認したい方は、「まとめ:相関係数の公式」までスキップしてください。

【準備】今回使うサンプルデータ


今回使うサンプルデータは、A〜Eさん(5人)の「数学」と「理科」のテストの点数です。

生徒 数学の点数(X) 理科の点数(Y)
Aさん 50点 55点
Bさん 60点 50点
Cさん 70点 60点
Dさん 80点 70点
Eさん 90点 65点

この5人のデータをもとに、ステップ1から順番に計算を進めていきましょう。

 

ステップ1:平均値を求める

何をする作業?


「データの基準点(真ん中)」がどこにあるのか見つける作業です。たとえば、数学の平均値を算出することで、Aさん~Eさんの数学の点数が「平均より高いか・低いか」を比べることができるようになります。


今回のサンプルデータでは、各教科の全員の点数を足して、人数(5人)で割れば平均値が算出できます。

  • 数学の平均値:(50 + 60 + 70 + 80 + 90) ÷ 5 = 70点
  • 理科の平均値:(55 + 50 + 60 + 70 + 65) ÷ 5 = 60点

 
この数値をサンプルデータに当てはめると下図となります。

width="800"

 

ステップ2:標準偏差を求める

何をする作業?


データの「ばらつき具合」を客観的に数値化する作業です。全員の点数が平均値の近くに集まっているのか、それとも広く散らばっているのかを一つの指標で表します。

 
先ほど触れた、「平均より高いか/低いか」を見ていきます。
まずは、各教科の一人ひとりの「平均との差(偏差とも呼びます)」を算出します。

数学の偏差 理科の偏差
Aさん 50 – 70 = -20 55 – 60 = -5
Bさん 60 – 70 = -10 50 – 60 = -10
Cさん 70 – 70 = 0 60 – 60 = 0
Dさん 80 – 70 = 10 70 – 60 = 10
Eさん 90 – 70 = 20 65 – 60 = 5

 
 
続いて、平均との差(偏差)にマイナスの値が含まれているため、すべてを「2乗」してプラスの値に変換します。

数学の偏差の2乗 理科の偏差の2乗
Aさん (-20)2 = 400 (-5)2 = 25
Bさん (-10)2 = 100 (-10)2 = 100
Cさん 02 = 0 02 = 0
Dさん 102 = 100 102 = 100
Eさん 202 = 400 52 = 25

 
 
そして、この「偏差の2乗」の平均を求めることで、各教科の「ばらつき具合(分散とも呼びます)」が求められます。

  • 数学のばらつき具合(分散):(400 + 100 + 0 + 100 + 400) ÷ 5 = 200
  • 理科のばらつき具合(分散):(25 + 100 + 0 + 100 + 25) ÷ 5 = 50

 
この各教科のばらつき具合(分散)は「2乗された状態の数値」なので、平方根(ルート)をとって、もとの単位に戻します。これにより、各教科の「点数が平均からだいたいどれくらいズレているか(標準偏差とも呼びます)」を求めることができます。

  • 数学の点数が平均からだいたいどれくらいズレているか(標準偏差):√200(≒14.14)
  • 理科の点数が平均からだいたいどれくらいズレているか(標準偏差):√50(≒7.07)

 
 
ここまで算出したデータを表にまとめると、下図のようになります。
 

width="600"

 

ステップ3:共分散を求める

何をする作業?


「2つのデータが同じ方向に変化するのか、反対向きに変化するのか」を確かめる作業です。

 
今回の例では、「数学の偏差(平均点からの差)」と「理科の偏差」がこの2つのデータに該当します。
たとえば、「数学の偏差」がプラスの値で、「理科の偏差」がプラスの値の場合、どちらも平均より高い点を取った生徒(人)であることがわかります。つまり、2つのデータは同じ方向に変化しているといえます。
 
数学と理科の偏差が、それぞれプラスなのかマイナスなのか、その組み合わせによる方向性をまとめたのが下の表です。

理科の偏差
プラス マイナス
数学の偏差 プラス 同じ方向に変化 反対方向に変化
マイナス 反対方向に変化 同じ方向に変化

 
 
そして、この方向を簡単に計算できる方法が、「データを掛け合わせる」ことです。
先ほどの数学も理科も偏差がプラスの場合を考えてみましょう。
数学の偏差が「20」、理科の偏差が「5」の場合、これを掛け合わせると「20 × 5 = 100」となり、計算結果もプラスになることがわかります。

掛け合わせる際の符号の組み合わせと、変化の方向性をまとめると以下のようになります。

理科の偏差
プラス マイナス
数学の偏差 プラス プラス(同じ方向に変化) マイナス(反対方向に変化)
マイナス マイナス(反対方向に変化) プラス(同じ方向に変化)

 
 
では、実際に先ほど求めた5人(Aさん〜Eさん)の「数学の偏差」と「理科の偏差」を掛け合わせてみましょう。

数学の偏差×理科の偏差 方向性
Aさん -20 × -5 = 100 プラス = 同じ方向に変化
Bさん -10 × -10 = 100 プラス = 同じ方向に変化
Cさん 0 × 0 = 0 0 = 変化なし(平均と同じ)
Dさん 10 × 10 = 100 プラス = 同じ方向に変化
Eさん 20 × 5 = 100 プラス = 同じ方向に変化

 
 
最後に、データ全体の方向性を知るために、「数学の偏差 × 理科の偏差」で算出した値をすべて足し合わせ、全体の人数(5人)で割って平均を出します。

(100 + 100 + 0 + 100 + 100) ÷ 5 = 80

上記の計算により、「80」という値が算出できました。この数値が、「2つのデータが同じ方向に変化するのか、反対方向に変化するのかを示す指標(共分散とも呼びます)」となります。
 
 
ここまで算出したデータを表にまとめると、下図のようになります。

 

ステップ4:相関係数を求める

何をする作業?


「データの『単位』や『桁の大きさ』による影響をリセットし、-1 〜1の共通のものさしにする」作業です。ステップ3で求めた共分散を標準偏差の積で割ることで、どんなデータ同士でも関係の強さを同じ基準で比較できるようになります。

 
さて、ここまで来たら、最終目標である「相関係数」を算出する準備はすべて整いました。
具体的には、ステップ3の「共分散」と、ステップ2の「数学の標準偏差」「理科の標準偏差」を用いて、以下のように計算します。

相関係数 = 共分散 ÷ (数学の標準偏差 × 理科の標準偏差)

つまり、今回の場合、以下のように数値を当てはめることができます。
相関係数 = 80 ÷ (√200 × √50) = 80 ÷ 100 = 0.8

この「0.8」という結果はプラスの値であり、かつ0.7~1.0の範囲に収まるため、「強い正の相関がある」と判断できます。
具体的には、「数学の点数が高い人ほど、理科の点数も高い傾向が強い」と読み取ることができます。
 
これを散布図に落とし込むと、下図のようになります。
 

図 数学と理科の散布図と相関係数
図 数学と理科の散布図と相関係数

 
 
加えて、ここまで算出したデータを表にまとめると、下図のようになります。
 


 

まとめ:相関係数の公式

ここまで、ステップ1〜4に分けて順を追って計算をしてきましたが、これらを一つの数式にまとめたものが「相関係数の公式」です。
数式だけを見ると少し難しく感じるかもしれませんが、やっていることはこれまで計算してきた内容とまったく同じです。

図 相関係数の公式
図 相関係数の公式

 
「平均値」→「標準偏差」→「共分散」という基本手順の組み合わせでできていることがわかれば、意外とできるものです。ぜひ、実際の業務や身近なデータでも、この手順に沿って相関係数を求めてみてください。
 

アンケートデータ集計・分析サービス

アンケートデータ集計・分析サービスの詳細はこちら

アンケートデータの集計・分析・入力はプロにお任せ!数多くの実績で、レポーティングも安心!アスマークでは、いただいたデータから何を知ることができるのかを整理し、どういう集計・分析をすれば良いかを無料でご提案いたします。

> 詳しく見る

 
 

相関係数を扱う際の注意点

データ分析において、2つのデータの関係性をひとつの数値で表せる「相関係数」はとても便利な指標です。しかし、算出された数値だけを鵜呑みにして判断を下すと、データの真の姿を見誤ったり、誤った意思決定を招いてしまったりすることがあります。
 
相関係数を正しくビジネスや研究に活用するために、押さえておくべき4つの注意点を解説します。
 

直線的な関係しか判定できない

相関係数が捉えられるのは、あくまで「直線的な関係」のみです。
 
そのため「相関係数が0に近いから関係がない」と即断するのは禁物です。データ間に何らかの規則的なパターンが存在していても、それが「非直線的な関係」である場合、相関係数は0に近い値を示してしまうことがあります。
 
この「非直線的な関係」の典型的なパターンが、U字型のカーブを描く、いわゆる2次関数で表すことができるパターンです。

たとえば、紅茶の温度と好みの関係を考えてみましょう。
冷たいアイスティーや温かいホットティーは、どちらも好まれる傾向にあることが想像できる一方、中途半端な温度の「ぬるい紅茶」を好む方はあまりいらっしゃらないことが想像できます。
そのため、アンケートを取ってみると、U字型に近い結果になることが予想されます。

そのイメージが下図です。

図 紅茶の温度と好み度(ダミーデータ)
図 紅茶の温度と好み度(ダミーデータ)

 
このように、明確な傾向が存在しても直線的な関係ではないため、相関係数を計算すると「相関なし(ほぼ0)」という結果が出てしまいます。
 
したがって、機械的に相関係数だけを算出するのではなく、視覚的にデータの傾向を把握するため、上図のように散布図を作成することが重要です。
 
なお、アンケート調査では、「不満、やや不満、どちらともいえない、やや満足、満足」といった5段階評価を選択肢として設定したものが多く見られます。この場合、散布図を描いても同じ位置にデータが重なってしまうため、グラフ化の重要性を実感しにくい部分があるかもしれません。
 
しかし、散布図を確認せずに数値だけで判断してしまうと、こうした非線形のパターンや、次節で解説する「外れ値」を見落とす原因になります。相関係数を算出する際には、以下3つのステップを徹底して行うことが重要です。

  1. 散布図を作成する
  2. データの分布を視覚的に確認する
  3. 相関係数を算出する

 

外れ値が相関係数の値に影響してしまう

データ全体の中で、他の値から大きく離れた値を「外れ値」と呼びます。
相関係数は、たった1つの外れ値が含まれているだけでも数値が大きく歪められてしまう特性があります。
 
実際に、外れ値が1つ含まれるデータと、それを除いたデータの違いを可視化したものが下図です。

図 外れ値による相関係数の変化イメージ
図 外れ値による相関係数の変化イメージ

 
外れ値があるデータでは相関係数が0.89にとどまるのに対し、外れ値を除外すると0.97まで上昇し、約0.1もの差が生じています。
 
ここで注意したいのは、「外れ値=取り除くべき悪者」とは限らない点です。外れ値の背景にはこれまで見落とされていた新たな知見や、例外的な事象が潜んでいるケースも少なくありません。
そのため、安易に削除するのではなく、次の手順で丁寧に分析を進めることが重要です。

  1. 散布図を作成して、外れ値を把握する
    まずはデータを可視化し、全体の傾向から孤立しているデータがないか確認します。
  2. 外れ値の発生要因を個別に調査する
    入力ミスや測定誤差といったエラーなのか、特異ながら意味のあるデータなのか、背景を確認して仮説を立てます。
  3. 除外データと全体データ双方で傾向を比較する
    外れ値を除いたデータ群で本来の相関関係を確認しつつ、外れ値単体へのアプローチを個別に検討します。

 

相関関係と因果関係は別物(「疑似相関」の罠)

データ分析で最も陥りやすい罠のひとつが、相関関係と因果関係の混同です。「2つの変数が連動して動いている(相関)」ことと、「一方が原因で、もう一方が結果である(因果)」ことは全くの別物です。
 
一般に、2つの事象に因果関係があると判断するためには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 時間的な順序が正しいこと(原因が先にある)
    時系列として、必ず「原因 → 結果」の順番で発生していなければいけません。
  • 2つの変数が共に変化していること(連動している)
    一方の値が変化したときに、もう一方の値も連動して変化している必要があります。なお、一般的な相関係数では直線的な関係しか捉えられないため、数値だけでなく散布図を作成して形状を確認することが重要です。
  • 第三の要因によるものではないこと(疑似相関ではない)
    2つの事象に見られる連動が、別の共通の原因(第三の要因)によって引き起こされた「見せかけの相関(疑似相関)」であってはいけません。
    ※ 疑似相関については、後ほど「疑似相関(見せかけの相関)とは?」で詳しく解説します。

 

元となるデータ数(サンプルサイズ)が少なすぎると信頼できない

相関係数は、算出の元となるデータ数(サンプルサイズ)が少ない場合、偶然の偏りによって結果が大きく歪み、信頼性が著しく低下する可能性があります。

たとえば、対象とする集団全体(母集団)が10人しかおらず、その10人全員のデータを集めて算出したのであれば、その数値は集団の正確な相関を示しています。
しかし、10万人存在する母集団からたった10人分だけを抜き出して算出した相関係数は、偶然の偏りに左右されやすく、集団全体の傾向を正しく表しているとは言えません。

 
統計的に信頼できる相関係数を得るためには、母集団の傾向を正しく推定できるだけの十分なデータ数を確保することが不可欠です。

即戦力データ分析

「即戦力データ分析」サービスの詳細はこちら

アスマークでは、POSやログなどの行動データを分析し、客観的な事実に基づいたデータ活用を現場視点でサポートする「即戦力データ分析」サービスを提供しております。
調査会社ならではのデータハンドリング技術で、貴社の意思決定をスピーディーに支援します。

> 詳しく見る

 

 
 

疑似相関(見せかけの相関)とは?

疑似相関(見せかけの相関)とは、2種類のデータの間に直接的な因果関係はないのにも関わらず、裏に潜む「第3の要素」の影響によって、あたかも因果関係があるように見えてしまう相関のことをいいます。
 
そのため、単純に相関係数を見るだけでは「関係がある」と誤認してしまいやすく、十分な注意が必要です。
 
ここで身近な例として、「アイスクリームが売れると、ビールの売上も伸びる」という関係を考えてみましょう。
一見すると、この2つの商品には何のつながりもないように思えます。しかし、データを分析すると非常に強い連動(相関)が見られます。では、ビールの売上を伸ばすためには、アイスクリーム売り場を強化すればよいのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
 
なぜこのような見せかけの連動が起きるのか、実際の家計支出データをもとに確認してみましょう。

図 アイスクリーム・シャーベットとビールの支出のグラフ
図 アイスクリーム・シャーベットとビールの支出のグラフ

 
上図は、月ごとのアイスクリーム・シャーベットとビールの支出額の推移を示したグラフです。
2つの折れ線は、ほぼ同じ山と谷を描いて推移しています。
 
ここで、ビールの支出が急増する12月を除いた「1〜11月」のデータで相関係数を計算すると、「0.90」という極めて強い正の相関を示します。
※ 12月は、忘年会や年末年始の買い出しといった「年末特需」の影響でビールの支出が突出すると考えており、純粋な消費傾向を見るために除外しています(1〜12月通年の相関係数は 0.55)。

この数値だけを見れば、「アイスクリームとビールの売上には密接な関係がある」と結論づけてしまいそうです。
 

しかし、アイスクリームがビールの売上を直接引き起こしているわけではありません。ここで注目すべきなのが、両方に影響を与えている共通の原因、すなわち「気温」という第3の要素です。
先ほどのグラフに「日平均気温」を重ねてみます。

図 アイスクリーム・シャーベットとビールの支出と日平均気温のグラフ
図 アイスクリーム・シャーベットとビールの支出と日平均気温のグラフ

 
気温の推移を重ねると、1〜11月にかけて3つの折れ線が見事に連動していることがわかります。
それぞれの支出と日平均気温の相関係数(1〜11月)は以下の通りです。

  • アイスクリーム・シャーベットの支出 × 日平均気温:0.94
  • ビールの支出 × 日平均気温:0.88

 
どちらの支出も、基本的には「気温の上昇」と強い相関関係にあります。
 
ここから言えることは、「アイスクリームが売れたからビールが売れた」のではなく、「気温の上昇」という第3の要素が両方の売上を同時に押し上げていただけ、という構図です。
 

疑似相関への対策方法

では、こうした見せかけの相関に惑わされないためにはどうすればよいでしょうか?
 
根本的な対策は、強い相関が見つかった際に「これが本当に原因なのか?背後に隠れた第3の要因はないか?」と疑う視点を持つことです。
 
具体的には、次の2つのアプローチで検証を進めます。

  1. 共通要因の仮説を立てる
    「気温や季節」「年齢」「市場規模や人口規模」など、両方のデータを同時に動かしている共通の土台がないかを考えます。
  2. 条件を揃えてデータを再確認する
    疑わしい要因があれば、その条件を一定に揃えて相関を調べ直します。
    たとえば今回の例であれば「気温がほぼ同じ月同士」で比較したり、「年収と血圧」の関係であれば「30代だけ」「50代だけ」と年齢層を固定して再計算し、相関が消えるかどうかを確かめます。

 
データ分析で相関が見つかったときこそ、数値を鵜呑みにせず、その裏側に潜む「第3の要素」に目を向ける姿勢が欠かせません。

 
 

まとめ

相関係数は、2つのデータの間に見られる「直線的な関係の強さ」を客観的な数値(-1.0〜+1.0)で把握できる非常に便利な指標です。
 
一方で、算出された数値だけを見て機械的に判断してしまうと、思わぬ落とし穴に陥るリスクもあります。データを扱う際は、以下のポイントを常に意識することが大切です。

  • 必ず散布図を作成する
    カーブを描くような非線形の関係や、外れ値の有無を視覚的に把握する
  • 十分なデータ数を確保する
    サンプルサイズが小さすぎると、偶然の偏りによって結果が歪みやすい
  • 「相関」と「因果」を混同しない
    強い相関が見られても、背後に共通の原因(第3の要素)が隠れていないかを疑う

 
本記事を参考に相関係数と散布図を正しく使っていき、ぜひ貴社の製品開発やサービス改善、マーケティング施策の成功にお役立てください。
 
ネットリサーチ(Webアンケート)についてのご相談はこちら>

執筆:アスマーク編集局

執筆:アスマーク編集局

アスマーク編集局は、数多くのメーカー、官公庁、大学との広範な調査実績に基づき、実務に直結するマーケティングリサーチの知見を発信する専門組織です。単なる手法の解説に留まらず、「現場で求められる判断基準」や「実務上の留意点」を網羅した専門コンテンツを企画・制作しています。

普及活動の実績
調査・分析に関する自社セミナーは累計参加者26,000人を突破。関連資料の利用者は11,000人を超えています(※2026年現在)。

学術・教育支援
日本社会学会や日本行動計量学会等への参画、大学での講義(累計受講者1,000人以上)を通じ、リサーチノウハウの普及に努めています。また、大学等の教育機関へ1万人規模の実証データを提供し、PBL(課題解決型学習)教育の支援も行っています。

産学連携の取組み(CSR)詳細はこちら


監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。学術調査チームの立ち上げや、業界内でも難易度の高い「難病・希少疾患」「障がい者」のリクルートサービスの立案・リリースを主導。共同著者として参画した研究論文が学術誌『グローバルビジネスジャーナル』に掲載された実績を持つ。

専門領域
消費者インサイト分析、セグメンテーション。学術的根拠に基づき消費者モニターをタイプ分類する「インサイト・セグ」を開発。

発信実績
「日本のマーケティングリサーチ20年の変遷」の執筆や、最新技術を網羅した「ChatGPTを調査設計・レポートに活用する検証セミナー」への登壇など、伝統的手法から最新トレンドまで幅広い知見を保有。

本記事の監修にあたって
自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。

アスマークの編集ポリシー

【データ分析手法11選 (目的別)】各分析の手順や成功へのポイントを解説

【データ分析手法11選 (目的別)】各分析の手順や成功へのポイントを解説

データ分析には様々な手法があり、目的やデータの種類によって最適な方法は異なります。効率良くデータ分析を行うには、その特徴をしっかりと理解し、目的に応じて適切に使い分けることが大切です。
本資料では、マーケティングで利用されるデータ分析の手法を、目的別に11種類、紹介します。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● データを活用して、マーケティング戦略をより強化したい方
● 顧客インサイトを深く理解し、施策に反映させたいマーケター
● 定量データを活用して、製品やサービスの改善に取り組みたい方

> 詳しく見る

 

「分析・設計の前提」が分かる正しいデータの見方とは

「分析・設計の前提」が分かる正しいデータの見方とは

「データの扱い方」についての悩み、実際の施策にどのようにして結びつけるかの悩みの解決に役立つ「データ活用の課題」に対する解決策を具体的な手法と実例と共にご紹介しております。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● データを活用して、マーケティング戦略をより強化したい方
● 顧客インサイトを深く理解し、施策に反映させたいマーケター
● 定量データを活用して、製品やサービスの改善に取り組みたい方

> 詳しく見る

 

アンケートに最適なデータ分析方法11選|集計方法や質向上ポイントを解説

アンケートに最適なデータ分析方法11選|集計方法や質向上ポイントを解説

アンケートは、顧客やユーザーの「生の声」を収集するうえで、とても効果的な手段です。実際、多くの企業が商品やサービスの改善、顧客満足度の向上、新たなニーズの発見などを目的にアンケートを活用しています。
しかし、収集後の分析を見据えたアンケート設計ができていない場合、 「どのように分析すればよいか分からない」「集計してみたが、明確な気づきを得られなかった」といった課題に直面するケースも少なくありません。だからこそ、アンケートデータから価値ある情報を読み取るには、データを適切な方法で集計・分析することが重要です。

この記事では、アンケートデータをビジネスに活かす代表的な11種類の分析方法について解説します。

> 詳しく見る

 

「アンケート初心者向け」セレクト4選

「アンケート初心者向け」セレクト4選

アンケート初心者の方は必読したい、当社の「マーケティングリサーチ初心者向け資料」を4部セレクトしました。全て一括でダウンロードいただけます。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● アンケート調査を初めて実施する
● リサーチの担当になったが、何から学べばいいかわからない
● マーケティングリサーチの基礎理解を深めたい

> 詳しく見る

 

【アンケート集計】虎の巻

【アンケート集計】虎の巻

アンケートの結果を分析する際に、どのような集計をする必要があるのか迷ったことはありませんか。本資料では、『単純集計』や『クロス集計』について、網羅的に基礎知識~集計方法、『ウエイトバック集計』などを解説しています。この資料1つでマルっと『集計』についてわかる内容となっておりますので、集計時に欠かせない参考資料として、ぜひアンケート調査の成功へお役立てください。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● アンケート調査の実施を検討している方
● 集計方法の種類や集計方法についておさえておきたい方
● データを活用して、意思決定の質を高めたい方

> 詳しく見る

 

アンケート調査の回答に必要な人数は?サンプルサイズの計算方法と成功のポイント

アンケート調査の回答に必要な人数は?サンプルサイズの計算方法と成功のポイント

アンケート調査は、市場の動向、顧客の満足度、製品の需要など、多岐にわたる情報を収集するための重要な手段です。ビジネスにおける効果的な意思決定や市場分析に欠かせない手法として、広く活用されています。

しかし、アンケート調査の信頼性を確保するには、統計的に適切なサンプルサイズの選定が必要です。本記事では、アンケート調査におけるサンプルサイズの重要性と、それを決定するための統計学的な考え方について解説します。

> 詳しく見る

 

「サンプルの代表性」はどこまで追求すべきか?

「サンプルの代表性」はどこまで追求すべきか?

マーケティングリサーチの世界で「サンプルの代表性」という言葉を聞いたことがないリサーチャーはいないでしょう。調査結果が母集団(例:「全国20~60代男女」)の縮図となっているか、つまり母集団全体に一般化できるかを示す、調査の信頼性を支える重要な概念です。

確かに、代表性の確保は調査の基本であり、市場規模の推計などを行う際には不可欠です。しかし、代表性を追求することだけが、優れたリサーチの絶対条件なのでしょうか。

今回は理論的な理想と、限られたリソースの中で成果を出すための実務的な「落としどころ」を見つけるバランス感覚の重要性について触れたいと思います。

> 詳しく見る

 

交絡とは何か?見かけの因果関係を生む錯覚のしくみ

交絡とは何か?見かけの因果関係を生む錯覚のしくみ

ビジネスにおける意思決定やマーケティング施策の根拠として、調査データは非常に重要な役割を果たします。
しかし、データを見誤ることで、誤った因果関係を信じてしまうリスクもあります。その代表例が「交絡(こうらく)」です。

本記事では、「交絡とは何か?」という基本から、ビジネスシーンでありがちな錯覚のしくみ、交絡を避けるための調査設計のポイントまでを分かりやすく解説します。

> 詳しく見る