公開日:2023.09.28

主成分分析完全ガイド: 基礎理論、実践手順、応用例

  • データ集計・分析・活用

主成分分析は、アンケートの結果から多数の変数や項目を取得した際、これらの変数の間の関係性を簡潔に理解する必要があるときによく用いられます。多次元のデータをより少ない数の主成分として要約することで、データの構造やパターンを把握することにつながります。これにより、多くの変数の中で本当に重要な情報や変数のグループを明らかにし、意味のある解釈や視覚的な表現を可能にします。
 
例えば、とあるスーパーマーケットの顧客満足度に関するアンケート調査結果があったとしましょう。調査データには、顧客からのフィードバックを元に、商品の品質、スタッフの対応、価格、店内の清潔さなど、多くの項目に対する評価が得られています。これら多数の項目をすべて個別に分析するのは困難ですが、主成分分析を用いることで、「商品の質とスタッフの対応」と「価格と店内の清潔さ」のように、関連する項目をグルーピングし、それらを代表するような主成分を抽出することができます。これにより、アンケートの結果をよりシンプルかつ効果的に解釈することが可能となります。
 
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主成分分析の定義と目的

主成分分析は多くの要素を持つデータを集約し、データの特徴を表す新しい要素(主成分)を作成する統計的手法です。データの要素数を要約することで、データの特徴を分かりやすくします。
 
本来、統計的に何かを分析するときは、データ量が多いほど詳細な情報を得られると考えられます。しかし、あまりにもデータ量が膨大になると、分析に高性能なコンピュータが必要になったり、人間がデータを直感的に理解しづらくなります。
 
このような場合に、データの特徴を残しながら、データ量を小さくする 手法が主成分分析です。主成分分析ではできるだけ情報を失うことなく、データの次元(要素数)を減らす次元削減を行います。
 
これによりできるだけ特徴を残したままデータ量を減らすことができ、分析の効率化や人間が理解しやすい可視化を行えます。また、主成分分析によって得られた情報を他の解析手法と組み合わせることで、より高度な解析を行うことも可能です。
 
 

主成分分析の実行手順

主成分分析はデータの特徴を抽出して次元削減やデータの簡略化を行うための有効な手法です。しかし、その計算方法は数学的に複雑であり、一般的には統計解析ソフトウェアを利用します。
 
ここでは、統計的な主成分分析の実行手順を紹介します。
 

データの正規化

データの正規化とは、データの比較や分析を容易にするために、データの尺度や単位を揃えることを指します。主成分分析ではデータの分散が最大化されるように新しい軸を作成します。その際にデータの尺度や単位が異なると、分散の大きさが単位の違いによる影響を受ける場合があります。
 
例えば、身長と体重のデータを分析する場合、身長をcm、体重をkgで表すと、体重の分散が大きくなり、主成分として選ばれやすくなります。しかし、これは単位の違いによるものであり、本来のデータの特徴を反映していません。
 
そこで、尺度や単位の影響を除去し、本来のデータの特徴を抽出するのがデータの正規化です。データ正規化には様々な方法がありますが、一般的には平均値からの偏差や標準偏差で割ることで正規化します。
 
ただし、データ正規化にも問題点があります。例えば、データに外れ値やノイズが含まれる場合、正規化によってそれらが強調されてしまうことがあります。また、正規化によって元のデータの尺度や単位が失われるため、解釈や可視化が難しくなるケースもあります。
 

主成分の抽出

主成分の抽出とは、主成分分析において元の変数から新たな変数(主成分)を抽出することです。主成分は元の変数の情報を保持しつつ、情報の重要度が高い方向に変換された軸を表現します。
 
主成分抽出の目的は、多次元データをより少ない数の主成分で表現することです。これにより元のデータの次元を削減し、データ解析や可視化の効率化を図ります。また、主成分抽出によって、データの特徴やパターンを 可視化することも可能です。
 
ただし、主成分抽出にはいくつか注意すべき点があります。まず、適切な主成分の数を選ばないと、元のデータの情報が不足したり、誤差やばらつきが強調される可能性があります。
 
また、主成分抽出は線形変換に基づいているため、非線形関係を持つデータには適用しづらい場合があります。主成分の抽出を行う際は、数の選択やデータの正規化に配慮することが必要です。
 
 

主成分分析の具体的な使用例

主成分分析は様々な分野で使用されており、データ解析や可視化の手法として重要な役割を果たしています。ここでは市場調査における主成分分析の具体的な使用例について紹介します。
 
 
顧客満足度調査
顧客満足度調査とは、企業が提供する商品やサービスに対する顧客の満足度を測定する調査です。この調査結果に主成分分析を用いると、複数の質問項目から顧客の満足度に関わる要素やパターンを把握できます。
 
例えば、商品の品質、価格、対応速度などの要素の中から顧客満足度に影響を与える主要要素を特定し、改善に繋げることが可能です。
 
 
ブランドイメージ調査
商品評価とは、商品の特性や評価基準を把握するための調査です。例えば、特定の商品に対する評価項目や特徴(価格、品質、デザインなど)を主成分分析で簡潔にすることで、要素の重要度や特徴を把握できます。これにより、客観的な評価情報をベースとして、商品の改善や競合商品との比較が可能となります。
 
 
商品評価
その他、遺伝子間の相関関係を抽出し、遺伝子型の違いによる疾患のリスクを予測したり、画像解析による色相や明度などの主要な特徴を抽出し、グループ化することで画像の分類を可能にするなど、あらゆる分野においても主成分分析が活用されています。
 

主成分分析の課題と限界

主成分分析は、多次元のデータをより少ない次元に圧縮するという、とても効果的な分析手法です。しかし、主成分分析には課題や限界もあります。主成分分析の課題や限界を理解しておかないと、思うような結果が得られないかもしれません。
 
そこで、ここでは主成分分析の課題と限界について解説します。
 

解釈の難しさ

主成分分析を用いて得られる結果は、統計的な指標や数値情報です。しかし、その指標が実際にどのような意味を持つのかは、分析者の解釈に委ねられます。この解釈の難しさが主成分分析の課題の一つです。
 
主成分分析では、元のデータから新たな軸(主成分)を探します。しかし、見つかった主成分が具体的にどのような意味を持つのかは、直感的には理解しづらい場合があります。その理由は、主成分自体が元のデータと直接の関連を持たないためです。
 

正規性の仮定

主成分分析は、データが正規分布に従っているという仮定の元に成り立っている分析手法です。正規分布とは、平均値の周りにデータが集中し、左右対称の釣鐘状にデータが広がるような分布です。
 
正規性の仮定が問題となる理由は、分析に用いるデータが必ずしも正規分布に従っていないケースがあり得るからです。例えば、データに外れ値や偏りがある場合は、そのデータは正規性の仮定を満たしていないと考えられます。正規性の仮定を満たさないデータに主成分分析を適用すると、主成分の方向や寄与率が歪められる可能性があります。
 

外れ値の影響

外れ値の影響とは、データの中に含まれている極端に大きい値や小さい値が、主成分分析の結果に影響を与えることです。外れ値は通常のデータパターンから大きく逸脱した値であり、分析結果に悪影響を及ぼす可能性があります。
 
主成分分析はデータの分散を最大化する方向を求める手法です。そのため、外れ値が分散に大きく影響すると、主成分の方向や寄与率が歪められてしまいます。これにより、分析結果が歪んだり、軸の解釈が困難になってしまう問題が発生します。
 
 

課題を克服するための手法とまとめ

 
ここまで、「解釈の難しさ」「正規性の仮定」「外れ値の影響」が主成分分析に及ぼす影響を解説しました。これらの課題を克服するためには、外れ値の除去や、外れ値に頑健な主成分分析の手法を使うのが効果的です。
 
ただし、このような対策を講じるには、統計や分析に関する相応の知識と経験が必要となります。主成分分析においてこのような課題が起きる場合は、分析の専門家に相談することも有効な対策の一つでしょう。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
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