
2025.09.22
事例で学ぶ、化粧品業界向けの調査内容とは? ~実践的な調査事例10選~
現在の化粧品業過では、消費者の化粧品選びに環境や社会的責任への配慮が重要視されるようになり、サステナブルな製品の人気が高まっています。 特にZ世代やミレニアル……
公開日:2025.09.26
近年のお菓子市場では、消費者のニーズや価値観の変化に伴い、様々な変化が起きています。
例えば、健康志向の高まりから、低糖質やプロテイン配合、オーガニック素材を使用した商品が注目されたり、食品ロス削減やサステナビリティへの意識向上から、パッケージの環境配慮や原材料の調達方法に関心が寄ったりしています。
こういった消費者のニーズや価値観の変化へ迅速に対応する柔軟性に加え、メーカー間ではAIなどを活用しきめ細やかな製品開発が進み、競争が激化しています。
そのため、競合他社との差別化を図るマーケティング戦略の重要性はますます高まっています。その戦略の精度を高め、成功へと導く上で、マーケティングリサーチは非常に重要な役割を果たします。
本コラムでは、お菓子業界の調査事例を定性・定量調査の視点から厳選してご紹介します。これらの事例の「対象者の定義や手法、テーマ、調査内容など」を参考に、今後のお菓子業界向けの調査企画のヒントが得られるでしょう。
チョコレート新商品に関する顧客評価調査
| 調査の結果得られたこと | 試作品の評価では、高カカオタイプは健康志向層から好評価を得たが、甘さ控えめのフレーバーを求める声も多く聞かれた。 また、パッケージデザインが購入意欲に大きく影響することが確認された。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | 新商品の味やパッケージデザインの市場受容性を確認し、発売前に改善点を特定する |
| 調査手法 | GI(グループインタビュー) |
| 人数・対象者条件 | 25ss 首都圏の25~45歳の女性/チョコレートを週1回以上購入する層 |
| 調査内容 | ・試作品の試食と味の評価(甘さ、苦さ、食感) ・健康志向タイプ(高カカオ)と従来タイプの比較評価 ・パッケージデザインの印象と購買意欲への影響 ・改善点や提案されるフレーバーの意見 |
| 対応範囲 | 対象者リクルート、モデレーター手配、当日受付、データ収集・分析、レポート作成 |
| 特記事項 | 試作品の評価あり。味の違いやパッケージが購買意欲に与える影響を深掘りし、次回の企画に活かす。 競合他社製品との比較試食を同時に実施し、ブランド独自の強みや改善点を明確化。 |
ファミリーパック菓子に関する親子ペアインタビュー調査
| 調査の結果得られたこと | ファミリーパック商品は「分けやすさ」や「手軽さ」が親に評価される一方で、子どもからは「もっとカラフルなパッケージが欲しい」「甘さが少し強すぎる」といった意見が多く聞かれた。 また、親世代からは栄養価への配慮を求める声が上がった。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | ファミリーパック商品の改良点を親子双方の視点から明確化し、購買意欲を高める施策を立案する |
| 調査手法 | 親子ペアインタビュー(オンライン) |
| 人数・対象者条件 | 10組(親子ペア×10) 小学生の子あり、チョコレート菓子ファミリーパック購入者 |
| 調査内容 | ・親の購入の動機や選択基準 ・子どもが感じる商品の魅力と改善点 ・パッケージデザインに対する印象と改良案 ・フレーバーの希望や新商品のアイデア提案 |
| 対応範囲 | 対象者リクルート、モデレーター手配、当日受付、データ収集・分析、レポート作成 |
| 特記事項 | 子どもへのインタビューは前半15~20分程度とし、集中力が持続する範囲で質問を構成。 後半は親を中心にインタビューを進め、子どもが自由に退席できる形式を採用。 |
ギフト用菓子の購買時同行動調査
| 調査の結果得られたこと | 購入者の多くは事前に目的を明確にして店舗を訪れ、商品を選ぶ際に店頭ディスプレイや店員の提案が大きな影響を与えていることが判明。 また、購入時にパッケージデザインと価格が重要な決定要因であることが分かった。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | ギフト用菓子を購入する際の具体的な行動プロセスを把握し、販売現場での接客改善やディスプレイ施策に活かす |
| 調査手法 | 店頭観察+インタビュー |
| 人数・対象者条件 | 12ss 首都圏20~60代の女性、百貨店で過去1年以内にギフト用菓子を購入した経験がある |
| 調査内容 | ・入店から購入までの動線や行動 ・どのエリアで足を止めるか、商品を手に取る頻度と時間 ・購入決定要因(価格、デザイン、ブランド、店員の提案など) ・店舗ディスプレイやPOPの印象 |
| 対応範囲 | 対象者リクルート |
| 特記事項 | 店頭観察は購入行動を自然に捉えるため、調査員は非接触型で実施。 購入後のインタビューでは、選定理由や店舗環境について深掘り質問を設定。 |
スナック菓子に対する離反理由分析調査
| 調査の結果得られたこと | 離反者の多くが「脂っこさ」や「健康志向の高まり」を理由に挙げている一方で、「軽めの食感」や「低カロリーの選択肢」があれば再購入を検討する意向があることが判明した。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | 離反層の意識や行動を把握し、商品改善および再購入を促すための戦略立案に活用する |
| 調査手法 | インタビュー |
| 人数・対象者条件 | 8ss 30~60代の男女、過去に指定のスナック菓子を購入していたが、ここ3年以内に購入頻度が大幅に減少または停止 |
| 調査内容 | ・指定のスナック菓子の購入をやめた理由 ・他の食品に移行した場合、その理由と比較点 ・再購入を促す条件(味、油分の軽さ、価格、健康価値など) ・新しい商品に期待すること(例:低脂肪、焼きタイプ、グルテンフリー) |
| 対応範囲 | 対象者リクルート、モデレーター手配、当日受付、データ収集・分析、レポート作成 |
| 特記事項 | 商品改善のヒントを得るため、現在購入しているスナック以外の軽食や健康食品についても質問。 質的データをもとに、離反理由をセグメント分けし、ターゲット別の施策立案をサポートするレポートを作成。 |
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アイスクリームに関する購入意識調査
| 調査の結果得られたこと | 家庭用パックアイスは「家族で分けやすい」「コスパが良い」と評価される一方、フレーバーのバリエーションに関する要望が多かった。 また、カロリーや健康志向を重視する層が一定数存在し、それに対応した商品が求められていることが判明した。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | 家庭用アイスクリームの購入動機や改善点を明確化し、新商品の開発および販売戦略に活かす |
| 調査手法 | オンラインアンケート |
| 人数・対象者条件 | 600ss 全国の20~59歳の男女/家庭用アイスクリームを月に1回以上購入している層 |
| 調査内容 | ・購入時に重視するポイント(価格、フレーバー、量、ブランドなど) ・家庭でのアイスクリームの消費シーン(おやつ、食後のデザートなど) ・現在の商品に対する満足点と不満点 ・フレーバーやサイズ、健康志向の商品に対するニーズ |
| 対応範囲 | 調査企画、調査票作成、アンケート配信、データ回収、集計表・レポート作成 |
| 特記事項 | 健康志向アイスに対する潜在的な需要を探るため、成分やカロリーに対する意識も調査。 現在流通している人気商品の評価を併せて実施し、競合との差別化ポイントを特定。 |
のど飴に関する家庭内使用実態調査
| 調査の結果得られたこと | 使用シーンとして「乾燥対策」や「風邪予防」に使われることが多い一方で、のど飴のフレーバーに関する好みが家庭内で分かれる傾向が見られた。 また、持ち運びやすいパッケージのニーズが高いことが確認された。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | のど飴の商品使用実態と顧客のニーズを把握し、製品改良および新商品の企画に活かす |
| 調査手法 | HUT(ホームユーステスト) |
| 人数・対象者条件 | 50ss 全国の20~49歳男女/家庭でのど飴を購入し定期的に使用している世帯 |
| 調査内容 | ・使用頻度や使用シーンの確認(外出時、家庭内、仕事中など) ・フレーバーや味に対する満足度と改善点 ・パッケージデザインの使いやすさや改善要望 ・健康志向や成分への意識(例:砂糖不使用、ハーブ配合など) |
| 対応範囲 | 対象者リクルート、製品配布、使用後アンケート、データ回収 |
| 特記事項 | 調査対象者には3種類の試供品を送付し、それぞれの評価を記録。 アンケートとは別途、使用シーンの写真を依頼し、実際の利用環境や行動を分析。 |
ガムに関する嗜好性およびパッケージ評価調査
| 調査の結果得られたこと | 顧客は「味の持続時間」や「口臭予防効果」を重視している一方で、携帯性の良いパッケージデザインに対する期待が高いことが明らかになった。 また、新しいフレーバーや機能性ガムへの潜在的なニーズも確認された。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | ガムの嗜好性やパッケージデザインに関する消費者の意識を把握し、新商品の開発およびリニューアルの方向性を明確にする |
| 調査手法 | CLT |
| 人数・対象者条件 | 150ss 18~49歳の男女/1週間に1回以上ガムを購入・使用している層 |
| 調査内容 | ・味の満足度(持続時間、甘さ、風味の強さ) ・パッケージデザインの利便性と改善希望 ・新フレーバーの試作案に対するフィードバック ・ガム購入時に重視するポイント(価格、成分、ブランド、パッケージなど) |
| 対応範囲 | 調査企画、対象者リクルート、試供品準備、会場設営、データ収集・分析、レポート作成 |
| 特記事項 | ガムの特性上、味の持続時間や咀嚼感を評価するために、一定の咀嚼時間(例:5分、10分)を設定。 時間経過ごとの味やテクスチャの変化について、対象者に詳細を記録してもらう。 |
季節限定商品に関する需要予測調査
| 調査の結果得られたこと | 季節限定商品は購入時の「期間限定」「数量限定」の訴求が特に効果的であることが判明し、さらにパッケージデザインやテーマ性が購入動機に大きく影響していることが明らかになった。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | 季節限定商品の需要を予測し、適切な生産量やマーケティング戦略を立案するための基礎データを収集 |
| 調査手法 | ネットリサーチ |
| 人数・対象者条件 | 800ss 全国18~69歳の女性、菓子の季節限定商品を購入した経験がある人 |
| 調査内容 | ・過去に購入した季節限定商品の具体例 ・購入時のきっかけ(広告、口コミ、店舗ディスプレイなど) ・理想的な季節限定商品への期待(味、デザイン、価格帯など) ・季節ごとの商品の印象と好み |
| 対応範囲 | 調査企画、調査票・画面作成、アンケート配信、データ回収、集計表・レポート作成 |
| 特記事項 | 季節ごとの購買傾向を深掘りするため、過去3年間で購入した商品の振り返りを質問設計に追加。 購入を促す広告や店頭プロモーションの効果に関する質問を設定し、マーケティング施策に活用できる情報を収集。 |
米菓の味覚評価および嗜好性調査
| 調査の結果得られたこと | 米菓の食感や塩味の濃さが消費者の嗜好に強く影響することが判明。 特に若年層は軽い食感と控えめな味付けを好み、中高年層は伝統的な濃い味付けを好む傾向があることが分かった。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | 消費者の味覚に基づき、ターゲット層別の商品開発や改良の指針を得る |
| 調査手法 | CLT |
| 人数・対象者条件 | 120ss 首都圏の20~60代の男女、週に1回以上米菓を購入する人 |
| 調査内容 | ・味覚評価(塩味、甘味、うま味、食感、後味) ・好みのタイプとその理由 ・米菓の購入動機(価格、ブランド、パッケージデザインなど) ・新商品のアイデアに関する自由記述 |
| 対応範囲 | 調査企画、対象者リクルート、会場手配、商品準備、データ収集、集計・分析、レポート作成 |
| 特記事項 | 試食品の順序による影響を排除するため、試食品の提示順をランダム化。 試食後の詳細な自由回答で、ターゲット層の感性を深く掘り下げ。 |
お菓子の家庭内消費行動観察調査
| 調査の結果得られたこと | お菓子はリラックスタイムや家族団らんの場で頻繁に消費される傾向があり、購入者は味や量のバランスに加え、保存しやすさを重視していることが判明した。 |
|---|---|
| クライアント | お菓子メーカー |
| 調査目的 | お菓子の家庭内での利用状況や消費行動を把握し、商品企画やパッケージ設計に活かす |
| 調査手法 | 日記調査 |
| 人数・対象者条件 | 50ss 全国30~50代の男女、子あり、週に2回以上お菓子を購入し家庭で消費する人 |
| 調査内容 | ・消費シーン(時間帯、人数、状況) ・消費時の満足度や感想 ・商品選定時の重視点(価格、味、量、保存のしやすさなど) ・消費頻度や消費量 |
| 対応範囲 | 対象者リクルート、日記フォーマット作成、日記回収 |
| 特記事項 | 調査期間は2週間とし、家庭内での消費状況を日記形式で詳細に記録。 調査対象者に写真の添付を依頼し、具体的な利用状況を視覚的に把握。 |
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ここまで、お菓子業界におけるマーケティングリサーチの具体的な調査事例を定性・定量の両側面から紹介しました。
消費者の価値観は、これからも時代とともに変化し続けます。健康や環境への配慮といったトレンドも、さらに細分化・深化していくかもしれません。このような不透明な未来を予測しながら、競争へ勝ち抜くためには、一度きりの調査だけではなく、継続的に消費者の声に耳を傾け、変化の兆しを捉えることが重要になります。
そして、消費者の潜在的なニーズや購買の背景にある「なぜ」を探る定性調査と、市場全体の傾向や仮説の検証を行う「何」を捉える定量調査。これらを組み合わせることで、さらに消費者のニーズの理解を深めていくことが可能になります。
このコラムが、皆様のお菓子業界向けのリサーチに対する理解を深め、より良い製品やサービスの開発につながる一助となれば幸いです。
当社では『お菓子業界向けの調査』についてのお困りごとについて、ご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
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