市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

公開日:2026.03.26

【アンケート】選択肢の位置や内容によって回答結果に影響?「どちらともいえない」と「普通」による違いなど検証結果をもとに解説

  • マーケティングリサーチHowto

アンケートを実施するうえで、調査設計が非常に重要です。
とはいえ、選択肢の並べ方や設問文の言い回しについて、特に意識しないまま「定型」として使い続けている方も少なくないのではないでしょうか。

実際、私たち自身も「これまで当たり前のように採用してきた設計は、本当に適切なのか」と立ち止まって考えることがあります。そこで今回は、選択肢の位置や表現の違いが、回答結果にどの程度影響するのかを検証しました。
 

【検証結果の要約】本調査で得られた3つの知見
今回の1,862サンプルを用いた実験調査により、設計のわずかな違いが回答行動に差を生むことが確認されました。

  • 排他選択肢の配置:“選ばれやすい選択肢”をコントロールしたい場合(非購入理由など)は「最初」、それ以外は「最後」に設置するのがおすすめ。
  • 「すべて/いくつでも」の使い分け:広く拾いたいなら「すべて」、該当度の高いものだけ絞りたいなら「いくつでも」がおすすめ。
  • 中間選択肢「どちらともいえない/普通」の使い分け:「必ず中間選択肢を真ん中に置く」などといった固定概念にとらわれず、調査目的に応じて検討することがおすすめ。

 
本コラムでは、調査概要に加え、排他選択肢の位置、「すべて」と「いくつでも」の表現の差、「どちらともいえない」と「普通」の表現の差や位置の違いで、異なる結果が出るのか、検証結果をもとに解説します。
 

 
 

調査概要

この章では、今回実施した調査概要について説明していきます。
 
まず、調査概要とは、調査ごとに「調査を実施する目的」や「調査目的を達成するために明らかにする必要がある課題」をまとめた内容に加え、アンケート手法や対象者、回収数、調査期間などを記載したものです。
具体的には下表となります。

表 調査概要
調査目的 内容
調査目的 今後の提案やクライアントからの質問への回答に役立つ知見を得るための調査を実施したい。
調査課題 ①排他※が後ろにある、最初にある の違い(買わない理由とかそういう設問で)
 ※ 排他とは、複数回答の選択肢で「あてはまるものはない」など、他の選択肢と重複することがあり得ない選択肢のことです。
②印象に残るのは最初に聞かれた・見たこと、最後に聞かれた・見たこと?
③トラップ設問の有効性比較
④「すべてお選びください」「いくつでもお選びください」で回答結果は変わる?
⑤いろんなものに興味・関心を持っていると、様々なスコアが高くなる? 感受性によるもの?好奇心?
⑥現代の人は、リスク回避の傾向が強くなっていて、アンケートでも誤解や誤った選択を避けるために慎重になっている?だからスコアが減少傾向にある?
⑦「どちらともいえない」「普通」がどこにあるか(5点尺度の中間選択肢の位置での結果の違い)
⑧BIGFIVEの再検討
⑨NPSでタテの選択肢、ヨコの選択肢での結果の違い
⑩回答の中断の有無
⑪モニター登録が長いと、回答の精度がどう変わるのか? 登録の歴の長さ=慣れで傾向が変わる?設問文をちゃんと読んでいる?雰囲気で回答していない?
⑫プロービングの効果検証(FA、MA)
調査手法 Webアンケート
対象者条件 【性別】 男性、女性
【年齢】 20~50代
【地域】 全国
【その他条件】 D STYLE WEB登録会員
回収数 本調査:1,862s
割付
図 割付
調査期間 2025年4月25日(金)~4月30日(水)

 
本調査の目的は、「今後の提案やクライアントからの質問への回答に役立つ知見を得ること」です。
この調査目的に対して、社内でプロジェクトチームを作り、調査における①~⑫の課題を明らかにしました※。
※ 今回のコラムは、①~⑫の課題の内、①④⑦に注目し、それぞれ解説をしていく内容となります。
 

調査の手法はWebアンケート、対象者は男女20~50代、地域は全国とし、当社(アスマーク)のアンケートモニターを対象に2025年4月25日~4月30日で調査を実施し、1,862サンプルサイズ※分回収しました。
※ サンプルサイズとは、調査や研究において、母集団(調査対象全体)から抽出する標本の大きさ、つまり実際に調査を行う対象の数のことです。
 
続いて、この男女20~50代の内訳として、調査概要の表から抜き出した下図割付※をご覧ください。
※ 割付とは、調査対象者をどのように分けてアンケートを行うかを計画することです。
  https://www.asmarq.co.jp/column/column-cat/glossary/word0036/

図 割付
図 割付

 
A群とB群という大きなまとまりの中に、それぞれグループ①と②を作り、各グループ20~50代の男女でおおよそ均等に割付を設定しました。この“おおよそ”ですが、割付をご覧いただくと男女に差が出ていることがわかるかと思います。ただ、今回の調査結果の“差”というのは、性別や年代による違いではなく、「選択肢の文言や位置による違い」と、捉えていただければと思います。
 

Tips
実験調査とは?
今回行った調査は、実験調査と呼ばれる調査になります。
この実験調査とは、「マーケティングリサーチのデータ精度を高めるために、実験的にアンケート調査を実施すること」を指します。
 
なぜ実験調査を行うのか?
実験調査を行うのは、次のような理由があるからです。
・リサーチャーが持つ「仮説」をデータに基づいて検証するため
・設問文や選択肢の見せ方など、調査設計の見えないバイアスを明らかにするため
・より正確で信頼の高いデータを提供するため

 

 
 

設問項目

続いて、設問項目です。
今回、Webアンケートで尋ねた設問の項目を下表にまとめました。

図 設問項目表
図 設問項目表

 
左側の表は、設問項目や選択肢の形式を表したものとなります。
一方、右側の表は、割付でご紹介したA群やB群、さらにはグループ①とグループ②で“どの設問に回答していただいたか”がわかる表となります。
 
ご覧いただくと、一つのWebアンケートで複数の内容を尋ねていることが分かりますが、本コラムで扱う調査課題に関する設問はQ3、Q10、Q13、Q14、Q16となります。
 

 

調査課題①:排他が後ろにある、最初にある の違い(買わない理由とかそういう設問で)について

まずは、調査課題①の「排他が後ろにある、最初にある の違い(買わない理由とかそういう設問で)」について解説していきます。

この調査課題の「排他(の選択肢)が後ろにある」と「排他(の選択肢)が最初にある」の違いを調査するため、前者はB群に、後者はA群としてQ16にて実施しました。
その実際のアンケート画面が下図です。

調査課題①のアンケート画面
A群 B群
図 Q16_A群
図 Q16_B群

 
この設問文自体は同一の「メディアやコンテンツを視聴中にCMが流れたとき、ついCMを見たくなることがありますか?その理由としてあてはまるものをすべてお選びください。(複数選択可)」という内容です。
 
しかし、先ほども述べましたが、選択肢の位置が一部、A群とB群とで異なっています。赤で囲った「見たくなることはない」という排他の選択肢がA群は最初に表示されており、B群では通常のアンケートでよく用いられる最後に表示させています。
 
 

調査結果

このアンケートから得られた結果が下図となります。

図 調査課題①の結果
図 調査課題①の結果

 
この表では、全体の選択率や群別の選択率、そしてA群からB群を引いた「A群-B群」の選択率があります。
 
右端の排他選択肢(見たくなることはない)の選択率にまずは注目してください。A群(最初に位置)、B群(最後に位置)で大きな差は見られません。
 
次に、「A群-B群」の各選択率、具体的には赤で囲った部分を注目しましょう。すると、いずれもマイナスであることがわかりますね。
つまり、全体的な選択率はA群の方が低い傾向にあるということがわかります。
 
 

調査結果から考えられること

今回の調査結果から、排他選択肢が「後ろにある、最初にある」という配置の違いが、他の選択肢の回答率にも影響を与えている可能性が考えられます。
 

たとえば、排他選択肢が後ろにある設問を想像してみましょう。
多くの場合、回答者は設問文を読んだうえで、上から順に選択肢を見ていくと思います。
設問文を読んだ時点で思い浮かんだ内容が選択肢にあればそれを選びますし、最初は想像していなかった選択肢でも、目にしたことで「たしかにそれも当てはまる」と考え、選択することもあります。こうした流れを経て最後の排他選択肢に到達したときには、すでに何かしらの選択肢を選んでいるため、排他選択肢を選ばない可能性が高くなるでしょう。
 
次に、排他選択肢が最初にある設問を想像してみましょう。
この場合も、回答者は設問文を読んで上から選択肢を見ていくと考えられますが、最初に排他選択肢が置かれているため、設問文を読んだ時点で「特にない」と感じた人が、そのまま素直に排他選択肢を選び、他の選択肢を詳しく確認しないまま次の設問へ進むことが起こり得ます。もちろん、「特にない」と思った人でも、その下の選択肢を丁寧に見て、「やはり当てはまる」と判断し、排他選択肢以外を選ぶケースもあるでしょう。

 
以上はあくまで仮説に過ぎませんが、共感される方も多いのではないでしょうか?
 
こうして考えると、排他選択肢を後ろに配置する場合は、回答者が上から順に選択肢を吟味しながら回答しやすくなり、その結果として排他選択肢が選ばれる確率は低くなることが予想されます。
 
一方、排他選択肢を最初に配置する場合は、設問文を読んで「特にない」と感じた回答者が、最初の選択肢として提示されている排他選択肢をそのまま選びやすくなり、排他選択肢が選ばれる確率は高くなることが予想されます。
 
ただし、「どちらの配置が適切か」は一概には言えず、調査目的に応じて判断する必要があります。
ここでは一例として、「最初に排他選択肢を設置する設計」が有効に働き得るケースを紹介します。

商品のコンセプトを提示したうえで「買わない」と回答した人に対し、「なぜ買わないのか?」を尋ねる設問を用意した場合を考えてみます。
 
非購入理由として「価格が高い」「色が好みではない」「重たい」「使いづらい」などを提示すると、「価格が高い」などの特定の選択肢に回答が集中することがあります。
こうした特定の選択肢に回答が集中することを軽減させたい場合、最初に排他選択肢を配置する設計が有効に働くケースもあるでしょう。
 
なお、これはあくまでも「普段は意識的に考えない理由を聴取する場合」に限って当てはまると考えられます。というのも、「価格が高いから」といった理由は、複数の選択肢が並ぶ中で「たしかにそういう理由もあるよね」と後付け的に納得し、選ばれやすくなる可能性があるためです。
そのため、このような“選ばれやすい理由”をコントロールしたい場合には、「排他選択肢を最初に配置する」という設計が有効に機能するケースがあると考えられます。

 

 

調査課題④:「すべてお選びください」「いくつでもお選びください」で回答結果は変わる?について

つぎに、調査課題④の「『すべてお選びください』『いくつでもお選びください』で回答結果は変わる?」について解説していきます。
 
この調査課題では、設問文の表現が「すべてお選びください」と「いくつでもお選びください」で回答傾向に違いが生じるかを比較するため、下図のとおり、グループ①とグループ②にはQ13・Q14において一部表現が異なる設問に回答していただきました。

調査課題④のアンケート画面
グループ① グループ②
Q13


Q14


 
Q13の設問文は「以下の中から、あなたが知っている企業・ブランドを○○○お選びください。」とし、○○○の部分をグループ①では「すべて」、グループ②では「いくつでも」にしました。
同様にQ14でも、設問文は、「あなたが興味関心のあることを○○○お選びください。」とし、異なる内容になりますが、○○○の部分は上記同様です。
 
つまり、各設問文の一部表現をグループごとに変え、グループ①では「すべてお選びください」、グループ②では「いくつでもお選びください」という表現にしました。
 
 

調査結果

このアンケートから得られた結果が下図となります。

調査課題④の結果
Q13
Q14

 
各表には、全体の選択率に加えてグループ別の選択率、さらに「グループ①-グループ②」の選択率があります。
それぞれ表を見ると、いずれの設問でもグループ①のスコアがグループ②を上回っています。

この結果から、「いくつでも」よりも「すべて」という表現の方が回答者にとって選択しやすく、選択に対する心理的ハードルを下げている可能性が考えられます。
つまり、設問文の表現の違いが、選択肢の回答率に影響していると考えられます。
 
 

調査結果から考えられること

今回、統計的な検定は行っていないものの、いずれの設問でもグループ①のスコアの方が高かったことから、「取りこぼしなく幅広く把握したい」場合には、設問文に「すべて」を用いたほうが有効に働くケースが多いと考えます。

一方で、「該当度の高いものだけに絞りたい」場合には、設問文に「いくつでも」を使用したほうが有効に働くケースが多いと考えます。

たとえば、Q13のように「知っている/知らない」といった二者択一的な設問であれば、選択漏れを減らす意味で「すべて」を使用する設計が適切でしょう。

対して、Q14のように興味・関心を尋ねる設問は、Q13ほど二者択一的ではありません。興味・関心の強さには個人差があり、「たとえば興味関心度20の人もいれば50の人もいる」ので、グラデーションが生じやすい設問です。そのため、「すべて」が良いのか、「いくつでも」が良いのかは、一概には言えません。

仮に「すべて」を使用すれば、「関心の芽」まで含めて拾える可能性があるでしょう。一方で「いくつでも」を使用すれば、該当度の低い選択肢は選ばれにくくなるものの、“本当に関係が深い項目”が残りやすいでしょう。もちろん、その分、拾える範囲は相対的に狭くなる可能性がある点には注意が必要です。

 
以上より、設問文の表現は目的に応じて使い分けることが重要です。
 

目的 設問文の表現
取りこぼしなく幅広く把握したい
(該当する可能性があるものを広く拾いたい)
すべて
該当度の高いものだけに絞りたい
(選択のハードルを上げたい)
いくつでも

 
同じ複数回答形式でも、設問文の表現によって回答の“拾い方/絞り方”に影響し得るため、調査目的を踏まえて、適切な表現を選択しましょう。
 

 
 

調査課題⑦:「どちらともいえない」「普通」がどこにあるか(5点尺度の中間選択肢の位置での結果の違い)」について

最後に、調査課題⑦の「『どちらともいえない』『普通』がどこにあるか(5点尺度※の中間選択肢の位置での結果の違いについて)」について解説していきます。
 
※ 5点尺度とは、アンケートで「非常に満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「非常に不満」といった5段階の選択肢から回答してもらう手法です。「はい」「いいえ」のような二択と比べて、回答者の評価をより細かく定量化できます。
詳しくは下記「アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)の活用方法」で解説しています。
https://www.asmarq.co.jp/column/column-cat/researchercolumn/likert-scale/

 
 
この調査課題では、次の2つの違いについて検証しました。

  • 中間選択肢の位置が真ん中、末尾かによる回答傾向の違い
  • 中間選択肢の文言が「どちらともいえない」か「普通」の違い

 
 
これらを検証するため、以下2つの設問を用意しました。

Q3:現在利用しているスマートフォンの通信業者(NTTドコモ)についてあなたはどう感じていますか。以下の項目に対してお気持ちに近いものをそれぞれお選びください。(それぞれ1つずつ選択)
Q10:以下の質問に対して、お気持ちに近いものをそれぞれお選びください。(それぞれ1つずつ選択)

 
 
Q3のアンケート画面は、下図のように中間選択肢をA群では「真ん中」に、B群では「末尾」に配置しました。

 
 
また、中間選択肢の文言は、グループ①とグループ②で次のように変更しました。
 
グループ①:普通
グループ②:どちらともいえない
 
 
Q10でも、Q3と同様に中間選択肢をA群とB群で下図のように配置しました。

 
なお、Q10の中間選択肢の文言は、グループ①、②ともに「どちらともいえない」としています。
 
 
以上を整理すると、下表のようにグループ①と②、A群とB群で表示した内容が異なります。

グループ 設問 A群 B群
配置 文言 配置 文言
① Q3 真ん中 普通 末尾 普通
Q10 真ん中 普通 末尾 普通
② Q3 真ん中 どちらともいえない 末尾 どちらともいえない
Q10 真ん中 どちらともいえない 末尾 どちらともいえない

 
 

調査結果
中間選択肢の位置が真ん中、末尾かによる回答傾向の違いの検証

まずは「中間選択肢の位置が真ん中、末尾かによる回答傾向の違い」について解説していきます。
 
選択肢を「普通」にしたQ3のグループ①から見ていきます。
得られた結果は下図です。
 

調査課題⑦の結果Ⅰ
調査課題⑦の結果Ⅰ

 
上図では、以下の表があることがわかります。

  • 選択肢(5点尺度)ごとの選択率のグラフを含む表
  • 項目「通信速度~総合的な満足度」ごとの様々な選択率を表した表
    • 「全体」は、Q3全体の選択率となり、中間選択肢の文言が「どちらともいえない」も加味された数値になります。
    • 「A群-全体」は、「A群の選択率」から「全体の選択率」を引いた数値になります。

 
 
このグラフで注目したいのは、赤で囲った「A群-全体」と「B群-全体」です。
これらをそれぞれ見比べると、「A群-全体」は全てプラスなのに対し、「B群-全体」は全てマイナスです。つまり、A群の方がB群よりも中間選択肢を選んだ人が多いことが分かります。
 
 
続いて、選択肢を「どちらともいえない」にしたQ3のグループ②とQ10を見ていきましょう。
得られた結果は下図です。

調査課題⑦の結果Ⅱ
調査課題⑦の結果Ⅱ

 
Q3のグループ②とQ10における選択肢(5点尺度)ごとの選択率のグラフを含む表を用意しました。
こちらも、A群とB群の「どちらともいえない」の数値を見くらべると、Q3(グループ②)も、設問内容が異なるQ10も、A群の方がB群よりも選択率が高いことがわかります。
 
 
以上の結果から、中間選択肢の文言にかかわらず、真ん中に配置した場合の方が、末尾に置く場合よりも選択されやすいと考えられます。
 
 

中間選択肢の文言が「普通」か「どちらともいえない」の違いの検証

次に、「中間選択肢の文言が「普通」か「どちらともいえない」の違い」について解説していきます。
 
ここでは、Q3のグループ①(文言:普通)と、グループ②(文言:どちらともいえない)を比較していきます。
結果は以下の通りです。

調査課題⑦の結果Ⅲ
調査課題⑦の結果Ⅲ

 
グループ①とグループ②、A群とB群ごとの選択肢(5点尺度)ごとの選択率のグラフを含む表と、左側に項目×A群・B群ごとの中間選択肢のスコア※を示した表を用意しました。
※ 中間選択肢のスコアは、「グループ①の中間選択肢の選択率 ― グループ②の中間選択肢の選択率」をした数値です。

左側の表の中間選択肢のスコアに注目すると、A群・B群いずれも正の値であることがわかります。そして上記の通り、グループ①からグループ②を引いたスコアとなるため、正の値ということは、グループ①(普通)の方がグループ②よりも選択率が高いことを示します。
つまり、「中間選択肢が真ん中、末尾どちらにあっても「普通」という文言の方がより選択された」ということがわかり、中間選択肢の文言の違いによって選択率に違いが生じることがわかりました。
 
 

調査結果から考えられること

これらの結果から、アンケートの調査目的によっては、中間選択肢を「どこに置くか」、あるいは「どう表現するか」によって、回答率が変わる可能性が示唆されました。

中間選択肢を「どこに置くか」


まず、中間選択肢の配置については、「『末尾』に配置した場合よりも、『真ん中』に配置した場合のほうが、「中立感」が強まり、中間選択肢を選択しやすくなるのではないか」、と考えます。

たとえば、中間選択肢が「真ん中」にあると、内容を細かく読み込まなくても、配置から「ここが中立」と認識しやすくなります。その結果、判断に迷ったときに「とりあえず真ん中」を選んでしまう行動が起こりやすいと想像できます。

一方で、「真ん中」よりも「末尾」のほうが中間選択肢を選択されにくいという特性を調査目的に応じて活かせる場面もあるでしょう。

たとえば、「企業のサービス改善に向けて課題を明確にしたい」という目的がある場合には、「中間選択肢を選択されにくい」ことを活かし、中間選択肢を「末尾」に配置する設計が有効に働く可能性があります。

このように、回答の傾向をできるだけ分散させ、評価の方向性をはっきりさせたい場合には、中間選択肢を「末尾」に置くことを検討するのがおすすめです。

 

中間選択肢を「どう表現するか」


次に、中間選択肢の文言についてです。
今回は「どちらともいえない」と「普通」を比べたところ、「普通」のほうが選択されやすい結果となりました。

ここからは、「『どちらともいえない』は『満足とも言えないし、不満とも言えない』というニュアンスで受け取られやすいのではないか」という仮説を考えさせられます。

もしこの仮説が正しいとすると、「満足しているとも言えるし、不満とも言える」いった状態の人は、「どちらともいえない」は選びにくいと感じるかもしれません。その結果、「どちらかに振り切って考えよう」として、満足側または不満側を選ぶ人が一定数出る可能性があります。

一方で、「普通」はどうでしょう?
「どちらともいえない」と比べて、「普通」は次のどちらの状態にも当てはまりやすい表現ではないでしょうか。

  • 満足とも言えないし、不満とも言えない
  • 満足しているとも言えるし、不満とも言える

以上は仮説に基づく整理ではありますが、結果として、文言の違いによって選択率に変化が見えました。言い回しひとつで、回答が意図せず、別の選択肢に流れる可能性もあり得ると考えるため、回答者の受け取り方を想像しながら、文言は慎重に検討する必要があります。

 

 

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まとめ

本コラムでは、3つの調査課題について解説してきました。
それらから得られた結果をまとめると下表になります。

調査課題 調査結果
①排他が後ろにある、最初にある の違い(買わない理由とかそういう設問で) “選ばれやすい選択肢”をコントロールしたい場合(非購入理由、未使用理由など)は、最初に設置するのがおすすめです。
上記以外は、最後に設置するのがおすすめです。
④「すべてお選びください」「いくつでもお選びください」で回答結果は変わる? 「すべて」は取りこぼしなく幅広く把握したい(該当する可能性があるものを広く拾いたい)ときにおすすめです。
一方で、「いくつでも」は該当度の高いものだけ絞りたい(選択のハードルを上げたい)ときにおすすめです。
⑦「どちらともいえない」「普通」がどこにあるか(5点尺度の中間選択肢の位置での結果の違い) 中間選択肢を「どこに置くか」、あるいは「どう表現するか」によって、回答率が変わる可能性があることがわかりました。そのため、「必ず中間選択肢を真ん中に置く」などといった固定概念にとらわれず、調査目的に応じて検討することがおすすめです。

 
以上の調査結果から、次のような知見が得られました。

  • 選択肢の配置順によって回答結果の違いがみられるため、慎重に検討する必要がある
  • 選択肢の内容は受け取り方が回答者によって異なるため、調査目的に応じて表現や形式を使い分けることが重要である
  • 選択肢の位置などの細部の設計が回答行動に与える影響があることを意識すると、リサーチの質をより高められる

 
選択肢の配置や文言は、つい「なんとなく」「慣れているから」といった感覚から、決めてしまうこともあると思います。だからこそ、今回の分析結果を調査設計に取り入れ、より質の高いリサーチにつなげていきましょう。

 
 
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執筆:アスマーク編集局

執筆:アスマーク編集局

アスマーク編集局は、数多くのメーカー、官公庁、大学との広範な調査実績に基づき、実務に直結するマーケティングリサーチの知見を発信する専門組織です。単なる手法の解説に留まらず、「現場で求められる判断基準」や「実務上の留意点」を網羅した専門コンテンツを企画・制作しています。

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監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。学術調査チームの立ち上げや、業界内でも難易度の高い「難病・希少疾患」「障がい者」のリクルートサービスの立案・リリースを主導。

専門領域
消費者インサイト分析、セグメンテーション。学術的根拠に基づき消費者モニターをタイプ分類する「インサイト・セグ」を開発。

発信実績
「日本のマーケティングリサーチ20年の変遷」の執筆や、最新技術を網羅した「ChatGPTを調査設計・レポートに活用する検証セミナー」への登壇など、伝統的手法から最新トレンドまで幅広い知見を保有。

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【検証レポート】設問文・選択肢の見せ方で回答データは変わるのか?

【検証レポート】設問文・選択肢の見せ方で回答データは変わるのか?

設問文・選択肢の見せ方で、回答データに差は生まれるのかを検証し解説したレポートです。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● 設問文・選択肢の見せ方でどの程度回答データに差が出るのか知りたい
● 設問設計による回答バイアスを最小限に抑えたい
● アンケート調査を設計しているため、事前に設計による回答の違いを把握しておきたい

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アンケートの調査票の作り方

アンケートの調査票の作り方

初めてアンケート調査をする方は、調査票(質問紙)の設問文と選択肢をどのように作っていくべきか悩まれると思います。アンケートの調査票の作り方と押さえるべきポイントをご紹介します。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● 初めてアンケート調査を実施する
● アンケート調査の作り方がわからない
● アンケート調査で失敗したことがある
● より質の高いアンケート調査をしたい

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アンケートの平均回答率は?回答率を上げる工夫や計算方法を紹介

アンケートの平均回答率は?回答率を上げる工夫や計算方法を紹介

アンケート調査は、顧客満足度や市場のニーズを把握するための効果的な手段です。しかし、どれほどていねいに調査票を作成しても、分析に適した回答数を集められなければ、適切な調査結果を得ることはできません。

特に回答率が低い場合、偏った意見だけが反映され、調査結果そのものの信頼性が損なわれてしまう恐れがあります。

そこで本コラムでは、アンケートの平均的な回答率の目安や、回答率を高めるための具体的な工夫について、分かりやすく解説します。

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