
2021.11.02
ブランド編①~イメージ調査~
4コマ漫画でわかるマーケティングリサーチ
通常、ブランド認知度調査とブランドイメージ調査は、1回の調査で同時に実施します。 ブランドイメージ調査を実施する目的は、ブランドイメージの向上であり、認知の拡……
公開日:2026.10.30
ビジネスや研究におけるデータ分析で、2つのデータの関連性を客観的に把握する指標として広く活用されているのが「相関係数」です。
本記事の要点(サマリー)
本記事では、相関係数の意味や具体的な計算手順、データ分析で誤った意思決定を防ぐための実践的な注意点までをわかりやすく解説いたします。
一般に相関係数とは、主に「ピアソンの積率相関係数」のことを指し、2つのデータの間に見られる「直線的な関係※の強さ」を数値化したものです。
※ 直線的な関係とは、「一方が増えると、もう一方も一定の割合で増える、または減る」という関係性を指します。
相関係数を見ることで、実際のデータがどれくらい直線状に並んでいるか(直線からのばらつきがどれくらい小さいか)が分かります。
具体的には、下の図の左側のように、データが目安となる直線の近くに集中して並ぶほど「相関が強い」と判断でき、右側のように直線的な規則性が見られず散らばっているほど「相関が弱い」と判断できます。

相関関係には「正の相関」「負の相関」「相関がない」の3つのパターンがあります。
正の相関:一方が増えると、もう一方も増える(例:気温とアイスクリームの売上)
負の相関:一方が増えると、もう一方は減る(例:価格と購入量)
相関がない:一方が増えても、もう一方に決まった傾向が見られない(例:テストの点数と靴のサイズ)
ここで注意したいのは、「相関がない」と判定されたとしても、必ずしも「無関係(まったく関係がない)」とは限らないということです。
相関係数は、あくまで「直線的な関係」を数値化したものです。そのため、2つのデータの間に「カーブを描くような関係※」が存在していても、直線ではないという理由で「相関がない」と判定されてしまうことがあります。
※ カーブを描くような関係とは、たとえばU字型の2次関数(y = ax2 + bx + c)のように「最初は一方が増えるとそれに伴って減少し、ある点を境に増加に転じる(またはその逆)」といった、変化の割合が一定ではなく、途中で変化の向きやペースが変わる関係性を指します。
「相関がない」=「関係がない」と結論づけるのではなく、「直線的な関係は見られない」と捉えることが重要です。
詳細については、「直線的な関係しか判定できない」で解説します。
ここからは、算出された相関係数をどのように読み解けばよいのか、具体的な見方のポイントを解説します。
相関係数を見るときは、「符号(+・-)」と「数値の大きさ」の2つに着目するのが基本です。
相関係数は「-1.0 ~ +1.0」の間で値を取ります。このとき、値が+か-かによって、2つのデータの関係性の向きを以下のように把握できます。

相関の強さは、相関係数の「絶対値※」で判断します。
一般的な目安は以下の通りです。
※ 絶対値とは、数直線上で0からの距離を表す値のことです。たとえば、「-0.8」は0から左に0.8離れているため、絶対値は「0.8」になります。
上記の目安をイメージとして図解したものが下図となります。

相関係数が1.0のときは「完全な正の相関」といい、-1.0のときは「完全な負の相関」といいます。
ここからは、実際の数値を使って相関係数を計算する手順を解説します。
聞き慣れない用語も出てくると思いますが、以下の4ステップに沿って進めることで案外シンプルに計算できます。一つずつ順番に確認していきましょう。
※ 手順の前に、先に相関係数の公式を今すぐ確認したい方は、「まとめ:相関係数の公式」までスキップしてください。
【準備】今回使うサンプルデータ
今回使うサンプルデータは、A〜Eさん(5人)の「数学」と「理科」のテストの点数です。
| 生徒 | 数学の点数(X) | 理科の点数(Y) |
|---|---|---|
| Aさん | 50点 | 55点 |
| Bさん | 60点 | 50点 |
| Cさん | 70点 | 60点 |
| Dさん | 80点 | 70点 |
| Eさん | 90点 | 65点 |
この5人のデータをもとに、ステップ1から順番に計算を進めていきましょう。
何をする作業?
「データの基準点(真ん中)」がどこにあるのか見つける作業です。たとえば、数学の平均値を算出することで、Aさん~Eさんの数学の点数が「平均より高いか・低いか」を比べることができるようになります。
今回のサンプルデータでは、各教科の全員の点数を足して、人数(5人)で割れば平均値が算出できます。
この数値をサンプルデータに当てはめると下図となります。

何をする作業?
データの「ばらつき具合」を客観的に数値化する作業です。全員の点数が平均値の近くに集まっているのか、それとも広く散らばっているのかを一つの指標で表します。
先ほど触れた、「平均より高いか/低いか」を見ていきます。
まずは、各教科の一人ひとりの「平均との差(偏差とも呼びます)」を算出します。
| 数学の偏差 | 理科の偏差 | |
|---|---|---|
| Aさん | 50 – 70 = -20 | 55 – 60 = -5 |
| Bさん | 60 – 70 = -10 | 50 – 60 = -10 |
| Cさん | 70 – 70 = 0 | 60 – 60 = 0 |
| Dさん | 80 – 70 = 10 | 70 – 60 = 10 |
| Eさん | 90 – 70 = 20 | 65 – 60 = 5 |
続いて、平均との差(偏差)にマイナスの値が含まれているため、すべてを「2乗」してプラスの値に変換します。
| 数学の偏差の2乗 | 理科の偏差の2乗 | |
|---|---|---|
| Aさん | (-20)2 = 400 | (-5)2 = 25 |
| Bさん | (-10)2 = 100 | (-10)2 = 100 |
| Cさん | 02 = 0 | 02 = 0 |
| Dさん | 102 = 100 | 102 = 100 |
| Eさん | 202 = 400 | 52 = 25 |
そして、この「偏差の2乗」の平均を求めることで、各教科の「ばらつき具合(分散とも呼びます)」が求められます。
この各教科のばらつき具合(分散)は「2乗された状態の数値」なので、平方根(ルート)をとって、もとの単位に戻します。これにより、各教科の「点数が平均からだいたいどれくらいズレているか(標準偏差とも呼びます)」を求めることができます。
ここまで算出したデータを表にまとめると、下図のようになります。

何をする作業?
「2つのデータが同じ方向に変化するのか、反対向きに変化するのか」を確かめる作業です。
今回の例では、「数学の偏差(平均点からの差)」と「理科の偏差」がこの2つのデータに該当します。
たとえば、「数学の偏差」がプラスの値で、「理科の偏差」がプラスの値の場合、どちらも平均より高い点を取った生徒(人)であることがわかります。つまり、2つのデータは同じ方向に変化しているといえます。
数学と理科の偏差が、それぞれプラスなのかマイナスなのか、その組み合わせによる方向性をまとめたのが下の表です。
| 理科の偏差 | |||
|---|---|---|---|
| プラス | マイナス | ||
| 数学の偏差 | プラス | 同じ方向に変化 | 反対方向に変化 |
| マイナス | 反対方向に変化 | 同じ方向に変化 | |
そして、この方向を簡単に計算できる方法が、「データを掛け合わせる」ことです。
先ほどの数学も理科も偏差がプラスの場合を考えてみましょう。
数学の偏差が「20」、理科の偏差が「5」の場合、これを掛け合わせると「20 × 5 = 100」となり、計算結果もプラスになることがわかります。
掛け合わせる際の符号の組み合わせと、変化の方向性をまとめると以下のようになります。
| 理科の偏差 | |||
|---|---|---|---|
| プラス | マイナス | ||
| 数学の偏差 | プラス | プラス(同じ方向に変化) | マイナス(反対方向に変化) |
| マイナス | マイナス(反対方向に変化) | プラス(同じ方向に変化) | |
では、実際に先ほど求めた5人(Aさん〜Eさん)の「数学の偏差」と「理科の偏差」を掛け合わせてみましょう。
| 数学の偏差×理科の偏差 | 方向性 | |
|---|---|---|
| Aさん | -20 × -5 = 100 | プラス = 同じ方向に変化 |
| Bさん | -10 × -10 = 100 | プラス = 同じ方向に変化 |
| Cさん | 0 × 0 = 0 | 0 = 変化なし(平均と同じ) |
| Dさん | 10 × 10 = 100 | プラス = 同じ方向に変化 |
| Eさん | 20 × 5 = 100 | プラス = 同じ方向に変化 |
最後に、データ全体の方向性を知るために、「数学の偏差 × 理科の偏差」で算出した値をすべて足し合わせ、全体の人数(5人)で割って平均を出します。
(100 + 100 + 0 + 100 + 100) ÷ 5 = 80
上記の計算により、「80」という値が算出できました。この数値が、「2つのデータが同じ方向に変化するのか、反対方向に変化するのかを示す指標(共分散とも呼びます)」となります。
ここまで算出したデータを表にまとめると、下図のようになります。

何をする作業?
「データの『単位』や『桁の大きさ』による影響をリセットし、-1 〜1の共通のものさしにする」作業です。ステップ3で求めた共分散を標準偏差の積で割ることで、どんなデータ同士でも関係の強さを同じ基準で比較できるようになります。
さて、ここまで来たら、最終目標である「相関係数」を算出する準備はすべて整いました。
具体的には、ステップ3の「共分散」と、ステップ2の「数学の標準偏差」「理科の標準偏差」を用いて、以下のように計算します。
相関係数 = 共分散 ÷ (数学の標準偏差 × 理科の標準偏差)
つまり、今回の場合、以下のように数値を当てはめることができます。
相関係数 = 80 ÷ (√200 × √50) = 80 ÷ 100 = 0.8
この「0.8」という結果はプラスの値であり、かつ0.7~1.0の範囲に収まるため、「強い正の相関がある」と判断できます。
具体的には、「数学の点数が高い人ほど、理科の点数も高い傾向が強い」と読み取ることができます。
これを散布図に落とし込むと、下図のようになります。

加えて、ここまで算出したデータを表にまとめると、下図のようになります。

ここまで、ステップ1〜4に分けて順を追って計算をしてきましたが、これらを一つの数式にまとめたものが「相関係数の公式」です。
数式だけを見ると少し難しく感じるかもしれませんが、やっていることはこれまで計算してきた内容とまったく同じです。

「平均値」→「標準偏差」→「共分散」という基本手順の組み合わせでできていることがわかれば、意外とできるものです。ぜひ、実際の業務や身近なデータでも、この手順に沿って相関係数を求めてみてください。
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データ分析において、2つのデータの関係性をひとつの数値で表せる「相関係数」はとても便利な指標です。しかし、算出された数値だけを鵜呑みにして判断を下すと、データの真の姿を見誤ったり、誤った意思決定を招いてしまったりすることがあります。
相関係数を正しくビジネスや研究に活用するために、押さえておくべき4つの注意点を解説します。
相関係数が捉えられるのは、あくまで「直線的な関係」のみです。
そのため「相関係数が0に近いから関係がない」と即断するのは禁物です。データ間に何らかの規則的なパターンが存在していても、それが「非直線的な関係」である場合、相関係数は0に近い値を示してしまうことがあります。
この「非直線的な関係」の典型的なパターンが、U字型のカーブを描く、いわゆる2次関数で表すことができるパターンです。
たとえば、紅茶の温度と好みの関係を考えてみましょう。
冷たいアイスティーや温かいホットティーは、どちらも好まれる傾向にあることが想像できる一方、中途半端な温度の「ぬるい紅茶」を好む方はあまりいらっしゃらないことが想像できます。
そのため、アンケートを取ってみると、U字型に近い結果になることが予想されます。
そのイメージが下図です。

このように、明確な傾向が存在しても直線的な関係ではないため、相関係数を計算すると「相関なし(ほぼ0)」という結果が出てしまいます。
したがって、機械的に相関係数だけを算出するのではなく、視覚的にデータの傾向を把握するため、上図のように散布図を作成することが重要です。
なお、アンケート調査では、「不満、やや不満、どちらともいえない、やや満足、満足」といった5段階評価を選択肢として設定したものが多く見られます。この場合、散布図を描いても同じ位置にデータが重なってしまうため、グラフ化の重要性を実感しにくい部分があるかもしれません。
しかし、散布図を確認せずに数値だけで判断してしまうと、こうした非線形のパターンや、次節で解説する「外れ値」を見落とす原因になります。相関係数を算出する際には、以下3つのステップを徹底して行うことが重要です。
データ全体の中で、他の値から大きく離れた値を「外れ値」と呼びます。
相関係数は、たった1つの外れ値が含まれているだけでも数値が大きく歪められてしまう特性があります。
実際に、外れ値が1つ含まれるデータと、それを除いたデータの違いを可視化したものが下図です。

外れ値があるデータでは相関係数が0.89にとどまるのに対し、外れ値を除外すると0.97まで上昇し、約0.1もの差が生じています。
ここで注意したいのは、「外れ値=取り除くべき悪者」とは限らない点です。外れ値の背景にはこれまで見落とされていた新たな知見や、例外的な事象が潜んでいるケースも少なくありません。
そのため、安易に削除するのではなく、次の手順で丁寧に分析を進めることが重要です。
データ分析で最も陥りやすい罠のひとつが、相関関係と因果関係の混同です。「2つの変数が連動して動いている(相関)」ことと、「一方が原因で、もう一方が結果である(因果)」ことは全くの別物です。
一般に、2つの事象に因果関係があると判断するためには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。
相関係数は、算出の元となるデータ数(サンプルサイズ)が少ない場合、偶然の偏りによって結果が大きく歪み、信頼性が著しく低下する可能性があります。
たとえば、対象とする集団全体(母集団)が10人しかおらず、その10人全員のデータを集めて算出したのであれば、その数値は集団の正確な相関を示しています。
しかし、10万人存在する母集団からたった10人分だけを抜き出して算出した相関係数は、偶然の偏りに左右されやすく、集団全体の傾向を正しく表しているとは言えません。
統計的に信頼できる相関係数を得るためには、母集団の傾向を正しく推定できるだけの十分なデータ数を確保することが不可欠です。
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疑似相関(見せかけの相関)とは、2種類のデータの間に直接的な因果関係はないのにも関わらず、裏に潜む「第3の要素」の影響によって、あたかも因果関係があるように見えてしまう相関のことをいいます。
そのため、単純に相関係数を見るだけでは「関係がある」と誤認してしまいやすく、十分な注意が必要です。
ここで身近な例として、「アイスクリームが売れると、ビールの売上も伸びる」という関係を考えてみましょう。
一見すると、この2つの商品には何のつながりもないように思えます。しかし、データを分析すると非常に強い連動(相関)が見られます。では、ビールの売上を伸ばすためには、アイスクリーム売り場を強化すればよいのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
なぜこのような見せかけの連動が起きるのか、実際の家計支出データをもとに確認してみましょう。

上図は、月ごとのアイスクリーム・シャーベットとビールの支出額の推移を示したグラフです。
2つの折れ線は、ほぼ同じ山と谷を描いて推移しています。
ここで、ビールの支出が急増する12月を除いた「1〜11月」のデータで相関係数を計算すると、「0.90」という極めて強い正の相関を示します。
※ 12月は、忘年会や年末年始の買い出しといった「年末特需」の影響でビールの支出が突出すると考えており、純粋な消費傾向を見るために除外しています(1〜12月通年の相関係数は 0.55)。
この数値だけを見れば、「アイスクリームとビールの売上には密接な関係がある」と結論づけてしまいそうです。
しかし、アイスクリームがビールの売上を直接引き起こしているわけではありません。ここで注目すべきなのが、両方に影響を与えている共通の原因、すなわち「気温」という第3の要素です。
先ほどのグラフに「日平均気温」を重ねてみます。

気温の推移を重ねると、1〜11月にかけて3つの折れ線が見事に連動していることがわかります。
それぞれの支出と日平均気温の相関係数(1〜11月)は以下の通りです。
どちらの支出も、基本的には「気温の上昇」と強い相関関係にあります。
ここから言えることは、「アイスクリームが売れたからビールが売れた」のではなく、「気温の上昇」という第3の要素が両方の売上を同時に押し上げていただけ、という構図です。
では、こうした見せかけの相関に惑わされないためにはどうすればよいでしょうか?
根本的な対策は、強い相関が見つかった際に「これが本当に原因なのか?背後に隠れた第3の要因はないか?」と疑う視点を持つことです。
具体的には、次の2つのアプローチで検証を進めます。
データ分析で相関が見つかったときこそ、数値を鵜呑みにせず、その裏側に潜む「第3の要素」に目を向ける姿勢が欠かせません。
相関係数は、2つのデータの間に見られる「直線的な関係の強さ」を客観的な数値(-1.0〜+1.0)で把握できる非常に便利な指標です。
一方で、算出された数値だけを見て機械的に判断してしまうと、思わぬ落とし穴に陥るリスクもあります。データを扱う際は、以下のポイントを常に意識することが大切です。
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