
2025.04.02
Web調査(インターネット調査)とは?実施方法や注意点、費用について紹介
近年、市場調査や社会調査の分野で注目を集めている「Web調査」(インターネット調査)。インターネットを活用して効率的にデータを収集できるこの手法は、低コストで迅……
公開日:2025.12.15
Webサイトやアプリをリリースしたものの、
「思ったようにコンバージョンが伸びない…」
「どこでユーザーが離脱しているのか把握できない…」
といった悩みを抱えていませんか?
どれだけ機能が充実したサイトやアプリであっても、ユーザーが直感的に使いづらい操作性になっていると、その魅力はなかなか伝わりません。こうした課題を解決する上で重要になるのが「ユーザビリティテスト」です。
この記事では、ユーザビリティテストの基本知識から、具体的なリサーチ方法、実施の流れ、最適な参加人数、そして成功に導くためのポイントまでを、分かりやすく解説します。
アプリ・WEBサイトのユーザビリティテストのサービスの詳細はこちら
アスマークでは、アプリ・WEBサイトのユーザビリティテストのサービスを提供しております。このテストは、主にWebサイト、アプリ、システムについて、実際にターゲットユーザーに開発中のプロトタイプを使ってもらい、「どの程度使いやすいか/使いにくいか」といった課題を発見するテストです。
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ユーザビリティテストとは、対象となるユーザーにWebサイトやアプリなどの製品・サービスを実際に操作してもらい、その行動や発言を観察することで、「使いにくさ」や「問題点」を明らかにする評価手法です。
具体的には、「特定の商品を探して購入する」「問い合わせフォームから送信する」などのタスク(課題)をユーザーに提示し、その操作プロセスを丁寧に記録・分析します。
この手法の特徴は、開発者視点や定量データだけでは把握しづらい、ユーザーの心理状態や直感的な操作でのつまずきを“客観的な事実”としてとらえられる点にあります。
また、ユーザビリティテストはあくまで「製品側の課題」を見つけるためのものであり、ユーザー個人のスキルや能力を評価するものではないという点を理解しておくことも重要です。
ユーザビリティテストを行う最大の目的は、提供者側(企業・開発者)とユーザー側との間に生じる「認識のズレ」を見つけ出し、解消することにあります。
開発チームは製品の仕様を熟知しているため、どうしても無意識のうちに「この操作は分かりやすいはずだ」「このアイコンなら意味は伝わるだろう」といったバイアスがかかりがちです。しかし、初めて触れるユーザーは、開発者の思わぬところで迷ったり、別の意図で受け取ってしまったりします。
このような問題に対してユーザビリティテストを実施することで、アクセス解析などの定量データでは見えてこない、「なぜそこでつまずいたのか?」「なぜ離脱につながったのか?」といった具体的なインサイトを明らかにできます。
こうした“使いにくさ”を早い段階で発見し改善することは、ユーザー体験(UX)の向上につながるだけでなく、コンバージョン率の向上や、リリース後の大規模な手戻りを防ぐことによるコスト削減など、ビジネス面でも大きな成果をもたらします。
「ユーザーテスト」という言葉は、一般的には「ユーザビリティテスト」と同じ意味で使われることが多いですが、文脈によっては、製品アイデアの段階で行う「コンセプトテスト」を指す場合もあります。
コンセプトテストとは、開発の初期段階で、製品やサービスのコンセプト(概念)がターゲットユーザーに受け入れられるか、そもそもニーズが存在するかを確かめるための検証です。
ユーザビリティテストとコンセプトテストの大きな違いは、行う目的と開発フェーズにあります。コンセプトテストが「何を作るべきか(What)」という価値や需要の有無を見極めるプロセスなのに対し、ユーザビリティテストは、具体的な試作品や実際の製品を使って「どれだけ使いやすいか(How)」を評価するものです。
ヒューリスティック評価とは、UI/UXの専門家が自身の経験則(ヒューリスティクス)や各種ガイドラインに基づいて製品をチェックし、問題点を洗い出す手法です。
ユーザビリティテストとの最も大きな違いは、「誰が評価するのか」という点にあり、それぞれの特徴やメリットなどをまとめると下表になります。
| ヒューリスティック評価 | ユーザビリティテスト | |
|---|---|---|
| 評価者 | 専門家 | ユーザー |
| 特徴 | 専門家の知見をもとに網羅的にチェックできるため、既知の問題や一般的な使いにくさを効率よく発見できます。 | ユーザーに製品を実際に操作してもらい、その行動や発言を通じて問題点を把握します。 |
| メリット | ユーザーを集める必要がないため、低コストかつ短期間で実施でき、開発初期のプロトタイプ段階でも有効です。 | 開発者や専門家が想定していなかったリアルな行動や、心理的なハードルを発見できることが大きな強みです。 |
一般的には、まずヒューリスティック評価で明らかな問題を取り除き、そのうえでユーザビリティテストによって深い理解を得るという進め方が効率的とされています。
なお、ヒューリスティック評価は、評価者が専門家に限られるため、主観的な判断になりやすく、実際のユーザーがつまずくポイントとはズレが生じる可能性があり、注意が必要です。
“
ユーザビリティ(usability)
特定のユーザが特定の利用状況において,システム,製品又はサービスを利用する際に,効果,効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合い。
— JIS、Z8521:2020
ユーザビリティを定義づける要素は次のように定義される。
・目標 (英: goal): 意図した成果
・効果 (英:effectiveness): ユーザが特定の目標を達成する際の正確性及び完全性
・効率 (英:efficiency): 達成された結果に関連して費やした資源
・満足度 (英:satisfaction): システム,製品又はサービスの利用に起因するユーザのニーズ及び期待が満たされている程度に関するユーザの身体的,認知的及び感情的な受け止め方
ヤコブ・ニールセン博士:5つの構成要素
また、ユーザビリティの定義としては、Webユーザビリティの第一人者であるヤコブ・ニールセン博士が提唱した「5つの構成要素」も有名です。ISOの定義(有効性・効率・満足度)をより具体的にした指標として、多くの現場で参照されています。
ニールセンが示した5つの要素は、次の通りです。
| 学習しやすさ(Learnability) | 初めてシステムに触れるユーザーでも、短時間で使い方を理解し、目的を達成できるか? |
|---|---|
| 効率性(Efficiency) | システムに慣れたユーザーが、無駄なく高い生産性でタスクを処理できるか? |
| 記憶しやすさ(Memorability) | しばらく使っていない状態でも、再利用時にすぐ操作方法を思い出せるか? |
| エラー(Errors) | エラーが起きにくく、発生した場合でも簡単に回復できるか。致命的なエラーが起こらないか? |
| 満足度(Satisfaction) | 使用中にストレスがなく、主観的に好ましい体験が得られるか? |
これらすべての要素が高いレベルで満たされている状態こそが、優れたユーザビリティと言えるでしょう。
ユーザビリティテストの実施手法は、検証の目的に応じて適切に使い分けることが大切です。
実施手法は、ユーザーの行動や心理を深く掘り下げて「なぜ使いにくいのか」という原因を明らかにする定性調査と、タスクの達成率や満足度を数値化し「どの程度使いやすいのか」を客観的に評価する定量調査の2つに大別されます。
この章では、この定性調査と定量調査の代表的な手法について解説します。
ユーザビリティテストにおける定性調査は、ユーザーの「行動」や「発言」といった数値化できないデータを収集・分析する手法です。
定性調査では「何人ができたか」という結果を見るのではなく、「なぜそこで間違えたのか」「どのような心理で操作したのか」という原因や背景を深く掘り下げることを目的とします。製品の具体的な改善案を導き出すためには、この定性調査が最も重要視されます。
一般的に、定性調査は少人数で実施しても、製品に潜む主要なユーザビリティ上の問題を発見できると言われており、コストパフォーマンスに優れた手法です。
思考発話法(Think-Aloud Protocol)は、定性調査で最も広く使われ、効果が高いとされる手法です。ユーザーにタスクを進めてもらいながら、そのとき頭の中で考えていることをそのまま声に出して説明してもらいます。
例えば、「次はどこを押せばいいんだろう」「この言葉の意味がよく分からない」「申し込みボタンを探している」といった“心の声”をリアルタイムで聞けるため、ユーザーの行動の背景にある意図や、迷いの原因を直接把握できる点が大きなメリットです。
また、観察だけでは推測するしかない「ユーザーの思考プロセス」や「製品に対する誤解(メンタルモデルのずれ)」を明確に特定できるのも、この手法ならではと言えます。
ただし、操作しながら考えを言語化することはユーザーにとって負担がかかるため、沈黙が続く場面では「今、どんなことを考えていますか?」とさりげなくうながすなど、モデレーターの適切なサポートが必要です。
回顧法(Retrospective Protocol)とは、タスクの実行中にはユーザーに普段どおり黙って操作してもらい、完了後のインタビューで当時の思考や判断の理由を振り返ってもらう手法です。
思考発話法のように作業中に話す負荷がかからないため、より実際の利用に近い自然な行動を観察できる点が最大の特徴です。そのため、操作時間などの定量データを正確に計測したい場合や、高い集中力を要する複雑なタスクに特に向いています。
実施時には、録画映像をユーザーと一緒に見返しながら「このとき何を考えていましたか?」と記憶を喚起する形式が一般的です。ただし、事後の振り返りである以上、一瞬の感情が思い出しにくいことや、自身の行動に整合の取れた理由を後付けしてしまう“合理化”が起こりやすい点には注意が必要です。
ユーザビリティテストにおける定量調査は、製品の使いやすさを数値データとして測定・評価する手法です。ユーザーの「なぜ」ではなく「どのくらい(How much)」使いやすいかを客観的な指標で可視化します。
主な測定項目には、タスク成功率(有効性)、完了時間(効率性)、エラー発生頻度、アンケートを用いた満足度スコアなどがあります。この手法は、改善前後でのパフォーマンス比較や、競合製品とのベンチマーク比較、KPIの達成度確認などに適しています。
システムユーザビリティスケール(SUS:System Usability Scale)は、製品のユーザビリティ(ユーザーが感じる使いやすさや満足度)を手軽かつ信頼性高く測定できる、世界的に最も普及しているアンケート手法です。
10個の定型質問(例:「このシステムを継続して使いたい」「操作が複雑すぎる」など)に対し、5段階のリッカート尺度(「全くそう思わない」〜「強くそう思う」)で回答してもらい、その結果を0〜100点のスコアとして算出します。
システムユーザビリティスケール(SUS) 質問項目一覧
システムユーザビリティスケールの大きな利点は、「迅速で(Quick)」「手軽に(Dirty)」実施できることです。
また、一般的に「68点」が平均スコアの目安とされており、自社製品が平均以上の使いやすさを備えているかを判断する際のベンチマークとしてとても効果的です。
システムユーザビリティスケール(SUS)のスコアは、質問項目が「肯定的な内容(奇数)」と「否定的な内容(偶数)」で交互に構成されているため、回答(「全くそう思わない[1点]」〜「強くそう思う[5点]」)に対して特有の計算処理を行って算出します。
奇数番号の質問(1、3、5…)の計算:奇数番号の質問の合計点から5を引きます。
偶数番号の質問(2、4、6…)の計算:25から偶数番号の質問の合計点を引きます。
そして、奇数番号と偶数番号で算出した点数を足します。
最後に、その合計点を2.5倍することで、最終的なSUSスコア(0〜100点)を得られます。
計算手順がやや煩雑なため、実務ではExcelなどの計算シートを利用するケースが一般的です。
システムユーザビリティスケール(SUS)の計算例
例えば、下表のように回答したとします。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 1. このシステムを頻繁に利用したいと思う。 | 強くそう思う(5点) |
| 2. このシステムは必要以上に複雑だと感じる。 | どちらともいえない(3点) |
| 3. このシステムは使いやすいと思う。 | ややそう思う(4点) |
| 4. このシステムを利用するには、技術的な専門家のサポートが必要だと思う。 | 全くそう思わない(1点) |
| 5. このシステムのさまざまな機能はよく統合されている(うまくまとまっている)と思う。 | どちらともいえない(3点) |
| 6. このシステムには整合性がない(一貫性がない)と思う。 | あまりそう思わない(2点) |
| 7. 大抵の人は、このシステムをすぐに使いこなせるようになると思う。 | ややそう思う(4点) |
| 8. このシステムは非常に扱いづらい(面倒だ)と感じる。 | どちらともいえない(3点) |
| 9. このシステムを使うことに自信を感じた。 | どちらともいえない(3点) |
| 10. このシステムを使い始める前に、多くのことを学ぶ必要があると思う。 | ややそう思う(4点) |
ここから、奇数番号と偶数番号の計算をすると以下となります。
奇数番号の質問(1、3、5…)の計算:(5+4+3+4+3) - 5 = 14
偶数番号の質問(2、4、6…)の計算:25 - (3+1+2+3+4) = 12
最後にそれらを足し算して、2.5を掛けるので以下となります。
SUSスコア = (14+12) × 2.5 = 65%
ここから、平均が68なので、65%というSUSスコアは、少し劣ることが分かります。
ユーザビリティテストを成功させるには、当日の観察だけでなく、事前の綿密な設計と事後の丁寧な分析が必要です。
一般的なプロセスは、次の5つのステップで進行します。

この一連の流れを一度で終わらせず、改善後に再度検証を行うサイクルを回すことが、製品の品質向上につながります。
ユーザビリティテストでは、多くの被験者を集めなければ十分な結果が得られないと思われがちです。
しかし、実際には「5人」で高い成果が得られることが広く知られています。
Webユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士の研究(Landauer & Nielsen, 1993)では、「5人のユーザーをテストすれば、全問題の約85%を発見できる」と示されています。
1人目のテストだけでも全体の約3分の1の問題が明らかになり、人数を増やすほど発見率は上がるものの、6人目以降は指摘内容が重複し、新たな問題が見つかりにくくなります。
そのため、一度に15人以上を集めて大規模にテストするよりも、「5人でテスト → 改善 → さらに5人で再テスト」というサイクルを繰り返す方が、コストを抑えながら効果的に品質を高められるとされています。
ユーザビリティテストの価値を最大限に引き出すには、3つの重要な原則を押さえておく必要があります。
まず大切なのは、ユーザーの「意見」よりも「行動」を重視することです。
ユーザーは気を遣って「便利ですね」と口にすることがありますが、操作中に手が止まったり、誤操作が生じたりしていれば、そこで示されている事実のほうが何より信頼できます。
次に、モデレーターが教えすぎないことも大切です。
ユーザーが迷う場面こそ、改善点が最も見つかりやすい瞬間です。すぐに答えを示すのではなく、「今、どうしようと考えていますか?」と軽くうながす程度にとどめ、自然なつまずきを観察する姿勢が重要です。
最後に、開発メンバーやステークホルダーも可能な限りテスト観察に同席することが望まれます。
ユーザーが実際に苦戦する姿をチーム全員で見ることで、課題への共通認識が強まり、その後の改善スピードが大きく向上します。
ユーザビリティテストは、あなたのプロダクトを“本当に使いやすいもの”へと成長させる最も強力な手法です。
そして、ユーザビリティテストにおける定性調査で「なぜ使いにくいのか」を深く理解し、定量調査で「どれほど使いやすいのか」を数値として把握することで、ユーザーの本音がはっきりと見えてきます。
しかも、わずか5人程度のテストでも全問題の約85%を発見することができ、改善と検証を繰り返すことでUX品質は確実に向上します。
ぜひ、この記事で紹介した手法やポイントを取り入れて、自社のプロダクトをもっと使いやすく、もっと選ばれるサービスへと進化させていきましょう。
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