マーケティングリサーチQA

Q
アンケートの回答尺度において、「どちらともいえない」を中央に配置する理由とは?
A
中立の選択肢を中央に配置するのは、尺度の対称性を保つための設計原則です。ただし、調査方法論では「中央化傾向(central tendency bias)」と呼ばれる現象があり、実際の回答では中央の選択肢が選ばれやすいことが確認されています。

理論的にはなぜ中央配置が妥当とされるのか?

「どちらともいえない」という中立的な選択肢は、賛成と反対のちょうど真ん中に置くのが基本です。これは、アンケート調査でよく使われるリッカート尺度の考え方に沿ったものです。

・対称性の確保:賛成側と反対側の数をそろえて、バランスよく配置できます。
・解釈のしやすさ:真ん中に中立を置くことで、結果を分析する際に「並び順が意味する方向性」がわかりやすくなります。

つまり、中央に置くのは「回答結果を読み取りやすくするための基本的な工夫」といえます。
 
 

実際の回答行動ではどのような影響があるのか?

ただし、理論的に正しくても、実際の回答者は配置の影響を受けやすいことが知られています。
弊社が行った調査では、次のような傾向が見られました。

・「どちらともいえない」を中央に置いたとき、回答者がそこを選びやすくなる。
・これは「真ん中にある方が無難に感じられる」という心理が働いている可能性があります。

このように、中央配置は設計上は合理的でも、実際には回答が偏る要因になることがあります。
 
 

まとめ・提言:調査設計時のポイント

アンケートの設計では、中立の選択肢を中央に置くことには「長所」と「注意点」があります。

・長所:結果を整理・解釈しやすくなる。
・注意点:真ん中に置くことで、意図せず選ばれやすくなる可能性がある。

そのため、調査設計者は「理論的な妥当性」と「回答者の実際の行動」の両方を考慮して設計し、分析結果を解釈する必要があります。

 

アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)の活用方法

アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)の活用方法

あらかじめ設定された明確な評価段階(スケール)に従って、ある特定の事物や事象を判断させる方法のことを「評定尺度法」といい、その評価段階(スケール)のことを「リッカート尺度」といいます。

リッカート尺度では、回答者にとって明確な事実を回答するものではないので、白黒はっきり回答しづらい質問でもその程度や振れ幅を聴取することができるため、アンケートの深い考察を可能とします。

このコラムでは、アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)における活用シーンやメリット、デメリット、注意点などについて解説します。

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【検証レポート】設問文・選択肢の見せ方で回答データは変わるのか?

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アンケート選択肢の“文言”や“位置”で結果は変わる?調査設計の盲点に迫る~実験調査の公開と解説~

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今回のテーマは、アンケートの選択肢における“文言”や“位置”です。調査設計における、細かな違いが回答にどう影響するかという、見過ごされがちなポイントについて検証しています。

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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