市場調査・マーケティングリサーチ会社のアスマーク

マーケティングリサーチQA

Q
設問の言い回しや選択肢の順番を変えるだけで、回答が変わることなんてあるのでしょうか? それを確かめるには、統計的な検定をしないと確かなことは言えないのでは?
A
設問の文言や選択肢の並び順のような“質問の構造”の違いは、実際に回答結果へ影響を与えます。 そして、その影響を確認する方法は、必ずしも「統計的検定」だけではありません。

 

1. 設問の“形”が回答を変える

アンケート調査の設問には、回答者が無意識のうちに影響を受ける要素が数多く存在し、次のような違いだけでも結果が変化します。

  1. どちらともいえない」を真ん中に置くか、一番最後に置くか
  2. 「すべてお選びください」と言うか、「いくつでもお選びください」と言うか
  3. 「見たくなることはない」といった“排他選択肢”を最初に出すか、最後に出すか

質問内容の本質は同じように見えても、これらの表現や順序の違いが、回答者の“感じ方”や“選び方”を変えてしまうのです。

たとえば、中立的な選択肢を真ん中に置くと「無難な選択」として選ばれやすくなり、末尾に置くと「データのばらつき」がみられる可能性があります。

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2. 今回の実験調査の目的と方法

この考え方を検証するために、弊社では2025年に実験調査を行いました。これは、調査そのものを目的とするのではなく、設問設計の違いが回答にどのような影響を与えるかを検証する研究的な調査です。

実験では、全国の回答者1,800名超を対象に、性別・年代構成などを揃えた複数のグループを作成し、設問文や選択肢の配置だけを変えたパターン(A群/B群、グループ①/②など)で比較を行いました。

その結果、次のような傾向が確認されています。
・中立的な選択肢(例:「普通」「どちらともいえない」)が真ん中にあるときの方が、末尾にあるときより選ばれやすい
・「すべてお選びください」と表現した場合の方が、「いくつでもお選びください」より多く回答される
・排他選択肢(例:「見たくなることはない」)を最初に置くと、他の選択肢が選ばれにくくなる

こうした違いは、設問の「内容」ではなく「構造(言葉の置き方・順序)」が回答行動を変えている可能性を示しています。
 

3. 統計的検定をしない理由と、“確かめ方”の考え方

統計的検定(t検定やカイ二乗検定など)は、母集団を代表するサンプルで有意差を確認する際に有効です。
しかし、今回のような実験調査では、「母集団の平均値を推定する」ことが目的ではなく、設問構造の違いが回答をどう変えるかを理解することが目的です。

そのため、「有意差があるかどうか」を判定するよりも、同じ傾向が複数の質問・複数の項目で一貫して現れるかという“再現性”を重視しています。

▶ 設問効果を確かめる仕組み

  • 条件統制:比較群(A/B群)は年齢・性別・人数構成を同等に設定
  • 操作変数:変えるのは「設問文」や「選択肢の位置」のみ
  • 判断基準:特定の配置や言い回しで一貫した傾向(増減や偏り)が見られるか

このように、「設問構造のみを変えた比較設計」で差を観察することで、設問そのものの効果を把握できます。
統計的検定は行わなくても、設計上の統制と再現傾向の確認によって、十分に信頼性を担保することが可能です。

 

アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)の活用方法

アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)の活用方法

あらかじめ設定された明確な評価段階(スケール)に従って、ある特定の事物や事象を判断させる方法のことを「評定尺度法」といい、その評価段階(スケール)のことを「リッカート尺度」といいます。

リッカート尺度では、回答者にとって明確な事実を回答するものではないので、白黒はっきり回答しづらい質問でもその程度や振れ幅を聴取することができるため、アンケートの深い考察を可能とします。

このコラムでは、アンケートにおける5段階評価(リッカート尺度)における活用シーンやメリット、デメリット、注意点などについて解説します。

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【検証レポート】設問文・選択肢の見せ方で回答データは変わるのか?

【検証レポート】設問文・選択肢の見せ方で回答データは変わるのか?

設問文・選択肢の見せ方で、回答データに差は生まれるのかを検証し解説したレポートです。

下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
● 設問文・選択肢の見せ方でどの程度回答データに差が出るのか知りたい
● 設問設計による回答バイアスを最小限に抑えたい
● アンケート調査を設計しているため、事前に設計による回答の違いを把握しておきたい

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アンケート選択肢の“文言”や“位置”で結果は変わる?調査設計の盲点に迫る~実験調査の公開と解説~

アンケート選択肢の“文言”や“位置”で結果は変わる?調査設計の盲点に迫る~実験調査の公開と解説~

今回のテーマは、アンケートの選択肢における“文言”や“位置”です。調査設計における、細かな違いが回答にどう影響するかという、見過ごされがちなポイントについて検証しています。

回答データの“見えないバイアス”を回避するための、実践的な設計のヒントを、レポートと共にご紹介。実務経験が豊富なリサーチャーによる、“設問形式”が回答に与える影響についての考察をお届けします。

下記に当てはまる方にお薦めの動画です。
・設問の作り方が回答に与える“バイアス”の影響を把握したい
・5段階評価をはじめ、評価尺度の設計精度を高めたい
・回答データの信頼性を高め、より説得力のある分析をしたい

※無料会員登録でご視聴可能です。

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アンケートの“質”研究ラボ

アンケートの“質”研究ラボ

アンケートの“質”研究ラボは、アンケートの品質向上を通じて、お客様のビジネスの成功とリサーチ業界全体の発展に貢献することを目指しています。独自の実験調査から得られたインサイトをセミナーやコラムといった形でオープンに公開し、データの信頼性を次世代へとつなぐ、さまざまな取り組みを推進しています。

このページでは、アンケートの“質”研究ラボについて、立ち上げの背景や目的、アンケートの品質向上を支える3つの“質”に関する研究、当ラボで実施した実験調査に関するセミナー動画やレポート、実績などについて紹介しております。

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執筆:アスマーク編集局

執筆:アスマーク編集局

アスマーク編集局は、数多くのメーカー、官公庁、大学との広範な調査実績に基づき、実務に直結するマーケティングリサーチの知見を発信する専門組織です。単なる手法の解説に留まらず、「現場で求められる判断基準」や「実務上の留意点」を網羅した専門コンテンツを企画・制作しています。

普及活動の実績
調査・分析に関する自社セミナーは累計参加者26,000人を突破。関連資料の利用者は11,000人を超えています(※2026年現在)。

学術・教育支援
日本社会学会や日本行動計量学会等への参画、大学での講義(累計受講者1,000人以上)を通じ、リサーチノウハウの普及に努めています。また、大学等の教育機関へ1万人規模の実証データを提供し、PBL(課題解決型学習)教育の支援も行っています。

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監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

監修:竹中 重雄(Shigeo Takenaka)

株式会社アスマーク マーケティング管轄 マネージャー
リサーチ業界およびマーケティング領域で10年以上のキャリアを持つスペシャリスト。学術調査チームの立ち上げや、業界内でも難易度の高い「難病・希少疾患」「障がい者」のリクルートサービスの立案・リリースを主導。共同著者として参画した研究論文が学術誌『グローバルビジネスジャーナル』に掲載された実績を持つ。

専門領域
消費者インサイト分析、セグメンテーション。学術的根拠に基づき消費者モニターをタイプ分類する「インサイト・セグ」を開発。

発信実績
日本のマーケティングリサーチ20年の変遷」の執筆や、最新技術を網羅した「ChatGPTを調査設計・レポートに活用する検証セミナー」への登壇など、伝統的手法から最新トレンドまで幅広い知見を保有。

本記事の監修にあたって
自身の豊富な実務経験に基づき、公開情報の正確性と、読者の皆様のビジネスに即した実用性を厳格に審査しています。

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